180814 豪雨被害への対応 <西日本豪雨 支援法で格差・・>などを読みながら
今日はお盆期間ということで、午前中階下で涼風を感じながらロッキングチェアに座って読書していました。遠くの高野の峰々を時折ぼんやり眺めながら、少しずつ個々の峰の形状が立体的に(3D画像とまではいかなくても)つかめつつあるようなイメージです。そんなことは風景を感じるときあまり意識しないのが一番ですが、やはり気になります。どのようにしてこの山容が生まれ、形成されていったのかなどと・・
と思いながらも、飛鳥文化に関する書籍に目をとしていたら、途中ですっかりいい気持ちになって眠り込んでしまいました。ロッキングチェアのいいところ?でしょうか。家具と言えば、大塚家具の経営も怪しくなってきたようですね。わが家ではたぶん一度くらいしか利用していないと思います(高すぎる!)が、前社長のやり方はある意味では理にかなった差別化だったかもしれません。ニトリやイケヤと似たような顧客サービス方式だと、あの低価格政策には太刀打ちするには構造的改革をしてもおいつかないかもしれませんね。
本日付アエラ記事<ヨドバシカメラに袖にされた大塚久美子社長が画策する延命策とは?>は業務提携や資金繰りなどが付け刃的で、本体の家具経営について持続性ある改革案になっていないことを示しているように思えます。これは家具販売店だけの問題ではなく、木材利用、そして林業、さらには森林管理にも関係することですね。
関係のない前置きがながくなりそうですので、このあたりにして、本題に入ります。
本日付神戸新聞記事<西日本豪雨 支援法で格差 支給半額の被災者「同じ災害なのに」>は、<西日本豪雨で住宅被害を受けた世帯を対象に、国が公的支援を行う「被災者生活再建支援法」を巡り、自治体ごとに分かれる同法適用の有無が、兵庫県内の被災者に格差を生んでいる。>
同記事では、支援法の基準と、兵庫県のそれを、それぞれ一覧表にしてわかりやすく説明しています。
支援法については、これまでもよくとりあげられており、全壊と大規模半壊で分け、さらにそれぞれ基礎支援金額に加えて、建設・購入か補修、あるいは貸借かによって、それぞれ異なる加算支援金となっています。これは全国一律ですから、どこでも変わらないと思われるかもしれません。しかし、同法が適用されるには自治体ごとに災害による一定数の被害が起きたかどうかで判断され、被害数が基準に達していないと適用されないことになります。
西日本豪雨では<11府県86市町村が対象で、兵庫県内では全壊12棟の神戸市と、同2棟の宍粟市に適用された。住宅の損害割合50%以上の全壊世帯に最大300万円、同40%以上50%未満の大規模半壊世帯に最大250万円を支給する。>
兵庫県でも両市以外は適用されないことになります。記事では、淡路市の住宅被害事例が取り上げられています。住宅自体はほとんど痛んでいないようにも見えるのですが、基礎地盤が大きくえぐられ、いつ建物ごと崩落するかもしれないような危険な状態です。
そのため<斜面に建つ自宅の基礎部分が豪雨で流出した淡路市の男性(71)。家屋の半分が宙に浮き、全壊と判定された。>
<だが淡路市は、ほかに全壊世帯がなく支援法は適用外に。県の支援金は対象になるが、男性は「家屋の解体や新たな生活資金などにいくらかかるか分からない。被害が小さな地域が支援法から漏れるのは疑問」と語気を強める。>
他方で、全壊、半壊、大規模半壊、などの損害割合の判定に納得できない被災者も少なく内状況はいつも話題となります。
<「住めない状態なのに…」。神戸市長田区の電気設備業の男性(51)はつぶやく。高取山のふもとの自宅は基礎部分の土砂が流出。リビングの下に空洞が広がり擁壁も崩れ落ちたが、調査の結果は「一部損壊」。神戸市に適用された支援法の対象から漏れた。>
各地の自治体は、国の支援法の適用がない場合に補完するために、それぞれ独自の支援制度を用意していますが、国と同じ金額もあれば、兵庫県のように半額にとどまるところもあり、自治体による格差も問題にされています。愛媛県のように支援法対象自治体でも、さらに上乗せ支援を用意しているところもありますね。
そんな問題状況を踏まえて、<日弁連災害復興支援委員会の津久井進委員長(兵庫県弁護士会)は「同じ災害では、全国どこでも同じ支援を受けられるのが原則だ。支援にばらつきを出さないため国の法整備が必要」と指摘する。(田中宏樹)>
津久井氏の意見も一応ごもっともです。それなら被害規模要件をなくして、すべての被害に支援法を適用すべきことになるかもしれませんが、はたしてそれが今度は局地的な豪雨で少数の住宅被災だけでも対象となってもよいのか、支援法の仕組み、制度目的とも関係して丁寧な議論をして欲しいところです。
適用対象の拡大、公平さの確保は当然のことですが、支援金の金額が極めて低いですね。これで全壊かあるいは大規模半壊か長い時間かけて議論することがどうかと思うことがあります。もっと本格的な支援金は無理なのかも検討してもらいたいですね。細かい区分けをしてその判断に費用をかけることの当否も検討してもらいたいものです。
とはいいながら、今朝の毎日記事の<記者の目元東京大空襲国賠訴訟団長の死 民間人被害の救済を=栗原俊雄(東京学芸部)>で指摘されていますように、東京をはじめ大空襲で多くの方が悲惨な最期を遂げていますが、軍人でないとして、一切補償されていません。最高裁も認めませんでした。それが現代の司法的正義のようです。
沖縄戦で多くの沖縄の民が自決を迫られたり、死亡しています。このような被害は、支援法の対象にはなりませんが、その問題を考えないで良いのでしょうか。
故翁長雄志氏は、沖縄の心を最後まで追求し、報われない沖縄の人の心を命がけで代弁したと思います。そういうことに命をかけることができた人を私は尊敬したいと思います。どんどん脱線しているようですが、私には大事なことなのでつい書いてしまいました。
ところで余分な一言になりますが、私は神戸新聞の記事が取り上げている建物の立地に驚きます。むろん建築当時の地盤形状や地質の状況をよく調べないといけませんが、地盤の安全性について、所有者として適切な対応をしていたのか気になります。むろん本来は土地売り主や建築物の設計をした建築士の問題もあります。
というのは私が以前、依頼を受けた方も、斜面地に自宅を建築しましたが、強固な母岩上に杭基礎をしっかり打って、土砂崩れ対策を含め地盤の安全性に対応していました。他方で、同じ斜面地に建っている他の建物はまったく基礎工事についてほとんど配慮していませんでした。中には斜面地(勾配が15度くらいの緩傾斜)上に、最近問題になったブロック塀を立てていました。で、土砂崩れがあり、他の建物は傾いたり、一部倒壊したりしました。
当該分譲地は谷地を埋め立てた造成地で、斜面地上の雨水排水処理も不完全で、斜面地に雨水が浸透し、盛土地層がすべり面ごと滑ったようでした。杭基礎などしっかりした安全対策を講じていればたぶんこのような被災に遭わなかったと思うのです。
神戸新聞の記事で扱われている物件が、私の指摘に当てはまるかどうかは分かりませんが、斜面地の上や下にある土地を購入するときは、専門家のアドバイスを受けて判断してもらいたいと思うのです。私も以前、崖地上の住宅を購入したとき、構造専門の建築士の判断を仰ぎ、アドバイスを受けて実行し、問題なく過ごすことができました。
ちょうど一時間となりました。このへんでおしまい。また明日。