モノ作り・自分作り

東横線 元住吉 にある 絵画教室 アトリエ・ミオス の授業をご紹介します。
美術スタッフが、徒然に日記を書いています。

素直にまっすぐ

2024-09-27 21:36:01 | 学生


芽依 / 希  共に中1・油彩

ようやく涼しい風が吹くようになりました。ハルです!今日は中1の油絵作品を2点紹介させていただきます。

メイ 小原先生がメキシコに行った時の写真を選び描きました。噴水は重厚な色合いで、コンクリート製ではなく、石を積み上げて出来たものだと分かります。しかし画面の大部分が暗い為、下手をすると沈んで見えてしまうところを、バックにあるお家のサイコロのような形状・カラフルで明るい壁が、軽快なリズムを作りました。空の手前に見える噴水口から出る水の輝きと迫力がリアルでかっこいいです。難しい形もしっかり取れていてすごい!

ノゾミ 身を寄せ合う3羽のインコを描いています。向き合い方が可愛らしく素敵ですね。隅々までよく観察されていると思います。ぱっと見で伝わる柔らかな羽毛一枚一枚の丁寧なタッチに比べ、背景のジャングルを思わせる緑の大胆な筆運びのコントラストが効いています。苦労した綱も良いアクセントになりました。一番描きたかった小鳥達の表情を最初に見てもらえるよう、構図を下寄りにして、顔が画面中央になるよう工夫したところも素晴らしい!

2人とも小学生クラス時からアトリエに通っており、油絵にも手慣れていますが、真っ直ぐにモチーフと向き合う姿勢に好感が持てます。こちらの作品も元住吉のお祭りで展示します。雨天中止(小雨決行)とのことなので、どうか晴れますように。たくさんの人に見てもらえますように。

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気持ち悪い?いや、かっこいい!

2024-09-24 22:35:41 | 学生


瑞希 中3 油彩

サヤカです。やっと秋らしい気温になりましたね!気温差で風邪をひかないようにお身体に気をつけてください。今回は中学3年生の瑞希の作品をご紹介します。

これまでも動物愛溢れる作品を制作してきましたが、今回はリアルな蜂と鉱石を組み合わせるという創作的な要素も取り入れました。タイトルは『浸食』。冬虫夏草のように、虫が鉱石にじわじわと体を乗っ取られていく様を描きました。

まず目を惹くのは、何といっても鉱石の描き込みですよね。鉱石の面を意識して、角度の違う面ごとに濃淡やハイライトが入る位置を考え、鉱石の輝きを再現することは容易くはなかったでしょう。また鉱石を蜂の補色にしたところも瑞希らしいハイセンスさを感じます。鉱石を寒色系でまとめることで、蜂の体の黄色が際立ち、警戒色というアイデンティティが光りました。配置や構図にもこだわっていましたが、左右非対称に傾いた蜂の姿は、どこか危うい雰囲気が醸し出されています。力強い瞳でこちらを睨む蜂は、鉱石の重さに耐えられなくなったら、この後どうなってしまうんだろう…と思わず考えてしまいました。

一見気持ち悪く感じる虫をかっこよく描きたい!という動機でモチーフを探していましたが、その狙いは達成できたのではないでしょうか?虫が苦手という人もこの作品は「かっこいい!」と言わざるを得ない!

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透明なものの描きどころ

2024-09-19 23:48:26 | 学生


花音 高1 油彩

マユカです!今回は花音の油彩画をご紹介していきたいと思います。

袋に詰められた星形のキャンディ、キュートでポップな印象ながらも、重みも透明感もしっかりと感じられ、それぞれの色の飴はどんな味がするのか想像するのが楽しいですね。初めての油絵で、しかもキャンディーの写真と実物のチェックの布のモチーフを合成させたので、袋の質感や奥が透けて見えている様子など、想像するのがさぞや難しかったと思います。飴には実はかなりたくさんの色を混ぜてあり、緑の飴の透けている部分には黄色い光を入れたり、ピンクの飴には青い反射光を入れたりと、透明ならではの光の映り方、屈折の仕方を上手くとらえています。

ビニールのような透明な物を被せると実物よりも色は薄く、形が少し歪みます。花音の作品では、布の模様を見ればそれが分かるかと思いますが、特に緑の飴のビニールはくちゃくちゃになっている分、その変化がはっきりと見えてきます。こういった光の屈折の描写がされているだけで、立体感だけでなく奥、間、手前とレイヤーの分かれ方まで伝わり、さらに実在感が増すのです。

透明な物を描く、となるとどうしても「透明だから描かない」「輪郭線以外見えない」ということが起きます。グラスであればガラスの厚みで、ビニールであればシワの形に沿って、透明な物の奥にあるものの歪みや色の濃淡の変化を探せると、透明な物を描くのがより楽になりますし、描き込みするのが楽しくなりますよ!

追伸 元住吉東口オズ通り商店街と西口ブレーメン通り商店街が主催するお祭りが、10月6日(日)に開催されます。(詳細は後日)今年は学生達の作品を駅に展示させてもらえることになりましたので、こちらの作品もぜひ実物を生でご覧ください!

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真摯に丁寧に

2024-09-17 22:59:54 | 学生


紗希 / 文美  共に中1・油彩

新学期の始まりに震えています…。サヤカです!今回は中学一年生の油彩の作品を一人ずつご紹介します。

紗希 丸まって身を寄せ合う子猫の姿が何とも可愛らしい!それぞれの体の柄や毛質の特徴などよく観察して、2匹の違いを捉えています。特に毛足の長い白猫の尻尾は、細かい毛まで丁寧に追い、質感がよく表現できました。また、2匹とも光が当たる場所に黄色系の色を使っていて、統一感が生まれていますね。無防備に寝ている穏やかな表情がとっても愛らしい!

文美 悠々とした入道雲から真夏が恋しくなりました…。女の子(自分)の体にできた逆光の影も強いコントラストがあり、真夏の強い日差しが伝わってきます。また人物の明度をしっかり下げた効果により、海と空の鮮やかな青色が映えました。水面はグラデーションで奥行きが表現されていて、どこまでも広がる雄大な自然に対し、思わず両腕を広げたくなる気持ちよさが画面越しに感じられますね!

小学生の頃から丁寧な作品作りをする2人でしたが、中学生になっても変わらず作品と真摯に向き合っています。(但しおしゃべりは一段とうるさくなったような?)最後までクオリティを求めてこだわれることは、何事においても強みになります。これからも2人の成長を楽しみにしています!

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計画も力

2024-08-22 23:12:27 | 学生


千佳 高2 左-油彩 右‐透明水彩

マユカです!今回はチカの油彩画をご紹介していきたいと思います。

最近、美大受験の学部を油画科に決定しましたので、いよいよ本格的に油絵に取り組み始めました。受験と同じF15号(65cm×53㎝)サイズです。(右の水彩画は、油彩に入る前に制作した絵)まだテクニックが少ない為に粗削りではありますが、「目の前の大きなモチーフをどうにか自分のものにしてやろう」という気迫が感じられます。これだけ大きく、たくさんのモチーフがあるとどこから描き進めればいいか、どう描いていいかがわからなくなりがちなため、手探りで少しずつ塗り進めていく…のかと思いきや、最初の段階からガッツリと絵の具を乗せ、最後の方で整えるという形をとっていました。これはとても良いことです。

通常、絵というものはじっくりモチーフや描きたいイメージと向き合い、納得がいくまで制作をし、自分の好きなタイミングで完成させるものではありますが、受験となるとそんなことは言っていられません。制限時間があり、その時間内に描き終えられないとその時点で落とされてしまう。何か不測の事態が起きて試験時間が短くなったとしても完成させなければならないわけです。

いつ「はい、おわり」と言われても完成しているように見せるために、全てのモチーフを同じペースで描いていく必要があるんですね。チカはそれがかなりできつつあるかなと感じました。大雑把に描いてから細かく描き進める…となった時、少々一つのモチーフに集中してしまっても大丈夫なように、まずは画面全体に色がしっかり乗った状態を作る事。それを意識することが、「受験の絵」を描くための第一歩と言えます。

ここからどんどん描写力と時間配分する計画力を鍛えて行くことになるでしょう。応援しています!

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終末…?希望…?

2024-08-06 22:54:29 | 学生


香那 高1

サヤカです。小学生クラスで行なっている油絵で、他のスタッフの方々に比べて私の洋服の汚れ方が異常なことが最近の謎です…今回は、学生クラスの香那の油絵をご紹介します。

前々回は点描で表情豊かな自然を、前回は写実的な夏の景色を描きましたが、今回はそれらの作品とは打って変わって創作の世界を表現しました。「見た人によって解釈が分かれる作品にしたいと思って描いた」そうですが、風刺的な意味が込められているのかな…と深読みしたくなる作品です。

香那からは、手前にいる竜のような生き物は水の神様的なものというヒントを貰ったのですが、私なりの解釈をしてみようと思います。画面は、高層ビルと水辺に2分され、近代化と自然の対立を表現しているのではないでしょうか。無機質なビルとは対照的に大きくうねっている竜のような生き物は、守ってきた自然が破壊されていることに対して苦しんでいるようにも、怒っているようにも見えます。怒っているのだとしたら、神の怒りに触れたこのビル群は、報いとして自然の大きな力に飲み込まれているようにも解釈できます。

また、注目したいのは夕焼けとも取れるオレンジ色の明るい空です。ビル群や水辺の生き物にも光として黄色を入れることで全体にまとまった印象が生んでいますね。ドラクエでも、大規模な天変地異が起きて空が真っ赤になるように、赤い空から「世界の終末」を連想する人が多いかと思います。香那は、水のデザインでも、オレンジ色の空を描いています。そちらの作品のテーマは、水の海面上昇といった環境破壊問題で、香那にとってオレンシ色の空は退廃した世界の象徴だと捉えられます。しかし、私は、このオレンジ色の空にどこか希望を感じてしまいます。沈んでしまう夕日ではなく、破壊によって新たに創造されるという意味を持った朝日なのかもしれない。ダークな印象だった作品が、空の色によって明るい印象になったと感じたため、このように感じるのでしょうか…?

長々と考察を書いてしまいましたが、とにかくいろんな描き方に挑戦する香那のポテンシャルの高さに毎回驚かされますね!このような退廃した世界観の作品を多く描くそうですが、普段から様々な問題に対して懐疑的な視点を持ち、考えているからこそ生まれる作品です。その思考力が存分に現れた香那の作品をこれからも楽しみにしています!

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初めてのグレーデッサン

2024-08-02 21:27:02 | 学生


明日菜 / 波那 共に高1 グレーのイラストボードにパステル・チャコペン

大竹です。今回ご紹介するのは学生のグレーデッサンです。二人共、美術系進学ではありませんが小学生クラスから通っています。二人ともグレーデッサンは初挑戦。グレーデッサンはその名の通り紙が中間の色をしているので、モチーフの中間の色は紙の色を活かして残しつつ、より明るい・暗い部分をパステルやチャコペンで描き加えていく必要があります。二人とも少し描きすぎ(紙のグレーを活かしきれていない)部分もありますが、モチーフ形・質感をしっかりと捉えて描いています。

明日菜・・・レンガ3面の黒の色合いが美しく、重さもよく表現出来ている。布も細かい色の変化を追うことで、波打つ布の立体感と柔らかさが感じられます。ただ、ちょっと布が薄汚れているようにも見える(そもそもモチーフのアトリエの布が汚れていたのかも?笑)コーヒーメーカーの左下部分が少し左に伸びてしまっているのが気になりますが、面によって変化している金属の光沢の色合いをしっかり描くことが出来ています。

波那・・・レンガが逆パース(手前より奥の幅が大きくなっている)になっているのが目立つので、基本的な形が狂わないように冷静に観察しましょう。布のシワ、形の変化がよく観察出来ており、色自体は軽めに仕上げた分、主役のモチーフがしっかり目立っています。インク瓶の形は良いですが、真っ黒すぎるので描く際はガラスへの写り込みを大袈裟に演出して描いてもいいかもしれません。明日菜はコーヒーメーカーを新品の様に描いているのに対し、波那は年季の入ったアンティークの様な雰囲気があり対照的で面白いですね。

二人とも、難しい形のモチーフに対して逃げたりせず、最後までしっかり描いている好感の持てるデッサンです。モチーフを正しく描くだけではなく、より魅力的に見せるにはどうしたら良いかも考えていくと良いでしょう。二人ならそこまで出来るハズ!

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絵と「向き合う」とは何か

2024-08-01 23:06:37 | 学生


梅 高2 油彩

マユカです!今回は学生クラスから油彩画をご紹介します!

クラゲが皆底へと沈んでいく様子を描いた一枚。F30号(91㎝×730ⅽm)とかなり大きめのサイズに、自分の思いをぶつけてみたいと制作を始め、何度も試行錯誤を繰り返してようやく完成。制作当初から二転三転し、水面へ光を目指して進む様子のクラゲを描いてフィニッシュ…かと思いきや、ごちゃごちゃしてきたと絵の上下をひっくり返し、今の形に仕上げました。

クラゲの透明感を出す為に薄く何度も絵の具を塗り重ね、細かい部分や手前にある触腕の厚みになる部分にはたっぷりと絵具を乗せたことにより、重厚な雰囲気がとても伝わってきます。赤と青のクラゲが泡に反射し、映り込みとして様々な場所へ色を広げているのが功を成し、全体的な印象は暗めでもなんだか光を感じるような、ちゃんと明るい印象でまとめ上げています。彼女の性格がかなり明るいというのもあり、人柄が画面からにじんで見えてくるようです。

覚えていらっしゃる方も多いと思いますが、最初は人魚のような女の子とその周りを漂うクラゲが幻想的に描かれていて、大人クラスでも完成を期待している方がたくさんいらっしゃいました。しかし、途中で納得がいかなくなり、思い切って潰してしまい違う絵となったんですね。同じ絵と向き合い続けることで自信がなくなったり、飽きたりして「どうして自分はこんなものを描いているのだろう」と考えてしまうと筆が進まなくなる気持ちは身をもって知っています。
かと言って、思い切って描き変えたこの絵に納得がいったかといえば、むしろ前の方がずっと魅力的だと本人も分かっているようです。
安易に安泰にダラダラ制作しなかったことは、本当に素晴らしい決断です。しかしその判断がいつも成功に結び付くわけではありません。向き合い続け、「これは失敗かもしれない」と感じたとしてもそこで終わらせず、完成までは持って行ってあげることで、そこで初めて「やっぱり完成させて良かった」になるかもしれない可能性が生まれます。うまくいかなかったのであれば次回にそれを活かせばいいし、完成品が良いものになればそれ以上のことはないでしょう。悩んでいる時こそ、完成させることが己の殻を破る第一歩になるんです。
失敗を恐れず、時には自分で敷いたレールを自分で疑問視し、茨の道を選べることは、美術に進路を決めた者に必要な要素だと思います。すでにそれは備わっていますので、今後も厳しく応援しようと思っています。

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遊び心満載!

2024-07-31 23:26:57 | 学生


  詩哉 高1 色鉛筆

ようやく今日から夏休みです、ナツメです。本日は月曜クラスよりうたやの作品をご紹介します!

今回は人で賑わう横浜中華街を描きました。色鉛筆画はこれで3枚目ですが、段々扱いにも慣れてきて濃淡やタッチの向きなどへの気配りを感じます。中華街特有の黄色と赤のカラーリングが目立つよう他の部分は人を含めてほとんど無彩色にしているほか、手間をしっかり、奥は優しく塗ることで画面がごちゃごちゃしすぎず遠近感も出るよう工夫しています。

そして何と言っても各所に描かれた小ネタが楽しい!といってもブログの写真サイズでは細かいところが潰れてしまうので実際に見ていただけないのが大変惜悔やまれます。一見何気無い中華街の日常を描いたように見えますが、実はこの絵の中の文字やポスターはほとんど中身をオリジナルに変えているんです。よく観察するとマンゴーかき氷の表示価格が2円になっていたり、中華まんのラインナップに紛れてアンンまんが販売されていたりと、細かな文字の部分も含めて一切手を抜かず描き込まれていて見れば見るほど面白おかしさに引き込まれます。写真通りに描いてあるのは氷の旗とテントの創業の部分だけという、恐ろしいほどの変化に脱帽です。詩哉は毎回隙あらばとばかりにこのような遊び心を加えていますが、とりわけ今回は中華街の雑然とした光景とうまくマッチして非常にユーモアのある作品になりました。

情報量が多く描くのが億劫になってしまいそうな部分も自分でアレンジしてどんどん楽しい作業に変えていく力、細部までこだわって描く意欲が本当に素晴らしい!今後の制作でもぜひ大切に、そしてそのまま突き進んで下さい!

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前のめりな姿勢

2024-07-23 22:13:56 | 学生


左 夏葵 中3 / 右 瑞希 中2 どちらも油彩

サヤカです。夏休みが始まりましたが、あまりの暑さに早速絶望しています…今回は学生クラスの油彩をご紹介します。2作品とも中学生の作品とは思えないほど緻密に描き込まれていて、見応えのある作品です。

夏葵
2匹の愛らしい表情に惹かれる作品です!前回の作品と同様に、観察力が光っています。2匹はどちらもダックスフンドで同じ犬種ですが、表情の違いから性格の違いまで想像できますね。また、奥のワンちゃんは背景と同化してしまいそうなところを、境界にハイライト入れたり、毛並みに黄色を入れたりと工夫が見られます。

瑞希
ダークな雰囲気と赤い薔薇がマッチしていますね!赤と黒の組み合わせは、刺激的、挑発的な印象や、力強いメッセージ性を与える組み合わせです。赤と黒の組み合わせを使ったロゴを思い返すと、身近にかなりたくさんありますよね。そんな赤と黒の組み合わせを効果的に使い、見た人に与えたい印象がよく表現されています。

二人とも、無駄なおしゃべりはせず、描きたい気持ちが強い子達です。(他の子ももちろん美術が大好きなんですが、おしゃべりも同じくらい好きなので(笑)絵に対する前のめりな姿勢が作品からも伝わってきます!これからも2人の作品を楽しみにしていますね。

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魅惑の音色

2024-07-19 20:45:22 | 学生


陽飛 高2 不透明水彩

ギリシャ神話に出て来るヤギのパーンを主役に、葦の笛の音色に酔いしれる動物たちを描きました。茶色が多い画面ですので、同じ色味にならないように、何度も何度も塗り直しました。
1匹で聞きに来ている動物もいれば、羊は家族で聞きに来ていたり、ペアで並んでいる動物もいますね。ペア動物はそれぞれメスとオスの姿を書き分けられており、細かい仕事が生きています。動物の形や表情もよく捉えられています。全部で何匹いるんでしょう?よく見ると奥の方に狐もいますね!本来なら隣り合う事の無い動物(捕食者と被捕食者)ウサギが肉食のオオカミとチーターに挟まれていても無事なのですから、よほど美しい音色なのでしょう。食物連鎖をも凌駕する光景は、鑑賞者をも動物達と同じ表情にしてくれるようです。奥の青い山々も美しいですね、雪が積もった山肌を上手く表現しています。
絵本的な雰囲気もあれば、子供っぽすぎる事もない、絶妙なバランスの絵は、どの年代の人が観ても楽しめる1枚だと思います。

小原先生のぼやき「人にしつこく『これで良いですか?』『これ、どう思いますか?』って聞く癖に、私が『なんか隣と色が似てるからもっと工夫して』と言うと、いちいち『え?どこがですか?僕はそうは思いませんけど!』と喧嘩売ってくるんだよね!楽しいけど!」
作品からは想像出来ませんが、意外と先生達とバチバチしている時も。笑 きっとハルトさんもバトルを楽しみながら制作してくれているのでしょう、これからの作品も期待しております。

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遂に完成!水のデザイン

2024-07-18 23:40:57 | 学生


左上 波那 高1 / 右上 凛 中2
左下 百合子 高1 / 右下 沙梨 高1

マユカです!今回もまたまた学生クラス『水のデザイン』の紹介をしていきますよ!このコーナーもラスト10回目になりました。それでは張り切ってまいりましょう!

波那
水滴のぷつぷつとした集合体が爬虫類の表皮のように見えるとカメレオンをモチーフに描きました。なんだか水滴のついた窓に擬態しているようにも見えてきますね。水滴を一色にせず四色織り交ぜて描くことで単調な印象にならず、かといって類似色ばかりを使っているわけではないのにもかかわらずまとまりがあるように描くことが出来ているあたり、色彩センスが高いなと感じます。背景を黒一色にしているのは、色を見せるためなのかなと感じました。


凛はかなり自由な発想で作品を作る子で、このモチーフを決めたときも「ブリを昨日食べたしお腹すいたからこれにする」と、魚を描き始めて驚かされました。デザインというよりは食事処のメニューの挿絵のような雰囲気で、魚を描くから相性が良さそうなレモンを選ぶという凛らしい奔放さ。こんなに自由でありながら皮目のグラデーションや断面の層の質感など、よく観察してアクリルを使いこなしているあたり実力は確かですね。照りのある身がとても美味しそうです。

百合子
水滴がこぼれたときの雫がクラゲになっています。クラゲは95~98%が水分らしく、生物の中では一番水に近いのです。そんなクラゲが雫から生まれ落ちているようなアイデアは、理にかなっていて綺麗にまとまっていますね。構図も下の方をなるべく空けることで浮遊感を表現し、青の対になる黄色が差し色にあしらわれていますが、月の光を反射しているようで、なんだかほんのり光っているように見えますね。ひらひらとした触腕が波のようになっているのも素敵です。

沙梨
水に対しての体験から「あんまり水は描きたくない」と、別のモチーフを配置することにしてデザインを制作しました。自分と同じく水が苦手な猫を描くところ、捻りが利いていますね。鮮やかでありながら優しい風合いのピンクが目を惹き、あえてデッサン調で描かれた猫の頭部との対比でお互いに引き立てあっています。猫の耳のみがぴょこんと飛び出ているのが、とてもデザイン的でいいですね。猫特有のシャープな三角形の耳だけを選択した沙梨のセンスが光っています。

という訳で、『水のデザイン』に挑戦した40人のご紹介が終わりました。もうすぐ夏休みに入る学生達ですので、次の課題は再び「自由に自分で決めてOK」となっております。楽しみにしていてくださいね!

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特徴を捉えて

2024-07-17 22:12:58 | 学生


左 梅 / 右 優心 共に高2・色画用紙に色鉛筆

昨日ひとつ歳をとりました、ナツメです。本日は木曜学生クラスより2人の作品をご紹介します!今回は動物をモチーフに、色鉛筆を用い描きました。早速見ていきましょう!


鋭い目つきの猫を描きました。顔や脚は短く、体を覆う他の毛は長くといったように場所によって短い毛と長い毛を描き分けているため、どんな感触なのかが一目で分かります。また、その中でも顔周りのコントラストを強くしているためニヤリと笑う表情のインパクトが強くなっています。

優心
優心が描いたのはアオサギ。獲物を狙っているのか、低い姿勢で歩いている様子には思わず息を潜めてしまうような緊張感が漂います。「溜め」の動きに合わせて上を空けて全体的に下に寄せた構図の妙も効いていますね。水平ではなく少し傾くように描かれた足場とサギの描き込みの対比や、目と嘴に限定した有彩色の使い所など画面構成が非常に良く考えられています。

どちらの作品も元の画用紙の色をベースに使う色の計画を立てており、しっかりと描きつつも地との親和性がありますね。ここまで描ける2人なので次はもう少し陰影を足してほしいと欲が出てしまいますが、観察する力や画材に適応する力は素晴らしい!ぜひ自由で柔軟な今の時期だからこそ、いろんなモチーフ、いろんな画材で様々な絵に挑戦して欲しいです。

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魅力につながるこだわり

2024-07-09 22:34:47 | 学生

サヤカです!息ができないような暑さになってきましたね…。

本日は、学生クラスの作品をご紹介します。二人共、美術系進学希望ではありませんが、受験勉強の息抜きに通っている高校3年生と、中学3年生です。


海良 高3 アクリル

なんとも飯テロな作品ですね!箸に持ち上げられた最初の一口が特に美味しそうに見えるように強くハイライトが入れられています。また、ハイライトという点では、重箱のふちに強くハイライトが入っていて、茶色系でまとめられた画面の中で、主役のうなぎに目が行くようになっています。個人的にうな重の魅力はお米だと思っているのですが、海良が描いたうな重のお米もタレの輝きや染み込み具合が再現されていてとっても美味しそう!


璃久 中3 鉛筆

2作品とも海の生物を鉛筆で描き切りました。左の作品は『水』のデザインがテーマの基、制作した作品です。トビウオの吸い込まれるような瞳も魅力的ですが、水飛沫を画面の中心に置き、テーマである『水』が際立つ構図になっています。メンダコを描いた作品は、最後までヌメッと感にこだわりました!深海生物らしいヌメッと感と、メンダコのコロっとしたフォルムが陰影から感じ取れます。メンダコの足元から気泡が出ているのは、メンダコの口は体の下にあるためで璃久の生き物への知識が伺えます。

2人とも細かなところまでこだわりを持って取り組んでることが伝わってきました。これからも自分のペースで創作活動を楽しんでください!

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光と温度を感じさせる

2024-07-05 21:07:45 | 学生


明美 中3 油彩

大竹です。今回ご紹介させて頂くのは、明美の油彩作品です。森からの恵みのシャワーのような木洩れ日を、両の掌に受け止めています。題材や色の選び方に美的センスを感じますね。元はお母さんが撮ってくれた写真だそうです。
光を受ける掌以外は全て緑という思い切った色作りが目を見張ります。実は写真も手の影の部分まで緑でしたが、普通だったら肌の色(影なのでこげ茶など)で塗ってしまいそうな所を、森と同じ色で合わせているのでドキッとします。
一面の緑も見ていて飽きないほど様々な色合いを持っています。暗い色の中に瑞々しい葉っぱが生い茂り、光を受けた葉は青く輝いているようです。森の冷たい空気が画面からも感じられ、木漏れ日を受ける掌の暖かさと対比になっているのでしょう。光を受ける掌の透明感も美しいですね。
強いて言うなら、真ん中の葉っぱの形が少し単調であり、薄さも感じられ難くなっています。掌の形がすごく上手いので、葉っぱの光が透けるような薄さや、葉脈や捲れた形なども細かく追っていけると良いでしょう。

匂いや温度、湿度といった目に見えないものを絵で表す事は困難ですが、明美はそれらを捉えるセンスを持っていると思います。是非そのセンスを磨き研ぎ澄ましていきながら、キャンバスに向かっていって下さい。

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