酔眼独語 

時事問題を中心に、政治、経済、文化、スポーツ、環境問題など今日的なテーマについて語る。
 

トキの孵化を考える

2012-04-24 09:30:10 | Weblog
 新潟県佐渡市で放鳥されたトキの卵がかえった。日本の自然界で
は36年ぶりの「快挙」という。新聞もテレビもトップニュースで伝
え、大はしゃぎである。

 近年、手放しで喜べるような話題が少ない。だから何かあるとす
ぐに飛びつく。昨年の女子サッカーW杯もトキのひな誕生もつまる
ところ一緒だ。その心は「希望と勇気を与えてくれる」である。

 しかし、中国から借り受けたトキを使った繁殖が、本当に「ニッ
ポニア・ニッポン」の再生になるのだろうか。某国立大学の教授が
以前、「中国トキも日本のトキも遺伝子構成はほとんど同じ」と書
いていた。ほとんど同じと全く同じは、科学的には決定的に違う。
この筆法を用いれば「人もゴリラも遺伝子構成はほとんど同じ」と
言い得る。

 人の存在は自然を脅かす。どんなに目配りし、気を使ったところ
でこの宿命からは逃れられない。「滅ぼしたものも科学の力で再生
できる」などと考えるのは傲慢というものだ。

 地元ではトキのひな誕生を観光や地域振興に結び付けたいと考え
ているらしい。泉田裕彦新潟県知事は「ひな誕生は大きなニュース
で、多くの人から佐渡に来ていただけるだろう。自然と人とが共生
する佐渡を多くの人に楽しんでもらいたい」(23日新潟日報夕刊)
と語っている。

 多くの人が楽しむことと自然状態を良好に保つことを両立させる
のは至難の業である。「自然との共生」をいうなら、佐渡空港の拡
張計画を見直してはどうか。ジェット機とトキ、両方を空に舞わせ
たいとは欲張りに過ぎよう。 
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