たそかれの散策

都会から田舎に移って4年経ち、周りの農地、寺、古代の雰囲気に興味を持つようになり、ランダムに書いてみようかと思う。

医療現場は変わってきた? <医師の働き方改革 命守る現場、苦渋 夜間・休日の診療体制縮小>などを読みながら

2018-08-05 | 医療・医薬・医師のあり方

180805 医療現場は変わってきた? <医師の働き方改革 命守る現場、苦渋 夜間・休日の診療体制縮小>などを読みながら

 

今日も市役所のアナウンスが聞こえてきました。熱中症の警報がでているようで、水分補給の注意喚起でした。実際は、あまり聞きとろうという気持ちにもならないのと、やはりいくら晴天でも広報アナウンスはやはり聞き取りにくいですね。だいたい暑いのにそのような音に集中する気にもなれません。大音量では騒音みたいでかえって体温が上がりそうです。

 

熱中症の対応策に広報アナウンスが適切か、と思うのです。熱中症で救急搬送されている人が増えているから、行政もなんとか対応しないといけないとこういった慣行的な手法を採用するのでしょうか。熱中症対策は、大音量アナウンスより、適切な知識の啓蒙の方がよほど大切ではないかと思うのです。室内でも室外でも、暑くてかなわないと、水分補給ばかりしていると、塩分不足になって、めまい・吐き気などかえって症状を悪化させる例が少なくないと聞きます。水分と塩分をバランス良く持続的・定期的に適量補給することが大切なのに、一度にがばっと水を飲んだりして意識喪失したり、救急搬送されたりといったこともあるそうですね。

 

今日のテーマは医療現場、とくに医師の働き方が適切な状態かなんですが、熱中症に触れたのは背景事情の一つかなと思ったからです。

 

ところで、いまだに長時間労働が常態化していたり、他方で、大病院の待ち時間が23時間は当たり前という、にもかかわらず病院経営が厳しいとか、医療費の負担が行政も住民も同じく重荷になりつつあるというのですから、一体全体どうなっているのでしょう。

 

623日の毎日記事では<焦点・働き方改革首都圏・総合病院の医師悲痛 当直明けも分刻み 「長時間労働、野放し状態」>と、働き方改革で取り残されてきた重要な分野、医師の問題を取り上げています

 

<働き方改革関連法案には、終業と始業の間に一定の休息時間を確保する「勤務間インターバル制度」が努力義務として盛り込まれた。>これ誰もが当たり前の事柄ですが、ところが「勤務間インターバル制度」を医療の世界で問題となっているようです。

 

<医療現場では、医師や看護師の過労は医療の質の低下やミスにつながるとして、制度の必要性が叫ばれている。首都圏にある総合病院で、医師の働き方を追った。【市川明代】>と医師・看護師には適切なインターバルが保証されていないようです。

 

医師の厳しい実態(看護師もだと思います)は、この記事でリアルに取り上げられています。

<午前7時15分に起床した当直勤務の男性医師(43)が、疲れ切った表情を見せた。この病院の当直は2人体制。夜間・休日の救急患者は多く、仮眠はほとんど取れない。>

 

私が取り扱ったことのあるブラック企業といわれる勤務形態でも、これほどひどくはないですね。給料が違う、命がかかっている仕事だから別だと言われるかもしれませんが、やはり人間の肉体にも限界がありますからね、是非とも検討してもらいたいです。

 

 仮眠がほとんどとれない事情は次の経過でよくわかります。

<前夜に男性医師は、3カ月の乳児の頭部打撲の診察、食物アレルギーの患者への対応が続いた。さらに救急搬送された高齢者の入院措置、血圧が低下しショック状態となった入院患者への処置……と追われ、休めたのは午前4時半。「患者さんの前で眠そうな顔はできないですよね」と言う。

 

仮眠がとれないうえに、当直明けもびっしり仕事が詰まっているんですね。驚きです。

< 当直明けも分刻みのスケジュールが待つ。午前9時15分、研修医の受け持ち患者の治療経過を確認。「この患者さん、こんなに薬必要?」「見逃すと、何年か後にがんで亡くなってしまうということもある。ここはしっかり調べたほうがいい」。医師の卵たちに、かみ砕いて説明する。

 午前11時過ぎ、入院患者の家族との面会。高齢で衰弱が激しいため、最善を尽くしつつ無理な延命措置はしないことを確認する。

 同20分、透析導入に向けた手術を翌日に控えた男性と面談。術後合併症の可能性などについて伝え、同意書にサインを求める。

 20分後、自身が主治医を務める患者を巡回。午後0時半、担当科の医師を集め、患者の治療方針を協議する。

 一息ついたのは午後2時前。その後も午後8時近くまで、カンファレンス(会議)などに追われた。>というのですから、緊張しているのと、まだ40代前半ですから体がもっているのでしょうけど、こんな状態で長年仕事を継続していると、いつ倒れてもおかしくないかもしれません。

 

医師の正直な気持ちもちゃんと取り上げています。

<「さすがに疲れました。36時間、同じパフォーマンスを維持するのは不可能です」。当直明けに外来診療が入っている日は精神的な負荷も増す。当直は月5回程度。疲労を引きずったまま次の番が回ってくる。>

 

医師の当直に対す報酬ないし給与の支払いについて、厚労省の基本スタンスには驚かされます。

<厚生労働省は「医師の宿直」について「ほとんど労働する必要がない」場合に限り、労働時間に含まないものと認めている。>だいたい、そんな当直だったら、病院側から求められることもあまりないでしょう。私の狭い聞き取りでは、多くは上記のようなケースではないかと思います。入院患者はもちろん、救急患者もいますので、それでたいていの患者さんはとくに夜間対応に感謝の気持ちを抱くのではないかと思うのです。

 

ところが、その賃金がきちんと支払われていないと言うのですから驚きですね。

<当直の医師がほとんど寝ずに働いていても、残業代や夜間の割増賃金が支払われず、労働基準監督署から未払いを指摘されるケースが相次いでいる。医師の働き方改革を進めるには、医師の確保や診療報酬引き上げの議論が避けて通れないため、後回しになってきた。>

 

83日付け毎日記事<クローズアップ2018医師の働き方改革 命守る現場、苦渋 夜間・休日の診療体制縮小 「医療の質」維持に不安も>では、病院側にショック療法的な対応が出ていることが取り上げられています。

 

<「患者さんの受け入れを中止します」。5月、杏林大病院(東京都三鷹市)の救急外来窓口に、こんな「お知らせ」が張り出された。泌尿器科や神経内科、眼科など12診療科について、午後10時以降の深夜帯での軽症患者の受け入れをやめるという内容だ。>

 

<労働基準監督署に昨秋、医師の長時間労働の是正を求められたことがきっかけだった。>いままで問題にされなかったことがおかしいのですから、病院の経営者はもっと前に、適切な対応を構築すべく検討しておくべきだったと思います。

 

患者ファーストとか、患者様とか言って、患者側の申し出ならなんでも聞くなんてことはどこの病院でもないはずです。患者側、医師側、それぞれが節度をもって対応するのが本筋でしょう。形だけ患者サイドに立つような雰囲気をだしても、患者側の立場をそんちょうしないような対応は望ましくないのは当然です。

 

他方で、患者側が自分本位の対応を一方的に求めるとすれば、それは制約があってもしかるべきではないかと思うのです。

<今年から患者と家族への病状説明も日中に限っているが、家族が仕事帰りに来院すれば夜間でも対応せざるを得ないのが実情だ。病院の担当者は「患者にも協力を求めたい」と訴える。>当然でしょうし、相互に協議をしてもらいたいですね。

 

医師が長時間労働を強いられ、過労状態だったりすれば、一人ひとりの患者に適切な対応を求めるのが無理な相談でしょう。医師の権利、働きやすさをしっかりサポートする仕組みをみんなで作り上げていく必要があるでしょう。

 

<さまざまな医療問題に患者の立場で提言しているNPO法人「ささえあい医療人権センターCOML(コムル)」の山口育子理事長は「患者も睡眠不足や疲れ切った医師に診てもらいたくない。夜間や土日の病状説明で医師の長時間労働を助長させないよう『家族が病気で医師から説明を受けるため、昼間少し仕事を抜けさせてください』と誰もが職場で気兼ねなく言える社会に変えることが必要だ」と、医療を受ける側の意識改革も訴える。【熊谷豪】>

 

大病院で長時間待つのが当たり前というのはそろそろ過去の話にしてもらいたいものです。私は今、予約制で、待ってもせいぜい30分程度、短いとその半分くらいでしょうか。大学病院でも、やろうと思えばできるはずです。それには身近なかかりつけ医をもち、たいていの病気はそこで診てもらい、大病院には紹介がある場合にのみお願いするのを徹底してみてはどうでしょう。

 

さらにいえば、医者いらずという健康状態を長く続ける努力を市民、患者予備軍も心がけたいものですね。

 

今日はこれにておしまい。また明日。