雀庵の「常在戦場/24 戦争の時代に備えよ」
“シーチン”修一 2.0
【Anne G. of Red Gables/310(2021/5/30/日】「期待は往々にして外れ、嫌な予感はよく当たる」・・・夢と現実の落差に嘆くヂイサンは多いだろう。「あんなに可愛かったのに・・・クソババアめ」と恨みつつ、もはや戦意は枯れ果てて隅っこの部屋で妄想世界に耽溺し、「ごはんよー」の声を大人しく待っている。「あっ、刺身だぁ、美味しそう、ワンワン!」、老犬は死なず、逼塞するのみ、自嘲するしかない、それでいいのだ! 居直ったりして・・・
虞や虞や若(なんぢ)をいかんせん、平和な時代の小者の小生は進退窮まるような深刻な目に遭ったことはないが、独ソ不可侵条約が破られた時、あの冷血非道なスターリンが腰を抜かしたという話は、逆から見ればヒトラーがいかに空前絶後的天才級アジテーターだったかを示している。2021/5/27「朝雲」に興味深い記事があった。
鎌田昭良氏(元防衛省大臣官房長)「独ソ不可侵条約 ヒトラーとスターリンが“死の抱擁”」から。
<チャーチルは回想録で「正直こそ最善の政策である」と述べた上で、「悪賢い人間や政治家は念入りな計算のためにかえって道を誤る例を見る。この(条約の)場合は特に著しい例であり、わずか22カ月の後、スターリンと数百万人のロシア国民は恐るべき罰金を支払わなければならなかった」とスターリンを道義面から批判しています。
一方、キッシンジャーは、共通の地政学的利益はイデオロギーを超える強力な絆であるとした上で、「(第2次大戦後)ソ連が超大国になったのはバザールの商人(のごとく狡猾で計算高い)スターリンの冷酷な駆け引きにその起源がある」と冷徹な分析をしています。どちらの評価にも一理あると私は思います>
戦後のソ連はサナダムシ工作がばれて大スポンサーの米国に三行半を食らい瓦解してしまったのだからキッシンジャーは「共産主義の脅威、危険性」に甘かった。同様に中共にも甘々で、イデオロギーを無視した「色眼鏡とソロバン」という銭ゲバ的利益で見ていたからどじって、それが今の世界の危機を招いた、と言える。戦後リベラルは多くが容共≒アカだから、今や化け物になった中共を見てうろたえるだけ、ほとんど思考停止のよう。「河豚は食いたし命は惜しし、今さら別れる切れるなんて・・・」、ズブズブのタダレタ関係。警戒心、危機感、緊張感がないと墓穴を掘ることになる。
同じ「朝雲」で外交評論家・草野徹氏が「中国 vs 台湾 冬季五輪後の侵攻説も」で警鐘を鳴らしている。
<米国は長年、台湾への兵器売却や合同演習実施などで、中国に向け“手を出すな”の明確なメッセージを送ってきた。時に小規模の緊張が生じても、この戦略は機能してきた。しかし米国の政権交代で、形勢一変の兆しが明白になってきた。
中国は4月、台湾の東方と西方で同時に大規模な軍事演習を実施。米代表団が訪台した際には沿岸で実弾演習を行い、通常よりはるかに攻撃的な姿勢を示した。
中国による台湾侵攻の脅威に関し「大げさだ」と言う専門家は多い。中国は台湾に多方面から圧力を強めるだろうが、本格的な上陸作戦の侵攻はありそうもないと見る。南シナ海の台湾が領有する小さな諸島の一つを奪取して、それに対する台湾の決意と国際社会の出方を試すことは考えられる。だが、少なくともごく近い時期に中国指導部が全面的侵攻による政治、経済、国際世論の悪化というコストを正当化できるとみなすとは想像し難いという。
いささか“耳にたこ”の類で、第一、新疆ウイグル自治区での過酷なウイグル族弾圧、香港民主化の徹底弾圧などを前にして、今さら「国際的評判を気にして云々」と、一体どこの国の話をしているのかという気もする。
米インド太平洋軍のデービッドソン司令官が退任前、上院軍事委の公聴会に出席し、中国の台湾侵攻について、「2020年代のうちなのは明らかで、実際には今後6年以内」と警告したのはごく最近(3月9日)のことだ。同氏の後任の新司令官に就任(4月30日)したアクイリノ海軍大将も3月末、同委公聴会で「中国軍の攻撃はそれよりもっと早い可能性がある」と証言していた。
両氏とも、地域の軍事情勢を天井桟敷から眺めている評論家ではない。米国が持つあらゆる種類の情報、分析にアクセスしており、証言は重大に受け止めるべきだろう。
台湾を奪えば、中国にとって政治的に大きな強みになる。同地域および世界的規模で米国の威信を粉砕し、世界に向けて「米軍も核兵器も経済制裁の威嚇も中国を阻止できなかった」という強烈なメッセージになる。
複数の米軍事筋の「推測」の一つとして一部で評判になっているのは、台湾侵攻は2022年2月、中国冬季五輪(4~20日)のすぐ後の可能性という観測だ。
類似の前例がある。ロシアは14年、ソチで開かれた冬季五輪の閉幕後、すぐにウクライナのクリミアに侵攻した。「伝統的にロシアの領土を奪還」というのがプーチンの主張だった。当時、北大西洋条約機構(NATO)は軍事的に何ら対応せず、この事実に中国軍は強く印象付けられたという。
台湾侵攻が現実化した時、米政府はどうするか。中国の「ワイルドカード(万能の手)」は「米政権の弱さ」で、(中米の)広範な財政的つながりを見れば当然。「空虚な脅し」と決まり文句の声明を出す程度ではなかろうが>
この切れ味の良い優れた論稿を書いた草野徹氏はネットで検索してもヒットしなかった。読んでいて高山正之氏と高坂正尭氏(初期の自衛隊「朝雲」と近い平和・安全保障研究所発起人の一人)を思い出したが、草野氏は防衛庁系の現役高官かもしれない。
「世界の警察官」を辞めたすこぶる怪しい民主党・米国は、国内で警察叩きを盛んに行っているが、これは民主党自体の出自が下層・労働者階級とそれを利用して「既成秩序転覆を目指す過激派」が原点だからだろう。エスタブリッシュメントや社会秩序、それを守る警察を憎悪し、革命というガラガラポンを目指す。オバマが大統領選に勝利した際、夫人はこう言ったものである。「人生で初めて自分の国を誇りに思います」
小生はビックリしたが、彼女はそれまでは米国を呪っていたのだろう、亭主と一緒にトリニティ・ユナイテッド教会のメンバーだった。その恩師であるジェレマイア・ライト牧師曰く「黒人を人間以下に扱っている(白人の)アメリカに神よ断罪を!」。
憎き白人の手先である警官が札付きのゴロツキ黒人を逮捕する際、締め付け過ぎたのかゴロツキが死ぬと、民主党はそれをトランプ・共和党叩きに政治利用した。共産主義独裁国家を目指しているような民主党は、自分たちの利益(党利党略)次第で中共叩きをするか、しないかを決めるだろう。
かつては「地政学的利益」でソ連と手を握った米国民主党は「党利党略と国益」、つまり「利益」で動く。正道、非道、邪道を問わず、勝つことが正義だから何でもやる。中共と手を組んで「太平洋を二分する」ことも辞さないだろう。「信じてはいけない相手」であり、ヒトラー・ナチスみたいにサプライズで「同盟国を平気で裏切りかねない相手」と、用心していないとひどい目に遭うだろう。日本は「進退ここに窮まれり」、また繰り返す気か。
米国のメディアは圧倒的多数の民主党≒アカ=バラマキ支持と、少数派の共和党=自立自尊=保守支持に明瞭に分かれている。日本で言えば、前者は朝毎東(中日)西+共同、後者は産読+時事あたりか。米国民主党系メディアも表向きはジャーナリズムを謳っているが、中立報道とは程遠い政治宣伝のプロパガンダメディアだ。
マーク・R・レヴィン氏(司会者・弁護士)「“トランプ批判”終始する米メディアが残念な訳 不都合な事実に目をつぶり、偏った報道を展開」東洋経済2020/10/7から。
<2002年から2018年までCBSニュースのジャーナリストで従軍記者だったララ・ローガンは、2019年2月15日、あるインタビューをポッドキャスト(動画サイト)にアップした。
そのなかで、メディアの職業倫理が崩壊しつつあること、メディアが民主党を優遇し、プログレッシブ(進歩系)寄りの意見を擁護していること、報道において独自で多様なものの見方が失われていることについて率直にこう語った。
「イスラエルの『嘆きの壁』に行ったことがある人ならわかると思う。壁の前で祈りを捧げることができる女性用スペースはかなり狭く、それ以外はすべて男性用のスペース。これはアメリカのメディアの現状と同じだ。
つまり、女性が祈るその狭い場所に保守派のブライトバートやフォックスニュースなどのいくつかの報道機関があり、男性側にはCBS、ABC、NBC、ハフィントン・ポストやポリティコといったあらゆるリベラル派の報道機関がいる。これは大きな問題だ。たとえスペースの広さが逆だったとしても、こんなにはっきり分かれていること自体がおかしい」
ローガンは「自分にとってこの問題は、政治や政党支持に関することではない」と述べ、次のように続ける。
「ニューヨークタイムズ紙の元編集長、ジル・エイブラムソンは、最近の著書のなかでこう書いている。『私たちは毎日トランプについて何十本もの記事を書いているが、すべて否定的な記事だ。反トランプ派の主張を記録する新聞になってしまった』。本来、それは私たちの仕事ではない。
報道と政治的な立場は別もののはずだ。それなのに、私たちはまるで政治活動家になってしまった。プロパガンダを宣伝するツールになってしまったと言ってもいい。
もちろん、メディアには優れた点もあり、ルールとまでは言えないが、何かを伝える際には少なくとも二つの情報源から直接情報を入手するという慣習がある。そうすることで、一定の基準を満たす報道になる。ところが、こうした基準はもはや重視されない。
みなさんはたった一人の匿名の政府関係者や元政府関係者の証言に基づく報道を読んだり聞いたりしている。それはジャーナリズムではない」
しかし、ジャーナリストが同業者の仲間と手を切ってわが道を行くことはめったにない。そんなことをすれば、通常、そのジャーナリストのキャリアは台無しになるか、ほかの同業者から脅かされてしまうからだ。事実、このインタビューが広まったことで、ローガンはジャーナリスト仲間から追放され、個人攻撃を受けるようになった>
こうした確信犯的な偏向報道は日本のマスコミにも多大な悪影響をもたらしている。まともなはずの産経でさえ、異常なほどの民主党支持、トランプ叩きの記事(黒瀬悦成記者)が目立っていた。米国では偏向報道による黒人擁護、白人叩きも目立ち、在米の日本人ジャーナリストのベテランも嘆いている。
日高義樹氏「日本の古い武芸者が言ったように『人は最も自分の得意な技で敗れる』。米国でもそのことが起きている。米国マスメディアは民主主義の象徴であり、米国人が最も得意とする分野である。しかし今やそのマスメディアが米国の人々に大きな損害を与えている。米国の報道が日本のマスメディアに与える影響について、客観的な研究が行われたわけではないが、今もって米国からの報道をそのまま鵜吞みにして伝えているところがほとんどである」(PHP新書「米中時代の終焉」)
古森義久氏「ニューヨークタイムズ的なリベラルのメディアはとにかく白人悪者説を滲ませる。黒人の負や悪の行動には甘いのである。この傾向は政治的な意味をさらに発揮して共和党や保守派への攻撃につながっていく場合が多い。アメリカの政治構造では共和党や保守派は白人が多く、黒人が少ないという実態を反映しての、メディアの党派性偏向だとも言えよう。
日本にとって危険なのはアメリカの民主党系メディアのこうした偏向を意識するにせよ、しないにせよ、その偏りをそのまま反映してしまう傾向である。その結果、現代のアメリカでは白人側に人種偏見が多く、黒人はその種の偏見はなく、とにかく犠牲者、被害者となっている、という構図が描かれる。
だが実際には白人の間でも人種差別に反対し、黒人の側でも人種偏見に走る傾向が存在するのだが、その実態は無視されがちとなる。こうした傾向は民主党リベラル派のバイデン政権下のアメリカではさらに一段と強くなっているようなのだ。
アメリカの社会や政治を考察するときの注意点だと言えよう。さらに具体的にはアメリカのニュースメディアの報道や評論を読むときの指針でもあろう」(日本戦略研究フォーラム「アメリカのメディアの人種報道偏向」)
小生のような前科者でかつ精神科急性期閉鎖病棟帰りの“怪老”は、何を書いても読者は割り引いて読んでくれるから罪はないが、マスコミの「正義を装った偏向報道」は戦前の朝日のように国政、国民を誤誘導しかねない。朝日は戦前どころか戦後も今も誤誘導・・・まったく反省せずに一貫しているのはスゴイが、読者離れに歯止めがかからないのではないか。時事2021/5/26「朝日新聞、過去最大の赤字 コロナで苦戦―21年3月期」から。
<朝日新聞社は26日、2021年3月期の連結純損益が441億円の赤字(前期は106億円の黒字)に転落したと発表した。赤字は11年ぶりで、1879年の創刊以来、過去最大の赤字幅。新型コロナウイルス感染拡大の影響で、新聞などのメディア・コンテンツ事業、不動産事業がともに苦戦した>
もっとも新聞は朝日に限らず部数減に歯止めがかからず悪戦苦闘。いずこの国でも戦争すると新聞はビジネスチャンスとばかり煽りまくり、政府も国民の士気高揚でそれを促するから、国家の結束は固くなる。しかし負ければ悲惨、勝てば天国・・・バクチ的な要素はある。
さわさりながら降りかかる火の粉は払わねばならない。犠牲は大きくても、戦わずして白旗を揚げたら国家、民族は消滅する。戦わなかった国、あるいは自らは戦わずに棚ボタであてがわれたような国家は脆弱だろう。そういうことを考えざるを得ない時代になってきたことは確かだ。備えあれば患いなし、戦争の時代への備えと覚悟は万全か? 国民イケナイ、憲法ゲンキ・・・妾の嘆きを繰り返すのか?
目安箱:ishiifam@minos.ocn.ne.jp
https://blog.goo.ne.jp/annegoftotopapa4646
メルマガID 0001690154「必殺クロスカウンター」
“シーチン”修一 2.0
【Anne G. of Red Gables/310(2021/5/30/日】「期待は往々にして外れ、嫌な予感はよく当たる」・・・夢と現実の落差に嘆くヂイサンは多いだろう。「あんなに可愛かったのに・・・クソババアめ」と恨みつつ、もはや戦意は枯れ果てて隅っこの部屋で妄想世界に耽溺し、「ごはんよー」の声を大人しく待っている。「あっ、刺身だぁ、美味しそう、ワンワン!」、老犬は死なず、逼塞するのみ、自嘲するしかない、それでいいのだ! 居直ったりして・・・
虞や虞や若(なんぢ)をいかんせん、平和な時代の小者の小生は進退窮まるような深刻な目に遭ったことはないが、独ソ不可侵条約が破られた時、あの冷血非道なスターリンが腰を抜かしたという話は、逆から見ればヒトラーがいかに空前絶後的天才級アジテーターだったかを示している。2021/5/27「朝雲」に興味深い記事があった。
鎌田昭良氏(元防衛省大臣官房長)「独ソ不可侵条約 ヒトラーとスターリンが“死の抱擁”」から。
<チャーチルは回想録で「正直こそ最善の政策である」と述べた上で、「悪賢い人間や政治家は念入りな計算のためにかえって道を誤る例を見る。この(条約の)場合は特に著しい例であり、わずか22カ月の後、スターリンと数百万人のロシア国民は恐るべき罰金を支払わなければならなかった」とスターリンを道義面から批判しています。
一方、キッシンジャーは、共通の地政学的利益はイデオロギーを超える強力な絆であるとした上で、「(第2次大戦後)ソ連が超大国になったのはバザールの商人(のごとく狡猾で計算高い)スターリンの冷酷な駆け引きにその起源がある」と冷徹な分析をしています。どちらの評価にも一理あると私は思います>
戦後のソ連はサナダムシ工作がばれて大スポンサーの米国に三行半を食らい瓦解してしまったのだからキッシンジャーは「共産主義の脅威、危険性」に甘かった。同様に中共にも甘々で、イデオロギーを無視した「色眼鏡とソロバン」という銭ゲバ的利益で見ていたからどじって、それが今の世界の危機を招いた、と言える。戦後リベラルは多くが容共≒アカだから、今や化け物になった中共を見てうろたえるだけ、ほとんど思考停止のよう。「河豚は食いたし命は惜しし、今さら別れる切れるなんて・・・」、ズブズブのタダレタ関係。警戒心、危機感、緊張感がないと墓穴を掘ることになる。
同じ「朝雲」で外交評論家・草野徹氏が「中国 vs 台湾 冬季五輪後の侵攻説も」で警鐘を鳴らしている。
<米国は長年、台湾への兵器売却や合同演習実施などで、中国に向け“手を出すな”の明確なメッセージを送ってきた。時に小規模の緊張が生じても、この戦略は機能してきた。しかし米国の政権交代で、形勢一変の兆しが明白になってきた。
中国は4月、台湾の東方と西方で同時に大規模な軍事演習を実施。米代表団が訪台した際には沿岸で実弾演習を行い、通常よりはるかに攻撃的な姿勢を示した。
中国による台湾侵攻の脅威に関し「大げさだ」と言う専門家は多い。中国は台湾に多方面から圧力を強めるだろうが、本格的な上陸作戦の侵攻はありそうもないと見る。南シナ海の台湾が領有する小さな諸島の一つを奪取して、それに対する台湾の決意と国際社会の出方を試すことは考えられる。だが、少なくともごく近い時期に中国指導部が全面的侵攻による政治、経済、国際世論の悪化というコストを正当化できるとみなすとは想像し難いという。
いささか“耳にたこ”の類で、第一、新疆ウイグル自治区での過酷なウイグル族弾圧、香港民主化の徹底弾圧などを前にして、今さら「国際的評判を気にして云々」と、一体どこの国の話をしているのかという気もする。
米インド太平洋軍のデービッドソン司令官が退任前、上院軍事委の公聴会に出席し、中国の台湾侵攻について、「2020年代のうちなのは明らかで、実際には今後6年以内」と警告したのはごく最近(3月9日)のことだ。同氏の後任の新司令官に就任(4月30日)したアクイリノ海軍大将も3月末、同委公聴会で「中国軍の攻撃はそれよりもっと早い可能性がある」と証言していた。
両氏とも、地域の軍事情勢を天井桟敷から眺めている評論家ではない。米国が持つあらゆる種類の情報、分析にアクセスしており、証言は重大に受け止めるべきだろう。
台湾を奪えば、中国にとって政治的に大きな強みになる。同地域および世界的規模で米国の威信を粉砕し、世界に向けて「米軍も核兵器も経済制裁の威嚇も中国を阻止できなかった」という強烈なメッセージになる。
複数の米軍事筋の「推測」の一つとして一部で評判になっているのは、台湾侵攻は2022年2月、中国冬季五輪(4~20日)のすぐ後の可能性という観測だ。
類似の前例がある。ロシアは14年、ソチで開かれた冬季五輪の閉幕後、すぐにウクライナのクリミアに侵攻した。「伝統的にロシアの領土を奪還」というのがプーチンの主張だった。当時、北大西洋条約機構(NATO)は軍事的に何ら対応せず、この事実に中国軍は強く印象付けられたという。
台湾侵攻が現実化した時、米政府はどうするか。中国の「ワイルドカード(万能の手)」は「米政権の弱さ」で、(中米の)広範な財政的つながりを見れば当然。「空虚な脅し」と決まり文句の声明を出す程度ではなかろうが>
この切れ味の良い優れた論稿を書いた草野徹氏はネットで検索してもヒットしなかった。読んでいて高山正之氏と高坂正尭氏(初期の自衛隊「朝雲」と近い平和・安全保障研究所発起人の一人)を思い出したが、草野氏は防衛庁系の現役高官かもしれない。
「世界の警察官」を辞めたすこぶる怪しい民主党・米国は、国内で警察叩きを盛んに行っているが、これは民主党自体の出自が下層・労働者階級とそれを利用して「既成秩序転覆を目指す過激派」が原点だからだろう。エスタブリッシュメントや社会秩序、それを守る警察を憎悪し、革命というガラガラポンを目指す。オバマが大統領選に勝利した際、夫人はこう言ったものである。「人生で初めて自分の国を誇りに思います」
小生はビックリしたが、彼女はそれまでは米国を呪っていたのだろう、亭主と一緒にトリニティ・ユナイテッド教会のメンバーだった。その恩師であるジェレマイア・ライト牧師曰く「黒人を人間以下に扱っている(白人の)アメリカに神よ断罪を!」。
憎き白人の手先である警官が札付きのゴロツキ黒人を逮捕する際、締め付け過ぎたのかゴロツキが死ぬと、民主党はそれをトランプ・共和党叩きに政治利用した。共産主義独裁国家を目指しているような民主党は、自分たちの利益(党利党略)次第で中共叩きをするか、しないかを決めるだろう。
かつては「地政学的利益」でソ連と手を握った米国民主党は「党利党略と国益」、つまり「利益」で動く。正道、非道、邪道を問わず、勝つことが正義だから何でもやる。中共と手を組んで「太平洋を二分する」ことも辞さないだろう。「信じてはいけない相手」であり、ヒトラー・ナチスみたいにサプライズで「同盟国を平気で裏切りかねない相手」と、用心していないとひどい目に遭うだろう。日本は「進退ここに窮まれり」、また繰り返す気か。
米国のメディアは圧倒的多数の民主党≒アカ=バラマキ支持と、少数派の共和党=自立自尊=保守支持に明瞭に分かれている。日本で言えば、前者は朝毎東(中日)西+共同、後者は産読+時事あたりか。米国民主党系メディアも表向きはジャーナリズムを謳っているが、中立報道とは程遠い政治宣伝のプロパガンダメディアだ。
マーク・R・レヴィン氏(司会者・弁護士)「“トランプ批判”終始する米メディアが残念な訳 不都合な事実に目をつぶり、偏った報道を展開」東洋経済2020/10/7から。
<2002年から2018年までCBSニュースのジャーナリストで従軍記者だったララ・ローガンは、2019年2月15日、あるインタビューをポッドキャスト(動画サイト)にアップした。
そのなかで、メディアの職業倫理が崩壊しつつあること、メディアが民主党を優遇し、プログレッシブ(進歩系)寄りの意見を擁護していること、報道において独自で多様なものの見方が失われていることについて率直にこう語った。
「イスラエルの『嘆きの壁』に行ったことがある人ならわかると思う。壁の前で祈りを捧げることができる女性用スペースはかなり狭く、それ以外はすべて男性用のスペース。これはアメリカのメディアの現状と同じだ。
つまり、女性が祈るその狭い場所に保守派のブライトバートやフォックスニュースなどのいくつかの報道機関があり、男性側にはCBS、ABC、NBC、ハフィントン・ポストやポリティコといったあらゆるリベラル派の報道機関がいる。これは大きな問題だ。たとえスペースの広さが逆だったとしても、こんなにはっきり分かれていること自体がおかしい」
ローガンは「自分にとってこの問題は、政治や政党支持に関することではない」と述べ、次のように続ける。
「ニューヨークタイムズ紙の元編集長、ジル・エイブラムソンは、最近の著書のなかでこう書いている。『私たちは毎日トランプについて何十本もの記事を書いているが、すべて否定的な記事だ。反トランプ派の主張を記録する新聞になってしまった』。本来、それは私たちの仕事ではない。
報道と政治的な立場は別もののはずだ。それなのに、私たちはまるで政治活動家になってしまった。プロパガンダを宣伝するツールになってしまったと言ってもいい。
もちろん、メディアには優れた点もあり、ルールとまでは言えないが、何かを伝える際には少なくとも二つの情報源から直接情報を入手するという慣習がある。そうすることで、一定の基準を満たす報道になる。ところが、こうした基準はもはや重視されない。
みなさんはたった一人の匿名の政府関係者や元政府関係者の証言に基づく報道を読んだり聞いたりしている。それはジャーナリズムではない」
しかし、ジャーナリストが同業者の仲間と手を切ってわが道を行くことはめったにない。そんなことをすれば、通常、そのジャーナリストのキャリアは台無しになるか、ほかの同業者から脅かされてしまうからだ。事実、このインタビューが広まったことで、ローガンはジャーナリスト仲間から追放され、個人攻撃を受けるようになった>
こうした確信犯的な偏向報道は日本のマスコミにも多大な悪影響をもたらしている。まともなはずの産経でさえ、異常なほどの民主党支持、トランプ叩きの記事(黒瀬悦成記者)が目立っていた。米国では偏向報道による黒人擁護、白人叩きも目立ち、在米の日本人ジャーナリストのベテランも嘆いている。
日高義樹氏「日本の古い武芸者が言ったように『人は最も自分の得意な技で敗れる』。米国でもそのことが起きている。米国マスメディアは民主主義の象徴であり、米国人が最も得意とする分野である。しかし今やそのマスメディアが米国の人々に大きな損害を与えている。米国の報道が日本のマスメディアに与える影響について、客観的な研究が行われたわけではないが、今もって米国からの報道をそのまま鵜吞みにして伝えているところがほとんどである」(PHP新書「米中時代の終焉」)
古森義久氏「ニューヨークタイムズ的なリベラルのメディアはとにかく白人悪者説を滲ませる。黒人の負や悪の行動には甘いのである。この傾向は政治的な意味をさらに発揮して共和党や保守派への攻撃につながっていく場合が多い。アメリカの政治構造では共和党や保守派は白人が多く、黒人が少ないという実態を反映しての、メディアの党派性偏向だとも言えよう。
日本にとって危険なのはアメリカの民主党系メディアのこうした偏向を意識するにせよ、しないにせよ、その偏りをそのまま反映してしまう傾向である。その結果、現代のアメリカでは白人側に人種偏見が多く、黒人はその種の偏見はなく、とにかく犠牲者、被害者となっている、という構図が描かれる。
だが実際には白人の間でも人種差別に反対し、黒人の側でも人種偏見に走る傾向が存在するのだが、その実態は無視されがちとなる。こうした傾向は民主党リベラル派のバイデン政権下のアメリカではさらに一段と強くなっているようなのだ。
アメリカの社会や政治を考察するときの注意点だと言えよう。さらに具体的にはアメリカのニュースメディアの報道や評論を読むときの指針でもあろう」(日本戦略研究フォーラム「アメリカのメディアの人種報道偏向」)
小生のような前科者でかつ精神科急性期閉鎖病棟帰りの“怪老”は、何を書いても読者は割り引いて読んでくれるから罪はないが、マスコミの「正義を装った偏向報道」は戦前の朝日のように国政、国民を誤誘導しかねない。朝日は戦前どころか戦後も今も誤誘導・・・まったく反省せずに一貫しているのはスゴイが、読者離れに歯止めがかからないのではないか。時事2021/5/26「朝日新聞、過去最大の赤字 コロナで苦戦―21年3月期」から。
<朝日新聞社は26日、2021年3月期の連結純損益が441億円の赤字(前期は106億円の黒字)に転落したと発表した。赤字は11年ぶりで、1879年の創刊以来、過去最大の赤字幅。新型コロナウイルス感染拡大の影響で、新聞などのメディア・コンテンツ事業、不動産事業がともに苦戦した>
もっとも新聞は朝日に限らず部数減に歯止めがかからず悪戦苦闘。いずこの国でも戦争すると新聞はビジネスチャンスとばかり煽りまくり、政府も国民の士気高揚でそれを促するから、国家の結束は固くなる。しかし負ければ悲惨、勝てば天国・・・バクチ的な要素はある。
さわさりながら降りかかる火の粉は払わねばならない。犠牲は大きくても、戦わずして白旗を揚げたら国家、民族は消滅する。戦わなかった国、あるいは自らは戦わずに棚ボタであてがわれたような国家は脆弱だろう。そういうことを考えざるを得ない時代になってきたことは確かだ。備えあれば患いなし、戦争の時代への備えと覚悟は万全か? 国民イケナイ、憲法ゲンキ・・・妾の嘆きを繰り返すのか?
目安箱:ishiifam@minos.ocn.ne.jp
https://blog.goo.ne.jp/annegoftotopapa4646
メルマガID 0001690154「必殺クロスカウンター」