黒木 透明水彩
岩田です。今回は、黒木さんの作品をご紹介します。
透明水彩で描いた2点の作品。どこか何気なく、ゆったりとした時間の流れを感じさせ、歩いていたり、家でくつろいでいたりする日常の1シーンを切り取ったような、飾らない雰囲気が魅力の作品達です。
左の絵は、小原先生の旅行写真からピックアップした、冬のチェコの川辺。
こちら側が逆光になっていて、川から向こう岸が光に包まれている美しい情景です。暗いセピアトーンの向こうに、うっすらと有彩色で描かれた風景がとても美しい。画像では認識できませんが、近くに寄ってみると、水が絵の具と紙の上で、自在に混ざり合いながら、繊細な滲みの表情を作り出しています。
黒木さんが継続して取り組んでいる透明水彩。特に最近は、紙と道具の扱い方みたいなものを感覚的に掴んできていらっしゃるなぁと感じています。上手くいかなかったことも含め経験が増えることで、描画材との距離感が徐々に分かってきたのかな。そんな印象を受けています。
右手の猫の絵も、まだ階段を登る途中段階にはいるのですが、どこか無理がない。
この紙にこの道具を使って、こう描けばこうなるみたいなものが、理屈ではないところで捉えられてきているので全然ビビッていないんです。猫自体も良いんですが、この絵の背景を見ると、そんな心持ちが垣間見れます。
黒木さんが、描くのが本当に面白くなってくるのはこれからです。良くここまで頑張ってきました。例えば、ちょっと高いかなと思う筆や、種類の違うスケッチブックなどを新調して、今までのものと描き比べてみて下さい。表現の幅が広がってくるかもしれませんよ。