紫陽花記

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別館★写真と俳句「めいちゃところ」

★47 青大将と夏燕

2024-07-21 05:21:17 | 「と・ある日のこと」2024年度


「青大将が現れたよ」
 夫は、一大事を訴えるように言う。聞けば、バードゴルフの練習に出かけようと玄関の扉を開けたら、扉に添って長々と涼んでいたらしい。ここのところの暑さに出てきたらしい。

 青大将と初めて遭遇したのは、喫茶店営業中だった。カウンターの椅子で休憩していた時。「バサリ」と、本でも落ちたような音で見ると、カウンター内の造り付けの食器棚の上から落ちたのか? 動いたのは1mほどの青大将だった。大捕り物は不発に終わり、冷蔵庫の下に逃げ込んだ青大将は翌朝には居なくなっていた。それから毎年のように梅雨入り頃に現われるのである。どうやら、庭の一角が住処らしい。喫茶店を閉業して、店舗と住まい全部を解体し、新築住居になったにも関わらず、年一、二回は見かける。気持ち良いモノではないが、だからと言って、どうすることも無く、我が屋敷の守り神になった。


 新築家屋が出来上がった翌年の梅雨入り頃、毎朝燕の囀りがした。玄関のポーチは三坪。ポーチの天井中央にある丸い照明に、燕が巣作りを始めたらしい。番がせっせと何処からか材料を咥えてきた。その巣は数年使え、毎年4,5羽が巣立った。築15年過ぎて屋根を葺き直し、外壁全体を塗装したときに、巣を取り壊してしまった。

 あれから、毎年、玄関ポーチの内覧があったのだが、巣作りはしてもらえなかった。なのに、今年の燕たちは、数日内覧に来ていて、そして、ついに巣作りを開始したのだ。
 燕の囀りは喜ばしいもの。ポーチの天井中央の照明器具は、鴉の襲撃も、青大将の悪戯も出来ないような場所。
 抱卵日数は三週間弱。ついに弱弱しい鳴き声をさせて雛が誕生した。楽しんで見守る。


舌打てば四つの顔出す燕の子


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