北国は 蕗味噌の候 野に山に
雪解けの土手に苦みの春の味蕗味噌にして香りも戴く
(雪解けが始まると蕗味噌が早く食べたくなります。)
1910(明治43)年、医学研究者・鈴木梅太郎博士が新しい栄養素オリザニンを発見しました。
主にビタミンB1の欠乏による神経障害疾患の脚気は、江戸時代より死を呼ぶ伝染病中毒性がある危険な病気などと囁かれており、当時は原因の特定が出来ておらず、治療が非常に困難な難病とされておりました。
が、米ぬかや玄米などに脚気を予防して快復させる成分があることを発見した鈴木博士は、栄養欠乏説を発表。
その成分をもとにチアミンの抽出に成功し、難病とされていた脚気の症状を快復可能なものへと導きました。
時をほぼ同じくして、ヨーロッパでも1911(明治44)年にポーランドの化学者カシミール・フンク博士が鈴木梅太郎博士と同じ栄養素を発見。
カシミール・フンク博士は、 vitaビタ:生命 aminアミン:必須有機化合物の単語を組み合わせビタミン(ヴァイタミン)と命名し、1911(明治44)年に学会へ発表しました。
「オリザニン」と「ビタミン」は同じ栄養素であり、発見・抽出自体は鈴木博士の方が早かったものの、国際学会での発表はカシミール・フンク博士の方が早かったためビタミンの名称が定着したとされております。
では、体内でビタミンB1が不足してしまうとどうなるのでしょうか。
前述の通り、ビタミンB1は糖質をエネルギーへと変える働きがあるため、体内でビタミンB1が不足してしまうとエネルギーへ変換される働きがスムーズにいかなくなってしまいます。
つまり、糖質を摂取してもエネルギーの生産ができなくなってしまうということです。
糖質はきちんとエネルギーに変えていかないと、脂肪として体に蓄えられていきます。
また、糖質がエネルギーにならなければ、体のすみずみまで、指令をしっかり送ることも難しくなりますので、何となく元気がない、落ち着かないなど、体調が変化してきます。
さらにビタミンB1の不足が体内で続いてしまうと、どんどん体調は悪いほうへと傾いてしまいます。
日本では江戸時代から大正時代にかけ、白米を多く食べる人の間で体調不良が広まりました。
これを江戸患いと呼びますが、その原因はビタミンB1の不足です。
近年では日本人も脂肪を多く摂取するようになり、食事事情も向上したことからビタミンB1の不足はほとんどなくなりました。
しかし最近になり、またビタミンB1の不足が囁かれるようになりました。
これは、インスタント食品や外食、嗜好品を摂取する機会が増えたことにより過剰に糖質を摂取しているにも関わらず、これらをエネルギーに変えるビタミンB1が足りていないことが原因のようです。
このような食品を摂取する機会が多い方は自分の食生活を振り返り、生活のリズムを整えると共に、栄養バランスのとれた食生活を心がけるようにしましょう。
それでもスイーツやアルコールが好きといった方は、より積極的にビタミンB1を摂取するようにしていきましょう。
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食って大事ですね、でもなかなか思うようには行かないのが常です。