医院の受付さん

　ショーが「インフルエンザの予防注射に行こう」と９時頃に言いました。予防注射などしたこともないし、今日は敗者の予約日なので、「気忙しいからイヤ」と言いました。
　歯医者は歯のクリーニングで、４か月目です。昨夜。時間の確認をしたら、『１時』と書いてありました。「昼までには帰って来られるから」と言うことで、ショーのかかりつけのТ市のO医院へ行きました。
「予約して頂かないと…」
「そうですか」
　用紙だけ貰ってO医院を出ました。
「４年も通うてるのに、むつかしいこと言うなあ」
「ここはワクチンの割り当てが少ないねんわ」
　予防注射なんかどうでもいいのに、ショーは春に健康診断をして貰ったK市のK医院へ行きました。
「インフルエンザの予防注射、して頂きたいんです」
「はいはい。ここへ住所氏名、と簡単な質問のマルつけてください」
　待合室には10人ほどの人がいました。「この注射について、詳しい説明を受けられましたか」という質問の箇所に〇を付けなかったので、ナースさんが私だけに。丁寧に説明してくれました。それから別の部屋へ行くと、ショーはもういませんでした。
「腕の、上の方にします」
　服を片袖だけ脱ぎました。
「ああ。種痘みたいですね」
「シュトー？」
「ホウソウのね。あ。天然痘ですよ」
「ほうそう？　てんねんとう？　はあ。初めて聞きました」
「60年以上ムカシのことですね」
　天然痘も種痘も知らない世代のナースでした。

　早めのお昼を食べて家へ帰って来たのは12時35分でした。歯を磨いて、歩いて5分の歯医者へ行きました。診察券を出すと、「あ。予約は11時やったんですけど」と受付の女の子は、言いました。
「えー？　1時やとばっかり思てましたわ。確認したのに」
　何度見ても1時にしか見えない字でした。「AM、PM、書いてくれてないから」
「申し訳ありません」
　変更した日時を書いて貰いました。
「15日の3時30分です。15日の3時30分です」
　２回繰り返して、診察券を丁寧に両手で渡してくれました。やっぱりAM、PM　は無しでした。