酔眼独語 

時事問題を中心に、政治、経済、文化、スポーツ、環境問題など今日的なテーマについて語る。
 

「除染」というパフォーマンス

2011-12-09 06:03:37 | Weblog
 東電福島第1原発事故で立ち入りが制限されている警戒区域と計画的避難区域で、自衛隊の除染活動が始まった。
 不織布製「防護服」と全面マスク、農薬散布用ゴーグルという一見物々しいいでたちで立ち働く姿は、報道陣にも公開された。

 ≪東京電力福島第一原子力発電所から20キロ圏内の警戒区域などで行われている自衛隊の除染活動が8日、報道陣に公開された。

 福島県の福島駐屯地(福島市)と郡山駐屯地(郡山市)から約900人が派遣され、浪江町や富岡町、楢葉町と、計画的避難区域の飯舘村の役場で約2週間にわたり、高圧洗浄機による路面の洗浄や表土のはぎ取りなどを行う≫=読売online=。

 NHKのニュースでこの模様を見たがローテクの極み、まさに人海戦術である。坂の上の雲第3部の旅順攻撃をほうふつさせる大作戦だ。

 この作戦の目的はなんだろう。効果的な除染へのテストという意味も、もちろんあるだろう。だが最大の目標は「国は一生懸命除染をやっている」と国民、とりわけ避難者に見せるためだと思う。7日の朝日によれば、国は「長期帰還困難地域」など、線量に応じた新たな区域設定の検討に入った。いつ公表するかは定かでないが、これまでの区域指定以上に大きな反響を呼ぶことは間違いない。いつ帰れるか分からない「長期困難地域」は特に論議を呼ぼう。

 ≪東京電力福島第一原発から半径20キロ圏内の警戒区域と20キロ圏外にある計画的避難区域について、野田政権は年間放射線量に応じて三つの区域に再編する検討に入った。それぞれについて帰還までにかかる時間の目安を示す方針で、長期間にわたって住むことのできない「長期帰還困難区域」も設定する≫=7日付朝日=。

 今回の除染は、その日に備えた布石だ。自衛隊まで動員して除染に努めたが、線量は思ったほど下がらない、もうしばらくのご辛抱をーというわけだ。

 放射能汚染は「まだ始まったばかり」ともいえる。明治の粉ミルクの例は、関東・東北、いや日本中のどこでも屋外の食品は汚染されている可能性があるということを示している。どこまでが安全か、体内蓄積はどうか。これらはかなり長期にわたって追跡しないと分からないだろう。放射線との長い付き合いが始まったのだ。一喜一憂せず、きちんと見分ける冷静な目がほしい。「専門家」の責任があらためて問われる。

 
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