人生の先輩Oさんと5、6年ぶりに会った。初めて会った時から気さくな方であったが、今現在でもその気さくさは変わらず、私のこともシッカリ覚えてくれていた。私は両手で、Oさんの頬を包み、「お久しぶりね。お元気そうですねぇ」と、声をかけた。
「膝がダメなの。歌ってはいるわよ。あちこちの舞台に立って歌っている」と、Oさん。
初めてOさんの演歌を聞いた時、玄人と思うほどの歌唱力なので驚いた。今もその歌い方と声は魅力的。体全体から声を出していることがよく解るほど。膝が痛いとのことだが、椅子から立ち上がる時にその辛さが目に見えるが、一旦前奏が始まると、画面など見なくても歌詞は覚えているのだろう、薄く目をとじながら、気持ちよさそうに歌う。
私も曲を選んだ。ここ数日練習した「思い出のノラ」ケンジロウという名前の男性歌手の歌。練習したので唄えた。
コロナで中断したカラオケ仲間との例会。数年ぶりに集まりだした。今回で3回目になるが、何曲も歌わないうちに喉が痛くなる。喉で歌っているせいだろう。今回も、2曲目の「Mrs シンデレラ」という秋元順子の曲を唄ったが、もう喉が痛いイタイ。あとは、お茶を飲み、お菓子を頂いて聴く側に回った。
数曲を唄ったOさんは、バッグから何やら取り出して私の側に座った。
「これが舞台に立った時の写真よ」見せてくれたのは葉書大の写真10枚ほど。どれも綺麗に化粧して、ウイックだという艶々の髪で、ドレス姿の舞台上のOさんである。
「主人は10年ほど施設にいたけれど、お金が大変だった。全財産使ったようなものよ。亡くなって3年。最後は自宅で看取れたけどね。私は思い残すことは何もないわ」と、Oさん。最後の曲までも力強い歌声であった。
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