M104は、春の代表的な星座であるおとめ座とからす座の間にある銀河です。ほぼ真横から見る銀河円盤とそれに沿った暗黒帯、円盤部から突き出したまるい形が特徴的で、その形からメキシコのつば広帽子「ソンブレロ」にたとえられ、「ソンブレロ銀河」とも呼ばれます。小口径の望遠鏡でも比較的見つけやすいメシエ天体の一つですが、眼視でこの特徴的な形を認識するのはなかなか難しいようです。
M104は、その形の特徴から銀河の形状分類(ハッブル分類)上は、これまで「渦巻銀河」とされる場合がほとんどでした。しかし、近年の大口径望遠鏡による観測や赤外線による観測から、中央のまるい突出部を囲む淡いハローがひじょうに大きな範囲に広がっていることが明らかになりました。加えて、M104のハロー内には、渦巻銀河では通常数百個しか存在しない球状星団が、何千個と存在していることも分かりました。これらの特徴から、現在では、実際は楕円銀河でありながら、その中に円盤状の構造を持つに至ったと考えられるようになりました。今後、巨大望遠鏡や宇宙望遠鏡による観測を重ね、この複雑な構造に至るシナリオが解明されていくのが楽しみです。
<出典>: 「国立天文台:今週の一枚」
<大判>: 上のリンクからご覧ください。