
2016年1月9日公開 120分
IT関連企業のCEOを務める中原祐馬(竹野内豊)は、他人に興味を持たず、会社を拡大させること以外には目もくれなかった。そんな彼の携帯電話に、一緒に会社を立ち上げ苦楽を共にしながらも会社から追い出したかつての親友・塩谷航平から何度もかかってくる。疎ましく思い電話には出なかったが胸騒ぎを覚え、祐馬は仕事をキャンセルして彼の故郷である富山県新湊の四十物町(あいものちょう)に向かったところ、航平の死を知る。町内会長の西村玄太郎(西田敏行)によると、病のために余命わずかとなった航平は最後に曳山につながりたいという思いから15年ぶりに故郷に戻っていた。頭の整理がつかないままに祐馬は線香をあげようとするが、航平の義兄・鉄也(江口洋介)は会社から航平を追い出し最期の電話にも出ようとしなかった祐馬が腹に据えかね手を上げようとする。航平の娘・瞳(高橋ひかる)の落ち着いた対応によりその場はおさまったものの、航平に子どもがいたことを初めて知った祐馬は驚かざるを得なかった。自分にできることはないか瞳に聞くと、西町から四十物町の曳山を取り返してほしいという答えが返ってくる。四十物町から若者が流出し曳き手が足りない上に曳山の維持費を捻出できずにいる中、潤沢な資金のある新興の西町から今年の祭りは四十物町に曳かせることを条件に、曳山を譲ってほしいとの打診を受ける。曳山は売り買いするようなものではないものの状況が状況なだけにやむなく決断するものの、西町の会長・武田善二(柄本明)は譲渡式が終わるとあっさりと約束を反故。町に戻っていた航平は、今わの際まで武田のもとに足を運び抗議をしていた。一方、東京にある祐馬の会社が不正取引の疑いで強制捜査を受ける。築き上げたものすべてを失った祐馬は、一度口にしたことは実行するとかつて航平と交わした約束を思い出し、東京地検の依頼を受けた富山県警の刑事・岩瀬厚一郎(ビートたけし)の捜査が迫る中、瞳との約束を守るために祭りが間近に迫る新湊に再び向かう。(Movie Walkerより)
江戸時代から約350年続く富山県の曳山まつりが物語の中心となっています。
山車を曳く祭りは全国各地にあり、それはそのまま地域住民の絆を深めるための行事であるのは共通項ですね。
「曳山に繋がる」ことは先祖や町、共に生きる仲間たちと繋がることでもあります。
中原はこれまで仕事が一番大事なワンマン経営者でした。共に会社を興した親友と袂を分かってからは誰も彼に意見できなくなっています。業績を上げるための無理な要求に応えようと、部下は架空取引や水増し請求といった不正行為に手を染め、結果的に社長である中原に還っていくのね
親友からの度重なる電話を無視していた彼が、ようやく電話口に出た時、すでに親友は故人となっています。父の携帯の履歴を見た娘がかけてきたのです。無言のまま切れた電話が気になり訪れた彼は、遺された親友の娘に「自分にできることなら何でもする」と言います。それは彼なりの親友への罪滅ぼしでもあった筈。瞳は彼に曳山を取り戻して欲しいと答えますが、彼女自身、それは実現不可能だとわかったうえでの願いでもありました。
中原はお金で解決しようとしますが、町の人々や親友の曳山への想いを知って、問題の本質は別なのだと悟ります。
会社が危うくなり、自らも出頭しなければならなくなる中で、彼は部下の沢井(松坂桃李)に頼んである文章をネットに流します。それは曳山に対する四十物町(親友)の真摯な想いを綴ったものでした。これが拡散し、強引な西町のやり方に非難が集まります。実のところ西町の、というより町会長である武田の個人的なひがみが根っこにあるんですけどね。
祭りを取り仕切る執行部会で、他の役員から曳山に「繋がった」ことはあるのか?と問われた武田が「一度もない」と答える場面、これ言っちゃ~ダメでしょ!なんですが、物語の進行上は彼のキャラを端的に表すシーンです。
これじゃ~同じ町内の人にも呆れられますし、自分たちの行いを恥じることにもなるよね。
というわけで結局、西町の人たちが町会長を説得して、初めの約束通りに、今年も四十物町が曳けることになり、以後も交代で、という話しに。
お金じゃなくて人の絆が最後に生きるってことかしらん
ところで、沢井は誰も中原に意見できない中でただ一人正論をぶつけた部下ですが、そのことで初め中原は彼をクビにしようとします。
不正取引が発覚した時も、中原のワンマンな態度が招いたのだと指摘しますが、実は沢井は共同経営者だった中原の親友から見込まれていて「もし中原が周囲の意見を聞く耳を持たなくなったら君が・・」と頼まれていたのでした。
それを知った中原は沢井に謝罪し、会社を託すのです。
中原は会社を大きくすることに熱中し、いつしか大事なもの(人との繋がり)を失ってしまった男ですが、親友の死に接し、彼の育った地元の祭りに生きる精神を理解することで、再びそれを取り戻していきます。
曳山まつりの夜の賑やか熱気の中で、衰退していく地方の町にまだ確かに残っている人の絆を感じることができました。
最後に蛇足ですが、東京から離れていた中原を追ってやってきた刑事のシーン、これ必要なの?
IT関連企業のCEOを務める中原祐馬(竹野内豊)は、他人に興味を持たず、会社を拡大させること以外には目もくれなかった。そんな彼の携帯電話に、一緒に会社を立ち上げ苦楽を共にしながらも会社から追い出したかつての親友・塩谷航平から何度もかかってくる。疎ましく思い電話には出なかったが胸騒ぎを覚え、祐馬は仕事をキャンセルして彼の故郷である富山県新湊の四十物町(あいものちょう)に向かったところ、航平の死を知る。町内会長の西村玄太郎(西田敏行)によると、病のために余命わずかとなった航平は最後に曳山につながりたいという思いから15年ぶりに故郷に戻っていた。頭の整理がつかないままに祐馬は線香をあげようとするが、航平の義兄・鉄也(江口洋介)は会社から航平を追い出し最期の電話にも出ようとしなかった祐馬が腹に据えかね手を上げようとする。航平の娘・瞳(高橋ひかる)の落ち着いた対応によりその場はおさまったものの、航平に子どもがいたことを初めて知った祐馬は驚かざるを得なかった。自分にできることはないか瞳に聞くと、西町から四十物町の曳山を取り返してほしいという答えが返ってくる。四十物町から若者が流出し曳き手が足りない上に曳山の維持費を捻出できずにいる中、潤沢な資金のある新興の西町から今年の祭りは四十物町に曳かせることを条件に、曳山を譲ってほしいとの打診を受ける。曳山は売り買いするようなものではないものの状況が状況なだけにやむなく決断するものの、西町の会長・武田善二(柄本明)は譲渡式が終わるとあっさりと約束を反故。町に戻っていた航平は、今わの際まで武田のもとに足を運び抗議をしていた。一方、東京にある祐馬の会社が不正取引の疑いで強制捜査を受ける。築き上げたものすべてを失った祐馬は、一度口にしたことは実行するとかつて航平と交わした約束を思い出し、東京地検の依頼を受けた富山県警の刑事・岩瀬厚一郎(ビートたけし)の捜査が迫る中、瞳との約束を守るために祭りが間近に迫る新湊に再び向かう。(Movie Walkerより)
江戸時代から約350年続く富山県の曳山まつりが物語の中心となっています。

山車を曳く祭りは全国各地にあり、それはそのまま地域住民の絆を深めるための行事であるのは共通項ですね。
「曳山に繋がる」ことは先祖や町、共に生きる仲間たちと繋がることでもあります。
中原はこれまで仕事が一番大事なワンマン経営者でした。共に会社を興した親友と袂を分かってからは誰も彼に意見できなくなっています。業績を上げるための無理な要求に応えようと、部下は架空取引や水増し請求といった不正行為に手を染め、結果的に社長である中原に還っていくのね

親友からの度重なる電話を無視していた彼が、ようやく電話口に出た時、すでに親友は故人となっています。父の携帯の履歴を見た娘がかけてきたのです。無言のまま切れた電話が気になり訪れた彼は、遺された親友の娘に「自分にできることなら何でもする」と言います。それは彼なりの親友への罪滅ぼしでもあった筈。瞳は彼に曳山を取り戻して欲しいと答えますが、彼女自身、それは実現不可能だとわかったうえでの願いでもありました。
中原はお金で解決しようとしますが、町の人々や親友の曳山への想いを知って、問題の本質は別なのだと悟ります。
会社が危うくなり、自らも出頭しなければならなくなる中で、彼は部下の沢井(松坂桃李)に頼んである文章をネットに流します。それは曳山に対する四十物町(親友)の真摯な想いを綴ったものでした。これが拡散し、強引な西町のやり方に非難が集まります。実のところ西町の、というより町会長である武田の個人的なひがみが根っこにあるんですけどね。





ところで、沢井は誰も中原に意見できない中でただ一人正論をぶつけた部下ですが、そのことで初め中原は彼をクビにしようとします。
不正取引が発覚した時も、中原のワンマンな態度が招いたのだと指摘しますが、実は沢井は共同経営者だった中原の親友から見込まれていて「もし中原が周囲の意見を聞く耳を持たなくなったら君が・・」と頼まれていたのでした。

中原は会社を大きくすることに熱中し、いつしか大事なもの(人との繋がり)を失ってしまった男ですが、親友の死に接し、彼の育った地元の祭りに生きる精神を理解することで、再びそれを取り戻していきます。
曳山まつりの夜の賑やか熱気の中で、衰退していく地方の町にまだ確かに残っている人の絆を感じることができました。
最後に蛇足ですが、東京から離れていた中原を追ってやってきた刑事のシーン、これ必要なの?
