ぶらりドリブルの旅

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DAZN観戦 2020年J1リーグ第31節 横浜FCvsサガン鳥栖

2020-12-07 18:34:46 | サッカー視聴記(2020年以前)

リーグ戦も最終盤で、下位同士の対戦。
それでも今季は残留に向け阿鼻叫喚の声が上がる事は無く、黙々と自身のスタイルの構築に邁進するのが通例となっています。
その代表的な2チーム同士が相まみえる事となりました。

GKにマリノスから朴一圭(パクイルギュ)が加わった事で、ビルドアップ能力が高まった印象のある鳥栖。
最終ラインの後方に後方に朴が控えるという形で厚みを増し、好機を作っていきます。
この日は相手が2トップなためか、ボランチの高橋秀人がセンターバックの脇に降りる「丁の字型」がメインとなった最終ライン。
そのCBには元神戸の宮が出場していましたが、移籍先の鳥栖でもポゼッション重視のサッカーが指標となっていました。
ロングフィードに傾倒しがちな彼のスタイルでは慣れるのに時間を要したか、ここまで出場数は半数にも満たないものとなっていますが、ここから定着できるか。

一方の横浜FC、前回(26節・大分戦)観た時は4-1-4-1という「1アンカー」のフォーメーションを採っておりボールを支配していましたが、この日はオーソドックスの4-4-2。
ビルドアップの形も、鳥栖と同様にボランチ1人が降りての「丁の字型」。
そしてこちらも、CBには元神戸の小林が構えていました。
レンタル移籍ながら、既に27試合出場とレギュラーに近い位置を確保している今季。
完全移籍となるのかレンタルバックかは不明ですが、J1で実績を得れたのは好材料でしょう。(前年はJ2・町田のレギュラー)

ともにチャンス作り合い時間が経過していく中、光ったのは横浜FCの、齊藤功佑と齊藤光毅のホットラインでしょうか。
前半4分に敵陣でのカットから手塚が右サイドへ展開、松浦の低いクロスを齊藤功が胸で落とし、そのボールを齊藤光が拾ってシュート。(ブロック)
13分には田代が齊藤功目掛けてロングパス、こぼれ球となるも齊藤光がカバーして攻撃開始、左サイドで齊藤光のスルーパスに走り込んだ志知が低いクロス。
しかし跳び込んだ一美には僅かに合いません。
一方で21分には、手塚の齊藤光を狙った縦パスがこぼれ、拾った松浦がエリア手前からシュートするもあろう事か齊藤功を直撃。
これを齊藤光がエリア内左でボレーシュート(枠外)と、イレギュラー的に繋がる可笑しな場面も見られましたが。
この齊藤コンビが見られるのもあと僅か、という事を噛み締めながらの視聴となりました。

既に齊藤光は、今季終了後に海外・ベルギーへと移籍する事が決定済み。
先んじるように海外で活躍する久保建英と同級生・連絡を取り合う仲というのもあり、前年からメディアで注目されていた事で、この路線は出来上がっていた感もありました。
移籍先は2部であり、スターダムに伸し上がるには厳しい道が待ち受けているでしょうが、果たしてどれだけステップアップ出来るか。

飲水タイムが23分に挟まれ、明けた後は徐々に横浜FC優勢に傾く試合展開。
そして33分過ぎからは一方的となり、鳥栖は全く好機を作れなくなります。
サイドから崩そうとする意図は見えましたが、左サイドハーフ登録の小屋松が、前半はむしろFWに近い位置でプレーしていたのが気になりました。
反対にFWの本田が左サイドからのパスを下がり目の位置で受ける場面が多く、両者入れ替わっていたのでしょうか。
その所為か推進力も今一つでボールを運ぶことが出来ず。

そんな鳥栖を尻目に、横浜FCはボールを握り、サイドチェンジを交えつつ敵陣で攻撃を仕掛ける時間が長くなります。
しかしシュートに繋げる場面は42分までお預けとなり、その42分には手塚が口火を切るようにミドルシュート。(ゴール右へ外れる)
44分には相手の自陣での繋ぎを阻み続けて分厚い攻撃、拾った松浦からパスを受けた一美がエリア内やや右からシュート。
GK朴が片手でセーブし、齊藤光がさらにこぼれ球を拾うもオフサイド。
もう少しで相手守備を落とせそうな展開を描いていきます。

そしてアディショナルタイム、その切欠は齊藤光の突破からでした。
左サイドで齊藤功→志知→齊藤光と繋がると、そのままドリブルで奥へ進入し、カットインからマイナスのクロス。
これを中央で松浦がシュート、まさに合わせるだけというシュートとなり見事にゴール。
前半終了間際でついに先制に成功した横浜FC、その直後に前半終了を告げる笛が。

逆に終盤は良い所が無かった鳥栖、ハーフタイムに選手交代。
宮に代えて原を投入するとともに、流れを変えるべく戦術もマイナーチェンジを見せます。

しかし後半開始直後から、流れそのままに横浜FCが攻勢。
後半2分は左からスローイン、手塚のパスを齊藤功がフリックでエリア内へ送り、受けた齊藤光がキープののちシュート。(ゴール上へ外れる)
5分には敵陣深めで一美のカットから、齊藤功のエリア内左へのスルーパスに志知が走り込んでマイナスのクロスが入り、齊藤光が合わせるもミート出来ず。
相変わらず積極的に攻撃に絡んでいく齊藤功と齊藤光。

ここから鳥栖もようやくボールを持てるようになり、変更した戦術をお披露目(?)。
ビルドアップの際に左サイドバック・中野は上がらず、3バックの左CBのように振る舞い。
そして右SB・松岡を上がり目とする左右非対称の形を採ります。
しかし攻撃はむしろ左サイドからがメインとなり、前半は中央に寄り気味だった小屋松がサイドに張りボールを受ける事が多くなります。
小屋松の突破力を活かす戦術へとシフトしたかのようでした。

真っ新なチーム故の面白さ、今季の鳥栖を表現するならばそんな感じでしょうか。
今季はポゼッションスタイルをチームに組み込む事に挑戦している金明輝(キンミョンヒ)監督。
彼が起用する選手達も、大卒の新人・ユース出身の若手・2種登録選手と手垢のついていない選手のオンパレードで、チーム作りに非常にやり甲斐を感じている事でしょう。

それでもクラブの現状は経営面で厳しいのは相変わらず、社長である竹原稔氏が辞任を示唆する発言も飛び出す等、存続危機と隣り合わせ。
しかしグラウンドではファイティングポーズを崩す事は許されない。
若手選手の積極起用は、そんな経営事情を受けての事という側面もあるでしょう。
自分達がボールを握る主体的なサッカーに取り組む事で、そんな周囲の雑音を封じ込める、とまでは考え過ぎでしょうか。

新たな変更が馴染みを見せ、再び攻撃権を支配できるようになった鳥栖。
それでも9分にはGK六反のフィードから横浜FCが決定機、齊藤光が中央をドリブルしたのちスルーパス。
これに松浦が走り込み、鳥栖・中野との競争を制してシュートすると、弱い当たりながらもGK朴の左を抜き去ります。
しかし左ゴールポストに当たり、跳ね返りを一美が詰めてシュート、完全に決まったと思われたシュートは鳥栖・松岡の頭でのブロックに阻まれゴールならず。
追加点は薄氷で凌いだ鳥栖。

その後は鳥栖も絶好機を作り、12分には左サイドで攻める姿勢から、原川の縦パスを機に中央突破。
本田のドリブルが止められるも林が繋ぎ、樋口がペナルティアーク内でシュート体勢に入った所を、後方から齊藤功に倒されて反則。
エリアからすぐ手前という位置での直接フリーキックとなりましたが、逆に近すぎて狙いが難しい場面。
キッカーの原川は、小さく蹴り出す→樋口止める→シュートと、相手を動かしてから狙う事を選択しましたが結局壁を直撃。
直後の14分にはGK朴から縦パス攻勢、エドゥアルドの縦パスを受けて小屋松がエリア内左へとスルーパス、走り込んだ林が角度の無い所からシュート。(GK六反セーブ)
良い流れが生まれつつあった鳥栖、直後に高橋秀→森下へと交代。
松岡がボランチに回り、空いた右SBに森下が入りました。
以降は右サイドからも、盛んに上がり目の位置でボールを受ける森下から好機を作れるようになります。

一方前回観た時と同様、後半はひたすら押される展開を強いられる横浜FC。
それでも20分にはカウンターで、齊藤功の縦パスを齊藤光が芸術的なトラップからのターンを魅せ、攻撃を引き出しましたが中山がエリア内で奪われシュートには繋がらず。
両サイドから圧力を掛けていく鳥栖は23分、左サイドでのパスワークを経て小屋松がドリブル→本田とのワンツーでエリア内左へと進入。
低いクロスを送ると、林が跳び込んでヘディングシュートを放ちますが、ボールはゴール上へと逸れてしまいます。
鳥栖の流れは止まらずも、得点は奪えないまま飲水タイムへ。

この後は再び戦術を変更し、今度はオーソドックスなボックス型・左右対称の形でビルドアップを敢行する鳥栖。
28分には林→レンゾ・ロペスへ交代と勝負手を打ちます。

完全に押されっぱなしの横浜FC、もはやポゼッション勝負どころでは無い状況に追い込まれます。
そのため32分に2枚替え(瀬古・齊藤光→安永・伊野波)を敢行した後は、3-4-2-1へのフォーメーションへシフト。
実質5バックという守備を固める手を打ち、何とか逃げ切りを果たそうとします。

これにより、攻め続けるもやや勢いが削がれた感があった鳥栖。
39分には原のスルーパスを受けた樋口が右サイドからクロス、これをニアサイドでロペスがヘディングシュート。(枠外)
ロペスという大砲(?)が弾を放ったもののゴールはならず、逆にその後は横浜FCの攻撃を浴びます。

しかし結果的に、守備専の姿勢を一瞬でも崩してしまったのが拙かった感があった横浜FC。(シュートで終われなかったのも拙かったけど)
41分、攻撃を凌いだ鳥栖はカウンター気味に小屋松が左サイドをドリブルするも、横浜FCのトランジションを受け遅攻に。
それでも中野が左サイドでクロスを上げる場面に持ち込み、中野は上げずに戻し後方・中央に絞り気味の位置から原川のクロス。
これがファーサイドでロペスのヘディングシュートに繋がり、今度はゴール左を捉えGK六反のセーブも及ばずゴール。
分厚い攻撃をようやく結果に繋げ、同点に追い付いた鳥栖。

追い付かれた横浜FC、以降は勝ち越し点を狙いにいくも、勢いは鳥栖。
同点のままATに突入した後は鳥栖が決定機を迎えます。
森下のドリブルから得た右ハーフレーン・エリアからやや手前のフリーキック、キッカー原川のクロスをエドゥアルドがヘディングシュート。
強烈なシュートでしたがGK六反が辛うじてセーブの後ゴールバーに当たり、今度は横浜FCが薄氷で防ぐ事を強いられます。

決定機を逃した鳥栖、以降も本田がヘディングシュート(GK六反キャッチ)を放つなど攻め立てますが、勝ち越しゴールはならず。
1-1のまま試合終了、勝ち点1を分け合い、14位・15位の直接対決での順位は動かずという結果になりました。

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