
2016年8月27日公開 128分
「武内小夜子、63歳、若くして夫を失った熟年女性です。好きなことは読書と夜空を見上げること…わたし、尽くすタイプやと思います」
結婚相談所主催のパーティで淑女然として老人たちに語る小夜子(大竹しのぶ)。その魅力に老人たちはイチコロである。80歳になる中瀬耕造(津川雅彦)もその一人。小夜子と耕造は互いに惹かれあい、結婚。幸せな夫婦生活を送るはず、だった―――。
2年後、耕造の娘、中瀬朋美(尾野真千子)は病院へと急いでいた。父親の耕造が脳梗塞で突然倒れたからだ。姉の西木尚子(長谷川京子)と病院で合流すると、のんきに着替えを持って来た後妻の小夜子から法外な葬式費用を要求される。かねてから耕造の世話をろくにしていないように見えた小夜子に激昂する朋美と、ただただ唖然とする、主婦で世間知らずの尚子だったが、耕造は快復することなく亡くなってしまう。さらに、小夜子に法的効力のある“遺言公正証書”を突き付けられ、小夜子が全財産を相続する事実を言い渡される。
朋美は同級生の弁護士に助けを求め、さっそく小夜子の調査が始まるが、そこで衝撃の事実が発覚する。なんと小夜子は、金持ち老人を色香で虜にし、後妻に入って金品を巻き上げる“後妻業の女”だったのである!!小夜子は過去に8人もの男と結婚を繰り返しては夫と死別したり、夫の行方がわからなくなっており、その背後には結婚相談所所長の柏木亨(豊川悦司)の影があった。「結婚相談所に限って言えば、男の高齢者がよくモテる。第一条件は資産があること。持病があればなおいい。看取る時間の効率が良いから女同士の取り合いになったりする…」
次から次へと“後妻業”を繰り返してきた小夜子と柏木、2人の悪事を暴こうと奔走する朋美と、調査に協力する裏社会の探偵・本多芳則(永瀬正敏)、小夜子の次のターゲットでありながら、彼女が本気で愛してしまった不動産王・舟山喜春(笑福亭鶴瓶)、そして彼らを取り巻くひと癖もふた癖もある人々・・・。今、愛とお金をめぐるドラマが始まる―――!!!(公式HPより)
直木賞作家・黒川博行氏の小説「後妻業」が原作。同様の事件が現実にあったことでよりリアリティを増して感じられます。資産家高齢者の後妻に収まってその財産を根こそぎ浚って行くのが「後妻業」なんだそうな
小夜子を演じる大竹さんは「黒い家」を彷彿とさせる演技です。毛一筋ほどの罪悪感もなく、次々と男たちを篭絡し、その財産を巻き上げて行く姿はいっそ天晴なほど
映画が終わって場内が明るくなったところで周囲を見回せば、客層は中高年者が圧倒的に多かった
男性率もけっこう高かった
この作品を観て自戒する向きもあったかも
婚活と言えば若い人が対象かと思いきや、長寿化や核家族化に伴う結婚観の変化や熟年離婚の増加で未婚の中高年が増えているのを受けて50代以上の「熟年婚活」が増えているんだそうな
“後妻業”は、そんな世相を背景に、結婚相談所で効率よく相手を見つけてその資産を狙う詐欺商売というわけね。被害者となる元夫たちの顔ぶれも森本レオ、六平直政、伊武雅刀など豪華です
小夜子の共犯となる柏木役はトヨエツ
胡散臭さも超一流
相棒役で
胡散臭いといえば、元刑事の探偵もかなりのもの。最初は正義感から小夜子と柏木を追い詰めているのかと思いきや・・・な展開には「ブルータス、お前もか!」でした。この二人のバトルも修羅場なのに笑えちゃうんです。
登場人物たちの関西弁が内容のあくどさを中和し、ユーモラスさを醸し出しているのかも。
彼女が舟山に惚れちゃったのは資産はもちろんですが、彼の「持ち物」が凄かったから
だって舟山は「棹師」(テクニックで女性を落とす詐欺師ですね)ですもん。でも、お金の話を持ちだされた途端に目が覚めるのが何とも小夜子らしいというか・・笑っちゃいます。そして金を引き出せないとわかった途端暴力男に豹変する舟山
普段温厚キャラの鶴瓶師匠の豹変演技、なかなかのものです
強欲な柏木ですが、愛人の繭美(水川あさみ)には気前がいい
でも彼女の後輩の若い子にす~ぐ手を出して、最後はしっぺ返しを食らう情けなさ
全くこれだから男ってやつは・・・。
小夜子の息子・博司(風間俊介)もかなりのダメ男。ま、この母にしてこの子ありなのですが
互いに利用することしか考えていないドライな親子関係で、遂には最悪な展開に。この時の博司の狼狽ぶりに「こんなダメ息子でも少しは情があるのかしら?」と思った次の瞬間、トランクの蓋を閉める乱暴な動作に
&失笑。やっぱ変わんないな、コイツ
何故か私の一番ツボなシーンでした
ラストで、いよいよ悪事が暴かれるかと思いきや、甦る小夜子
そうだよね~そんな簡単にくたばらないよね。
で・・・おいおい、まだ続けるのかよ、あんたたち!!ほんと懲りない面々
彼らのやっていることは詐欺を通り越して殺人行為です。それでも小夜子の論理ではお金と引き換えにひと時の夢をあげたんだから何が悪いの?ってことになります。
被害者の耕造の隠していた「性癖」や、娘として父とちゃんと向き合っていたのかを考えたとき、長女が小夜子を責めきれない気持ちも少しわかるような
映画では次女主導で小夜子たちの悪事が暴かれていきますが、妹に引きずられている頼りない世間知らずな姉に見えた長女の方が、実は事件の本質を正しく捉えていたんですね
「武内小夜子、63歳、若くして夫を失った熟年女性です。好きなことは読書と夜空を見上げること…わたし、尽くすタイプやと思います」
結婚相談所主催のパーティで淑女然として老人たちに語る小夜子(大竹しのぶ)。その魅力に老人たちはイチコロである。80歳になる中瀬耕造(津川雅彦)もその一人。小夜子と耕造は互いに惹かれあい、結婚。幸せな夫婦生活を送るはず、だった―――。
2年後、耕造の娘、中瀬朋美(尾野真千子)は病院へと急いでいた。父親の耕造が脳梗塞で突然倒れたからだ。姉の西木尚子(長谷川京子)と病院で合流すると、のんきに着替えを持って来た後妻の小夜子から法外な葬式費用を要求される。かねてから耕造の世話をろくにしていないように見えた小夜子に激昂する朋美と、ただただ唖然とする、主婦で世間知らずの尚子だったが、耕造は快復することなく亡くなってしまう。さらに、小夜子に法的効力のある“遺言公正証書”を突き付けられ、小夜子が全財産を相続する事実を言い渡される。
朋美は同級生の弁護士に助けを求め、さっそく小夜子の調査が始まるが、そこで衝撃の事実が発覚する。なんと小夜子は、金持ち老人を色香で虜にし、後妻に入って金品を巻き上げる“後妻業の女”だったのである!!小夜子は過去に8人もの男と結婚を繰り返しては夫と死別したり、夫の行方がわからなくなっており、その背後には結婚相談所所長の柏木亨(豊川悦司)の影があった。「結婚相談所に限って言えば、男の高齢者がよくモテる。第一条件は資産があること。持病があればなおいい。看取る時間の効率が良いから女同士の取り合いになったりする…」
次から次へと“後妻業”を繰り返してきた小夜子と柏木、2人の悪事を暴こうと奔走する朋美と、調査に協力する裏社会の探偵・本多芳則(永瀬正敏)、小夜子の次のターゲットでありながら、彼女が本気で愛してしまった不動産王・舟山喜春(笑福亭鶴瓶)、そして彼らを取り巻くひと癖もふた癖もある人々・・・。今、愛とお金をめぐるドラマが始まる―――!!!(公式HPより)
直木賞作家・黒川博行氏の小説「後妻業」が原作。同様の事件が現実にあったことでよりリアリティを増して感じられます。資産家高齢者の後妻に収まってその財産を根こそぎ浚って行くのが「後妻業」なんだそうな


映画が終わって場内が明るくなったところで周囲を見回せば、客層は中高年者が圧倒的に多かった



婚活と言えば若い人が対象かと思いきや、長寿化や核家族化に伴う結婚観の変化や熟年離婚の増加で未婚の中高年が増えているのを受けて50代以上の「熟年婚活」が増えているんだそうな


小夜子の共犯となる柏木役はトヨエツ


胡散臭いといえば、元刑事の探偵もかなりのもの。最初は正義感から小夜子と柏木を追い詰めているのかと思いきや・・・な展開には「ブルータス、お前もか!」でした。この二人のバトルも修羅場なのに笑えちゃうんです。
登場人物たちの関西弁が内容のあくどさを中和し、ユーモラスさを醸し出しているのかも。
彼女が舟山に惚れちゃったのは資産はもちろんですが、彼の「持ち物」が凄かったから




強欲な柏木ですが、愛人の繭美(水川あさみ)には気前がいい



小夜子の息子・博司(風間俊介)もかなりのダメ男。ま、この母にしてこの子ありなのですが




ラストで、いよいよ悪事が暴かれるかと思いきや、甦る小夜子

で・・・おいおい、まだ続けるのかよ、あんたたち!!ほんと懲りない面々

彼らのやっていることは詐欺を通り越して殺人行為です。それでも小夜子の論理ではお金と引き換えにひと時の夢をあげたんだから何が悪いの?ってことになります。

被害者の耕造の隠していた「性癖」や、娘として父とちゃんと向き合っていたのかを考えたとき、長女が小夜子を責めきれない気持ちも少しわかるような

