※前回の松本の記事はこちら(36節・長崎戦)
※前回の新潟の記事はこちら(34節・千葉戦)
試合前の監督インタビュー。
松本の柴田峡監督が、あくまでこの試合を戦ううえでの意気込みを中心に語っていたのに対し、新潟のアルベルト・プッチ・オルトネダ監督。
36節という近い過去まで昇格の可能性を残し、かつ自身は来季の続投が決定している事もあり、イレギュラーなシーズンであった今季を総括するようなコメントを残していました。
反面この試合については殆ど語られず、その差が結果となって表れたのでしょうか。
インタビューの場でアルベルト監督が語っていた通り、現状は満身創痍のチーム状況な新潟。
故障者が膨れ上がり、レギュラーに休養を与える事もままならず、34節(千葉戦)を境に成績は下降線を辿っていっています。
この日はとうとうセンターバックの舞行龍ジェームズが休養となり、苦しさ溢れるスタメンとなりました。(高木善ボランチとか)
試合が始まり、小競り合いが続いた入りを経てペースを掴んだのは松本。
前半5分ロングパスの連続で右サイド奥へと切り込み、鈴木からグラウンダーでクロスが入ると、ニアサイドで久保田・ファーサイドで阪野が合わせにいったもののどちらも撃てず。
しかしコーナーキックとなり、その二次攻撃で高橋のロビングがクリアされたボールを、杉本が拾ってエリア手前左からシュート。(ゴール右へ外れる)
ファーストシュートは松本のモノとなりました。
以降も攻め上がる松本に対し、新潟の流れは今一つ。
9分にはボールとは無関係な場所で島田が松本・浦田を倒してしまい反則。
かなり遠目からのフリーキックでしたが、キッカー・セルジーニョのクロスから橋内がヘディングシュートを放ち(GK藤田和輝キャッチ)、ここでもしっかりとシュートに繋げられました。
そして15分に松本が先制し、それもスローインからの攻撃。
右からのスローイン、阪野が受けにいくもこぼれ、奥で拾った久保田がエリア内右へと進入してクロス。
これが中央へ走り込んだ高橋の頭にピタリと合い、ヘディングシュートでゴールネットを揺らしました。
一方の新潟、今季はボールポゼッションが基調のサッカーを目指していたものの、この日は(前回取り上げた時と同様)ビルドアップに難儀。
開幕直後(正確には中断明け直後)に観た際は、CBの間にボランチが降りて後ろ3枚によるビルドアップ、その形は既に完成に近いという印象を受けました。
しかし高木善ボランチという急造に近い形だった事もあり、その姿は見る影も無く。
舞行龍不在でロングフィードによるチャンスメイクも上手くいかずと、良い所が殆ど見受けられない攻撃と化していました。
スコアが動いた後も松本優勢で時間は進み、飲水タイムへ。(22分)
すると再開後の新潟は、早くも布陣変更を敢行します。
3-4-2-1へとフォーメーションを代え、最終ラインは右から田上・マウロ・早川の3バックに。
ウイングバックは右が矢村・左が堀米となり、鄭大世(チョンテセ)1トップの後ろのシャドーには本間と中島が入りました。(ボランチは高木善・島田のまま)
この変更が早速奏功し、26分には本間がドリブルから好機を作り、中島とのパス交換ののちミドルシュート。
GK圍にセーブされるも、クリアされCKに。
そのCK、高木善のクロスを合わせにいった田上が、後ろから松本・浦田に引っ張られ倒れると審判の笛が鳴り響きます。
しっかりと主審に見られていた浦田、反則・PKを与えてしまう事に。
キッカーを務めた鄭がゴール左に蹴り込み、ネットに突き刺し同点、と思いきや高木が詰めにエリア内に入るのが早かったとされてやり直しに。
嫌な雰囲気が流れたものの、鄭は再度同じ左へと蹴り込み、GK圍は反応するも届かずにゴール。
同点に追い付いた新潟、以降も勢いを得て松本陣内に押し込んでいき、32分にはエリア内で鄭がシュート。(枠外)
布陣変更は大成功かと思われましたが、ここから松本が押し返し攻撃権を独占。
左サイドから攻め、右WB矢村という変更の弱点を突くような振る舞いを見せると、ここから全体もボールロストが多くなる新潟。
その隙を突き、38分には杉本がパスカットから一気にスルーパス、受けた阪野がエリア内に進入してシュート。
ループ気味に狙ったシュートでしたが、新潟・早川の必死のスライディングもありゴール左に外れてしまいます。
それでも決定機はこの場面ぐらいで、ペースは握ったものの勝ち越し点はお預けとなった松本。
アディショナルタイムには新潟もセットプレーの好機を得ますが、不発となり同点のまま前半が終了。
後半を迎えるに辺り、新潟ベンチはさらに動きます。
高木善・中島に代え、荻原・大本を投入。
代わった2人が両WBに入る事となり、堀米がボランチへ、矢村がシャドーへとシフトします。
後半の入りは、前半の勢いそのままに松本が攻勢。
後半2分に杉本が、3分に佐藤がシュートを放ちます。(前者はGK藤田和キャッチ・後者は枠外)
しかし新潟の攻勢へと移り変わり、苦しい状況の中で勝ち筋がほんのり見えるかのような展開に。
5分、ロングパスを左サイドで受けた鄭から、エリア内左へのスルーパスに荻原が走り込みます。(GK圍抑える)
7分には左サイドで本間がサイドチェンジを敢行、右の大本が受けて中央へとロングパス。
収めた鄭から本間→荻原へと繋がり、荻原がエリア内左からシュート。(GK圍キャッチ)
左サイドでの攻撃力が特徴である荻原が、積極的にフィニッシュにいくシーンを見せたこの時間帯。
荻原を活かしつつ、鄭や本間のチェックを緩めたうえで勝ち越しを狙う流れを作る、それがこの日の新潟の勝ち筋に思えました。
しかし新潟の攻勢は途切れ、迎えた10分。
松本は左サイドから常田がスルーパス、受けにいってスルーしたセルジーニョの存在もあり、抜け出しに成功した阪野が一気にGKと一対一の状況に。
そして前半と同様ループ気味のシュートでGK藤田和を抜くと、今度は枠を捉えてゴール。
新潟を再び崖下へと突き落とす勝ち越し点が生まれました。
そしてその通りに、以降の新潟の内容は悲惨なものに。
松本が尚も果敢に攻勢に出ると、アンバランスになった中盤を支配され続け押し込まれ。
13分には佐藤縦パス→阪野左へポストプレイ→セルジーニョキープからクロス→久保田ヘディングシュート(枠外)。
14分には杉本の縦パスを受けたセルジーニョ、ここも左サイドでキープしたのち、今度は巻くシュートを放ちますがゴール右へ外れ。
15分には相手のクリアを常田が繋いで右サイドで攻撃、鈴木の手前からのクロスが合わず、中央へ流れたボールに高橋が走り込んでシュートするもGK藤田和がセーブ。
怒涛のシュート連発を見せる松本、直後の16分。
左サイドでキープするセルジーニョから中央→右へと渡り、鈴木が右サイドをドリブルで奥へ進入。
戻されたのち佐藤からクロスが上がると、ニアサイドで久保田が擦らすようにヘディングシュート、GK藤田和がセーブするもこぼれ球を阪野が詰めてシュート。
必死のセーブを続けた藤田和も力尽き、追加点となる3点目を加えた松本。
以降は新潟もさすがに反撃に出ますが、単調な域を出ず時間を浪費し、飲水タイムへ。(直前の22分に矢村→シルビーニョに交代)
明けた後、松本はさらに追加点を狙いにいき攻勢に。
既に2得点の阪野は25分にエリア手前からシュート(ブロック)、29分にはセルジーニョのヒールパスを受けてエリア内からシュート(ブロック)と、ハットトリック完成を狙うべく果敢にシュートを放ちます。
30分にはCKから、セルジーニョのクロスを中央で常田が強烈なヘディングシュートを放ちましたが、枠を捉えられず。
34分には相手クリアを拾った山本真希(杉本と交代で出場・32分)が縦パス、受けた阪野が巧く反転してエリア内に進入するも、GK藤田和が飛び出して撃てず。
しかしこぼれ球に走り込んだ佐藤がシュート、これが右ゴールポストを直撃と、ひたすらに新潟ゴールを脅かしていく松本。
一方、反撃どころか追加点の心配が高まる状況の新潟。
35分にようやく、田上の縦パスを鄭がポストプレイで繋いでから好機を得、左サイドへ展開されたのち荻原が切り込んでグラウンダーでクロス。
ニアサイドで本間が合わせシュート、しかしGK圍がセーブしてゴールならず。
万策尽きたのか、40分に田上→秋山への交代後は、再び4バックへとシフトした新潟。(堀米がボランチ→右サイドハーフへ)
ボランチ秋山の存在により、後ろ3枚でのビルドアップを行いボールを繋がんとしましたが、正直この形にするならば後半頭からでは無いかとも思いました。
結局以降は効果的な攻撃を行えず。
ATに突入後も、阪野や鈴木がエリア内からシュートを放つ場面を作った松本。
終了直前に新人・村越をデビューさせるという余裕も作り(高橋と交代)、3-1のまま無事に逃げ切り勝利。
チケット完売となって迎えたホームゲームを、完勝という結果で締める事が出来ました。