杏子の映画生活

新作映画からTV放送まで、記憶の引き出しへようこそ☆ネタバレ注意。趣旨に合ったTB可、コメント不可。

室井慎次 生き続ける者

2024年11月08日 | 映画(劇場鑑賞・新作、試写会)
2024年11月8日 先行上映
2024年11月15日公開 117分

警察を辞めて故郷の秋田に戻り、事件被害者・加害者家族の支援をしたいという思いから、タカ(齋藤潤)とリク(前山くうが・こうが)という2人の少年を引き取り、暮らしていた室井慎次(柳葉敏郎)。しかし、彼の家のそばで他殺死体が発見され、さらにかつて湾岸署を占拠した猟奇殺人犯・日向真奈美の娘だという少女・日向杏(福本莉子)が現れたことから、穏やかな日常は徐々に変化していく。かつての同僚であり今は秋田県警本部長になっていた新城(筧利夫)に頼まれ、警視庁捜査一家の若手刑事・桜(松下洸平)とともに捜査に協力することになった室井。そんな彼のもとに、服役を経て出所してきたリクの父親が訪ねてくる。(映画.comより)


「踊る大捜査線」シリーズの中心人物のひとりである室井慎次を主人公に描いた映画2部作の後編です。

前編がなかなか見応えがあったので、事件解決を含め期待して観た後編でしたが・・・正直なんじゃそれ!!でした。
思いっきりネタバレになりますが、室井さんの死は百歩譲って有りとしても、その死に方はないんじゃないの?
秋田出身で冬山の寒さ、厳しさは身に沁みている筈なのに飼い犬探して遭難死はあり得ないと怒りさえ覚えてしまったぞ。😡 そもそも、飼い犬なんだから、戻って来るでしょ、普通は。狭心症を抱える彼が危険を承知で出たのなら自殺行為であり、子供たちとの将来を楽し気に語った姿とは矛盾するんですよね。納得いかんぞ。

前編の遺体の顛末についても、桜が室井に自分の推理を語ったあと、本庁があっさり犯人を捕まえるし、黙秘する犯人に一般人となっている室井が取調室で語り掛けたことで自供を引き出すという展開は「昭和の刑事かよ!」と突っ込みを入れたくなりました。被害者も加害者家族も深い傷を負っているって、それ今更ですか😓 

リクの暴力父親(加藤浩次)のせいでひと悶着(杏が猟銃持ち出す)が起きた後、飼い犬を探しに出たまま戻って来ない室井を、それまで彼に否定的に接していた住民が総出で捜索する様子はまるで大々的な犯人捜査に似ていて深刻なシーンなのに失笑してしまいました。それにしても今回も駐在所のおまわりさん(矢本悠馬)のキャラがあまりにも軽くて腹が立つ~。

ともあれ、この作品のテーマが室井個人の生き方ということであれば、この後編の見方も変わってきます。
青島との約束を果たせず失意のまま警察を辞めて故郷に戻ってきた室井は、事件関係者の子どもを引き取ることで希望を見出していきます。前編ではタカの、後編ではリクのことを守り通した彼は、杏に対しても正面から向き合います。
商店の店主(いしだあゆみ)の「子供は皆愛されたい」という言が室井に杏の行動の真意を気付かせるんですね。このエピソードは良かった💛

彼をよそ者として否定していた住民たちでしたが、彼の死後、その思いを知り、子供たちを受け容れ見守り変わっていきます。ちょっと出来過ぎな気もしますが・・・。
「親」がいなくなったのですから、一般的には養護施設に引き取られると思うのですが、本作では子供たちはそのままあの家で住民たちに見守られながら生きていくことを選んだようです。あれ?タカの進学はどうなったんだ??💦

警察関係はどうなったかといえば、新城が室井の思いを受け継ぎ、沖田(真矢ミキ)の後押しを受けて「秋田モデル」として進めていくようです。同期の3人の立場は変わっても思いは受け継がれていくということですね。

そしてラストで室井の家を訪ねていく青島が!
でも呼び出しがかかりUターン。え?帰っちゃうの?そもそも彼は室井の死を知って訪ねたのかそうでないのか・・・

室井はいなくなっても「踊る~」は続くのかもという期待を持たせて幕を閉じたわけです。

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