紫陽花記

エッセー
小説
ショートストーリー

別館★写真と俳句「めいちゃところ」

★10 獲物を狙う

2023-07-01 07:38:05 | 「とある日のこと」2023年度


早朝散歩からの帰り、家の近くまで来たとき、鴉の騒がしい声が頭上を横切った。見上げると、鴉が一回り小ぶりの鳩に追われている。鴉は回転を交えながら、何とか鳩の攻撃を躱そうとしている。数分の戦いは、鴉がようやく逃げ切って終わったようだ。

あの鳩は、卵か雛の母親だったのかしら? それとも父親? いずれにしても、自分たちの平和を乱そうとした鴉を、全力で追い払おうとした親。親殺し、子殺しのニュースが時々ある人間社会と同様、鳥たちの社会も油断できない、生きにくい世界なのかもしれない。

以前、探鳥会へ所属していた。時折見た、獲物を獲る鳥たちの凄さを思い出した。
利根川で燕の渡りを見に行ったときに見た、猛禽のミサゴの漁。泳いでいる魚を獲る様子は、バシャバシャと水しぶきを上げて、水中に頭から突っ込んでいくようだ。離れた場所からも、その凄まじさには驚くばかりだ。それは写真に納められるようなものではなく、あっという間の出来事であった。また、ムクドリの飛んでいる群れに、オオタカが空中で狩りをするところを見たが、それも、あっという間の出来事であった。探鳥会は楽しかった。姑となって、日曜日の早朝に出かけることが躊躇われた結果、探鳥会を止めた。

門先で、早朝の緑風を感じながら、花壇の花を眺めていると、頭上を鴉が数羽飛んで行った。その中の一羽の羽が数本抜けているのが見えた。先ほどの鳩から逃げた鴉かもしれない。抜け落ちた羽無しでも、難なく飛んで行く。鴉は頭が良いと言われているが、全身が真っ黒ということで嫌う人も多い。だが私は、著書、「風に乗って」の中の「おばばシリーズ」の前半でおばばの友として登場してもらった。
よくよく見ると、黒を基調とした玉虫色の羽は艶やかで、鋭い眼力は魅力的だ。




___________________________________
俳句・めいちゃところ
https://haikumodoki.livedoor.blog/
写真と俳句のブログです。
こちらもよろしくです。

最新の画像もっと見る