クリント・イーストウッドの『目撃者』と、『toilet』という映画が、同じ時間帯になっていた。
『toilet』は、出演者も監督も紹介文もなにもなかった。『目撃者』を録画予約にした。『トイレット』は、墓地の場面から始まった。ひどく嘆き悲しんでいる痩せた兄と弟と妹の3人きょうだいがいて、弟が「ママの遺してくれたものは…」と語る。「ボクはヒトに迷惑はかけないし、迷惑をかけられることも嫌い」。
兄貴はうつ病で4年間も外へ出たことがなく、妹は1ドルにもならない作詞教室に通っていて、弟だけがなにかの研究室で働いている。家にはママのママ(ばーちゃん…日本人)がいる。ばーちゃんは毎朝、トイレから出て来ると大きなため息をつく。題名が題名だから、トイレに怪しいものが棲みついているのかと思っていたら……
ノイローゼの兄貴はピアノの名手で、ばーちゃんはエアー・ギターが好き。弟はウルトラマン人形の蒐集を趣味にしている。ばーちゃんの溜息の原因はtoiletにあるんじゃないかと職場の同僚に教えられ、主人公はばーちゃんのためにオール自動の便器を買う。ばーちゃんが死んでから、toiletが家にやって来る。ラストが面白い。
ラストのラストで、3人がエアーギターの演奏をしているのも良かった。兄貴役者はなんでも器用にこなしていた。
いやー。面白い映画だった。脚本も監督も荻上直子という人だった。テレビ・ドラマでも電化製品でも、女性下着でも、日本の男性が作るものは全部間抜けなものばかりだけど、女の人が作ると映画でも面白いものが出来るんだ。
本も映画も日本ものは嫌いだが、もっと日本女性に期待しよう。