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DAZN観戦 2024年J1リーグ第33節 柏レイソルvs横浜F・マリノス

2024-10-08 16:13:24 | サッカー視聴記(2024年J1)

<両軍スタメン>

  • 柏ホームだが、↓とは逆のコートで前半スタート。
  • 柏は、犬飼・戸嶋・手塚の3名が累積警告により出場停止。

事前に密かに話題となっていた、「9月無得点のクラブ」と「9月23失点のクラブ」との戦い。
月を変えてもこの流れを継続……とは必然的にいかなくなった、両クラブのぶつかり合いで何が起こるのか。

とはいってもマリノスの失点の多さは、ACL含めたカップ戦を総合してのもので、9月は柏の倍以上の試合数(7試合)をこなした結果という側面もあり。
10月に突入して行われた前試合のACL2節(蔚山戦、4-0)では、憑き物が落ちるかのような完勝。
切り替えに成功した、と証明するにはリーグ戦の勝利が欲しいところですが、その蔚山戦からスタメン9人入れ替えとターンオーバーが必至な状態にも陥り。
果たして「最弱の矛」に対し矢傷を負う事無く、退けられるかどうか。

ロペス・エウベル以外のメンバーを変えたマリノスに対し、柏も出場停止者3人と駒落ち感溢れるスタメン。
ただでさえ「サヴィオ抜きでは攻撃が成り立たない」と揶揄されがちな今季の戦いで、そのサヴィオにかかる期待と重圧は相当なものと推測され。

しかし前半4分、マリノスのパスミスから速攻に入り、白井のスルーパスを中央で足下で受けたサヴィオ。
そこを小池龍に倒されて反則、良い位置での直接フリーキックと、マリノスのターンオーバーに対し早くも不安を抱く入りとなり。
このFKもサヴィオが蹴り、放たれた直接シュートは壁に当たってゴール右へと逸れ。
するとその右コーナーもキッカーを務めるサヴィオと、早くも多岐に渡っての活躍をこの日も見せ付けます。(ここではショートコーナー→小屋松クロス→木下折り返しも不発)

マリノスのビルドアップの怪しさは、前回観た広島戦(2-6)から相当なものでしたが、この日も「柏のコンパクトな布陣に対しボールを持たされる展開」の域を出ず。
そして無理目な縦パスを撃ち込んでは反撃される、という負けパターン(この辺りは前年の同カードと類似)を綺麗になぞってしまいます。
9分、自陣で縦パス→ロペスポストプレイがディフェンスに遭いズレた所を細谷に拾われ、柏のショートカウンターに。
そして前進からサヴィオに繋げ、左ポケットを取ったサヴィオがカットインの姿勢からシュート。
ニアサイドの畠中とGKポープの狭い所をライナーでぶち抜く、見事という他無いフィニッシュでゴールネットを揺らします。
後手に回ったマリノス(ラストパスを送った細谷に、プレスバックしたロペスがチャージしてしまい警告というおまけもつく)に対し、早くもアドバンテージを得た柏。

その後、12分に柏が再びサヴィオがシュートを放つも、加藤蓮がブロックして防ぐとカウンターに繋げたマリノス。(井上が右サイドをドリブルからクロスも合わず)
しかしそれはあくまで例外で、殆どの時間を柏の4-4-2ブロックの攻略に難儀する絵図を築きながら過ごしてしまいます。
GKポープが前に出ての最終ラインでの繋ぎも、ボランチ(攻撃時は山村がアンカー的な位置を取る)を切る柏の2トップを動かす場面は殆ど無く、それによりサイドからの崩しは(サイドハーフとサイドバックで難なく対応するため)全く機能せず。
左サイドでエウベルが降りてボールを受けても、柏はそれに釣られる事無くゾーンを維持するのに徹し、加藤蓮が追い越す動きも効かず。

それでも、形式的には守勢を続ける柏が焦れたのか、20分辺りから自らボール保持を試み。
ゴールキックから短く繋いでプレス回避を図るも、それが悉く失敗。
特に21分はエリアからすぐ手前で榊原がボール奪取、その後エウベルがロペスとのワンツーで左ポケットを取ってシュート(ゴール右へ外れる)と、自らもショートカウンターの恐怖に晒されてしまいます。
これで勝機を見出したマリノス、26分にも敵陣浅めで榊原が奪い、中央を1タッチパスの連続で前進。
そしてロペスがペナルティアークからシュートを放つも、GK松本のセーブに阻まれ。

これを受けた柏はロングボール攻勢へと切り替え、再びマリノスにボールを持たせて守備陣を整える体制に。
再びそれを崩すのに難儀する展開となったマリノス、29分にGKポープ→畠中へのパスがズレ、細谷が詰めにいった所両者交錯して倒れ込み。
反則無しと判断され(映像的には畠中の反則に見える)、拾ったロペスがすかさずドリブルで中央突破と、動きが止まった柏の隙を突く好機に。
そしてミドルシュートが放たれるもGK松本がセーブと、運を絡めながら何とか同点を狙うという展開に。
36分、タッチラインを割ったかどうかという場面で(割っていないという判定に)柏が異議を示した所に、こぼれ球を拾った小池龍から攻撃。
パスワークで素早く中央を突き、ロペスがペナルティアークからシュート(ブロック)と、ここも同パターンでエースのフィニッシュに繋げます。

しかし全体的には、やはり柏リードというアドバンテージの差が表れ。
ゴールキックでロングフィード→木下フリックという黄金手から、敵陣で保持に入って時間を使う立ち回りは、決してポゼッションスタイルを貫くクラブでは無いながらもその重要性を理解しているものであり。
アディショナルタイムでもひたすらパスを回し続け、追い付きたいマリノスの気勢を逸らしながらリードを保つ事に徹し。
それにより結局40分以降、マリノスの攻撃機会は1度のみとなり、1-0のまま前半終了の笛が吹かれました。

どうにか巻き返したいマリノスは、ハーフタイムに動き榊原→ヤン・マテウスへと交代。
右ウイングに入るマテウスにより井上が左に回り、それによりエウベルが1列下がり。
そしてボランチを1枚削った事で、アンカーシステムの4-1-2-3へシフトと攻撃的な布陣を取ります。

この狙いは明白で、加藤蓮とエウベルのイマイチな連係から、左インサイドハーフに移ったエウベルと井上の連係へと切り替えを見せた左サイドアタック。
当然機能しない「偽SB」は影を潜め、ウインガー2人の槍を前面に押し出し柏の右サイドを崩しに掛かりました。

後半1分にいきなりGKポープロングフィード→井上裏へ走り込み→クリアボールを拾ったエウベルが左ワイドを抉ってクロスと、2人の連係らしき動きでCKを獲得。
クロスの跳ね返りから加藤蓮がミドルシュート(ブロックを掠めて枠外)と、フィニッシュとともに押し込む流れも手中に収めかかります。

3分にもエウベル→井上の1タッチでのパス交換で左サイドを突破し、左ポケットを取った井上が奥からクロス。
最初はブロックされるも拾い直してすかさず再度上げ、大外へ流れたボールをマテウスがシュート気味に折り返しましたが、ゴール前で古賀のクリアに阻まれ。
好循環が巡って来た……と思った刹那、クリアボールを拾ったサヴィオから始まる柏のカウンター、お返しとばかりに左サイドをドリブルで突き進むサヴィオ。
そしてエリア内で溜めを作った細谷の戻しを受けてミドルシュート(枠外)と、唯一無二のアタッカーの存在で天秤を戻す柏。

その後5分にそのサヴィオが足を痛めて倒れ込む(恐らくは接触無し)という、柏サイド一同が顔面蒼白となりかねない絵図が生まれてしまうものの、何とか続行可能の運びに。
10分マリノスのパスミスから攻撃開始、サヴィオが左で溜めを作ったのち逆サイドへ展開と、やはりサヴィオの動きからどう展開するかが決まるといった柏の攻め。
そして右ポケットから関根のシュートにも近い軌道でグラウンダーのクロスが入ると、ニアで木下・ファーで細谷がいずれも足で跳び込みましたがどちらにも合わず。
前線3人の助っ人が構えるマリノスと同様、攻めの鋭さなら負けていないという姿勢を示します。

12分、右サイドでパスを出し入れした細谷が加藤蓮にアフターチャージを受けて反則・警告。
攻勢を作り上げたいマリノスの焦りが露呈すると、そのFKでエリア内への放り込みが直接細谷に収まるという、後方の集中力を欠く絵図が生まれ。
右ポケットから放たれたシュートは(ブロックを掠めて)GKポープが何とかセーブするも、総員ベクトルが前に向く中でのエアポケットを突かれるのは避けたい展開となり。

17分にマリノスベンチは再度動き、小池龍・エウベル→渡邊泰基・天野へと2枚替え。
渡邊泰が左SBに入る事で、加藤蓮が右へと移るという具合にまたもポジションチェンジを絡め。
しかしエウベルが退き左サイドの突破力が削がれ、どう崩すかという難題を抱える事となり。
その結果、またもボールを持たされている状態に突入してしまいます。
山村が最終ラインに降りる、3枚での繋ぎという場面を増やして保持を安定させに掛かるも、今度は一列前の所で苦しむ事となり。
つまりは前へのパスを受けた所で柏のタイトな寄せに難儀するシーンが増え、結局ロクにボールを運べずと、手詰まり感漂うマリノス。

すると柏のシンプルな攻撃にも苦しめられ、23分にGK松本のロングフィードの跳ね返りを拾ったサヴィオがドリブルに入り。
そしてエリア内へのスルーパスに走り込んだ細谷がシュートと決定機が生まれるも、判断良く前に出たGKポープが全身でのセーブでこれを防ぎ。
直後の左奥からのスローイン(その前に柏ベンチは白井・木下→垣田・熊坂へと2枚替え)でも、ワイド奥の位置からサヴィオが果敢にシュートを狙い。
これもGKポープがセーブと、2点目はやらせずも、守護神頼みの展開という戦評が定着しかねない状態に陥ります。

その後も柏のCK攻勢にひとしきり脅かされた末に、27分に再度交代。
山村と植中に代えて西村とジャン・クルードへ2枚替えと、早くも5枚のカードを全て使いきりました。
以降広範囲を動き回るクルードを軸に、サイドに人数を掛けて攻め上がる姿勢を取るマリノス。
後半は上がる局面が少なかったSBも、30分にクルードからパスを受けた加藤蓮が右からカットインシュート(ブロックに当たり枠外)と、前線で好機に絡むシーンが膨らみます。

しかし後方の安定感の無さはこの日も健在で、32分に再びGK松本のロングフィード(ターゲットは細谷)、こぼれ球を渡邊泰がクリアミスしてエリア内へ。
そして拾った垣田のシュートをまたもGKポープがセーブと、攻撃力が衰えているにも拘らず、守備力の脆さは従来通りというアンバランスぶり。

そんなマリノスとは打って変わって守備面では集中を切らさない柏も、30分に山田が足を攣らせたのを皮切りに、細谷や小屋松が足を攣らせるという具合にダメージを露わにしてしまった30分台。
そして40分になる所で、小屋松・細谷→島村・熊澤へ2枚替え。
ボランチが手薄なため山田を残す選択をせざるを得ないという、天皇杯・筑波大戦を彷彿とさせるやり繰りを強いられます。

サイド奥を取っても、フィニッシュにはいかず保持を続ける柏。
完全にリードを守りにいくその体制を、何とか断ち切って反撃せんとするマリノスという終盤戦に。
それ以前の37分に、中央からマテウスミドルパス→左ポケットで井上折り返し→天野ヘディングシュートと決定機が生まれるも、ゴール前で古賀のブロックに阻まれ。
しかしその攻撃的なスタイルとは裏腹に、攻撃機会で柏>マリノスという展開を強いられたのは屈辱以外の何物でも無いでしょう。

目の色を変えて攻めるマリノス、両SBとも「偽SB」の立ち位置を取り入れるなど、全員で崩さんとする姿勢を見せ始め。
それでも柏は最後まで堅守を貫き、ボックス内を突かれてもすかさずのカバーリングで撃たせず。
結局完全な攻勢に入っても、ゴールの匂いは最後まで高まらずとなりました。

そのまま1-0で試合終了の時を迎え。
マリノスにとっては1点で済んだという展開ですが、それでも敗戦と事態の深刻さは極まりつつあり。
シーズン終了までに、脱する事が出来るかどうか。

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DAZN観戦 2024年J2リーグ第34節 藤枝MYFCvsいわきFC

2024-10-07 16:00:43 | サッカー視聴記(2024年J2)

※前回の藤枝の記事はこちら(31節・仙台戦、3-2)
※前回のいわきの記事はこちら(31節・長崎戦、0-2)

<藤枝スタメン> ※()内は前節のスタメン

  • 前節(大分戦、0-2)退場となった山原(警告2度)・中川創がともに出場停止。
  • 前回同様、DAZNのスタメン予想では梶川トップ下の3-4-1-2。

<いわきスタメン>

  • 山口が累積警告により出場停止。
  • 前回同様、オリジナルフォーメーションはアンカーシステムの3-3-2-2(3-1-4-2)だが、守備時は3トップの立ち位置なため3-4-2-1に近い感覚。

昇格2年目同士の対戦。
そしてそれを、ともに昇格争いに加わった中で迎えるとは誰が予想したか……と感慨深くなるのは全てが終わった時で良いでしょう。
そんな思いとは裏腹に、悪天候となった藤枝ホーム・藤枝総合運動公園サッカー場での一戦。

気象条件に加え、最終ラインに2人も出場停止者が出た藤枝。
そのため立ち上がりはいわきのプレッシャーもあり、中々本来の形である、GK北村が加わっての最終ラインのパスワークの姿勢を取れず。
モヨマルコムのスピード・推進力を活かす立ち回りが中心となりました。
そんな中で前半5分、川島が低く鋭いロングパスを供給し、収めた矢村の右への展開からボールを持ったモヨマルコム。
ここでは追い越した久富を使い、スルーパス→久富がグラウンダーでクロスという流れを経て矢村のシュートに繋げ。(柴田がブロック)

一方のいわきは、純粋に浮き球の長いパス主体に組み立て。
有馬をターゲットとしたボールを送り、そこから敵陣で組み立てを図るというパワーサッカーの典型を描きます。
しかし12分、敵陣でのパスワークをカットされて藤枝のカウンターになる(モヨマルコムが持ち上がるも、遅らされて鈴木の左からのクロスで終わり)という具合に、それだけではペースを掴めず。

14分藤枝が中盤でパスミスを犯し、拾って矢印を反転させると、ミドルパスを受けた有馬のスルーパスで右奥を突いての好機。
クロスでは無くポケットを窺っての戻しを選択し、柴田がミドルシュートを放つも枠を捉えられず。
続く15分には最終ラインで保持する藤枝でしたが、川島のロングパスが眼前で有馬にブロックされてショートカウンター。
ボール確保したいわき、左から坂岸のアーリークロスを谷村がヘディングシュートに持ち込み、ゴールを襲ったものの右ポストを直撃して跳ね返り。
ハイプレスを有効にさせた事で、間近の得点をもぎ取らんとします。

委縮しかねない流れでしたが、次の局面でGK北村が前に出てのパスワークを解禁。
すると16分、鈴木の中央への縦パスを起点として前進し、左サイドを突いた大曽根のクロスは流れるも逆サイド奥でモヨマルコムが拾い継続。
相手も守備が固まりここからどうするかという所で、戻しを経て手前からのクロスを選択すると、新井のクロスが前に出たいわきデイフェンスの裏を突いた所に矢村が走り込み。
そしてアクロバティックにボレーで合わせてのシュートがゴールネットを揺らし、先制点に辿り着きます。
本来の形での初手を、最高の結果に繋げた藤枝。

これで自信を得たか、19分にもいわきのプレッシングをGK北村の縦パスでいなし、中央での前進から右へ展開。
モヨマルコムを追い越した久富のクロスがブロックされコーナーキックになり、尚も右スローインで続きセンターバックも上がったまま継続。
そしてパスワークを経て上げられたクロスを川島が合わせるも、このヘディングシュートはゴール上へ惜しくも外れ。

相手に局面を大きく変えられてしまったいわき。
それに従うかのように、自身も地上での繋ぎへと攻撃の軸を切り替えに掛かり。
22分に大森→石田→坂岸→柴田と繋ぐショートパスでプレス回避に成功すると、堂鼻ミドルパス→谷村フリック→有馬と前線へ届け。
そして有馬が倒されながらも左に展開し、坂岸が左ポケットへ切り込んだものの、戻ったモヨマルコムの反則気味のデイフェンスに阻まれます。
攻撃だけでなく、守備でもモヨマルコムの身体能力に悩まされる格好に。

その後も地上でショートパス・縦パスを駆使して反撃せんとするいわきですが、やはりそれ以外の手段の方が効率良く映り。
藤枝も自身の攻撃姿勢を崩さずにペースを維持せんと努める時間帯のなか、展開されたのがカウンター。
32分にクリアボールを坂岸レイオフ→堂鼻ミドルパスで敵陣へ届け、さらに山下のスルーパスで裏を突いたものの、エリア手前で受けた加瀬からそれ以上は前進出来ずに終わり。
35分には藤枝のCKから直接カウンターという願っても無い絵図となり、連続のスルーパスで裏を突くも、2度目の坂岸→加瀬へのパスがオフサイド判定に引っ掛かり。
結局カウンターも実らずという結果に。

藤枝は41分、最終ラインでプレッシャーを浴びてGK北村がロングフィードで逃げ。
しかしそのセカンドボールを拾う形で、確保ののち右からモヨマルコムが切り込む絵図となると、スルーパスと見間違うようなアーリークロスがグラウンダーでエリア内へ。
走り込んだ矢村が跳び込んで合わせ、威力が足りずGK立川にキャッチされるも、遅攻・速攻どちらもが巧くいかなくなったいわきの心を突くような好機を作り上げ。

その通りに、残り時間は藤枝が攻撃権を握り続けるも、追加点は得る事が出来ず。
1-0のまま前半終了を迎えると、順風なはずの展開が劇的に変えられる事となりました。

後半を迎えるに辺り、降りしきる雨は一層勢いを増し。
それに伴い、ピッチ上の水分が絵図を変えるのに一役買う、つまり「田んぼサッカー」に塗り込められるのは必至となった試合。
そして追い掛けるいわきは、それに伴うように坂岸・西川→五十嵐・近藤へと2枚替え。
ターゲットとロングスロー要員を入れる、アバウトな展開が予想される試合に備えての采配となりました。

迷いの無くなったいわきは、入りでいきなり敵陣でのボール奪取から好機。(有馬の左からのクロスを近藤が合わせるもミートせず)
続く後半2分にも五十嵐のボール奪取から前進し、有馬の左ポケットへのスルーパスに谷村が走り込み。
そしてシュートしに足を振るも、ブロックで方向が変わりファーへのクロスのように浮き上がると、加瀬が大外で押し込みましたが枠を捉えられず。

いきなり泥臭くペースを掴んだいわき。
対する藤枝も、パスワークによる組み立てがままならないと踏んでロングボール主体へと切り替え。
これにより乱戦模様となる展開で、みすみすいわきの術中に嵌るようでしたが、天候に逆らえないのは必然であり仕方無く。

それでも8分GK北村が直接裏へロングフィード、受けた矢村→大曽根へのスルーパスに堂鼻が蓋をするも、大曽根が奪い返し。
その勢いのまま堂鼻に反則を受けた事で、左奥からのフリーキックを得た藤枝。
キッカー梶川のクロスは跳ね返されるも、再度左で受けた梶川のクロスがゴールに向かうボールとなり、GK立川が辛うじてCKに逃げるセーブ。
続くCKからもキッカー梶川のクロスの跳ね返りを矢村がミドルシュート(枠外)と、悪天候への順応姿勢を見せ始めます。

しかし12分に藤枝ベンチが動くと、キッカーの片翼を担っていた梶川に代えて河上。
この悪コンディションを嫌ってか、早めに頼れるベテランを退けるリスク回避の格好となりましたが、それに伴い失速傾向に陥り。
加えてピッチ上の水分も増し、特にメインスタンド側はバウンドせず着水という、最早綺麗なサッカーに期待する方がおかしい状態と化します。

15分にその通りの絵図が生まれ、空中戦で右往左往した末に、左サイドに「着水」し止まるボール。
それをすかさず五十嵐がスルーパス、左奥に蹴り込まれた所に有馬が走り込んでクロス(クリア)と、その条件を積極的に味方に付けんと振る舞ういわき。
采配面でも、17分に加瀬→ブワニカへ交代と露骨なターゲットの増員を図ります。(有馬が右ウイングバックに回る)

もう一つ期待されたロングスローという面では、左サイド深めで獲得し、CBを上げる状態となっても短く投げ入れる絵図が目立った五十嵐。
20分に逆の右サイドでのスローインになり、わざわざ五十嵐がやって来て同じ体制を取ったものの、ここでも短いものを選択した末に石田がクロス。
GK北村がパンチングで弾き返すも尚も攻めは継続し、逆の左から山下のクロス、再びの跳ね返りを拾った谷村がミドルシュート。
ブロックされるもエリア内での空中戦の末に右CKに持ち込み、キッカー山下のニアへのクロスをブワニカが合わせ。
フリック気味ながらも鋭いヘディングシュートが襲いましたが、ゴール上へと外れ同点ならず。

元来のいわきのパワーに加え、水流も襲い掛かるといった展開で守勢となる藤枝。
25分にさらにベンチが動き、ウエンデル・アンデルソンの両助っ人を投入。(世瀬・大曽根と交代)
ウエンデルが左CB・アンデルソンが左シャドーに入る事で、鈴木が左WB・河上がボランチへシフトとポジションチェンジを絡め、強度を高めに掛かりました。

浮き球パス→フリックというアバウトな手法の定番も、ブワニカのフリックが高く舞い上がり、結局自ら拾いにいく事となる(28分)などこの悪天候で乱れがちに。
それ故に五十嵐のスローインも、小細工せず直にロングスローを入れる姿勢へと切り替わりを見せ。

いわきが攻撃機会を重ねる展開がずっと続いたものの、迎えた33分。
いわきのクリアボールが水たまりで止まった所をモヨマルコムが拾うという、天候が味方する形で藤枝のターンになると、河上のミドルパスですかさず右サイド裏を突きに掛かり、長距離を走った千葉がクロス。
ブロックに当たるもアンデルソンが拾い継続(右奥でパスワークもズレてタッチを割って終わり)と、こちらも泥臭いサッカーに慣れを示し始めたでしょうか。
その後は中盤からのFKでも放り込みを選択と、開き直りを見せ対抗する藤枝。

こうなると、1点ビハインドのいわきは更に上回る手段が必要であり。
37分に柴田→熊田へ交代と、アンカーを退ける思い切った手法を選びます。
すると石田を右サイドバックに置いた4バックへ切り替えると、アンカー山下の4-1-2-3へシフト。
有馬・谷村をインサイドハーフとし、残りのターゲットマンがそのまま3トップという大胆な布陣と化しました。
谷村も再三最前線でフィニッシャーに回るため、4トップとも取れる絵図を前面に押し出し。

この超攻撃的といえる布陣で、藤枝の牙城を崩しに掛かり。
41分、藤枝のクリアミスでこぼれた所をすかさず五十嵐がエリア内へ浮き球を送り、ブワニカが脚で合わせて右ポケットへ流れた所に近藤が走り込み。
辛うじてクリアされるもセカンドボールを拾い継続と、総員突撃のように攻め上がった末に左CKに繋げ。
そしてキッカー山下のクロスからまたもブワニカがヘディングシュート(枠外)と、再三押し込んだ末のセットプレーが脅威となり得る流れと化し。

そして43分、藤枝の攻撃を凌いでのクリアボールを、近藤フリック→熊田→谷村スルーパス→ブワニカと1タッチでの運びで、前掛かりな相手の裏を突き。
クリアされて左スローインになるも、五十嵐のロングスローが満を持して襲い掛かり、ニアに入ったボールに合わせにいく大森。
競り合いのなかクリアされるも、小さくなった所を有馬がボレーシュートに持っていくと、ゴール左へと突き刺さります。
FW総動員の姿勢がついに実り、同点に追い付いたいわき。

落胆しても可笑しくない土壇場での失点ながら、その色は見せない藤枝。
直後のキックオフ、いきなり矢村がセンターサークルからのドリブルで意表を突きに掛かり。
溜めを作ってからの左への展開で、河上のアーリークロスに千葉が合わせるという状況を生み出し、足から跳び込んで放たれたそのシュートをGK立川が何とかセーブ。
これにより少ない残り時間ながら、双方我武者羅に勝ち越しを狙う、ほぼ同等の立場である両クラブが織り成す熱い展開に突入します。

アディショナルタイム突入後も、激しい好機の入れ替わりの連続となるも、やはりパワーに勝るいわきへと針が振れ。
堂鼻が右ワイドで前に出てボール奪取と、4バックのCBとはかけ離れたような果敢な姿勢から好機を作ると、スルーパスに走り込んだ石田が右奥からクロス。
そして谷村のヘディングシュートと、得点ランキング2位のフィニッシュがこの局面で襲い掛かるも、GK北村のファインセーブに阻まれ。
尚も攻勢を続けるいわき、その後クリアボールを素早く繋ぎ左からの近藤のクロスを、フリーの熊田が合わせる決定機。
しかしこのヘディングシュートはゴール上へ外れてしまい、モノに出来ず終わり。

結局1-1のままスコアは動かず、痛み分けで終了。
プレーオフ圏入りを目指す中で手痛い引き分け、特に藤枝にとっては厳しい状態となりましたが、泣いても笑っても残り4試合。
駄目でも失うものは無いという、思いきった姿勢で臨んで欲しいものです。

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DAZN観戦 2024年J3リーグ第30節 松本山雅FCvs奈良クラブ

2024-10-04 18:27:52 | サッカー視聴記(2024年その他)

<両軍スタメン>

  • 松本ホームで、前半キックオフは↓と逆のコート…だったが、コイントスでコートチェンジされて結局↓の通りにスタート。
  • 奈良は、下川が前節退場となった(警告2度)ため出場停止。

J3の中では、相対的な強者というクラブ規模の松本。
しかしそれが有効活用されているとはいえない、2022年からのJ3生活を余儀なくされている状態であり。
高性能のエンジンがひたすら空回りを続けるようなその姿は、傍らから観ている分には可笑しくもありますが、待っているのは無駄な浪費という厳しい評価。
今季も昇格争いのなか後方から追い掛ける立ち位置と、周囲満足させるにはまだ不十分といった所でしょうか。
この日は、監督交代で降格危機を凌ぐという立場の奈良との一戦。

その奈良の新監督は、5年ぶりの監督業となった中田一三氏。
京都監督を辞してからJリーグとは距離を置き、前年にJ2・清水のコーチに就いていただけに、今回もサプライズ気味な就任となり。
前回同様に外野から独特な視点をクラブに齎してくれるでしょうか。
なおこの日はピッチサイドでの声出しをコーチにほぼ任せるなど、京都時代同様コーチに多大な権限を渡しているようであり。

松本ボールのキックオフ、初手はいきなり菊井のセンターサークルからのドリブルと意表を突いたもの。
ロングパス・奈良のディフェンスが挟まれ、拾った菊井が右奥に切り込む所までいきましたがタッチが長くゴールラインを割って終了となり。

松本サイドは周知の通り、村越や菊井が降りる事による可変で、サイドバックを高い位置に押し上げてのビルドアップが中心。
一方の奈良は、その可変を殆ど行わなずの繋ぎの姿勢。
監督交代から間も無い為難しい事はしないという判断か、ないしは「可変せずともポゼッションを高める事は可能」という思惑の下か。
中田氏就任以降、これまではロングボール中心のサッカーを徹底していたとの事で、そうなるとやはり前者の意識が強いものだったでしょうか。

開始10分間は、お互い良い時間帯を持った一進一退の攻防。
試合の天秤が動いたのが前半11分、奈良のビルドアップに対し、ボランチ(堀内)に対し同じボランチである安永が詰めてボール奪取に成功した松本。
そして自ら切り込んでのショートカウンターになり、右ポケット奥に切り込む絶好機を迎えましたが、追走してきた堀内に倒されて撃てず。
反則の笛も鳴らずと、ホーム・サンプロアルウィンのスタンドに多大な不満を与えるに至ります。

これでややもすると逆上気味となった松本ですが、空回りさせる事無く攻勢に入り。
13分に右サイドからの前進、菊井のスルーパスに走り込んだ安藤のクロスがブロックされ、コーナーを得ての攻撃。
ショートコーナーからの繋ぎを経て、角度を付けての低いクロスを選択したキッカー山本龍。
これをニアに走り込んだ安藤が合わせにいき、澤田と縺れながらもこぼれたボールがそのままゴール内へ転がり込みます。
最初は安藤が掠らせてのゴールゲットと思われましたが、澤田にしか当たっていなかったため(そしてクロスが直接枠を捉えていたため)山本龍のゴールとなり。
いずれにせよ、無事に攻勢をスコアに繋げた松本がリードを奪いました。

この日も、強敵相手とあり一筋縄ではいかない展開を強いられる事となった奈良。
しかし17分、左サイドを西田・岡田優の連係で突破してビルドアップを成功させると、ポケット奥からの岡田優のクロスをニアでケンチザンガが合わせ。
これが中央へと浮き上がる絶妙なフリックになると、大外から入り込んできた生駒がボレーシュートを放ち、ゴールに突き刺します。
ファーストシュートでの得点で、すぐさま同点に追い付き。

これで視界良好といった奈良ですが、直ぐにアクシデントに襲われ。
19分に堀内が足を痛めて倒れ込み、さらに松本サイドが攻撃を止めなかったため、数的不利での守備を強いられ。
何とか撃たせずに切ったものの、堀内は続行不可能となり交代を余儀なくされる事に。
同じボランチに、森田が投入され急場を凌ぎに掛かります。

得点により、この日の地上で繋ぐ姿勢をさらに固定化させる奈良。
しかし松本も、サイドハーフが前に出てしっかりと3バックに対し嵌めにいくプレッシングが基本姿勢のため、この局面での勝負を制さなければ前進はままならず。
25分、右から前進と見せかけてGKまで戻し、相手を引き込んだ所でGKヴィトが逆の左へフィードを送って脱出。
そして西田のドリブルで敵陣中盤まで持ち込み、パスワークで右へ展開ののちエリア内を突きに掛かる(生駒の浮き球パスで國武が裏を突くもクリア)という具合に、あくまで逃げずに挑み続けます。

しかしまともにぶつかり合う結果、個の力で勝る松本が攻撃機会で上回る流れに。
流動性の高い松本のビルドアップに対し、ハイプレスを掛けるのは分が悪く、自陣で構える意識を高めるというこちらの面では下手に勝負を挑まない立ち回り。

それにより松本も、パスを繋ぐもののセットプレー以外では中々フィニッシュワークに入れず時間を浪費していき。
しかし40分、奈良の最終ラインに対しプレスを嵌め、パスミスを誘って敵陣深めでの左スローインと矢印が反転。
安永・山本龍との細かな繋ぎから、安藤がカットインを経てハーフレーンからミドルシュート、これが左ポストを直撃。
跳ね返りをすかさず村越が詰めましたが、鈴木のブロックに阻まれて惜しくも決められません。
奈良の立ち回りから、やはりハイプレスによるショートカウンターが、最も可能性が高いといったこの日の松本。

しかしその後も松本のボールポゼッションによる攻撃は続き、菊井が降りるのに伴い、ボランチが前に出てチャンスエリアを突く絵図が増えるなど流動性は加速。
アディショナルタイム、佐相が右サイド奥を取るも、戻しから菊井のミドルパスで右ポケットを突く攻撃。
走り込んだ安永のポストプレイを経て、山本康が1タッチでシュートを放ちましたがふかしてしまい。
流れるようなパスワークも、詰めの部分が今一つといった松本サイド。

結局1-1のまま前半が終了。
早い段階で共に得点するも、その後動かなかった事で、後半は我慢の時間が長くなる事を暗示していたでしょうか。

迎えた後半開始、固定ポジションでのボール保持というスタイルはあくまで変えない奈良。
しかしパススピードを速くしたり、一つ飛ばしのパスを多用する変化を付けて松本のプレッシングを無効化するシーンを目立たせます。
前に出て来る松本SHに対し、鈴木→澤田への速く長いパスで小谷を飛ばす事で、プレッシャーのタイミングをずらして繋ぐのを容易にするという具合。

対する松本も、後半3分にケンチザンガへの縦パスを常田が前に出て潰しボール奪取。
そして拾った安永が前進し右ポケットへパスとショートカウンター、受けた佐相が奥へ切り込んでシュート。
対してGKヴィトが距離を詰めてブロックのような形でセーブと、決定機を防ぎます。

一方松本の主体的な攻撃は、要所での1タッチパスで崩す意識が高まったでしょうか。
しかし8分に野々村の縦パスから村越が1タッチで出されたスルーパスに菊井が反応できずと、精度と意図を欠く格好で中々繋がらず。

奈良の繋ぎの変節により、松本もプレスが機能しない事でリトリートの意識が強まり。
それを見るや鈴木や澤田が持ち運びでスペースを突き始め。
相手の姿勢に対して適切な手段を取る事で、ペースを奪いに掛かり。

11分に森田のロングパスで裏を突き、岡田優がトラップで抜け出しに成功しかかりますが、前に出たGK大内がクリア。
しかしセカンドボールを拾っての繋ぎから、神垣縦パス→國武フリックで再度岡田優が裏を突き、エリア内からシュートを放ったもののゴール右へ惜しくも外れ。
回数は少ないながら、先制点のような鋭い攻めも何度か見られるようになる奈良。

対する松本は攻撃機会は相変わらず上回るも、アタッキングサードでのパスミスが目立つなど精度の面で劣り。
先んじて動く事を強いられるのはある意味当然で、17分に山本龍・安藤→馬渡・山口へと2枚替え。
馬渡が右SBに入る事で、樋口が左に回るというポジションチェンジも絡めます。

さらにこれにより、SBがひたすら高い位置を取る攻撃の一辺倒を改め。
馬渡が後方に残り、バランスを取りながら自らも「偽SB」の動きで前線に絡むなど、経験豊富らしく一味違った攻めを加える馬渡。

その交代策の効果が出る前に、奈良は19分に生駒右ポケットからグラウンダーでクロス→ケンチザンガシュート。(ブロック)
直後にも後方から間を通す縦パスを経て、右サイド奥を取った生駒のクロスの跳ね返りを拾った神垣がミドルシュート(ゴール上へ外れる)と、ペースを保ちゴールを狙い。
しかし決められずに終わると、松本ペースへと針が傾くのを止められず。
馬渡を軸とし、佐相をはじめとした前の選手が躍動する右サイドアタックに難儀する時間が続きます。

26分にさらに松本ベンチが動き、山本康→國分へと交代。
対する奈良も28分に動き、ケンチザンガ→パトリック・グスタフソンへと交代。
しかし依然として松本の流れは続き、29分に再度佐相・菊井により右サイド奥を窺い、菊井が右ポケットへのカットインを経てシュート。
GKヴィトがセーブし、跳ね返りを佐相がさらに折り返すもこれもヴィトが抑え。
守護神の奮闘による凌ぎ、という展開が避けられなくなってきた奈良。
以降は守勢を貫き、松本にブロックの外側でのパス回しを押し付ける事で、何とか破綻を防ぎます。
容易な崩しは出来なくなった松本ですが、これにより(GK以外)全員敵陣に入り込んでのパスワークの機会も増え、「後は無駄にカウンターを喰らわなければ……」という流れにもなり。

奈良は投入されたグスタフソンを使ってのカウンターを何度か試みるも、彼にスルーパスを送っても単騎のみではやはり厳しく。
松本ディフェンスも適切に対処し、シュートチャンスが生まれる事はありません。
その間に勝ち越しを果たしたい松本も、奈良の堅守を崩しきるまでには至らず、フィニッシュも激減します。

そんな流れで終盤を迎える、といった所で、松本は最後の交代を準備。
しかしその最中に安永が足を痛める事態が発生(37分)し、一旦取りやめて微調整を強いられる事に。
憚らずもそれによるブレイクで、まるで飲水タイムのように両陣営ピッチサイドで過ごす時間が生まれる事となりました。
そして松本の交代(40分)に合わせ、奈良も最後のカードを切る事に。
安永・佐相→住田・滝へと2枚替えした松本に対し、西田・國武→都並・嫁阪とこちらも2枚替えを敢行した奈良。

依然として、攻め込むもシュートを撃てない松本・攻める機会が殆どない奈良という展開は変わらず。
44分、奈良は自陣での奪い合いから、神垣がボールを確保してドリブルに入り。
カウンター突入かと思われましたが、あろう事かドリブルのコースがグスタフソンと被ってしまいボールロスト、村越が拾い逆に松本の好機に。
そして左サイドへ展開ののち、住田のファーへのクロスを奈良がセーフティにクリアした事でCKになると、2度目の馬渡のクロスから常田がヘディングシュート。
ようやく放たれたこのフィニッシュをGKヴィトがセーブと、再び得点の匂いが高まって来ます。

そして奈良を完全に守勢に追い込んだ松本が、尚も攻め上がりを見せるAT。
再び、CKから常田のヘディングシュートが放たれるも今度は枠を捉えられず。
奈良のゴールキックからのロングフィードも、跳ね返す事で矢印を反転させ相手の攻めを許しません。

しかし肝心のゴールには後一歩届かず。
最後は右から馬渡がロングスロー、野々村がフリックするも繋がらず、という所で試合終了を告げる笛が鳴り響きました。
どうしてもプレーオフ圏に入りたかった松本と、監督交代後の初勝利が欲しかった奈良が織り成した痛み分け。
リーグも終盤故に劇的な変化は難しい状況ですが、共に目標達成を果たせるかどうか。

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DAZN観戦 2024年J2リーグ第33節 ザスパ群馬vsロアッソ熊本

2024-10-03 16:01:35 | サッカー視聴記(2024年J2)

※前回の群馬の記事はこちら(25節・甲府戦、0-1)
※前回の熊本の記事はこちら(26節・大分戦、1-2)

<群馬スタメン> ※()内は前試合のスタメン

  • 今節が降格リーチで、大分の勝利or群馬の敗戦で降格決定(群馬引き分けの場合は、大分が引き分け以上)というシチュエーション。そして前日大分が勝利(藤枝戦、2-0)したため、試合前にJ3降格が決定。
  • 佐川が累積警告により出場停止。
  • 小柳が秋田からレンタルで加入(再加入)し、28節(水戸戦、1-2)から登録されて即スタメン出場。
  • 城和が山形へ完全移籍となり、27節(横浜FC戦、1-2)をもって登録抹消。
  • 玉城がJ3・鳥取へレンタル移籍となり、28節をもって登録抹消。
  • 高澤の負傷が発表され、7/27に発生して全治3~4ヶ月との事。
  • 秋元(新潟医療福祉大)の来季加入が決定し、同時に特別指定選手となり27節から登録される。

<熊本スタメン>

  • 水曜に、甲府のルヴァン杯勝ち残りの関係で順延していた30節(4-2)が挟まる。よって↓の変更点はその試合を参照。
  • べジョンミンの負傷が発表され、8/28に発生して全治約6週間との事。
  • 30節で負傷交代した唐山はベンチ外。

浮上の兆しは全く見えず、とうとう今節にも降格決定という崖っぷちまで追い込まれた群馬。
サッカーの内容的には、前節(長崎戦、0-2)は上位相手にフィニッシュの打ち合いという試合に持ち込む、土俵際の意地は感じるものであり。
ここからどれだけ粘れるかの戦い……を演じる事すら許されず。
前日大分が勝利して勝ち点3を積み上げたため、残り6試合に全勝しても19差を埋める事は出来ず。
よって降格確定の運びとなってしまいました。

かくして自分がサッカーを観始めてから(2017年)、2度目のJ3降格となった群馬。
tonan前橋の所為と言って片付けられるような前回と違い、シーズン前にはさらに上を目指さんとしていた矢先の事だったためそのダメージは半端無く。
その雑感は最終戦の際に書くとして、まずは残りの試合に向き合う事が大事であり。

試合開始から、持ち味のショートパス主体の攻撃を繰り広げる熊本。
対する群馬はそのパスミスから、前半2分に拾った樺山が自陣からロングシュートを狙い。(届かずにGK田代キャッチ)
立ち上がり故に熊本も繋ぎの精度が今一つで、それを突いて何度か攻撃に入ったものの、群馬の方も(樺山が)スリップなど予期せぬミスが絡んで不発に終わり。

しかし6分、ポゼッションを高める熊本は三島⇔小長谷のパス交換から、小長谷のスルーパスで一気にエリア内を急襲。
そして松岡がシュートを放ちますが、GK櫛引が足でセーブと何とか防ぎます。
それでもこぼれ球を確保した熊本、バックパスを経て再度保持に入り長らくパスを繋ぐという具合に一貫した姿勢。

群馬は前節(の前半戦)同様5-4-1でのリトリート(ミドルプレスかもしれないが、熊本のパスワークで結局自陣に引き籠る事数多)で、隙を作らせずにかつカウンターを狙うスタイル。
14分にそのカウンターチャンスが訪れ、右サイドで奪ったエドオジョンから素早く前進、仙波のスルーパスで平松が抜け出したもののGK田代が前に出てクリアと実らず。

熊本はリトリートする相手には、あくまでじっくり繋ぐ姿勢を崩さず。
2年前はひたすらアーリークロスを打ち込む姿勢から、隙あらばミドルシュートという攻めが主たるものであり。
しかし杉山(現千葉)・坂本(現山形)とカットインシュートが強力なウイングは既に居らず、喰い付かない相手にもパスワークで隙を作る事に徹しなければならないという苦しさが見て取れました。
そのため、保持率は常時7割前後という高さでも、攻撃機会の面(自分の集計、アタッキングサードである程度アクションを見せないと加算しない)ではほぼ五分といった展開に。

そんなポゼッションスタイル故の難点が付きまとう熊本。
25分辺りから、「最終ラインから右サイドで前進の姿勢→戻したのち逆の左サイドへロングパス」というパターンを何度か続け。
サイドを揺さぶる基本手で、左奥でそれを受ける松岡からの展開に活路を見出さんとします。

しかしその矢先の28分、群馬もボール保持を長らく続けて隙を伺う体勢に入ると、GKへの戻しからのロングフィード(→川本フリック)で前線に届け。
ここはフィニッシュには繋がらずも、続く29分にも最終ラインからの運びの姿勢を取ると、群馬と違い果敢にプレッシングに出る熊本の隙を綺麗に突く事に成功します。
左サイドを風間・山中の2人で崩すと、山中が切り込みと見せかけての左足アウトでのスルーパスで裏を取り、川本が奥へ進入してグラウンダーでクロス。
そしてニアに入り込んだ平松が合わせてゴールネットを揺らし。
熊本とは一味違った、前進の鋭さを見せて先制を果たしました。

これで勝利への進軍といきたかった群馬ですが、1点で安心できるはずも無く。
その後も何度か攻撃機会を作ったものの、33分の熊本の攻撃で流れをひっくり返されます。
岩下のロングパスのセカンドボールを拾った事で敵陣から始まる攻撃で、左サイド奥を突いて松岡がクロス。
クリアが小さくなった所を右ポケットで大本が拾い、そのまま跨ぎフェイントを交えた末にシュート。
これがブロックでは無く、前方に居た小長谷に当たった事で、ループの軌道になってゴール左へと吸い込まれ。
記録は小長谷のゴールとなり、あっという間に同点に追い付いた熊本。

ホーム故にあくまで対抗姿勢を崩さない群馬、直後の34分に疑似カウンター気味に、最終ラインでのパスワークから仙波が一気にロングパス。
走り込んだ平松がエリア内からシュートと、前掛かりな熊本の裏を突いたものの、江﨑のブロックに阻まれ勝ち越しならず。
ここからコーナーキック攻勢も見せるなど、決してノーチャンスでは無いといったこの試合。

しかし42分、熊本はこれまでの残像を活かす攻め。
即ちサイドからパスワークでの前進の姿勢からの戻しで、また対角線のロングパスを送ると思いきや、中央から間を縫う縦パスで切り込み。
そして石川のポストワークから右へ展開してクロス攻勢に入ると、2度目の左からのクロスをファーで小長谷が落とし、豊田のシュートに繋げ。
ブロックされて右CKを得ると、キッカー豊田はグラウンダーでエリア手前へクロスと変化を付け、さらに石川のスルーを挟んだ末に小長谷がシュート。
反応良く前に出た小柳がブロックするも、脇にこぼれた所を再度シュートに持ち込んだ小長谷。
ゴール左上へと突き刺さり、堅守の姿勢を変化で崩しきって勝ち越しに成功しました。

このリードで不穏な空気も晴れたか、前残り時間は熊本の縦パス攻勢が冴え渡り。
そして小長谷や松岡のシュートでゴールを狙うという、本来の熊本の攻撃サッカーが展開されるも、追加点は奪えずに前半が終了します。

共に交代無く、後半開始の時を迎え。
逆転された群馬は、これも前節同様後半から積極的な守備姿勢へと切り替える手法に。(前節は前半スコアレスでしたが)
しかしそれは思うツボと言わんばかりに、後半1分にスローインから最終ラインに戻したのち、江崎縦パス→石川受けてミドルシュート(枠外)とそれを突く攻撃。
続く2分も、右サイドでキープする大本に対し監獄状態に追い込む群馬ですが、脱出されて逆サイドに展開されての前進でCKを得た熊本。
前節もこの姿勢を見せた途端に後半2失点と、現状の群馬では下手に前掛かりになるのは死を招きかねないといった所でしょうか。

逆に熊本の積極性は衰えず、8分には右サイド深めで石川がプレッシャーで奪い、群馬デイフェンスに当たりラインアウトでCKに。
10分にもゲーゲンプレスでまたも右サイドで奪い、今度はショートパスを繋いで逆サイドに持っていく組み立て。
そして松岡がカットインでポケットへ切り込んでシュート(エドオジョンがブロック)と、群馬はボール保持も奪取も出来ずと苦境に追い込まれつつありました。

こうして後半は、一気に攻撃機会で大幅に上回られる事となった群馬。
4分に左スローインからポケット奥に切り込み、山中のクロスの跳ね返りを小柳がミドルシュート(ブロックを掠めCKに)、という好機を作ったものの目立ったのはそれだけであり。
そしてベンチも先に動き、15分に風間・平松→天笠・河田へと2枚替えを敢行します。

流れを変えに掛かったのは明白ですが、これまで結果が出る事があまり無かった群馬の交代策。
しかし直後の16分、瀬畠→川本へ縦パスを通して左へ展開し、またも山中が天笠とのコンビネーションで左サイドを攻略。
そして今度は山中自身がクロスを入れると、大外から入り込んでいたエドオジョンがヘディングシュート。
GK田代にセーブされるも、樺山が詰めてゴールネットを揺らします。
同点に追い付き、前節とは打って変わって撃ち合いをスコアで示す群馬。

追い付かれた熊本は、キックオフ前に松岡→竹本へと交代。
小長谷が左ウイングに回るポジションチェンジも加わると、以降熊本のパスワークは一層流動的に。
何処でもこなせる竹本や小長谷がその通りに動き回り、群馬ディフェンスを切り裂くように翻弄していきます。
そのため群馬も、再び自陣でブロックを固める姿勢に落ち着かざるを得なくなり。

20分に石川のポストプレイに対し高橋が反則を犯した事で、中央からの直接フリーキックに。
距離はややあったものの、小長谷が直接シュートを狙い、壁を掠めてエリア内にこぼれた所に竹本が撃ちにいく決定機に。
しかしジャストミートはせずGK櫛引が何とか抑え、流石に前半のような脆さは見せない群馬。

それでも熊本の猛攻の前にいつ決壊するか不透明故、勝ち点を得るにはもう1点が欲しい。
24分、小柳のミドルパスを収めた河田から保持に入り、最終ラインへの戻しを経て仙波が一気に裏へロングパス。
これを左ポケット奥で山中が受ける絶好機となり、切り返しから放たれたシュートはGK田代がセーブ。
その後のCKからの攻めも防がれると、再び守勢に回る事となる群馬。
細かいパスワークの前に、31分には竹本に反則を犯した天笠が警告を受けるなどカードトラブルの面も不安視される流れとなり。

34分に双方ベンチが動き。
熊本が大本→藤井へ交代し、群馬は樺山→北川へと交代。
これが熊本最後の交代と、中3日かつアウェイの連続(30節ののち地元に帰らず、甲府から直接群馬の地へ)という過酷な日程の中でも、スタメンを信じる姿勢を取った大木武監督。

押し込む事でセットプレーも増えて来た熊本、変化を付ける姿勢(先程の直接FKも、小長谷のシュートの前に蹴り出し)から、次第にニアにクロス→江﨑フリックというパターンに固定化されてきた風であり。
ダメージを蓄積させた末に、シンプルさで打ち破る腹積もりだったでしょうか。
39分にヘディングの応酬から、エリアからすぐ手前という位置で確保した石川に対し瀬畠が反則を犯し。
今度は近い位置での直接FK(横位置は中央~右ハーフレーンの中間ぐらい)となり、キッカー上村周は柔らかいボールでの壁越えでゴール右を狙い。
これをGK櫛引が辛うじてセーブし、さらに右CKで継続すると、ニアにクロス→江﨑フリックを経て石川がヘディングシュート(枠外)とひたすらにゴールを脅かす流れに。

何とか守勢を脱したい群馬。
44分にクリアボールを河田が落とし、仙波が収めるもののハンドを取られてしまい。
そして熊本がFK(中盤から)で放り込みと、脱出もままならなくなり。
決壊が先か、時間切れが先か……という終盤戦の風であり。

ベンチもそれを痛感したか、アディショナルタイムに突入すると、間も無く最後のカードを使った武藤覚監督。
エドオジョン→田頭へ交代し、何とか前へのエネルギーを加えに掛かりましたが、現実は非情なものでした。

直後に熊本が左スローインで再開すると、受けた岩下はそのままアーリークロスを選択。
これがターゲットを大きく超えるボールとなりましたが、直接ゴールに入ってしまい得点を叩き出すに至ります。
呆気にとられたかのように対処できなかった群馬、やはり熊本の攻撃によるダメージは相当溜まっていたでしょうか。
ともかく、劇的な時間帯で勝ち越した熊本。

急転直下なフィニッシュによるゴール。
それに伴い、群馬も小柳を前線に上げるパワープレイ体制に残り時間を掛けたものの、やはり慌てて……という感は拭えず。
最後の最後に、田頭の右からのアーリークロスを、河田がヘディングで合わせたものの枠に飛ぶ事は無く。
そして試合終了の笛が鳴り響き、群馬にとってはifの世界を考える事が出来る勝利は挙げられずに終わりました。

そんな最下層から抜け出せない群馬を尻目に、これで4連勝達成となった熊本。
この間の得点も12点と、遅まきながらその攻撃力の本領発揮といった所でしょうか。

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DAZN観戦 2024年J1リーグ第32節 サンフレッチェ広島vsFC町田ゼルビア

2024-10-02 18:18:54 | サッカー視聴記(2024年J1)

<両軍スタメン>

たまには王道の試合を観るか……という思惑で、J1の首位攻防戦をば。

ここまで常時首位を走って来た新興勢力の町田に、待ったを掛けたのが広島。
前節(マリノス戦、6-2)観た印象では、4局面のバランスも秀逸で、弱点を抱えるクラブでは手も足も出ないという内容であり。
新スタジアム(エディオンピースウイング広島)が醸し出すホームの雰囲気も極上で、この試合をモノに出来れば、後は優勝へ向け一直線という道筋が出来上がる……とは言い過ぎか。

一方の町田、1試合毎に物議を醸し出すその戦いぶりは、あえて何も言う事は無く。
ただ初めてのJ1を戦うクラブが、これほどまでに「勝てばよかろう」という精神を押し出すのは、本当に将来の事を考えているのかどうかという危惧が常に頭を過り。
そうした戦いは、逆に言えば「勝てなければ(優勝できなければ)何も残らない」と同義と取られ。
天皇杯の事例(当ブログの記事)然り、実際に一敗地に塗れた際はその言動で醜態を晒す悪い目立ち方をしてしまった今季。
果たしてこのまま優勝を逃したとすれば、この戦いを今後とも、ならびに永続的に貫くつもりなのか自問自答する覚悟が必要な時が来ると思われます。

そんな両クラブの対戦。
新興勢力である町田の怖さも十分頭に入れた広島が、やや外道なロングスロー対策が行われたといわれるピッチ脇でも対策を発揮した試合となりました。

前半1分、マリノス戦の先制点と同様に右スローインを最終ライン裏へ投げ込む事で、完全に裏を取って(加藤が)クロスを送る攻撃。
そして大外で東がボレーで合わせたフィニッシュでネットが揺れるも、左サイドネット外と、先制はならずも初手でプレッシャーを与え。
前節と全く変わらない、硬くなり易い入りの時間帯で嫌な手段を取る立ち回り。

そして3分に流れの中で、浮き球パス主体での組み立ての末に、またも右サイドで中野がクロスに辿り着き。
今度はニアへの低いボールで、すかさず入り込んだパシエンシアが脚で合わせると、懸命に追ったドレシェヴィッチのブロックを掠めてゴール右に突き刺さり。
後手を踏む町田の対応を綺麗に突く格好で、この日も先制を果たしました。

その後も波に乗れない町田に対し、5分には一旦攻撃が途切れるもゲーゲンプレスで松本泰がパスカット、左奥で溜めを作るアルスランに対し仙頭が反則を犯し。
左サイド奥からのフリーキックになると、キッカー川辺の蹴り出しから東がクロス、ニアで佐々木がヘディングシュート(枠外)と変化を付けてのフィニッシュ。
8分にもアルスランのポストプレイに対し(ドレシェヴィッチが)後ろから反則を犯すなど、その後手ぶりが目立つ事となった町田ディフェンス。

攻撃面でも、軸としたいオセフン狙いのロングボールも、荒木隼を中心とした広島ディフェンスの前に機能する事は稀であり。
この状況を打破するにはやはり地上での繋ぎを一定割合で取り入れるしかない、という具合に、サッカーにおいて4局面のバランスは何より大事という反面教師となり。
13分の町田、右サイドでのパスワークから中央→左へとサイドを移していく間に、右からパスを受けた白崎に対し中野が釣られた事で左ワイドのスペースが空き。
そして送られるスルーパスに走り込んだナサンホが川辺に倒されて反則と、ポジショナルプレーらしき攻めで掴んだFKの好機。
このエリアラインから真横という位置での左ワイドからのFK、キッカー相馬のクロスを中央で藤尾が合わせにいく所に、GK大迫が跳び出してこぼれ球に。
これをドレシェヴィッチが体勢を崩しながら詰めましたが、シュートは枠を捉えられずと決められません。

地上でのビルドアップも様になる……と思われた流れですが、本命はやはりパワーサッカーが主体となり。
そして19分、とうとう得意手であるロングスローに持ち込み、右から(左サイドバックの)林が投げ入れたボールをヘンリーがフリックし、ファーで相馬が折り返しと二重三重に揺さぶる攻め。
跳ね返りをさらに繋ぎ、右からヘンリーのクロスに持ち込むと、ニアに入り込んだ相馬が合わせボレーシュート(枠外)と広島の先制点のような絵図のフィニッシュを生み出します。

ロングスロー一本で流れを変えた……かに思われましたが、この後に試合後散々話題となった、広島サイドの物理的な対策が発揮される時間帯となり。
その手法(あえて具体策は記さない)に対しピッチサイドで黒田剛監督がしきりに異議を飛ばすという具合に、想定外の事態への慌てぶりが映像でも可視される事となってしまいます。

そしてピッチ内でもその空気が伝染してしまったでしょうか。
23分に敵陣浅めで反則を受けた広島、アルスランが素早くリスタートして町田の隙を突きに掛かり。
またも右サイド奥を取り、カットインを匂わせての奥への切り込みから入れられた中野のグラウンダーのクロスを、1点目同様ニアで加藤が合わせ。
再びゴールネットが揺れ、相手の動揺を逃さずに追加点を挙げます。

2点差を追わなければならなくなった町田。
28分に再び林がロングスローを投げ入れる、相手の妨害?にも屈しない姿勢を見せるものの分が悪く。
そもそもロングスローの機会自体が少なく、全体として広島はクリアもなるべく外に出さないというピッチ内での対応も光り。
序盤からロングスローの姿勢を採るクラブの多い、普段自分が観ているJ2と比べても、その徹底ぶりは明らかに異次元といった広島ディフェンス。
窮地といった町田は、30分辺りからサイドハーフ両名の位置を入れ替える(相馬が左・ナサンホが右)ものの、流れを変えるには至りません。

しかし34分、広島の攻撃は塩谷ロングパス→パシエンシアフリックで一気に裏を取るもので、川辺が抜け出して走り込み。
これを前に出てクリアしたGK谷、その蹴り出されたボールが一気にエリア内を突き、反応良く走り込んだ相馬に繋がるという異次元のカウンターの絵図に。
いかにも町田らしいというべき好機でコーナーに繋げましたが、肝心のゴールは奪えず終わり。

そしてこれ以降、町田はボールを持たされる展開に陥り、それに従うかのように全くアタッキングサードを突く機会に恵まれず。
やはりこうしたスタイルは、自身でボールを持って崩す能力が疎かという事を突き付けられると、広島のような4局面が揃ったクラブには脆さばかりが目立つのは必然である。
そんな事を考えさせられているうちに、2-0のまま前半終了となります。
(一応40分過ぎ辺りから町田は再度SHの位置が入れ替わり、スタメンの位置に戻ったものの効果は薄く)

町田にとって、劇的に流れを変えなければならなくなったハーフタイム。
当然物理的に、即ち交代という手段を用い、林・オセフン→杉岡・藤本へと2枚替え。
橋頭堡のオセフンを退かせ、サイドの選手を2人入れた事で、3-4-2-1へとフォーメーションも弄る運びとなりました。
3バックの左に杉岡が入り、ウイングバックに右=ヘンリー・左=藤本というのが主たる変更点。
一方の広島も、パシエンシアのコンディションを考慮してここで彼に代えてドウグラス・ヴィエイラを投入し後半に臨みました。

広島と同様の布陣とした町田ですが、攻撃時は杉岡が左SBと化し、藤本を前に上げて4バックとする可変を取り入れる形に。
これによりミラーゲームを避け、地上から繋ぐ姿勢の割合を保たんとします。

しかしオセフンが居なくなった前線にもロングボールを送るという、基本のスタイルであるダイレクトプレーは崩さず。
後半4分、中盤でFKを得るもその精神に基づいて素早いリスタートを敢行しましたが、逆に松本のボール奪取から広島の好機に繋がり。(フィニッシュは撃てず)
早く攻めなければ……という焦りとの戦いも余儀なくされる格好に。

8分に、広島の攻めを防ぎカウンターに入りかけるも、トランジションにより遅らされ保持による攻撃に入った町田。
サイドアタックは仕掛けず、藤本のカットインから中央での攻めを選択すると、仙頭エリア内へパス→ナサンホフリック→藤尾と狭い局面を突破。
そして藤尾がシュートを放ち、ブロックされたボールをさらに仙頭が拾いシュートするも、(シュートを撃つ前の)藤尾の戻りオフサイドを取られて残念ながら実りません。

11分に左から再度ロングスロー(林が退いたため相馬が投げる)の機会が訪れるも、ニアに投げられたボールをGK大迫が直接キャッチ。
これまではこうした立ち回りでボックス内にボールを送り続ければ、いずれゴール運が転がり込んだでしょうが、広島相手にはそうはいかず。
主体的な攻めでどうにかするしか無く、直後の12分には敵陣で長いパスワークのなか、ヘンリーがサイドを左へ移していく流動性を見せ。
藤本のクロスの跳ね返りを拾ったヘンリー、そのまま浮き球をコントロールした末にミドルシュートに持ち込み。(枠外)
続く14分にも、藤本がドリブルを経て中央からミドルシュート、しかし大迫のファインセーブに阻まれます。

ゴール前での攻防がままならないなら、遠目から堅守を崩さんとしたものの実らない町田。
そんな攻めを試みる間にも、16分には1タッチパス主体の広島の前進に対し、前に出て防がんとしたドレシェヴィッチが川辺を倒す格好となるも尚も繋がれて継続。
そして東の左ポケットへのスルーパスに加藤が走り込んでクロス(ブロック)と、一度広島のターンになれば上下動を強いられるうえにカードの被害(流されたのちドレシヴィッチに警告)の危惧も膨らみ。
一言で言えば劣勢に他ならず、リーグ終盤に来て町田も、他クラブと同様結果を出せない苦しみに苛まれる状態に陥った感が見て取れました。

その後18分、広島はアルスラン→新井直人に交代し、それによりマリノス戦同様五月雨的にポジションチェンジ。(中野が右センターバックへ・塩谷がボランチへ・松本泰がシャドーへ回る)

何とかしたい町田サイドも、22分にナサンホと藤尾に代え、エリキとミッチェル・デュークを投入。
前年のJ2時代でお馴染みである、前線2人のコンビに賭ける体制に。

しかしペースを掴むどころか、更に広島のターンが続く事で守勢を強いられ。
何とか自陣深めで防ぐものの、そこからの脱出もゲーゲンプレスの前に難度は高く。
次第に高まる手詰まり感に、投入されたデュークも、反則の応酬に対し相手にヒートアップする絵図を連発と悪目立ちする格好に。

町田最後の交代は38分で、白崎→下田とボランチの交代を選択するも、これもゲームチェンジには至りません。
広島のプレッシャーを受けながらの繋ぎを強いられ、アーリークロス主体にアバウトにエリア内へ浮き球を送るのが精一杯の流れとなり。

一方広島の攻撃は、パスワークで町田ディフェンスを上下動させながら、サイド奥・ポケット奥を伺いつつも時計の針を進めていく体制に。
そして町田が無理に奪いに来た所を狙うという、2点リードを存分に活かす立ち回りを徹底します。
31分に佐々木のロングパスで裏を取り、左サイド奥からの攻めで細かな繋ぎに入り。
エリア内でパスを受けた東は止められるも、こぼれ球を再度確保して今度はヴィエイラがシュートチャンスを迎え。
放たれたフィニッシュは昌子がブロックで防ぐも、勢い余ったヴィエイラに削られる格好となり倒れ込むという具合に、ひたすら押された上での決死の凌ぎが目立つ絵図では反撃の気運は膨らまず。

広島最後の決定機は43分で、敵陣での塩谷のパスカットと、やはり相手を自陣から脱出させない姿勢から。
スルーパスを足下で受けた松本泰が、左ポケットへ進入ののちの戻しを経て、東のミドルシュートがゴールを襲い。
GK谷も抜いて決まったと思われましたが、右ポストを直撃して惜しくも3点目とはなりません。

結局追加点は奪えずという反省材料が残りましたが、最後まで町田に流れを掴ませず。
守勢に回ったアディショナルタイムでも、町田のアバウトな攻めを防ぎ続ければ良い状態と、ある意味楽な展開だったでしょうか。

そして2-0のまま試合終了。
天王山を制した格好の広島ですが、内容的には前節同様に相手の弱点を突き、そのスタイルならびに心を折っての勝利。
町田を退けても、勝ち点1差で神戸が着けているため、タイトルにおいては今後も予断を許さない戦いが続く事でしょう。

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