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イスラエルと台湾に栄光あれ!

2025-02-10 20:45:25 | 戦争
イスラエルと台湾に栄光あれ!
“シーチン”修一
【雀庵の「大戦序章」365/通算796 2025/令和7年2/10 月曜】 2月9日に3階の小生のペントハウス≒隔離室のエアコンが「掃除してくれ、もう限界だ!」とシグナルを送ってきた。2年ほど前に掃除したが、じっくり見ると確かに汚れている。1年に1回は掃除すべきだなあと思うが、切羽詰まらないと行動しないズボラな性格だから、止むを得ず掃除するときは結構大仕事になってしまう。
早朝、1Fからえっちらおっちら脚立を運びイザッ!とエアコン掃除を始めようとしたが、エアコンの各種部材を取り出す方法をすっかり忘れており、30分ほどいじくりまわした末に「もうダメだ」と何気なく手前に引いたらスーッと部材が出てきた。分解の仕方を忘れないように掃除は1年に1回が良い。それからの作業はどうにか上手くいったが、部材はかなり汚れており、傷みやすいので掃除は結構手間取った。掃除・復旧・完成までに4時間ほどかかったが、達成感は大きい。

作業を終え、気分よく2Fでコーヒーを飲みながら産経新聞を読んでいると、カミサンが「今朝は1Fの掃除? それとも散歩?」。3Fのエアコン掃除が上手くいった話をしたら、「2Fのダイニングルームと和室のエアコンも掃除してよ」。ノウハウを知った小生は昼寝で気力体力を戻すと、カミサンの協力を得ながら一気呵成に2つのエアコンを修理! カミサンはうるんだような目で小生を見つめている・・・何となくドラマチック的な場面だが、まあ、1か月くらいは機嫌が良さそうだ。
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「機嫌が良さそう」と言えば、小生が尊敬しているエドワード・ルトワック氏の産経2025/2/4「世界を解く-露弱体化 極東の懸念材料 米政権、台湾軽視は高い代償」はさすがにプロの見立てだった。論稿の最後は「中国が現時点でいきなり台湾に軍事侵攻することはあり得ないものの、私としても米政権に対し、台湾に高官級を派遣して防衛強化へのテコ入れを図るよう、直接働きかけてみようと考えている」。氏は「俺の出番か」と機嫌がよく意気盛んで頼もしい。以下全文を転載する。

<1月20日に発足した第2次トランプ米政権は、選挙の約2年前から政策や閣僚・政府高官人事の準備を進めてきただけに、発足初日からフル稼働の様相を呈している。新政権は、今後数カ月間は移民対策などの国内政策に精力を傾けるだろう。一方でロシアに侵略されたウクライナでの戦いに関しては近く何らかの動きがあるはずだ。
◎:▼ 一般には広く報じられていないが、トランプ大統領はロシアのプーチン大統領とウクライナのゼレンスキー大統領に対し、軍部隊の移動を含めた戦闘行為の停止を求める秘密提案を行った。これは正式な和平計画案ではなく、まずは戦闘をやめた上で事態の収拾に向けた対話を始めるというものだ。近日中に両者から提案への回答が米政権に届くはずだ。
トランプ氏やルビオ国務長官は、中国こそが真の脅威であるとの見方を崩しておらず、欧米諸国がウクライナ戦争にくぎ付けになるのを好ましく思っていない。

加えて、戦争の長期化でロシアが弱体化すれば、ロシアが極東シベリア地方への掌握力を失い、シベリアでの中国の影響力拡大を許すことにつながる恐れがある。ロシアはこれまで、中国がシベリアに権益を拡大するのを厳重にはね返してきた。ロシアは中国にシベリアの木材を輸出しているが、中国企業がかつてはシベリアに入って樹木の伐採をするのを認めてこなかった。
東西冷戦の終結以降、国有企業の撤退などでシベリアの人口はただでさえ減り続けている。対する中国は、ロシアの極東最大の都市で、露太平洋艦隊の司令部が置かれているウラジオストクの獲得を目指している。ロシアが極東での存在感を保てなくなれば、ウラジオストクが中国の手中に落ちる恐れは強い。

◎:▼ 中露の動向は、両国の間に挟まれたモンゴルの存立にも影響する。中国とモンゴルは1994年に友好協力条約を結び、経済・貿易関係を深めているが、中国は「モンゴルは歴史的に中国の一部だ」とする考えを一切捨てていない。
中国人民解放軍は2045~50年にモンゴルを併合し、2055~60年にはかつてロシアが清朝から奪ったウラジオストクのある沿海地方などを取り戻して国土を回復することを目指している。欧州でロシアが強大化することは米欧にとって大きな問題なのは事実だが、中国が存在感を増す極東でロシアが弱体化するのは、はるかに大きな懸念材料なのだ。

問題は、プーチン氏には戦闘停止に応じる用意がなさそうなことだ。中東でイスラエルのネタニヤフ首相はイスラム原理主義組織ハマスに著しい打撃を与えるなど複数の戦略的な成果を上げた上で停戦に応じたが、プーチン氏はウクライナで思い描いたような結果を残せていない。
それでも、トランプ氏はバイデン前米大統領と違い、プーチン氏を政治的におとしめるような言動を控えてきただけに、プーチン氏としてもトランプ氏からの要請には前向きに応じやすい素地があるともいえる。

◎:▼ ただ、冒頭で指摘したように新政権が国内問題に注力しているせいで、弊害も起きている。台湾では1月21日、防衛費のカットが盛り込まれた予算削減案が立法院(国会に相当)で可決された。ところが米政権からは台湾に対し、防衛費の削減を追及し、逆に増額するよう求める声は上がっていない。現時点でトランプ氏およびその周辺に台湾は視界に入っていないのだ。
米国と日本がこれまで台湾防衛への強い意思を打ち出してきたのに、防衛力強化に消極的な台湾の態度を改めさせることができないようでは、米日はいずれ高い代償を支払うことになる。その意味で、これまで台湾に対して防衛力を強化するよう十分に働きかけてこなかった日本にも責任の一端はある。

米政権が中国に関税政策を本格化させるのは確実だが、今のままでは台湾政策が置き去りにされる恐れがある。中国が現時点でいきなり台湾に軍事侵攻することはあり得ないものの、私としても米政権に対し、台湾に高官級を派遣して防衛強化へのテコ入れを図るよう、直接働きかけてみようと考えている>以上
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小生がエドワード・ルトワック氏を知ったのは10年ほど前に奥山真司氏がルトワック氏を取材して編集した「戦争にチャンスを与えよ」を読んで以降だ。改めてページをめくったらルトワック氏はルーマニア生まれのユダヤ人で、当然ながらイスラエル支持である。「3000年の放浪の民」を強いられたユダヤ人は艱難辛苦の末に日本や英国の協力もあって第2次大戦後にイスラエル国を再建できた。その体験からルトワック氏は「習近平・中共の侵略を阻止するために米国は台湾の防衛強化に励むべし」との思いを募らせていったのだろう。イスラエルと台湾に栄光あれ! 小生も応援していく。
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渡部亮次郎 「頂門の一針」<ryochan@polka.plala.or.jp>
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人生百年時代、ヂヂババ奮起せよ?

2025-02-08 16:23:10 | 戦争
人生百年時代、ヂヂババ奮起せよ?
“シーチン”修一
【雀庵の「大戦序章」364/通算795 2025/令和7年2/8 土曜】 産経2025/2/5 浅野和生・平成国際大学副学長の「正論 成長する米国と老け込む日本」は面白かった。 「明日を信じている明るい人」のようで、なんとなく仏教やキリスト教の先生の「暗いと不平を言うよりも進んで明かりを点けましょう。明日を信じなさい」と説教を聞いている感じ。「日本は危機意識が薄すぎ!」とガックリしている小生の痛んだ心が癒される感じだった。以下転載する。

<第2期トランプ政権スタートの号砲となった大統領就任演説は、トランプ氏らしさと米国らしさに満ちていた。埋蔵地下資源を掘り出して、世界で最も安いエネルギーの大量供給国となり、製造業で世界に冠たる地位を取り戻し、世界一繁栄した強い国になる、というメッセージは、世界に脅威と驚異をもたらした。
◎:トランプ大統領の就任演説▶ さてトランプ氏が「米国を再び偉大に(Make America Great Again!)」というとき、「偉大な米国」の中身は何なのか。演説の結論部分でトランプ氏は「市民への最大のメッセージ」として、勇気と活力、そして偉大な文明の歴史を実現してきた生命力をもって行動する国になると語った。そしてもう一度、米国は「成長する国(growing nation)」になると宣言した。

「成長する国」とは何か。それは「停滞した国」や「衰退する国」ではなく、「現状維持の国」や「老成した国」でもないだろう。冷戦終結後、米国による平和に慣れるうちに、いつしか若さを失い、すっかり老け込んでしまった米国が現状の殻を打ち破り、「新たな成功と勝利の高みを目指す」というのが、トランプ氏が思い描く姿である。

だからトランプ氏は、これからの米国は「もっと豊かになり、領土を拡張し、街を建設し、目標を引き上げ、米国の旗を美しい地平線の彼方にもたらす」と述べた。さらに「明白な宿命(manifest destiny)」を追い求めることを宣言して、その行く先として地球上の領土獲得競争ではなく星の世界への雄飛を、星条旗を火星に打ち立てることを掲げた。

ところで、大統領就任式の直前から、トランプ氏はグリーンランドの領有やパナマ運河の獲得を語り、カナダはアメリカの51番目の州になればよい、と発言した。このため、「領土拡張」発言を字義通りに受け止めて懸念を示すメディアもあった。しかし、「領土拡張」が、地球上の領土でないことは文脈から明らかだ。安全保障上の措置とは別の話なのである。

◎:若さ溢れる米国への回帰▶ 「明白な宿命」は、新大陸にたどり着いた建国の父たち以来、神の加護の下、苦難のなかで西部を開拓し、太平洋岸へ到達し、さらに水平線の彼方にまでフロンティアを押し広げようとしてきた歴史的な使命感である。それが結果として、米国の歴史において、正視に堪えない現地人への暴虐や人種差別を伴ったことは事実である。

しかしトランプ氏は、祖国を愛する代わりに恥じ入るようにさせている教育をただちに変えさせると述べ、米国が偉大な成果を世界史に刻んできたことを強調した。そしてこれからの4年間で国民とともに地球上で最も偉大で、力強く、最も尊敬され、畏怖される国にしようと語った。

就任時に78歳7カ月のトランプ氏は、4年前のバイデン氏を5カ月上回り史上最高齢での大統領就任となったが、その意識においては若い。トランプ氏にとって「明白な宿命」を追い求めたかつての米国こそ、偉大な米国の姿なのであり、若さ溢れる米国への回帰を求めているのである。多くの人がトランプ氏は何を言い出すか、何をやりだすかわからないと懸念しているが、それこそが若者の特徴、若さの特権ではないか。

◎:伝統に新たな日本像を▶ 翻って日本はどうか。1月24日、石破茂首相は施政方針演説で、少子高齢化でさらなる人口減少が続く日本は「人材希少社会」になるとして「人財尊重社会」を目指すと語った。日本の政治家は、少子高齢化という人口動態の統計数字に洗脳されて、日本そのものが老境に入った心持ちになっているのではないか。しかし国家は自然人と同じではない。高齢者が総人口に占める比率が高くなったからといって、国家そのものが老境に入る必然性はない。

米国は間もなく建国250年を迎えるが、トランプ氏は再びかつての若さを取り戻せると考えている。では2000年の歴史を持つ日本にはそれは無理なのか。そうではあるまい。日本の歴史は確かに米国の8倍だが、日本のさらに2倍の歴史を刻む中国は、今まさに「中華民族の夢」を追い求めているではないか。日本は、さらに2000年の歴史を刻めるはずなのである。

老け込むのはまだ早い。日本は、人口統計上の少子高齢化の現実を吞み込んで消化し、高齢者が社会の刷新を主導するとともに、若い世代に活躍の場を用意する、世界初の国家像を提示するチャンスを迎えている。そして、米国に「明白な宿命」があるように、日本には聖徳太子の十七条憲法がある。高齢者の比率が高い社会だからこそ、「和をもって貴しとなす」に加えて、礼儀正しさや仕事の丁寧さという、日本の伝統の価値を新たな日本像に溶け込ませることもできるはずである。

「人生百年時代」を迎えた日本は、長寿が幸せを倍加させる不老長命の国家モデルを創り出してはどうか。(あさの かずお)>以上
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宗教家のように随分楽天的と言うか明るいが・・・浅野和生氏とは何者か。調べたら2024/12/25上梓の「日台関係研究会叢書11 中台関係の展開と『一つの中国』(展転社) の著者の一人として浅野和生氏の名があった。このシリーズは、無血革命で台湾に自由民主人権法治をもたらした李登輝先生などの足跡、思想を紹介しているようで、浅野氏は初期の「中華民国の台湾化と中国: 台湾は中国なのか? 」(2014/12/1、日台関係研究会叢書 1) から関わっている。氏は「李登輝先生の遺志を継ぐ」リーダーの一人で、WIKIにはこうあった。
<浅野和生は、日本の政治学者(英国政治史、日台関係論)。平成国際大学教授。「日本李登輝の会」副会長。1982年、慶應義塾大学経済学部卒業。1988年、慶應義塾大学大学院法学研究科博士課程修了。法学博士。1991年7月 慶應義塾大学 法学博士 「大正デモクラシ-と陸軍」。2005年10月に、東京財団主催の研究発表会で、日本版「台湾関係法」の私案として「日台関係基本法」を発表している>以上

「人生百年時代、ヂヂババ奮起せよ!」・・・コルセットで腰痛をどうにか抑えている小生は我が家の営繕作業だけでもヒーヒーハーハー、これ以上奮起したら病院かアノヨ行きだが、まあお迎えが来るまで無理せずにボチボチやっていこう。ボチボチじゃダメ?
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米中の狭間で揺れる日本製鉄

2025-02-06 14:42:27 | 戦争
米中の狭間で揺れる日本製鉄
“シーチン”修一
【雀庵の「大戦序章」363/通算794 2025/令和7年2/6 木曜】 日本戦略研究フォーラム1/28、古森義久先生の「日本製鉄(日鉄)のUSスチール買収への米側の反対は『日鉄と中国政府の絆』が理由」は衝撃的だった。日鉄と中共はべたべたのお友達だと言う。産経を含めて日本のメディアは知ってか知らずか、まったく報道しなかった。以下転載する。
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日米両国間で波紋を広げる日本製鉄(以下「日鉄」)のUSスチール買収計画への米側の反対の奥に、日鉄と中国政府との長年の絆への懸念が存在することが明らかになってきた。
この懸念はアメリカ議会上院の銀行委員会委員長の有力議員からバイデン大統領宛の警告の書簡でも表明された。同書簡は米側民間の調査機関による日鉄と中国政府の長年の絆の調査報告書をも基礎として、「なお日本製鉄は中国側の人民解放軍に直結する企業とも密接なつながりがあり、そうした企業が米側の大手鉄鋼企業を買収することはアメリカの国家安全保障への危険となる」と述べている。なお日鉄側はこの懸念に対して「中国での活動はきわめて少なくなった」として中国当局との密接なつながりを否定している。

日鉄のUSスチール買収計画はアメリカ政府の関連諸機関が集まって、個々の外国投資案件がアメリカの国家安全保障にどんな影響を与えるかを審査する「外国投資委員会(CFIUS)」での結論が出ず、バイデン大統領に判断を委ねられた。その結果、同大統領は退任直前の今年1月上旬、「アメリカの安全保障への有害な影響」を理由に買収禁止の方針を示した。後任のトランプ大統領もすでに「ノー」の判断を言明していた。

こうした米側の反対論ではアメリカ国内の基幹産業の大企業が同盟国とはいえ、外国である日本企業の手に渡ることへの懸念が強調されていた。ところがアメリカ議会筋がこのほど明らかにしたところによると、この懸念は単にアメリカ基幹産業企業の日本側への移転だけでなく、日鉄と中国政府との密接な絆がアメリカの安全保障への危険を生む、という認識が大きいという。

同議会筋によると、日鉄と中国との密接な絆への警戒は当初、アメリカ議会下院の中国特別委員会(正式の呼称は「中国共産党とアメリカの戦略的競争に関する下院特別委員会」)から非公式に提起された。議会での日鉄のUSスチール買収計画への態度はこうした中国のかかわりへの心配もあって、当初から明確な反対が多数派だった。
例えば、2023年12月には当時の連邦議会上院の最有力メンバーともみなされたJ.D.バンス議員(後の副大統領)、マルコ・ルビオ議員(後の国務長官)、ジョッシュ・ホーリー議員(若手保守派の論客)という共和党3議員が「外国投資委員会」を主宰する当時のジャネット・イエレン財務長官宛に書簡を送り、同委員会がこの買収計画に断固として反対の意向を表明することを求めていた。

こうした背景で最初に日鉄が中国政府と密接な関係にあることを主要な理由として公式に反対を明確にしたのは議会上院の銀行委員会の委員長だった民主党シェロッド・ブラウン議員(オハイオ州選出)だった。ブラウン議員はオハイオ州を代表して下院議員7期、上院議員3期を務めた民主党のベテランで、バイデン政権への影響力も大きかった。
そのブラウン議員が昨年4月、バイデン大統領宛の公式書簡で日鉄の買収計画への反対を改めて明確に表明し、その主要な理由として日鉄が中国共産党政権と密接な関係にあることを指摘した。日鉄は中国の国有、国営企業とのつながりを通じて中国人民解放軍にも事実上の協力をしており、その人民解放軍こそが今のアメリカにとっての最大脅威なのだ、という主張だった。
 
ブラウン書簡は以下の諸点をあげていた。
◎: ・日鉄は1978年以来、中国の近代鉄鋼業の誕生を全面的に指導し、援助して、以来50年近く中国の鉄鋼産業とは基本的に一体となってきた。その結果、日鉄はアメリカにとって深刻な脅威となる中国の産業政策、軍民融合、さらにはグローバルな経済覇権追求にもかかわることになる。
◎: ・日鉄は現段階で中国国内合計9ヵ所の施設で全体あるいは一部の活動にかかわり、中国側の数社と提携を続けている。中国側との合弁企業としては「北京首鋼国際工程技術有限公司(BSIET)」が代表例である。BSIETの親会社は中国側の鉄鋼大手「北京首鋼社」であり、同社は米側の国防支出権限法の定義では「中国軍事企業」とされる。日鉄はその中国軍事企業とパートナーシップを保っていることとなる。
◎: ・アメリカ政府は日鉄と中国当局との関係を徹底して調査すべきである。なぜなら中国こそがアメリカの国家安全保障にとって最大の脅威であり、危険であるからだ。その脅威である中国がアメリカの産業基盤を根底から侵食する可能性がある。その最大の脅威に日鉄という日本の大企業が深く関与しており、その日本企業がアメリカの主要鉄鋼企業を買収するという事態は重大である。 
以上の骨子は日鉄と中国当局の半世紀に及ぶ密接な絆が明らかに今のアメリカにとっても脅威となるという認識に基づいていた。日本側でこれまで報じられてきた買収計画への米側の反対理由では表面に出てこなかった重要な要因だといえる。

日鉄が1970年代から中国側に鉄鋼事業の全てを教え、資金を提供し、上海に製鉄所を建設した経緯は広く知られている。ゼロに近い中国の鉄鋼業を日本側は日鉄が先頭に立ち、日本政府までが巨額の政府開発援助(ODA)を投入しての援助は今からみれば異様な観さえあった。日本が育てた中国の鉄鋼業は日本をも凌駕し、全世界の覇者ともなった。鉄鋼の隆盛は当然、国力、軍事力の強化にも結びつき、日本側は自国への脅威となるモンスターを育てる結果となった。

この日中鉄鋼の絆は山崎豊子氏の小説「大地の子」でも美談として描かれた。その日中鉄鋼合体が今、同盟国のアメリカから批判的にみられ、日鉄のアメリカ進出への障害とされるという展開は歴史の皮肉といえるだろう。
ブラウン上院議員のバイデン大統領宛の書簡は日鉄と中国政府の絆に関しては米側の民間調査機関「ホライゾン・アドバイザリー(HA)」による調査結果を引用する部分も多かった。HAはアメリカ政府や議会から委託されることの多い調査・研究機関で、中国の動向など国際的な戦略課題をその主対象として、ここ20年ほど活動してきた。今回はアメリカ議会の委託で日鉄と中国当局との関係を詳しく明らかにする報告書を昨年3月に作成した。

同報告書は「構築された友好:日鉄、中国、そして産業基盤のリスク」と題され、日鉄と中国との鉄鋼分野での結びつきを歴史的かつ詳細に記していた。そして結論として日鉄(その前身の八幡製鉄なども含めて)は中国政府、その国営の鉄鋼業界と全面的に組んで中国の経済や軍事の発展に寄与しており、その現状はアメリカの安全保障にとって脅威だと断じていた。その上で日鉄によるUSスチール買収は米側への脅威や危険をもたらすと結論づけていた。

このHA報告書で特に注視されたのは、日鉄が中国政府の新疆ウイグル地区でのウイグル人弾圧に加担する形で同地区に支所を設け、鉄鋼関連の生産や販売を推進している、という指摘だった。この指摘はブラウン議員のバイデン大統領宛の書簡にも主要部分に記載されていた。しかし日鉄はこの記述に対して「当社は新疆ウイグル地区内で活動したことはなく、この指摘は事実ではない」と発表した。昨年4月の出来事だった。HA社はこの否定を受け容れる形で昨年4月以降は当初の報告書からこのウイグル地区での日鉄の活動に関する部分は削除した。

日鉄はこのHA社の報告書全体についても「不正確な点が多い」と言明した。同時に自社と中国との関係については「現在では我が社全体の活動において中国での活動はその5%ほどに過ぎない」と述べ、中国との特別の絆などを否定した。
そしてさらに日鉄の動きが日米両国間で注視される最中の昨年7月、大きな展開が報じられた。日鉄が長年の中国での合弁会社「宝鋼日鉄自動車鋼板」との合弁事業を解消すると発表したのだ。同社の中国側のパートナー「宝山鋼鉄」の親会社は世界の鉄鋼最大手「宝武鋼鉄集団」である。この鉄鋼最大手は日鉄が長年、全面協力してきた宝山製鉄所の後身というわけである。日鉄はこの合併解消の理由について、中国市場では日系自動車メーカーの電気自動車への対応が遅れ、自動車向け鋼板の需要が減ったことを挙げていた。

しかし、この合併解消もアメリカで日鉄のUSスチール買収が難航し、その主要な理由が日鉄と中国との結びつきとされている時期の真っ只中で起きたことには政治的な計算も推測された。「中国との絆はもうないのだ」という米側に向けての誇示とも受け取れるわけだ。だが、いずれにしてもこの「解消」によって日鉄と中国との多層重層の相互依存がなくなったわけではない。なお日鉄の中国側との他の合弁企業が残っていることはブラウン議員の報告書の指摘通りのわけだ。

さらに日鉄は現在も中国との経済関係の拡大に極めて強い熱意を見せている。中国政府がその対日政策で中日友好7団体の1つとして重視する「日中経済協議会」の歴代会長には一貫して日鉄のトップが就任してきた。そして日中経済協議会は日本側の財界代表を集め、東京の中国大使館や北京の中国政府関連機関を定期的に訪れ、経済面での日中友好の促進に努めている。アメリカ側からみれば「日鉄と中国との特殊な絆の保持」として映る現状なのである。

なお当のブラウン議員は昨年11月の議会選挙でオハイオ州選出の上院議員への4選を目指したが、共和党の対抗馬に敗れた。しかし日鉄の買収計画への反対は同じオハイオ州選出の上下両院議員団や上院の銀行委員会の同志議員らによって引き継がれている。

以上は今、日米関係を揺さぶる日鉄のUSスチール買収計画に関して、日本側のメディアにはほとんど表面に出ない水面下の大きな要因なのである>以上
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上記の「中日友好7団体」(日本では「日中友好7団体」)は一般財団法人日中経済協会(産業協力と通商拡大推進)、公益社団法人日本中国友好協会(共産主義系?)、日本国際貿易促進協会(ビジネス優先)、日本中国文化交流協会(学術系の民間法人)、日中友好議員連盟(超党派の会員組織)、一般社団法人日中協会(元外務省中国課所管)、公益財団法人日中友好会館(元外務省アジア大洋州局中国課所管)。最近は日中友好文化交流促進協会が加わり、日中友好8団体となったようだ。

古森先生の文中にある「日中経済協議会」は上記の「日中経済協会」のことだろう。日中経済協会の会長は進藤孝生氏で、氏は日本製鉄代表取締役会長などを歴任している。WIKIなどによると――
<進藤孝生(しんどう こうせい、75歳、1949年9月14日 - )は、日本の実業家。新日鐵住金代表取締役社長を経て、日本製鉄代表取締役会長、幕張メッセ取締役会長、日本経団連副会長、世界鉄鋼協会会長、日中経済協会会長、国土交通省社会資本整備審議会会長等を歴任。
大学卒業後は、もともとは官僚志望で国家公務員試験も受けていたが、知人の勧めを受け新日本製鐵に入社。経営企画部門や総務部門を長く歩み、新日本製鐵の室蘭製鐵所、八幡製鐵所、名古屋製鐵所勤務などを経て、広畑製鐵所総務部長、本社経営企画部長、本社総務部長を歴任。2009年には代表取締役副社長に就任し、新日本製鐵と住友金属工業の合併により「新日鐵住金」が誕生した後は小倉製鐵所、八幡製鐵所、堺製鐵所、和歌山製鐵所などの製鉄所の組織統合を担当した。

2014年4月1日付けで代表取締役社長に昇格。同年谷本進治八幡製鉄所長とともに、安倍晋三内閣総理大臣を、八幡製鉄所内の明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業構成資産に案内するなどした。2016年5月日本鉄鋼連盟会長。2017年世界鉄鋼協会会長、日本経済団体連合会副会長。2019年国土交通省社会資本整備審議会会長。同年4月1日付けで「日本製鉄株式会社(NIPPON STEEL CORPORATION)」(日鉄)への社名変更を行い、同社代表取締役会長に就任。2024年4月同社取締役相談役に就任>以上

進藤孝生氏・・・カリスマのような凄い人材、経営者だが、米国への進出を進めるのであれば、米国が蛇蝎の如く嫌う中共とのビジネスを縮小していくべきだった。中共は大事な顧客だからそれはできないというのはわかるが、米国市場も欲しい、中共市場も大切だというのでは、結果的に「二兎を追う者は一兎をも得ず」という最悪の事態になりかねない。

クライマックスの「泣いて馬謖を斬る」場面だが、産経を含めて日本の在外特派記者は何をしているのか・・・まじめに取材しているのかどうか? 地元メディアをチェックして、それを日本語にしているような記者が結構多いのではないか。結果的に水面下のディープな動きを知らない・・・日本のメディアも政治家も知らないままで外交などの戦略、戦術が決められているようである。大丈夫か?
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「銭ゲバ」「噓つき」は正義を装う

2025-02-05 20:03:04 | 戦争
「銭ゲバ」「噓つき」は正義を装う
“シーチン”修一
【雀庵の「大戦序章」362/通算793 2025/令和7年2/5 水曜】 資本主義経済は一歩でも二歩でも、とにかく成長しないと弱体化する、二流三流国になってしまう、と言われているが、ケインズあたりが唱え始めたらしい。以来100年ほど経ったが、WIKIによると「ジョン・メイナード・ケインズ 経済学者 1883年6月5日生誕、1946年4月21日、62歳没」。ケインズは随分無理をして励んだのだろう、かなり早死にだ。
<ケインズは1944年にはブレトンウッズ連合国通貨会議に参加し、主にアメリカと戦時借款や戦後経済体制に対してイギリスの立場から交渉を繰り返し、バンコールという国際通貨の創設を提案するが、結局はアメリカのハリー・ホワイト案による国際通貨基金および世界銀行の設立案が通り、ブレトン・ウッズ体制が築かれることとなった。
1946年2月、ブレトン・ウッズで創設された国際通貨基金 (IMF)と国際復興開発銀行 (IBRD)の理事に任命された。しかし、こうした激務は彼の健康を損なっていき、1946年に心臓発作で倒れ、サセックス州ファールで4月21日に没した>

一種の戦死・・・惜しまれて亡くなる、永遠に名を遺すというのは男の理想形だな。このところしょっちゅう医者の世話になっている無為徒食みたいな小生には縁がないが・・・
ところで、小生は「自由民主人権法治」や「資本主義自由経済」を支持しているが、このところマスコミからこうした言葉・表現はあまり聞かれなくなった感じがする。どういうわけなのか、とネットで検索したらWIKIBOOKSの「経済学 現代経済の変容」にはこうあった。
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<◎:言葉の変化? 「資本主義経済」、「社会主義経済」の理解が進むにつれて、これらの言葉自体が実態を表さないと考える人が多くなりました。現代の経済学(Economics)においては、これらの言葉はあまり使用頻度が高いとはいえません。しかしながら、現在のさまざまの国の経済システムを考えると、何らかの分類が出来ると多くの人は考えるでしょう。この項目では、資本主義経済ではなく「分権的市場経済」(decentralized market economy)、社会主義ではなく「中央集権的計画経済」(central planned economy)と呼ばれるようになった理由を考えます。

◎:分権的市場経済 「資本主義経済」と呼ばれてきた経済システムでは、市場を用いて財・サービスの分配が行われています。市場では、人々は自分の好きな価格で財・サービスを取引できます。誰か他人が、ある財・サービスを取引している価格が気に入らないとしても、あなたはその取引に介入することが出来ません。または、誰か特権的な人が、価格や取引量を決めているわけでもありません。全ての人が、ある財・サービスを買うため(あるいは、売るために)市場に行き、自分の意思で取引をします。時には、自分の要求に合致する価格でないために、買わない(売らない)という自由もあります。

このような市場があり、そこで購入した場合にのみ、財・サービスを使用する権利を得るというルールに従う経済システムが資本主義経済と呼ばれていることが分かるでしょう。しかし、このようなルールは、資本(ここでは、工場の機械設備を思い浮かべてください)とは特別に関係はないと、容易に気がつきます。したがって、「資本主義経済という用語が実態を表していない」と考えられるわけです。

いわゆる資本主義経済において、重要な要素は市場であると考えられます。したがって市場経済と呼んだとしても、それほど大きな問題ではないと考えられます。しかし、市場の特徴としても特に重要であると考えられる「分権性」から、「分権的市場経済」と呼びます。どのような意味で「分権的」なのかを、次の「社会主義経済」との比較をしながら、後の節で考えましょう。

◎:中央集権的計画経済 かつて「社会主義経済」と呼ばれた経済システムをもつ国は少なくなってきました。それらの多くの国が、市場による財・サービスの分配を取り入れています。それでは、財・サービスの価格や取引量の決定を市場にまかせない場合、どのような方法があるでしょうか。
考えられる選択肢には、誰か特権的な人が「財・サービスの価格と取引量を決定する」というものがあるでしょう。取引量を決定するのは困難をともないますが、通常は供給量(生産量)を決定してしまうことで、経済全体の取引量を決定することが出来ます。

多くの社会主義経済では、政府によって価格や生産量の計画が決定されて、それに基づいて生産と販売が行われていました。このような「事前に計画された価格と生産量に基づいて経済活動(生産活動)が決まる」という意味で「計画経済」と呼ばれます。
この計画は、経済全体の情報を集約し、適切に決定される必要があります。その役割を政府が担うことになりますが、その政府の役割を表す言葉として「中央集権的」という言葉を使います。計画経済では、経済の労働量、資本量、需要量を、さまざまな情報から計算し、実行可能な計画を決定する政府が、経済の中で特別な役割を果たすことになります。このような政府を持ち、計画にしたがって財・サービスを分配することを「中央集権的計画経済」と呼ぶわけです。

◎:「分権的市場経済」と「中央集権的計画経済」 計画経済と市場経済の大きな違いは、計画経済が計画する人を必要とすることです。計画する人は政府と考えられます。政府は経済の中で特別な役割を持つ主体となります。

これに対して、市場経済はどうでしょうか。全ての財・サービスが市場で取引されているとすると、経済的に特別な主体は必要ありません。市場が最終的に、ある財・サービスを利用する人を決定すると考えれば(それは市場で購入した人)、全ての人は市場に参加して取引するという意味において特別な人は存在しません。極端なケースであれば、政府も市場参加者の一人ということになります。

それでは、市場経済では、どのような要因で最終的な財・サービスの使用者を決定するのでしょうか。うまくいくかどうかは別にして、市場は参加者が持っている需要と供給の合計によって価格と取引量が決定するメカニズムを持っているので、市場の参加者の意思によって、その財・サービスを使用できる人、できない人が決まっていると考えられます。「全ての人は市場の参加者であり、特別な人を考えなくてもよい」という点が、市場経済の大きな特徴であると考えられるわけです。特別な権力を持つ人を考えないという点を強調するために「分権的市場経済」と呼びます。

中央集権的計画経済は、現代の経済システムとしては少数派になりつつありますが、分権的市場経済を分析する上で、考察の対象としては重要です。市場経済の分権的な特徴を理解するためには、中央集権的計画経済との比較が理解を助けていることからも分かるでしょう。また、分権的市場経済がどのようなときにメリットがあり、どのようなときにデメリットがあるかを考える上でも、中央集権的計画経済が達成できることを基準にする場合もあります。したがって、分権的市場経済に関心がある人も中央集権的計画経済をよく理解する必要があるでしょう。

◎:現実の経済システム このように経済の分類を整理すると、実態にのっとった理解を深めることが出来るでしょう。しかし、ある経済は分権的市場経済か中央集権的計画経済かを単純に分類することが出来るでしょうか。
「日本の経済は、基本は分権的市場経済」です。しかし、政府は単なる市場参加者以上の意味を持っています。法律を作って税を課したり、企業や家計の経済行動に規制をかけることができます。その意味で「計画性もある経済」です。
逆に中央集権的計画経済であったとしても、すべての財・サービスを完全に計画することは不可能でしょう。大きな工場などで作られる財などが計画の中心であったと考えられます。

そのように考えると、「分権的市場経済」と「中央集権的計画経済」は両極端を表す言葉で、「多くの経済はその中間的な経済システムを持っている」と考えられます。したがって、現実の経済を考える上では、分権的市場経済としての側面、中央集権的計画経済としての側面が、それぞれどの程度なのかを考えることが重要といえるでしょう>以上
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「資本主義的な分権的市場経済」と「共産主義的な中央集権的計画経済」は対立するよりも「目的により上手く使いこなす」のが良いと言っているようである。「目的により上手く使いこなす」・・・ご説ごもっともだが、古代からの歴史を振り返ればそれは大変な作業である。人間の賞味期限(生産年齢)は精々70~80歳で、世界中で「理想と現実、表と裏の乖離」は凄まじいから「目的により上手く使いこなす」なんて至難の業。マキアヴェッリ曰く「成功例はほんの一握り」だ。
為政者や政治家、企業家、起業家、投資家などは、小生が座右の銘としている「欲少なく足るを知る、足るを知りて分に安んずる」とは真逆の「銭ゲバ」「噓つき」が少なからずいそうだから騙されないように警戒すべし。
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古森先生の「明石康氏への非難

2025-02-02 16:43:01 | 戦争
古森先生の「明石康氏への非難
【雀庵の「大戦序章」361/通算792 2025/令和7年2/2 日曜】 小生はテレビとスポーツはまったく苦手で、子育て時代以降は何十年もほとんど視聴したことがない。仕事で映像は創ったが、テレビ局の人も忙しくてTVは見ない。現役バリバリの男で平日夜にTVドラマやお笑い番組を見る人はほとんどいないのではないか。

その代わりに時間があれば小生は読書をする。教養、学問、哲学、短歌、俳句などのジャンルは結構好きである。「夏草や 兵どもが 夢の跡」、「国破れて山河在り 城春にして 草木深し」なんぞも良いなあと思う。それは多分、プライドの高い士族の母の血を引いているのだろう。平民ながら近衛師団勤務で頭脳明晰の父(最近発見した通信簿はオール5))からは仕事熱心、挑戦(チャレンジ)、金儲け、酒、女好きの血を引いたようだが、金儲けだけはどうも小生はヘタクソだった。「あんたはお坊ちゃまだから欲がないんだよ」とクライアントから言われたことがあるが、まあ、そんな感じ。このクライアント、父親の跡を継いでお寺の住職になったから人生は分からないものだ。

老後の今は短距離ながら散歩も大好きだ。2月は一番寒い時期だが、真っ赤な寒椿がとても美しく、それを乗り越えれば3月、暑さ寒さも彼岸まで、春彼岸めいてくる。梅雨に入る5月いっぱいまでは小生が一番楽しめる時期である。春草や営繕ヂヂイの出番かな・・・2月は外での作業は休もうと思っていたが、どうも営繕作業は今や小生の「趣味、遊び、生き甲斐」になったようで、ブログ執筆も好きなので何やら「晴耕雨読」のよう。晩年の過ごし方としては結構良いものだ。
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Japan In-depth 2025/1/15、古森義久先生のシリーズ最終「国連幻想を解析する 明石康氏への非難」を以下転載する。ちなみに下記のWIKIによると明石氏は94歳、凄い経歴だ。
<明石 康(あかし やすし、1931年〈昭和6年〉1月19日 - )は日本の外交官、国際公務員、政治家。特定非営利活動法人日本紛争予防センター会長、名城大学アジア研究所名誉所長、群馬県立女子大学外国語教育研究所所長、京都文教学園学術顧問、神戸大学特別顧問・特別教授。国際連合事務次長や国際連合事務総長特別代表を歴任>・・・以下、古森先生の論稿。

<◎【まとめ】 ・国連は「平和の殿堂」などという呼称からはほど遠く、大量殺戮を防ぐ能力にも欠ける。・国連の最大目的である平和維持、戦争防止に関する失態の実例は米国で熱っぽく語られ、大規模な汚職も指摘されてきた。・日本側でも改めて国連への幻想は捨て、実際の姿を知っておきたい。(以下本文)

国連自体の機能も日本側の期待からますますかけ離れた観がある。前述の日本非難の特別報告者たちを任命した人権委員会(2006年以降は改組改称して人権理事会)をみても、中国やキューバ、サウジアラビアなど自身が人権抑圧の実態を抱えた諸国が理事国となっている。自国への国連側の非難を抑えるための動きだといえる。

その人権委員会に日本政府は2003年4月、北朝鮮の日本人拉致を非難する決議案を提出した。ところがこれほど明白な人権弾圧についてもその非難に賛成したのは委員会加盟53ヵ国のうち半数ほどの28ヵ国に過ぎなかった。中国、ロシア、キューバ、ベトナムなど10ヵ国が反対し、他は棄権した。日本が悲願とする拉致問題の解決にも国連は渋々の同意なのである。

日本側にとって国連への対処でさらに注意しておく点がある。それは日本の慰安婦問題や報道の自由問題などの調査で国連側とうまく結びつき、日本の多数派を当惑させる活動や報告を導く日本の活動家の存在である。慰安婦問題で中国や韓国と同様の日本非難の立場をとり、国連にも同種の動きをとることへのロビー活動を手がけた実例では日本弁護士連合会の左派代表格の戸塚悦朗弁護士らの名が報じられている。日本の内部で体制に挑戦する政治勢力の国連利用だといえよう。

国連の最大の目的、つまり平和の維持、戦争の防止に関しても、歴史的な失態の実例がアメリカの政界や学界ではなお熱っぽく語られていることも報告しておこう。日本側でも改めて国連への幻想は捨て、実際の姿を知っておこうという点を再度、強調したい。

◎第一は1993年10月のソマリア内戦での米軍支援の失敗だった。アフリカのソマリア首都モガディシュに米軍が介入した。内乱で虐殺を続けたソマリア民兵の首領を逮捕する予定だったが、大規模な反撃を受け、守勢に立たされた。激戦が数日も続き、米兵、ソマリア兵双方に数百人という死傷者が出た。
とくに戦死した米兵の死体はソマリア側により地上を引きずり回され、その実態はアメリカ国民に衝撃を与えた。時のクリントン政権はこの事件の残酷な展開にソマリア介入を止めてしまう。

問題はその地域に数千人単位の国連平和維持軍がいたのに、この激戦になにもしなかったことだった。パキスタンとマレーシアの両国軍隊から成る国連軍は米軍の支援、あるいは停戦の実施に動くべきだった。のちの国連当局による調査で平和維持軍の静観はミスだとされた。

◎第二は1994年4月のアフリカのルワンダでのジェノサイド(集団大虐殺)だった。人口600万人ほどの小国だが、フツ族とツチ族とが対立と共存を繰り返していた。だが同4月、フツ族のルワンダ大統領が殺され、ツチ族の犯行だとみた多数派のフツ族が大規模な殺戮行動に出た。このツチ族への攻撃は100日ほども続いた。
その結果、ツチ族全体を抹殺するような勢いの殺戮となり、同族の死者はなんと80万にも達した。ルワンダ国民全体の7人に1人が殺されたわけだ。この大虐殺を現地にいた国連平和維持軍は止めることができなかった。というよりも止める意欲をみせなかった。
国連はその隣接の複数の国にルワンダ内戦をエスカレートさせないためのベルギー、チュニジア、ガーナの将兵計3000人ほどを平和維持軍として駐留させていた。しかしこの長期に及ぶ殺戮を制止できなかったのである。

◎第三は1995年7月のボスニア・ヘルツェゴビナでのセルビア軍によるイスラム系住民の大虐殺だった。旧ユーゴスラビア連邦の解体で各共和国や諸民族が対立を険しくしていたバルカン半島で最有力国家でキリスト教系のセルビアがイスラム系のボスニアと戦闘状態に入った。優勢を続けるセルビア軍はボスニアのスレブレニツァという地域に半ば投降したイスラム教徒の男性住民10000人ほどを集めた。そしてそのうちの8000人以上を殺したのだった。

この殺戮は近代史でも悪名を高くしたスレブレニツァの大虐殺である。実はこの地域にも国連防御軍と呼ばれた部隊が駐留していた。それどころか虐殺の舞台となったスレブレニツァは国連軍の管轄下にある安全地帯ともされていた。だが大虐殺は起こった。
現地付近にいたオランダなどの国連軍は虐殺を止められなかった。さらにこの地域を管轄下においていた北大西洋条約機構(NATO)のアメリカ空軍はセルビア軍に空爆を加えて、虐殺を阻止しようとも試みた。ところが現地の国連軍に止められた。この地域のNATO軍は現地の国連防御軍の指揮下に入っており、その国連軍の最高責任者がその空爆を許さなかったのだという。

その責任者が日本の明石康氏だった。私はこの当時の詳しい状況を事件から8年後のワシントンでのシンポジウムで改めて聞いた。アメリカの当時の国連大使だったジーン・カークパトリック女史らの回顧の証言だった。同女史は「アカシ」と実名を何度もあげて、明石氏の空爆許可さえあれば大虐殺は防げた、と強調した。

◎国連自体の大規模な汚職も指摘されてきた。1995年に国連が始めたイラクのための「石油・食料交換プログラム」をめぐる不正もその実例だった。このプログラムは湾岸戦争で敗れ、困窮したイラクの国民救済のために国連がイラクの石油を管理し、その販売金で食料を買って、イラク国民に配給するという骨子だった。その予算は総額640億ドルにも達した。
しかしそのうちの200億ドルもが不正に流用されていたことが国連自体の調査で判明した。国連事務次長の1人までがその不正にかかわっていたことが公表された。

◎さらに古い事例だが、国連の専門機関ユネスコ(国連教育科学文化機関)での不正も全世界に伝えられた。この機関の最高責任者の事務局長に1974年、アフリカのセネガルの教員出身アマドゥ・マハタル・ムボウという人物が就任した。以来、10数年、ムボウ事務局長は公的資金の流用や縁故人事など大規模な不正行為を働いた。国連当局がユネスコ本部に監査を実施しようとすると、同本部は不振の火災が起きて、ほぼ全焼した。アメリカ政府はこの不正に抗議してユネスコを脱退したほどだった。

以上のように国連は「平和の殿堂」などという呼称からはほど遠いのである。大量殺戮を防ぐ能力にも欠けるのだ。日本での国連認識は現実をまずみてから決めねばならないのである。国連への幻想は捨てねばならないのだ。
(*この記事は月刊雑誌WILLの2025年1月号に掲載された古森義久氏の論文を一部、書き直しての転載です)以上
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正義を装い悪に乗っ取られたような国連・・・酷い話だが、国連=屑(くず)と思っていた方がよさそうだ。常に警戒していないとひどい目に遭う。残念ながら世の中はそういうもののようである。

米国でリベラルを自称する人は当然ながら民主党支持で「我こそ正義」と自負しているだろうが、民主党が政権を握ると、これ幸いと「私腹を肥やす人」が随分多そうである。小生が東京で見たところ、パッとしない人たちが「♪たちまち元気になっちゃって」米国への日本人観光客を増やそうと観光局を立ち上げ、給料もかなり高額で軽井沢に別荘を持つ人もいた。
小生はそれ以前から「ディスカバーアメリカ」キャンペーンなどに関わっていたが、1993年にクリントン民主党政権になるや虎ノ門の米国大使館から急遽「全米50州のガイドブックの日本語版を作ってくれ」と頼まれ、吉野家の牛丼みたいに「早い、安い、旨い」で協力したが、今から思うと人が好過ぎた感じがする。

いずれにしても小生は金儲け、銭勘定がヘタクソのままあの世に逝くのだろうが、中村元著「原始仏典」によると紀元前6~5世紀のお釈迦様の時代、師の父上(王様)の名は「純白の白米ご飯」(漢語訳で「浄飯王」)だったから、天への感謝の気持ちを込めていたのだろう。
古来からの説によると天の入り口には裁判所があり、私利私欲を排し質素倹約、欲少なく正しい道を行けば天国に召される。その一方で私利私欲、銭ゲバ一直線の邪道を行く者は地獄に落ちることになっている。善行を重ねていけば特待生で天国行きになりますよ、という教えである。お釈迦様時代の初期の仏教、原典というのは人間味のある優しい教えで良いものである。

古森先生曰く「国連は『平和の殿堂』などという呼称からはほど遠い。日本での国連認識は現実をまずみてから決めるべし。国連への幻想は捨てねばならない」。誠に私利私欲、国利国欲、銭ゲバ一直線の国家や国連に警戒すべし。(了)
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*読者諸兄の皆さま、御意見を! https://note.com/gifted_hawk281/ または ishiifam@minos.ocn.ne.jp までお願いいたします。小生の記事は以下でもお読みいただけます。
渡部亮次郎 「頂門の一針」<ryochan@polka.plala.or.jp>
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