岡山県に学ぶ外交・軍事
“シーチン”修一 2.0
【雀庵の「大戦序章」158/通算590 2023/3/31/金】どういうわけか、このところ岡山県が気になる。武士道的勇武の「九州・中国地方圏」と商人道的臨機応変の「関西・中部・関東地方圏」の狭間にあり、その地政学的位置を活かして「両勢力を手玉に取ってオイシイ思いをしている」のが岡山県・・・そんなイメージがある。
岡山県のサイトによると「山陽道の中央に位置し、東は兵庫県、西は広島県に隣接。南は瀬戸内海を臨んで四国(香川県)に、北は山陰地方(鳥取県)と接しており、 中四国地方の交通の要衝として古くから重要な位置にあります」。WIKIで歴史を調べると――
<(岡山県一帯は)古代には「吉備国/きびのくに」といわれ、畿内地域(大和、山城、和泉、河内、摂津)や北九州地域、出雲地域などとともに、日本列島の中心地のひとつとして栄えていた。
吉備国は畿内勢力と同盟関係を築いて日本列島の統一期(4世紀中葉)に影響を与えた。優れた鉄製技術を持ち、その支配地域は現在の岡山県、広島県中東部、香川県島嶼部、兵庫県播磨地方に及んだ。
6世紀前半に大和朝廷へ臣従したのち、吉備国は勢力抑圧のために備前国、備中国、備後国の3国に分割され、さらには備前国から「美作国」が分国された>
「美作国(みまさかのくに)」・・・そう言えば学生時代にボロボロの一軒家(京浜急行・新大津)をシェアした石堂君のペンネームは「美作徹(みまさかとおる)」だった。彼は広島県人で、高校時代は広島で「スト破り」のバイトをして稼いでいたという文武両道の猛者。卒業後はブロック紙の中国新聞社に入社。大学教授の父君の影響を受けたのか、結婚式は京都の平安神宮、神道だった。
彼のペンネームから類推すると生まれ故郷は岡山県北東部の英田郡美作町(あいだぐんみまさかちょう)で、2005/平成17年の5町1村合併により「美作市」に引き継がれている。美作は「宮本武蔵生誕地」であり記念碑もあるのだから、もっと宣伝すれば観光産業が発展すると思うのだが、県内の市の中で最も人口が少ないという過疎地で、パワー(カネと人材)が不足しているようだ。
岡山県の有力紙は「山陽新聞」。代表取締役社長は松田正己氏(1973/昭48年、香川大経卒、山陽新聞社入社。常務、専務を経て2014年社長。岡山県出身)。WIKIによると大株主は、佐々木勝美代表取締役会長(18万株)、大王製紙(3万株)、天満屋(3万株)、中国銀行(3万株)とある。山陽新聞は佐々木家一族の「家業」のようで、同社取締役ビジネス開発局長は佐々木善久氏、貴族顔だ。
山陽新聞の従業員による評価には「昭和気質の残る、古い体制の職場。年齢の高い人が多く、体制を変えるような新しさを嫌う傾向がある」「精神を病んで病欠しても復帰しやすい環境」とある。締め切り商売の記者・編集者はハードな仕事で、特に新聞社はタフでないと生き残れない戦場だ。新聞社の個性、主義主張に沿った記事を求められるから、好き勝手に書けるわけでもない。それが嫌なら閑職に移るか辞めるしかないが、高山正之氏を手放したのは産経の痛恨のミスだったと小生は今でも思っている。組織の枠には納まらないキャラなのだろうが・・・
小生の地元のリベラル≒アカ新聞「神奈川新聞」なんぞは凄いものだ。曰く「民主主義の要諦は多様性にある。それぞれが違っているからこそよいという価値観が保たれていなければならない。だから空気など読まない。忖度しない。おもねらない。孤立を恐れず、むしろ誇る。偏っているという批判に『ええ、偏っていますが、何か』と答える。私が偏っていることが結果的に、あなたが誰かを偏っていると批判する権利を守ることになるんですよ」
上記は朝日新聞社会部記者出身の辰濃哲郎氏(たつの・てつろう、ノンフィクション作家)の「神奈川新聞の『ええ、偏っていますが、何か』」(論座2015/12/21)によるが、「地方紙とはいえ、メディア界のテーゼとも言える『公正』『不偏不党』に、ここまで切り込んだ新聞社がかつてあっただろうか」とショックを受けたようだ。アサヒ脳もビックリ仰天の神奈川新聞、通称カナシン・・・県民はカナシンでいる。
閑話休題。“岡山県人気質”をネットで調べると「常に計算の上に基づいて動く、ケチであざとい、クール、油断がならない、真面目で冷静だが奸智に長ける人が多く油断ならない」などとある。岡山県は「畏怖」されているのだ。軽侮されるよりよほど良い。欧州の長い戦国時代の中にあったマキャベリ曰く――
<君主は福祉政策で民の歓心を買うよりも、何を置いても安全保障を優先すべきだ。寝ても覚めても如何にしたら勝てるかを部下と共に研究し、あらゆる地形で訓練しなければならない。福祉を優先する君主、傭兵に頼る君主は一代で終わってしまうことが多い。軍事力増強の安全保障をないがしろにして周辺国と平和外交にうつつを抜かす君主は、他国のみならず部下からも軽侮され、不信を買い、やがては危急存亡の秋にあってクーデターで追放されるという憂き目に遭ったりするのだ>(君主論:第14「国民軍に対する主権者の義務」要約)
ところで小生は小学生の頃から日経の「私の履歴書」と週刊新潮の「黒い報告書」を永らく愛読していたが、ここ10年ほどは数多くのメディアの中でも日経とウォールストリートジャーナル(WSJ)はそこそこ信頼できる良き情報源だと思うようになった。
なぜかと考えたら、日経もWSJも主要読者はビジネス戦士で、記事で情報を得て動く人々である。とにかく偏向のない正確な情報が必要であり、新聞社の主張や正義は二の次、三の次という読者だ。経済紙が誤報したら損害賠償ものだから、記事は正確を期すことが最優先になる。米国ではメディアの80%がリベラル≒ピンク系=民主党支持=偏向報道だから、ビジネス戦士にとってまともな「日刊総合国際紙」はWSJくらいしかないようだ。日本では日経がそれに当たる。
時々小生の論稿に感想を寄せて頂いているPさんは「日本経済新聞岡山支局長」を務めていたようだ。岡山+日経・・・何となくパワフル・・・今回は以下のメールを頂いた。( )は修一の補足。
<朴大統領暗殺(1979/10/26)のニュースは、私がまだ駆け出し記者で(1978年発足の第一次大平内閣の)田中六助官房長官宅に朝駆けに行くハイヤーの中でラジオの臨時ニュースで知りました。ビックリ仰天したことを覚えています。犯人金載圭KCIA部長を軍事裁判で半年後にさっさと絞首刑で処刑したことも驚きでした。「口封じ」と何となく感じました。
安倍晋三さんの暗殺。犯人とされる山上は陽動作戦用の捨て駒という印象がどうしても拭えません。おそらく真犯人であろうライフル銃狙撃手を雇った黒幕はナカ国関係かと思っていますが、ひょっとしてひょっとするとコメ国関係かもしれませんね。
田中角栄、中川昭一。コメ国に楯突く輩は失脚か死。それもありなんです。国際政治は複雑怪奇。陰謀が渦巻いています>
最近、中国でアステラス製薬の現地法人幹部の日本人男性が「反スパイ法違反の疑い」で拘束されたが、ロシアではWSJのエバン・ガーシュコビッチ記者/米国籍が同じくスパイ容疑で拘束された。WSJ 3/30は「ロシア連邦保安局(FSB)は声明で、同氏が『米側の指示に従い、ロシアの軍産複合体に属する1社の活動に関する国家機密を含む情報を収集した』と述べた。WSJは発表文で「ガーシュコビッチ氏の安全を深く憂慮している」とした」。
何となく開戦前夜のような、すっきりしない嫌な空気が世界を覆う・・・備えを固めるべし。
*読者諸兄の皆さま、御意見を! ishiifam@minos.ocn.ne.jp
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“シーチン”修一 2.0
【雀庵の「大戦序章」158/通算590 2023/3/31/金】どういうわけか、このところ岡山県が気になる。武士道的勇武の「九州・中国地方圏」と商人道的臨機応変の「関西・中部・関東地方圏」の狭間にあり、その地政学的位置を活かして「両勢力を手玉に取ってオイシイ思いをしている」のが岡山県・・・そんなイメージがある。
岡山県のサイトによると「山陽道の中央に位置し、東は兵庫県、西は広島県に隣接。南は瀬戸内海を臨んで四国(香川県)に、北は山陰地方(鳥取県)と接しており、 中四国地方の交通の要衝として古くから重要な位置にあります」。WIKIで歴史を調べると――
<(岡山県一帯は)古代には「吉備国/きびのくに」といわれ、畿内地域(大和、山城、和泉、河内、摂津)や北九州地域、出雲地域などとともに、日本列島の中心地のひとつとして栄えていた。
吉備国は畿内勢力と同盟関係を築いて日本列島の統一期(4世紀中葉)に影響を与えた。優れた鉄製技術を持ち、その支配地域は現在の岡山県、広島県中東部、香川県島嶼部、兵庫県播磨地方に及んだ。
6世紀前半に大和朝廷へ臣従したのち、吉備国は勢力抑圧のために備前国、備中国、備後国の3国に分割され、さらには備前国から「美作国」が分国された>
「美作国(みまさかのくに)」・・・そう言えば学生時代にボロボロの一軒家(京浜急行・新大津)をシェアした石堂君のペンネームは「美作徹(みまさかとおる)」だった。彼は広島県人で、高校時代は広島で「スト破り」のバイトをして稼いでいたという文武両道の猛者。卒業後はブロック紙の中国新聞社に入社。大学教授の父君の影響を受けたのか、結婚式は京都の平安神宮、神道だった。
彼のペンネームから類推すると生まれ故郷は岡山県北東部の英田郡美作町(あいだぐんみまさかちょう)で、2005/平成17年の5町1村合併により「美作市」に引き継がれている。美作は「宮本武蔵生誕地」であり記念碑もあるのだから、もっと宣伝すれば観光産業が発展すると思うのだが、県内の市の中で最も人口が少ないという過疎地で、パワー(カネと人材)が不足しているようだ。
岡山県の有力紙は「山陽新聞」。代表取締役社長は松田正己氏(1973/昭48年、香川大経卒、山陽新聞社入社。常務、専務を経て2014年社長。岡山県出身)。WIKIによると大株主は、佐々木勝美代表取締役会長(18万株)、大王製紙(3万株)、天満屋(3万株)、中国銀行(3万株)とある。山陽新聞は佐々木家一族の「家業」のようで、同社取締役ビジネス開発局長は佐々木善久氏、貴族顔だ。
山陽新聞の従業員による評価には「昭和気質の残る、古い体制の職場。年齢の高い人が多く、体制を変えるような新しさを嫌う傾向がある」「精神を病んで病欠しても復帰しやすい環境」とある。締め切り商売の記者・編集者はハードな仕事で、特に新聞社はタフでないと生き残れない戦場だ。新聞社の個性、主義主張に沿った記事を求められるから、好き勝手に書けるわけでもない。それが嫌なら閑職に移るか辞めるしかないが、高山正之氏を手放したのは産経の痛恨のミスだったと小生は今でも思っている。組織の枠には納まらないキャラなのだろうが・・・
小生の地元のリベラル≒アカ新聞「神奈川新聞」なんぞは凄いものだ。曰く「民主主義の要諦は多様性にある。それぞれが違っているからこそよいという価値観が保たれていなければならない。だから空気など読まない。忖度しない。おもねらない。孤立を恐れず、むしろ誇る。偏っているという批判に『ええ、偏っていますが、何か』と答える。私が偏っていることが結果的に、あなたが誰かを偏っていると批判する権利を守ることになるんですよ」
上記は朝日新聞社会部記者出身の辰濃哲郎氏(たつの・てつろう、ノンフィクション作家)の「神奈川新聞の『ええ、偏っていますが、何か』」(論座2015/12/21)によるが、「地方紙とはいえ、メディア界のテーゼとも言える『公正』『不偏不党』に、ここまで切り込んだ新聞社がかつてあっただろうか」とショックを受けたようだ。アサヒ脳もビックリ仰天の神奈川新聞、通称カナシン・・・県民はカナシンでいる。
閑話休題。“岡山県人気質”をネットで調べると「常に計算の上に基づいて動く、ケチであざとい、クール、油断がならない、真面目で冷静だが奸智に長ける人が多く油断ならない」などとある。岡山県は「畏怖」されているのだ。軽侮されるよりよほど良い。欧州の長い戦国時代の中にあったマキャベリ曰く――
<君主は福祉政策で民の歓心を買うよりも、何を置いても安全保障を優先すべきだ。寝ても覚めても如何にしたら勝てるかを部下と共に研究し、あらゆる地形で訓練しなければならない。福祉を優先する君主、傭兵に頼る君主は一代で終わってしまうことが多い。軍事力増強の安全保障をないがしろにして周辺国と平和外交にうつつを抜かす君主は、他国のみならず部下からも軽侮され、不信を買い、やがては危急存亡の秋にあってクーデターで追放されるという憂き目に遭ったりするのだ>(君主論:第14「国民軍に対する主権者の義務」要約)
ところで小生は小学生の頃から日経の「私の履歴書」と週刊新潮の「黒い報告書」を永らく愛読していたが、ここ10年ほどは数多くのメディアの中でも日経とウォールストリートジャーナル(WSJ)はそこそこ信頼できる良き情報源だと思うようになった。
なぜかと考えたら、日経もWSJも主要読者はビジネス戦士で、記事で情報を得て動く人々である。とにかく偏向のない正確な情報が必要であり、新聞社の主張や正義は二の次、三の次という読者だ。経済紙が誤報したら損害賠償ものだから、記事は正確を期すことが最優先になる。米国ではメディアの80%がリベラル≒ピンク系=民主党支持=偏向報道だから、ビジネス戦士にとってまともな「日刊総合国際紙」はWSJくらいしかないようだ。日本では日経がそれに当たる。
時々小生の論稿に感想を寄せて頂いているPさんは「日本経済新聞岡山支局長」を務めていたようだ。岡山+日経・・・何となくパワフル・・・今回は以下のメールを頂いた。( )は修一の補足。
<朴大統領暗殺(1979/10/26)のニュースは、私がまだ駆け出し記者で(1978年発足の第一次大平内閣の)田中六助官房長官宅に朝駆けに行くハイヤーの中でラジオの臨時ニュースで知りました。ビックリ仰天したことを覚えています。犯人金載圭KCIA部長を軍事裁判で半年後にさっさと絞首刑で処刑したことも驚きでした。「口封じ」と何となく感じました。
安倍晋三さんの暗殺。犯人とされる山上は陽動作戦用の捨て駒という印象がどうしても拭えません。おそらく真犯人であろうライフル銃狙撃手を雇った黒幕はナカ国関係かと思っていますが、ひょっとしてひょっとするとコメ国関係かもしれませんね。
田中角栄、中川昭一。コメ国に楯突く輩は失脚か死。それもありなんです。国際政治は複雑怪奇。陰謀が渦巻いています>
最近、中国でアステラス製薬の現地法人幹部の日本人男性が「反スパイ法違反の疑い」で拘束されたが、ロシアではWSJのエバン・ガーシュコビッチ記者/米国籍が同じくスパイ容疑で拘束された。WSJ 3/30は「ロシア連邦保安局(FSB)は声明で、同氏が『米側の指示に従い、ロシアの軍産複合体に属する1社の活動に関する国家機密を含む情報を収集した』と述べた。WSJは発表文で「ガーシュコビッチ氏の安全を深く憂慮している」とした」。
何となく開戦前夜のような、すっきりしない嫌な空気が世界を覆う・・・備えを固めるべし。
*読者諸兄の皆さま、御意見を! ishiifam@minos.ocn.ne.jp
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