田中悟の片道旅団

大阪で芝居と弾き語りをしています。

舞台のアリス 2

2016年05月09日 | 日記
今日は昨日の続きです。
アリス、あるいはアリスを演じる自分について。

今回の『あるいは四風荘殺人事件』は再演ではありましたが、
僕なりに苦戦した作品でした。

ブラジル蝶の謎
英国庭園の謎
スイス時計の謎
動物園の暗号
不在の証明
あるいは四風荘殺人事件

約6年間で6作品、再演を入れると…もう何を何回上演したのか、
把握出来ておりません(^^;

作家アリスについて、
トークショーでお話したり、
このブログでも何度か書いていると思うのですが、
原作を読んでいても、
僕にはアリスの姿がまったく思い浮かびません。
それはアリスが語り手であるが故でもあるのですが…
おそらく自分が演じるキャラクターであるという思いが強い故に、
一種盲目的になってしまうのかも知れませんね。
自分が演じる役は見え難くなるものなんです、役者って。
全ての役者がそうだとは言いませんが、
少なくとも僕はそんな感じです。

それでも演じる。

初めてアリスを演じると決まった時点で、
役作りに入る前に“リサーチ”をしましたから(^^;
僕の個人的な解釈で、
原作ファンの皆さんのイメージを壊したくなかったし、
PT企画さんの火村シリーズもすでに始まっていて、
こちらのお客様の期待にも応えたかったので、
「自分がどう演じたいのか?」ではなく、
「自分はどう演じるべきなのか?」と考えたのでした。
こんなアプローチは役者をするようになってから初めてのことでした。


※たぶん初めてアリスを演じた時の写真。2009年頃かな?二人とも若い(笑)。

「原作のイメージに近いです」
そう言って貰えるのが最大の喜びです。

でもね、やっぱり自分としては…

未だに小説を読んでもアリスの姿が思い浮かびません(^^;
火村はオオサワくんの姿と声で、
船曳警部はつかささんの姿と声で脳内再生されるのですが、
アリスはまるで透明人間です。

先日、試しに自分の姿を当てはめながら小説を読んでみました。
『不在の証明』で。
そしたら…まあ、当てはまらなくもないのですが、
なんだか頭の中が混乱してしまいました(^^;

これから先もこんな感じなんでしょうね。
一生追いかけるのでしょう。
アリスは空気のような、雲のような、水のような存在。

正直言えば、
僕にあと5センチ身長があればなって思います。
僕の演じ方も変わるだろうし、
アリス単体で見ても、
オオサワ火村とのコントラストを見ても、
アリス度がもっと上がるだろうに…と思うのです。

これは役者の宿命ですね。
髪型やメイクを変えたり、
痩せたり太ったりは出来るけど、
自分の身体以外の“物"は使えない。

田中悟を使って、アリスを表現するのみです。
ハートで勝負です(笑)。


※これは去年の秋。『あるいは四風荘殺人事件』の初演。田中悟


今日のブログの最初の部分で、

~今回の『あるいは四風荘殺人事件』は再演ではありましたが、
僕なりに苦戦した作品でした~

と書きました。

回を重ねるうちに、
自分が演じる作家アリス像というものが、
随分と自分の中に定着してきたんです。
それはいいことでもあるのですが、
パターンをなぞるような芝居になると、
何か物足りなくなってしまうと思うんです。
だから自分が作った演技に抗いたい。


「アリスってどんなやつなの?」


毎回真摯に向き合わねばと思います。
火村とアリスは永遠ですが、
役者は1年1年、年齢を重ねて変化していきますからね。
役へのアプローチは一定ではありません。

これも役者の宿命。
とても幸せな宿命。

「俺の芝居!俺の演技!俺の役!」
って感覚がないんです、アリスに関しては。

皆のアリスをシェアしてる。

原作も、舞台も、テレビも、
火村とアリスは大切な存在。

あと何回アリスを演じることが出来るだろう?
そろそろ役作りより、若作りの努力が必要になってくるかも知れません。

頑張りますよ(^-^)

またフィールドワークで会いましょう☆
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舞台のアリス

2016年05月08日 | 日記
ミステリーイベント『あるいは四風荘殺人事件』。
あらためて終わったな~、と実感しております。

個人的には色んなことと平行しながら、
タイトなスケジュールの中でバタバタとリハーサルに参加し、
一気に本番に突入した印象があるのですが、
それでも本番前と本番中は、しっかり舞台だけに集中出来ましたので、
とても恵まれた環境でのお芝居となりました。

3月後半に少し体調を崩しまして、
体力面に少し不安はありましたが、
2日間4ステージとも元気に演じることが出来てとても嬉しく思ってます。
リハーサルではヘトヘトでしたけど(^^;

短い期間に少ない時間の稽古だったので、
体力が持ったのかも知れませんね。
リハーサルしながらスタミナがついて、
本番では思う存分に暴れる(?)ことが出来ました。
この演目、アリスは本格ミステリーについてパワフルに吠えますので…(^^;
それと会場が広くていっぱい動きまわりますしね、
とにかくアリスは体力勝負でした。


※片桐さんとアリス。


※そこに火村が合流。


さて、

件のドラマがありまして、

有栖川作品とは?
ミステリーとは?
脚本・台本とは?
ドラマとは?
舞台とは?
役者とは?

と、あらためて考える機会を得ました。
考え出すときりがないです。
ずっとずっと考え続けてしまいます。
今の僕がこのブログに綴りたい思いがあるとすれば…

「役者(あるいは僕)にとっては台本が最重要」

ということでしょうか。

僕は一読者として有栖川先生のファンですので、
自分が演じない限りは原作が全てです(^^;
でも演じることが決まった瞬間から、
原作は僕にとって仕事上の“資料”になります。

P・T企画さんは、とても原作を大切にしておられて、
有栖川作品の世界観に対してとても配慮なさってますし、
本格ミステリーに対するリスペクトや造詣がとにかく深い現場です。
なので“資料”だなんて言いましたが、
原作はまさに宝の地図、偉大なるソースです。

そんなことを踏まえた上で、
「役者(あるいは僕)にとっては台本が最重要」なんです。

読むだけじゃなく、感受するだけでなく、
舞台上で表現するのが役者の役目ですからね。
台本という名の海に飛び込み、舞台で泳ぐのであります。


今回、僕のアリスはどんなふうに泳いでいたのか?


ああ、アリスのことを書くと長くなる(^^;


という訳で次回に続きます。
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あるいは四風荘殺人事件

2016年05月06日 | 日記
観客参加型ミステリーイベント『あるいは四風荘殺人事件』、
お陰様で無事に終了致しました(^-^)

初日から大入りとなり感謝でいっぱいです。


※初日の朝、現場でのリハーサル。


※この写真は2日目本番前の会場の様子。

通常の劇場公演と違い、
お客様の人数によってテーブルの数や配置が変わります。
とくにアリスは客席周辺を歩きまわりますので、
各回ごとに動線チェックを欠かせません。
あんまりウロウロし過ぎると、
お客さんの視界を遮ってしまいますしね(^^;
段取りが大切なのです♪


※会場入り口付近の様子。新阪急ホテルさんの雰囲気作りにも余念がありません。



2日間で4ステージ。
何もかもがあっと言う間に過ぎてしまいました。

役者としてお客様の前に出たのは、物凄く久しぶりな気がします。
稽古場では苦戦もしましたし、
本番中もずっと緊張しっぱなしでした(^^;
でもそれでいい。

やっぱり僕はアリスが大好きです。

もっともっとお客様とアリスを共有したいな…とあらためて強く思った次第です。
そのために役者としてやるべきとこ、やらねばならないことは、
いっぱいあります。
簡単なことじゃないけど、
出来ないことでもない。
なので、やるだけです。

またアリスについては別の記事にて思いを綴りたいなと思います。


※恒例(?)楽屋のアリス。


何はともあれ、
『あるいは四風荘殺人事件』無事に終了いたしました。

全ての関係者、そしてご来場頂きましたお客様、
さらには普段からたくさん応援を頂いている皆様に、
心より感謝致します。

有難うございました!

また火村のフィールドワークでお会いしましょう(^-^)
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『あるいは四風荘殺人事件』リハ5

2016年05月02日 | 日記
昨日は『あるいは四風荘殺人事件』最終リハでした(^-^)

この日も夜からの通し稽古1本のみ。

でしたが、稽古の前に…


※カオルちゃんからケンタッキーの差し入れ。


※チキンに群がる役者達…


※余りはジャンケンで。はい、僕負けました(笑)。


昨日は稽古中になぜか緊張してました。

緊張?…何年、芝居しとんねん!

と言いたいところですが、まあ良いことです。
緊張したかったというのが本音だったりして。

なぜ緊張したいのか?
そのへんは自分でも上手く説明は出来ないのですが、
本能的にリハーサルの時点で緊張しておきたかったのでした。

ここ数日は体調を整えることに集中してました。
自分にとってのベストコンディションというのも、
その日その日によって異なる気がします。
その公演その公演によってもまた異なる。
昨日は昨日の、今日には今日のベストがあり、
明日には明日の、明後日には明後日のベストがある。

と言う訳で、いよいよ明日が本番初日です(^-^)


なんでやろか?
今回の個人的なテーマは緊張感。
でも、扉が開いて皆さんの前に飛び出す瞬間から、
いつものように、めっちゃ楽しい有栖川ワールドになるんやろうな…。

その瞬間を楽しみにしています!


新阪急ホテルでお会いしましょう☆





大阪新阪急ホテル主催 探偵たちの夕べVol.7 有栖川有栖原作 火村英生シリーズ
『あるいは四風荘殺人事件』

【日程】5/3(火)~4(水)
【料金】7,500円⇒早期割引6,500円 ※早期割引は4/25まで ※全席指定
【会場】大阪新阪急ホテル 紫の間
【お問い合わせ・チケット】大阪新阪急ホテル
【作品に関する問い合わせ】officeP・T企画 http://pt-kikaku.jimdo.com/
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短歌44

2016年05月01日 | 短歌



恋してる自覚も持たず君のそば飛んでるだけのそんなミツバチ


午後は雨だから帰ると言ったけどもう遅いよね空が鳴いてる


ぼんやりとしている僕の輪郭ときっちりしてる君の危うさ


時間だけ流れる中で見つめてる君のつぶやき僕のつぶやき


愛情と君の微かな面影が散乱してる夢を見ていた


空白にゼリービーンズばらまいて君の隣でブランキー聞く


優しさに寝っころがって重なって夢よりもっと夢見るふたり


空っぽの空気の中で絡まった感情ほどくまで待っていて


大切な何かをいつも忘れてるような気がしてバイバイ言えず


花言葉なんて知らないけど君にフリージアとか捧げてみたい
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