雀庵の「常在戦場/76 金欠習近平の金持ち叩きが始まった」
“シーチン”修一 2.0
【Anne G. of Red Gables/360(2021/8/30/月】習近平式の“文革2.0”が始まったが、彼はトウ小平の「改革開放経済」の全面否定、毛沢東の「共産主義統制=節約閉塞経済」への復帰を目指しているかのようだ。
毛沢東は1957年の反右派闘争(経済自由化を求める反体制派狩り)発動の直前に、経済建設が思うように進まないのは汚職や浪費のせいだとして、こう懸念を示している。
「現在、我々の多くの要員の間に、大衆と苦楽を共にすることを望まず、個人的な名誉や利益をとやかく言いたがる危険な傾向が芽生えている。これは非常に良くない。我々は増産・節約運動の中で、機関を簡素化し、幹部を下部に降ろし、かなり多くの幹部を生産面に戻すことを要求しているが、これはこうした危険な傾向を克服する方法の一つである」
<1957年6月8日、毛沢東は人民日報で「少数の右派分子が共産党の整風を助ける名目で、共産党と労働者階級の指導権に挑戦し、はなはだしきに至っては、公然と共産党に“下野しろ”とわめいている」と批判。10月15日、党中央は「右派分子を決める基準」通知を出し、1958年には55万人の右派が辺境への労働改造や失職などの憂き目に遭い、あるいは死亡した>(WIKI)
我らが習近平はそれを真似ている。石平氏の論稿「高所得層は不合理故に収奪せよ――習近平政権の危うい『劫富済貧革命』」現代ビジネス2021/8/27から。
<経済成長に伴う貧富の格差の拡大を是正し、「共同富裕社会」の実現を目指すのは良いことであって社会全体の安定にもつながる「善政」であろう。
問題はむしろ、どのようにして「共同富裕」を達成するのかである。人民日報の公式発表から見れば、習政権の考える「共同富裕」の達成手法は実は、共産党政権ならではの危ういものである。
例えば、貧富の格差是正の手段として「第一次分配」「第二次分配」と並んで、「第三次分配」が言及された。
普通の市場経済においては、投資者・生産者がその投資と生産活動の代償として利益を上げて所得を得るのは「第一次分配」であって、政府が企業や個人から税金を徴収して社会全体の福祉に当てるは「第二次分配」である。
しかし習政権の提唱する「第三次分配」となると、それは当然、通常の税収・社会福祉事業以外の政治的手段を使って富の再分配を図ることとなろう。その具体的なやり方として会議の発表記事は次のような重要なことを述べている。
「不法収入を断固として取り締まり、不合理収入を整理・規制することによって、収入分配の秩序を立て直す」「高収入層に対する規制と調節を強化させ、高収入を合理的に調節し、高収入層個人と企業が社会により多く報うように誘導しそれを促す」と。
ここに出てくるのは「収入」というキーワードであって、ポイントとなっているのは「高収入層」、たくさん儲かっている人々のことである。彼らこそは、習近平流の「共同富裕社会達成」のための政府手段の標的となろう。
注目すべきなのは、こうした高収入層に対しては、その「不法収入を断固として取り締まり、不合理収入を整理・規制する」という表現である。「不法収入」ならその意味するところは明確であろう。不法な手段で得た収入や、脱税によって増やした収入などがそれである。問題は「不合理収入」とは何かだ。
「不合理収入」はここでは「不法収入」と別々にされているから、中央会議のいう「不合理収入」は当然「不法収入」に当たらない。つまり、合法的な収入であってもそれが「不合理収入」であれば、政府による「整理・規制」の対象となるのである。
しかし一体どういう収入が「不合理収入」なのか。それに対する厳密な法的規定は当然ない。結局のところ政府が「不合理」だと認定すればそれはすなわち「不合理収入」となるのである。ここまで来たら、習近平政権のやろうとしていることはもはや明々白々である。
国中の高収入層を標的にし、彼らの得た不法収入を取締りによって没収するのと同時に、高収入層が合法的な手段で得た正当的な収入に対しても、政権はそれを「不合理収入」だと勝手に認定した上で、政治的手段を用いてそれを収奪するのである。
中国では昔から「劫富済貧」という思想があって、金持ちを脅かしてその財産を奪い、貧民に分配して救済する、という意味合いである。
近代以前、歴代の王朝時代の農民一揆や政治的反乱は往々にしてこれをスローガンに掲げて民衆の支持を取り付けようとしていた。実は当の中国共産党も、党設立の当時からこの思想を旗印にして「革命」を起こして政権奪取に成功したという歴史がある。
政権樹立後の毛沢東時代、中国共産党はやはり「劫富済貧」をモードとした社会主義経済体制を作り上げて、効率の悪い経済運営を行っていたが、やがてトウ小平の時代になると、政権が「先富論」を持ち出して瀕死の中国経済に活力をもたらし、それが今までの高度成長につながったわけである。
しかし今、政治運営とイデオロギーの面で毛沢東時代への逆戻りを進めている習近平政権の下では、高収入層を標的にした現代版の「劫富済貧革命」は再び起こされようとしている。
今後、いわば「不合理高収入の整理・調節」という大義名分の下では、中国の中央政府とその各級の地方政府があらゆる名目・口実を用いて、高収入層に対する「上納金」や「寄附金」の強要、罰金の乱発などの手段で、高収入層・富裕層に対する劫奪が常態化していくのであろう。
そうするとことによって習政権は、中央政府と各級地方政府の悪化している財政状況を改善するのと同時に、裾の広い貧困層・一般平民からの支持を取り付けるという「一石二鳥」の政策効果を得ることができる。
そういえば今年に入ってから、アリババなどの大企業に対して巨額な罰金を課することは中国政府の慣用手段の一つとさえなっているが、どうやら今後において、収奪の標的は企業にとどまらず、幅広い富裕層全体に拡大していく勢いである。
しかし、世紀の蛮行ともいうべきこのような「劫富済貧革命」は短期的に習政権に莫大な利益をもたらすことがあっても、長期的に見れば、それはむしろ多くの投資者や経営者からやる気を奪うことによって中国経済の活力を削ぐこととなろう。
現に「劫富済貧」的な社会主義政策を実施した毛沢東時代、中国経済はどん底に陥っていて、中国は当時の世界の最貧国家の一つに成り下がっている。
内政・外交を問わずにして、習近平政権のやっている政策の大半は実は、中国自身の首をしめているのである>
劫富済貧の「劫/ごう」は「おびやかす。おどす。かすめる」の意、劫掠(ごうりゃく)は脅して奪い取ること。「中国近代の反体制的秘密結社“青幇”“紅幇”。その最も特色あるスローガンは劫富済貧(富者を劫掠して貧者を救済する)である」(世界大百科事典)。
中共は元々がゴロツキを駆り集めた山賊みたいなものだから「劫奪」「劫盗」「劫掠」はDNA。貧すれば鈍する、「貧乏になると愚かで馬鹿な行動をする人になり得る」(weblio)は世の倣い、ユスリタカリも芸のうち、習近平は先祖返りしたわけだ。毛沢東原理主義!
思い出すなあ、「贅沢は敵だ、欲しがりません勝つまでは」・・・真綿で首を締める包囲網は効き目がある。歴史は繰り返す、一度目は悲劇として、二度目は喜劇として。
悲劇か喜劇かは分からないが、習近平一派を駆逐しないと14億の民は地獄行きの「苦難の行軍」を強いられることになる。プーチン・ロシアだって自国の十倍の支那人が国境を突破して逃げてきたら、1900年の「アムール河の虐殺」を再演せざるを得なくなるだろう。
中国専門家で元英国外交官のガーサイド (Roger Garside)氏は今春『 中国クーデター :自由への大飛躍(China Coup: The Great Leap to Freedom)』を上梓したという。中共軍も銭ゲバ拝金教の利権集団だからクーデターはあり得ない話だろうし、林彪も毛沢東に睨まれ、暗殺・クーデターに失敗し、空路でソ連逃亡の途次、墜落事故死した(らしい)から、西側諸国が中共軍に期待するのは無理筋。
やはり対中包囲戦で干上がらせて自滅を待つしかないのだろうか。小生が先に昇天しそうだ。
目安箱:ishiifam@minos.ocn.ne.jp
https://blog.goo.ne.jp/annegoftotopapa4646
まぐまぐID 0001690154「必殺クロスカウンター」
“シーチン”修一 2.0
【Anne G. of Red Gables/360(2021/8/30/月】習近平式の“文革2.0”が始まったが、彼はトウ小平の「改革開放経済」の全面否定、毛沢東の「共産主義統制=節約閉塞経済」への復帰を目指しているかのようだ。
毛沢東は1957年の反右派闘争(経済自由化を求める反体制派狩り)発動の直前に、経済建設が思うように進まないのは汚職や浪費のせいだとして、こう懸念を示している。
「現在、我々の多くの要員の間に、大衆と苦楽を共にすることを望まず、個人的な名誉や利益をとやかく言いたがる危険な傾向が芽生えている。これは非常に良くない。我々は増産・節約運動の中で、機関を簡素化し、幹部を下部に降ろし、かなり多くの幹部を生産面に戻すことを要求しているが、これはこうした危険な傾向を克服する方法の一つである」
<1957年6月8日、毛沢東は人民日報で「少数の右派分子が共産党の整風を助ける名目で、共産党と労働者階級の指導権に挑戦し、はなはだしきに至っては、公然と共産党に“下野しろ”とわめいている」と批判。10月15日、党中央は「右派分子を決める基準」通知を出し、1958年には55万人の右派が辺境への労働改造や失職などの憂き目に遭い、あるいは死亡した>(WIKI)
我らが習近平はそれを真似ている。石平氏の論稿「高所得層は不合理故に収奪せよ――習近平政権の危うい『劫富済貧革命』」現代ビジネス2021/8/27から。
<経済成長に伴う貧富の格差の拡大を是正し、「共同富裕社会」の実現を目指すのは良いことであって社会全体の安定にもつながる「善政」であろう。
問題はむしろ、どのようにして「共同富裕」を達成するのかである。人民日報の公式発表から見れば、習政権の考える「共同富裕」の達成手法は実は、共産党政権ならではの危ういものである。
例えば、貧富の格差是正の手段として「第一次分配」「第二次分配」と並んで、「第三次分配」が言及された。
普通の市場経済においては、投資者・生産者がその投資と生産活動の代償として利益を上げて所得を得るのは「第一次分配」であって、政府が企業や個人から税金を徴収して社会全体の福祉に当てるは「第二次分配」である。
しかし習政権の提唱する「第三次分配」となると、それは当然、通常の税収・社会福祉事業以外の政治的手段を使って富の再分配を図ることとなろう。その具体的なやり方として会議の発表記事は次のような重要なことを述べている。
「不法収入を断固として取り締まり、不合理収入を整理・規制することによって、収入分配の秩序を立て直す」「高収入層に対する規制と調節を強化させ、高収入を合理的に調節し、高収入層個人と企業が社会により多く報うように誘導しそれを促す」と。
ここに出てくるのは「収入」というキーワードであって、ポイントとなっているのは「高収入層」、たくさん儲かっている人々のことである。彼らこそは、習近平流の「共同富裕社会達成」のための政府手段の標的となろう。
注目すべきなのは、こうした高収入層に対しては、その「不法収入を断固として取り締まり、不合理収入を整理・規制する」という表現である。「不法収入」ならその意味するところは明確であろう。不法な手段で得た収入や、脱税によって増やした収入などがそれである。問題は「不合理収入」とは何かだ。
「不合理収入」はここでは「不法収入」と別々にされているから、中央会議のいう「不合理収入」は当然「不法収入」に当たらない。つまり、合法的な収入であってもそれが「不合理収入」であれば、政府による「整理・規制」の対象となるのである。
しかし一体どういう収入が「不合理収入」なのか。それに対する厳密な法的規定は当然ない。結局のところ政府が「不合理」だと認定すればそれはすなわち「不合理収入」となるのである。ここまで来たら、習近平政権のやろうとしていることはもはや明々白々である。
国中の高収入層を標的にし、彼らの得た不法収入を取締りによって没収するのと同時に、高収入層が合法的な手段で得た正当的な収入に対しても、政権はそれを「不合理収入」だと勝手に認定した上で、政治的手段を用いてそれを収奪するのである。
中国では昔から「劫富済貧」という思想があって、金持ちを脅かしてその財産を奪い、貧民に分配して救済する、という意味合いである。
近代以前、歴代の王朝時代の農民一揆や政治的反乱は往々にしてこれをスローガンに掲げて民衆の支持を取り付けようとしていた。実は当の中国共産党も、党設立の当時からこの思想を旗印にして「革命」を起こして政権奪取に成功したという歴史がある。
政権樹立後の毛沢東時代、中国共産党はやはり「劫富済貧」をモードとした社会主義経済体制を作り上げて、効率の悪い経済運営を行っていたが、やがてトウ小平の時代になると、政権が「先富論」を持ち出して瀕死の中国経済に活力をもたらし、それが今までの高度成長につながったわけである。
しかし今、政治運営とイデオロギーの面で毛沢東時代への逆戻りを進めている習近平政権の下では、高収入層を標的にした現代版の「劫富済貧革命」は再び起こされようとしている。
今後、いわば「不合理高収入の整理・調節」という大義名分の下では、中国の中央政府とその各級の地方政府があらゆる名目・口実を用いて、高収入層に対する「上納金」や「寄附金」の強要、罰金の乱発などの手段で、高収入層・富裕層に対する劫奪が常態化していくのであろう。
そうするとことによって習政権は、中央政府と各級地方政府の悪化している財政状況を改善するのと同時に、裾の広い貧困層・一般平民からの支持を取り付けるという「一石二鳥」の政策効果を得ることができる。
そういえば今年に入ってから、アリババなどの大企業に対して巨額な罰金を課することは中国政府の慣用手段の一つとさえなっているが、どうやら今後において、収奪の標的は企業にとどまらず、幅広い富裕層全体に拡大していく勢いである。
しかし、世紀の蛮行ともいうべきこのような「劫富済貧革命」は短期的に習政権に莫大な利益をもたらすことがあっても、長期的に見れば、それはむしろ多くの投資者や経営者からやる気を奪うことによって中国経済の活力を削ぐこととなろう。
現に「劫富済貧」的な社会主義政策を実施した毛沢東時代、中国経済はどん底に陥っていて、中国は当時の世界の最貧国家の一つに成り下がっている。
内政・外交を問わずにして、習近平政権のやっている政策の大半は実は、中国自身の首をしめているのである>
劫富済貧の「劫/ごう」は「おびやかす。おどす。かすめる」の意、劫掠(ごうりゃく)は脅して奪い取ること。「中国近代の反体制的秘密結社“青幇”“紅幇”。その最も特色あるスローガンは劫富済貧(富者を劫掠して貧者を救済する)である」(世界大百科事典)。
中共は元々がゴロツキを駆り集めた山賊みたいなものだから「劫奪」「劫盗」「劫掠」はDNA。貧すれば鈍する、「貧乏になると愚かで馬鹿な行動をする人になり得る」(weblio)は世の倣い、ユスリタカリも芸のうち、習近平は先祖返りしたわけだ。毛沢東原理主義!
思い出すなあ、「贅沢は敵だ、欲しがりません勝つまでは」・・・真綿で首を締める包囲網は効き目がある。歴史は繰り返す、一度目は悲劇として、二度目は喜劇として。
悲劇か喜劇かは分からないが、習近平一派を駆逐しないと14億の民は地獄行きの「苦難の行軍」を強いられることになる。プーチン・ロシアだって自国の十倍の支那人が国境を突破して逃げてきたら、1900年の「アムール河の虐殺」を再演せざるを得なくなるだろう。
中国専門家で元英国外交官のガーサイド (Roger Garside)氏は今春『 中国クーデター :自由への大飛躍(China Coup: The Great Leap to Freedom)』を上梓したという。中共軍も銭ゲバ拝金教の利権集団だからクーデターはあり得ない話だろうし、林彪も毛沢東に睨まれ、暗殺・クーデターに失敗し、空路でソ連逃亡の途次、墜落事故死した(らしい)から、西側諸国が中共軍に期待するのは無理筋。
やはり対中包囲戦で干上がらせて自滅を待つしかないのだろうか。小生が先に昇天しそうだ。
目安箱:ishiifam@minos.ocn.ne.jp
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