杏子の映画生活

新作映画からTV放送まで、記憶の引き出しへようこそ☆ネタバレ注意。趣旨に合ったTB可、コメント不可。

水曜日が消えた

2021年02月10日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)

2020年6月19日公開 104分 G

幼い頃の交通事故をきっかけに、ひとつの身体の中で曜日ごとに入れ替わる“7人の僕”(中村倫也)。性格も個性も異なる7人は、不便ではあるが、平穏に暮らしていた。各曜日の名前で呼び合う彼らの中でも、“火曜日”は一番地味で退屈な存在。家の掃除、荷物の受け取り、通院、、、他の曜日に何かと押し付けられて、いつも損な役回り。今日も“火曜日”はいつも通り単調な一日を終えると、また一週間後に備えて、ベッドに入る。
それは突然やってきた。“火曜日”が朝目を覚ますと、周囲の様子がいつもと違うことに気付く。見慣れないTV番組、初めて聞く緑道の音楽…そう、“水曜日”が消えたのだ。
水曜日を謳歌する“火曜日”だったが、その日常は徐々に驚きと恐怖に変わっていく。残された“火曜日”はどうなってしまうのか―。(公式HPより)

 

中村倫也が7つの人格を演じ分ける作品と思っていましたが、実際には火曜日の僕がメインで、後半に月曜日の僕が登場し、あとの曜日は最後の方でちょっとだけでした。映画を一度観ただけでは、細部がわからなかったので小説のネタバレを拾い読みして納得!小説を先に読んでおけば良かったかな~~。

一週間に一日しか記憶がないって、どう考えても生活に支障が出てしまうと思うけれど、彼らは何とか折り合って生きています。唯一の友達はなぜかやたら構ってくる一ノ瀬(石橋菜津美)だけ。

ところが突然「水曜日」が消えてしまいます。火曜日にとって、飲食店が定休日で図書館も閉館日で、通院日でもある自分の曜日以外の曜日を経験することは新鮮な驚きと喜びに満ちていました。そこで彼は図書館司書の瑞野(深川麻衣)の笑顔に恋をします。

翌週の水曜日の朝も目覚めたのは火曜日でした。一ノ瀬に背中を押され、勇気を振り絞ってデートに誘い、翌週のデートが実現します。映画を観た後で瑞野さんに「初めて会った時のことを覚えていますか?」と聞かれます。話を聞くうちに、彼女が好きになったのは水曜日の「僕」だったと気付くのです。「僕」の意識は正体不明の異常に襲われます。何とか家までたどり着いて薬を飲んでベッドに倒れ込み・・

目覚めたのは翌週の火曜日です。先週の異変を報告しに主治医の安藤先(きたろう)の研究室を訪れたら、先生はいなくて、教え子の新木(中島歩)から、先生がこれまでデータに手を加えて「僕」が治らないようにしていたと聞かされます。

驚きながらも、自分の異変について話すと、新木は人格の自然淘汰が起きているのだと言います。でも手術をすれば7つの人格が統合され、それぞれの記憶も受け継がれると。でも人格が一つになるってことは、全く別の「僕」が生まれる可能性もあるのです。

悩む僕に決意をさせたのは水曜日が引き出しに入れていた図書館の掲示物の飾り切りでした。不器用な水曜日が一生懸命作ったそれを目にして、「僕」は水曜日の気持ちをこのまま消し去ってはいけないと思ったのです。

ところが「僕」の前に月曜日がスマホの画面から語り掛けてきます。酒やたばこ、ベッドに見知らぬ女や男まで連れ込み、やりたい放題な月曜日は既に金曜・土曜・日曜を乗り越えていたのです。(釣り好きな日曜日がスーパーのアジを魚拓にしていたり、土曜日のボードゲームが止まっていたりといった細かいところで伏線が張られていたりします。)

手術に反対する月曜日でしたが、「僕」が16年前の事故の記憶を思い出したことで事態が変わります。

引っ越しの日、車の中で同級生から貰った防犯ブザーを鳴らしたことが事故のきっかけとなったこと、事故の原因を作ったのは自分であり、そのブザーをくれた子が一ノ瀬だったこと。事故の原因が自分が贈ったブザーだと知った彼女が、自分のせいで僕らがこんな身体になったと罪悪感を持っていること・・・。

彼女は他の曜日にも同じように訪れて世話を焼いていたのです。もちろん月曜日にも

たったひとりの大切な友人、自分のせいで罪悪感に囚われている、小学生の時に好きだった女の子・・・彼女を助けるため、全ての曜日の同意をとって手術を受けた「僕」の意識の中で、それぞれの曜日が断片的に登場します。 ジョギングをしてシャワーで汗を流す水曜日。絵を描く木曜日。植物に水をやる金曜日。ゲームをする土曜日。車で釣りに行く日曜日。仲間と野外演奏会を開き、コントラバスを弾く月曜日。

二週間ぶりに尋ねてきた一ノ瀬に火曜日は「あれからずっと一人」と答えます。でもね、実は彼らは7人のままなのね。

エンドクレジットでは各曜日の付箋が登場します。 火曜日が車を買い、各曜日が傷をつける。虫歯ができ、火曜日が歯医者に行く事になる。各曜日が一ノ瀬との関係を聞くけれど、火曜日の付箋は白紙です。 

現実的にはありえない結末だけど、ファンタジーとしては許せるかな

この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 君がくれたグッドライフ | トップ | パレートの誤算 ネタバレあり »
最新の画像もっと見る

映画(DVD・ビデオ・TV)」カテゴリの最新記事