ちょっと待って!

見たこと聞いたこと、すんなり納得できません。あ、それ、ちょっと待って。ヘンじゃありません?  ヘンです。

「求婚男」の続き

2015-01-18 01:05:28 | Weblog

 純情青年のガイは、子供の頃からいつも一緒に遊んでいた優しいレオノーラと結婚することしか考えていません。でも、レオノーラは、「別の男と結婚する」と言うのです。ガイは友達に、レオノーラの姉さんを殺して欲しいと頼みます。友人は、「こんな仕事は嫌なんだが、人に頼んでやる」と言って大金を要求します。

 ところが、殺し屋は、轢き逃げに失敗して、姉さんは怪我だけで助かります。ガイは、一族みんなに嫌われながらもお見舞いに行ったりします。一族でただ一人暖かくガイに接してくれる叔母さんは、「心配してくれてありがとう」と言います。みんなの話から、ガイはレオノーラに自分の悪口を言っているのは姉さんではないらしいと思い、よく考えて、やっぱりルームメイトのレイチェルだと確信します。

 それでガイは、「姉さんじゃなかった。レイチェルという女だ」と友達に言います。そして、今度は名刺の裏に、「小柄、丸顔、でぶ、メガネ、黒い髪を後ろに垂らしている。27歳ぐらい」と書いて友達に渡します。

 レオノーラはランチのあと、「夕食を一緒にしてもいい」と言います。彼女と夕食を共にするのは初めてのガイは喜んで、何処のレストランにしようか」と言います。レオノーラは「彼の家に引っ越したの。わたしのうちがいいわ。彼も一緒に、いいでしょう?」と言います。ガイはびっくりしますが、(レオノーラは天真爛漫なのだ)と思い、彼の家へ行く約束をします。

 約束の時間に、タクシーで教えられた住所へ行ってみると、ガイの贅沢な調度品を置いた広い家と違って古い建物で、賃貸住宅のまた貸しという3階の、キッチンも入れて三部屋の住まいです。壁に、フェンシングの剣が、クロスにして飾ってあります。数日前、「剣を売ります」「家を借りてください」という新聞広告を、ガイは見ていたので、「この男は結婚資金もないのだな」と思いました。 レオノーラが食事の用意をしている間、赤毛のチビとガイは、お酒を飲んで話をします。レオノーラの一族にガイのことをどんな風に聴かされているのか、チビ男はガイを馬鹿にした態度をとります。憤然としてガイは、壁の剣を掴んで、「決闘だ!」と叫びます。レオノーラがとんで来て「やめてッ」と言いますが、ガイはききません。チビ男は冷笑を浮かべたままガイの振り回す剣を軽く躱して、ガイの服の袖を切り裂き、腕にひどい傷を負わせます。レオノーラは傷に包帯を巻いて、ゲイを車で医者へ連れて行きます。医者は傷をみて、「フェンシングの達人がつけた傷だな」と言って、6針縫ってくれます。

 レオノーラは車でガイを家まで送って行き、「明日も会ってくれるね」と言うガイに、「いいわ」と優しく微笑して接吻し、「明日一日、一緒にいたいわ」といいます。「こんな結末が来るんだったら、腕一本切り落とされてもよかった」とガイは喜びます。

 次の日の朝、ガイが電話しようとしていると、電話が掛かって来て、レオノーラでした。レオノーラから電話をくれるのは何年ぶりだろうかと、ガイは喜びました。いろんな話をして、「愛してるわ」と言って貰って、土曜日のランチの約束をします。レオノーラの結婚式の日まで、土曜日はあと一回しかありません。

 ランチの約束の土曜日、ガイは昔レオノーラの為に買って金庫にしまったままだった指輪を出して箱ごとポケットに入れました。レストランまで早目にタクシーで行き、待ちながらお酒を飲みました。レオノーラは現れませんでした。

 ガイはレオノーラを探して親類の家から家を尋ね回りますが、みんな留守です。日が暮れてから、一旦家に帰り、拳銃を出してポケットに入れ、彼女のお母さんの所へ行きました。「レオノーラは何処だ?」お母さんは言います。「今ちょうど、来たフランスの2万フィート上空じゃないかしら。レオノーラは今日の一時に結婚したのよ」

 「彼女は16日に結婚するって言ってたんだ。あんただってそう言ってた」

「あなたに本当のことを言うと、押しかけて来て騒ぎを起こすんじゃないかとみんなが心配したの。あなたのこと、何をするか判らないって、娘は何年もの間、あなたを恐れていたの。悪夢のような恐怖の中で生きて来たのよ」

 「本当の式の日を言わないでおこうというのは、誰の思いつきなんだ?」

  母親はさんざんガイを馬鹿にして嘲笑ったすえ、「誰が言ったか知らない」と言います。母親の再婚相手が出て来て、その思いつきを言った人の名前を教えます。

 

 これはこの作品の終わりから20ページめのところです。

 さあ、この小説の結末はどうなるのでしょうか?

 ハンサムで純情な青年ガイの幼少時代が、食べ物もろくに無い極貧だったのは、彼の責任ではありません。