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《あらすじ》
司量部に捕らわれたウォルヤは、ここにも隠れていた密偵の助けを借り、
ソルチと共に宮殿を脱出する。
トンマンは、ユシンの取り調べを許可するしかなかった。
ユシンが逆心など抱いていないことはわかっている。
しかし、彼の勢力である伽耶の生き残りが、彼を王にと望んでいる。
ユシンが生き残るためには、伽耶を捨てるしかない。
「ウォルヤの首を取ってこい」とピダムは言うが、ユシンは反発する。
「また新しい首領ができるだけだ。これまでの陛下の苦労が無駄になる」
ピダムとユシン。王の右腕と左腕。
彼らの勢力は互いに牽制しあい、均衡を保ってきた。
「今、ユシンの勢力をつぶしてはなりません」
チュンチュはトンマンに、そう進言するが……。
ウォルヤは、ユシンを追い込むためにわざと逃亡した。
王になるしかない状況を作るために。
「ユシンを逃亡させる」
ウォルヤは、決心している。
逃亡させてしまえば、ユシンは二度と戻れない。
ユシンを得る方法は、それしかないのだ。
ピダムも、そのことに気がついていた。
「面白いのは、ウォルヤが望んでいることを私も望んでいるということだ」
トンマンは、取調室にいるユシンと話をしに行く。
兵を出すから、伽耶を討てというのだ。
ユシンは、うんと言わない。
それでは、トンマンの今までの苦労が水の泡となる、と諭す。
「それでは私がユシン公を失うことになります」
ウォルヤを討っても、また新しい首領ができる。
武力では何も解決しない、受け入れるしかないと言うユシン。
「国のことだけではなく、自分自身のことも考えるべきです。
そして…………私のことも」
ユシンは、トンマンをじっと見つめるのだが、結局こう言うのだ。
「部下を統率できなかった私の罪は重いでしょう。
どんな処罰でも受けます。
ですが、私を捨てても、伽耶だけはすててはなりません、陛下」
執務室で考え込むトンマンに、ピダムが会いにきた。
「宮殿が混乱しています。誰かが責任を取らなくてはなりません」
「ユシンは、潔白だ。復耶会とは無関係だ」
きっぱりと言い切るトンマンに鼻白むピダム。
「ええ、そうでしょう。しかし部下はそう考えません。
私も残念です。陛下もおつらいでしょうが……」
「そのことに……ユシンはなぜ、気付かないのか。
私が苦しんでいるのに、ユシンはわからないのか。
それが残念だ。
私の気持ちに気付かない、ユシンが恨めしい」
トンマンのつぶやきに、心乱れるピダム。
ピダムは、ユシンを復耶会に与えることにする。
「ユシンには、二度と戻れぬ橋を渡ってもらおう」
ピダムの企みに、チュンチュは気付くのだが、時すでに遅し。
ユシンは、移送中に復耶会に奪還されてしまった。
ピダムは中小貴族を抱き込み、ユシンを逆賊として扱うよう、便殿会議で主張させる。
ユシンを神国の敵として宣布しようと言わせたのだ。
ユシンは怒った。ウォルヤを殴り飛ばすが、彼には彼の大義がある。
伽耶の民60万人を背負っているというウォルヤ。
自分だけなら、トンマンを信じた。
だが、迫害を受け続けてきた伽耶の民は?
陛下の死後はどうなるかわからない。
逆心があるわけではない、ただ備えただけだ。
伽耶人の王が、必要なのだ。
ユシンは、ウォルヤの想いを受け入れられない。
だが、状況が、戻ることを許さない。
すでにユシンは神国の敵と見なされてしまった。
「陛下、多くのものが意を同じくしています。
私もユシンが惜しいですが、国の安全にかかわる問題です」
ピダムはトンマンに進言する。
「ユシンを神国の敵として宣布せよと?」
ピダムは、即位式の前日、トンマンと話した聖君についての話を持ち出すのだ。
側近に厳しく、民に優しく接するのが聖君だと、トンマンは言ったではないか。
「お前のいうことは正しい。まさに大義そのものだ」
「恐れ入ります、陛下」
「だが、お前の私利私欲とも合致する。
ユシンを牽制する貴族の利益とも合致する。どう思うか?」
一瞬、固まるピダムだが、そつなく答え、トンマンを見据える。
「自分の利益と大義が一致するのならば、何よりだと思います」
ユシンは、ピダムの罠にはめられた。
チュンチュもそれはわかっているが、どうするこもできない。
「なんてことだ!あんなに真心を尽くすお方はいないのに」
チュクパンの言葉に、ふと笑みがこぼれるチュンチュ。
彼はそのまま、トンマンに謁見に行く。
「臣下とピダムの進言も、もっともです。
しかし、国の英雄を神国の敵だと宣布すれば、大変な混乱が起こるでしょう。
ユシンが失脚すれば、ピダムを牽制する勢力がなくなります。
解決策はありません。これはピダムの金剛計です。
ユシンならひとつ希望があります。しかし、彼とて難しいことでしょう」
翌日、トンマンは臣下の前で、とうとうユシンを神国の敵として
宣布しなくてはならなくなる。
しかし、それを口にする直前、アルチョンがある報告をもたらした。
インガン殿に、ユシンが現れたというのだ。
報告を聞き、にやりと笑うピダム。
「ユシン……」
「陛下!上将軍ユシンは、処罰を受けるために、陛下にお目にかかりたく存じます!」
ユシンは、コドらに守られて、トンマンの前にひざまずいた。
トンマンは、チュンチュの言葉を思い出していた。
ユシンにひとつある希望。それは、真心。
策に惑わされず、正しい道を歩もうとする真心。
策が通用しない、けして揺らぐことのない真心。
「陛下、上将軍ユシン、処罰を受けに戻りました。罰をお与えください」
「何をしておる。すぐにユシンを捕らえよ!」
兵たちに命令したトンマンは、心の中でつぶやいた。
(感謝するぞ、ユシン)
(つづく)
うえーん!ピダマー!(涙)
ほんとにかわいそうな子だよ。
あんたの計略すべて裏目じゃん。
いや、表面的には大成功だよ?
でもさー、政敵でもあり、何より恋敵のユシンを追い落とそうとして、
かえってトンマンからユシンへの愛情がかき立てられてるじゃん!
トンマンの愛がユシンに向かっちゃってるじゃん!
バカバカ!ピダム!
じゃあ、アホなわたしなりに状況を整理しますね。
まず、ピダムは、ユシンを無力化してやろうと、
復耶会をネタにして隠密捜査を進めていました。
案の定、復耶会はウォルヤを長にして存続していたので、
密偵メンバーを取り調べることにしました。
ウォルヤとソルチは、宮殿を逃げ出します。
ユシンは、彼らの直属の上司ですから、当然管理責任がありますし、
積極的な関与が認められるかもしれないため、取り調べを受けます。
そこで、もちろんユシンは全く何にもしらなくて潔白だとわかるのですが、
ま、そんなことはユシンを知るものなら当然分かっていたことです。
ピダムだって、予想はついていました。
が、ユシンはもう、一人の個人ではありません。
彼は伽耶人の象徴なのです。
ユシンは知らなかったんだから、許してやろうとは言えない状況です。
伽耶を捨てて、最初からやり直せ、とピダムは言います。
領地も地位も没収されれば、ユシンの勢力は無になり、彼の敵ではありません。
トンマンも、伽耶を捨てて欲しいとユシンに言います。
ユシンを失いたくないのです。
でもユシンは、真面目な男なので、そんなことしたら今までの苦労が水の泡だといいます。
自分を捨てても、伽耶を捨ててはいけないのだと。
それは、神国を、ひいてはトンマンを何よりも大切に思うからなのです。
ピダムは、ここぞとばかりに、トンマンを慰めつつ、ユシンをはめます。
「陛下とておつらいでしょうが……」
そんなピダムの言葉をとらえて、トンマンはついつい本音を言ってしまうのです。
私がこんなに苦しんでいることを、なんでユシンはわかってくれないの?と。
私がこんなにユシンを愛しているのに、なぜそれがわからないのか?と。
後半は口に出してませんが、言ったも同然ですよねー。
ここ大事だと思うの!
トンマンはさー、やっぱ心のどこかでは、ユシンをひとりの男として見てるんだと思うのね。
彼女の愛は、ユシンに向かってるんだよね。
だからこそ、苦しい。だからこそ、わかってほしい。
でもユシンはさすがに頑固一徹でさー。
あの時、トンマンへの愛は捨てたって言ったことを本当に実践してんのよね。
いや、捨ててないよ、本当は捨ててないけど、
トンマンの心が欲しいとか、触れたいとか、そういう私欲は捨てちゃったのね。
もっと大きな愛に昇華させちゃったんだよね、無理矢理。
トンマンを王として、自分のすべてを捧げる。
だからこそ、本当にトンマンのためになることを選択するし、進言する。
自分みたいなひとりの男のために、トンマンが判断を間違ったりしちゃいけない。
ひとりの男の愛を得るために、神国を、民を、捨てることがあってはならない。
彼は忠誠心、という形で愛を捧げていますけど、
その裏には、一見表からは見えないけれど、深い深い男の愛が捧げられているんだと思うのよ。
もう、これだからユシンを愛さずにはいられないのよ!
かっこいいってこういうことだと思うのよ!
で、
そんな言葉を聞いたピダムは、心が凍るのね。
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はぁ?ってなもんですね。
で、
もっと恐ろしい罠をしかけることになるんでーす!
うう……ピダマー!なんてお前は不憫な子なんだ……。
恋心も王座も分け合うことはできないってママンから教わってるから仕方ないんだけど。
実は心の持ちようによっては、わけられるのよ。
私利私欲をお捨てなされ。
もう、涙目ではらわた煮えくりかえってるくせに、
心は一気にマイナス氷点下のピダムを見ててゾクゾクしてきたわ!
鬼畜ピダム最高!
悪い奴だよね、こいつ。
好きな女の一番近くにいるのは、自分じゃなきゃ気が済まないんですよ。
ユシンを追放したら、一番つらいのは、トンマンだってわかってるのに、
好きな女が苦しむことは分かってるのに、
恋敵なんて邪魔だから罠にはめちゃうんですよ。
この勝手すぎる片思いがたまりませんね。
ピダムの愛が、全然報われてないことがかわいそうですが、
苦しくて泣きそうで嫉妬で身もだえしているピダムを見るのが至福。
はっはっはっはっは、やれ楽しや。
ピダムは、ユシンを移送します。
そしてわざと復耶会の密偵を警護につかせ、ユシンを奪還させるのです。
ユシンを復耶会にあげちゃったのね。
「二度と戻れぬ橋を渡ってもらおう」
なんですと!悪い!悪すぎる!
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わぁ~、まっくろなピダムだわ。悪い奴だ。
ほんとはユシンの勢力を無力化すればいいや、程度に思ってたのに、
嫉妬のあまり、ユシンが二度とトンマンの側に戻れないようにしたのですよ。
そもそもウォルヤも、脱出したのはユシンを追い詰めるため。
にっちもさっちもいかない状況が続けば、さすがのユシンも
自らが王になることを考えるだろうと思ったからなのね。
ある種の狂言脱出ですよ。一歩間違えば死んでたけど。
協力者は確実に多数死んでるけど。
で、ウォルヤは希望通り、ユシンを得て、我らの王となってくれと改めて頼みます。
宮殿に帰ろうにも、帰れば即、逆賊として捕らえられる。
そんなことは不可能だろう、と。
ピダムも希望通り、ユシンを追い払って、宮殿内で勢力を広げました。
そのうえ、ユシンを神国の敵として布告するように進言します。
だって俺、まちがったことなんか言ってないもーん、てな感じです。
昔、即位式の前日に、トンマンと話したことを引っ張り出して、
そういうこと言うんですよ。
部下には厳しく、民には優しくするのが聖君だっていったでしょう?って。
一番かわいがっていたユシンだからって甘くしたら、良い王になれないよって。
かわいいからこそ、厳しく罰しなきゃ、って。
もう、この時の会話なんて、ピダムにとったら甘い思い出のひとつなんだと思うのね。
トンマンとラブラブでお話したもんねーって感じで。
あの時俺に言ったでしょ?厳しくするから覚悟しなさいね(ハァト)って。
ユシンにだってそうしなきゃ嘘だよね?って。
ま、そんな思い出引っ張り出してくっからバチがあたってますけど。
もちろん、ユシンには厳しく対処せねばならないとわかっているトンマン。
ことによっては、本当にユシンを捨てなくては……くらいは思っているはず。
そしてそんな事態を引き起こしたのは、ピダムの策略だってことは
警護要員の復耶会率を知れば一目瞭然。
で、ピダムにも、厳しく接するんですよ。
はいはい、大義、大義、偉いよねーピダムは。
でもその大義って、お前の私利私欲と都合良く一致してるみたいだね、と。
もう暗に、お前がやったことだと知ってるぞ、と言っております。
しかし、そこでピダムは、バ、バレてる!とおおいにびびりながらも、
「私欲と大義が一致するなんて超ラッキーです」みたいにしれっと言うのでした。
情勢を読むのが上手なチュンチュも、今ユシンをつぶすのは得策ではないと考えています。
とにかくピダムの勢力が大きくなりすぎるからね。
力のバランスが崩れちゃう。
なんとかしたいけど、方法がない。
ただ、ユシンなら。
ユシンの性格を考えたら、もしかして打開策があるのかも?
そう、ユシン任せの計画ではあるのですが、可能性がなくはない。
それは、ユシンが自ら帰ってくること。
罰を受けるのはわかっていて、帰ることです。
しかしてその通りに、ユシンは帰ってきた。
ただ、自分の真心を示すために。
後先考えず、誠意をつくし、正しいことをするために。
トンマンは、ユシンを牢に入れるよういいますが、
人に見られぬようにこっそりほほえみ、心の中でお礼をいいます。
うん、すごいよ、トンマン。
トンマンの中にはね、きっとユシンを失わなくてすむような策ができてると思うのね。
ユシンが帰ってきてくれたことで、それが実行できるから、お礼を言ったんだと思うの。
彼の真心が、結果、彼を救うことになる……という展開を期待しております。
たぶん、他の人からみたら、トンマンとユシンの仲は最悪の状態になると思う。
でもふたりの間には強い絆があるから、お互いを信じているから、大丈夫だと思う。
トンマンが王女になるために宮殿へもどった時と似た状況だけど、
彼女の場合はしっかり計略があったんだもんね。
ユシンはまったくの無策!ただ真心があるだけ。
やっぱすごいわ、この人。
バカがつくほど正直で、まっすぐな男。
ほんとに今までよく生き延びてこられたな。
ウォルヤもソルチも心労で倒れるわ。
あの時の経験があるから、ユシンも、トンマンの本当の気持ちを疑わずにいられると思う。
(きっと陛下にはなにかお考えがあるにちがいない)とか考えて。
で、トンマンは、あの時ミシルのことを信じていたように、
ユシンのけっしてぶれない真心を信じて突き進めばいい、はず。
がんばってくれー!
ピダムの心を考えたらかわいそうなんだけどね……。
しかしピダムや、王座を奪われてへにょへにょになったトンマンを見て嬉しいか?
そんなトンマンが、お前を愛すると思うか?
ユシンさえいなきゃなんとかなるのか?
違うだろう?
なーんか、みんないい年になって、
ちゃんとした大人の言葉遣いになっててつまんないや。
子どもみたいに笑うピダムが好きだったのになー。
トンマンもさー、アルチョンに相談すればいいのに。
ユシンと本当に親友なんだし。
アルチョンだけは、トンマンを甘やかし気味で優しいじゃない。
疲れた時はアルチョンに優しくしてもらえばいいのよ……。
あの人、本気で忠誠心しかないわよ、きっと。
司量部に捕らわれたウォルヤは、ここにも隠れていた密偵の助けを借り、
ソルチと共に宮殿を脱出する。
トンマンは、ユシンの取り調べを許可するしかなかった。
ユシンが逆心など抱いていないことはわかっている。
しかし、彼の勢力である伽耶の生き残りが、彼を王にと望んでいる。
ユシンが生き残るためには、伽耶を捨てるしかない。
「ウォルヤの首を取ってこい」とピダムは言うが、ユシンは反発する。
「また新しい首領ができるだけだ。これまでの陛下の苦労が無駄になる」
ピダムとユシン。王の右腕と左腕。
彼らの勢力は互いに牽制しあい、均衡を保ってきた。
「今、ユシンの勢力をつぶしてはなりません」
チュンチュはトンマンに、そう進言するが……。
ウォルヤは、ユシンを追い込むためにわざと逃亡した。
王になるしかない状況を作るために。
「ユシンを逃亡させる」
ウォルヤは、決心している。
逃亡させてしまえば、ユシンは二度と戻れない。
ユシンを得る方法は、それしかないのだ。
ピダムも、そのことに気がついていた。
「面白いのは、ウォルヤが望んでいることを私も望んでいるということだ」
トンマンは、取調室にいるユシンと話をしに行く。
兵を出すから、伽耶を討てというのだ。
ユシンは、うんと言わない。
それでは、トンマンの今までの苦労が水の泡となる、と諭す。
「それでは私がユシン公を失うことになります」
ウォルヤを討っても、また新しい首領ができる。
武力では何も解決しない、受け入れるしかないと言うユシン。
「国のことだけではなく、自分自身のことも考えるべきです。
そして…………私のことも」
ユシンは、トンマンをじっと見つめるのだが、結局こう言うのだ。
「部下を統率できなかった私の罪は重いでしょう。
どんな処罰でも受けます。
ですが、私を捨てても、伽耶だけはすててはなりません、陛下」
執務室で考え込むトンマンに、ピダムが会いにきた。
「宮殿が混乱しています。誰かが責任を取らなくてはなりません」
「ユシンは、潔白だ。復耶会とは無関係だ」
きっぱりと言い切るトンマンに鼻白むピダム。
「ええ、そうでしょう。しかし部下はそう考えません。
私も残念です。陛下もおつらいでしょうが……」
「そのことに……ユシンはなぜ、気付かないのか。
私が苦しんでいるのに、ユシンはわからないのか。
それが残念だ。
私の気持ちに気付かない、ユシンが恨めしい」
トンマンのつぶやきに、心乱れるピダム。
ピダムは、ユシンを復耶会に与えることにする。
「ユシンには、二度と戻れぬ橋を渡ってもらおう」
ピダムの企みに、チュンチュは気付くのだが、時すでに遅し。
ユシンは、移送中に復耶会に奪還されてしまった。
ピダムは中小貴族を抱き込み、ユシンを逆賊として扱うよう、便殿会議で主張させる。
ユシンを神国の敵として宣布しようと言わせたのだ。
ユシンは怒った。ウォルヤを殴り飛ばすが、彼には彼の大義がある。
伽耶の民60万人を背負っているというウォルヤ。
自分だけなら、トンマンを信じた。
だが、迫害を受け続けてきた伽耶の民は?
陛下の死後はどうなるかわからない。
逆心があるわけではない、ただ備えただけだ。
伽耶人の王が、必要なのだ。
ユシンは、ウォルヤの想いを受け入れられない。
だが、状況が、戻ることを許さない。
すでにユシンは神国の敵と見なされてしまった。
「陛下、多くのものが意を同じくしています。
私もユシンが惜しいですが、国の安全にかかわる問題です」
ピダムはトンマンに進言する。
「ユシンを神国の敵として宣布せよと?」
ピダムは、即位式の前日、トンマンと話した聖君についての話を持ち出すのだ。
側近に厳しく、民に優しく接するのが聖君だと、トンマンは言ったではないか。
「お前のいうことは正しい。まさに大義そのものだ」
「恐れ入ります、陛下」
「だが、お前の私利私欲とも合致する。
ユシンを牽制する貴族の利益とも合致する。どう思うか?」
一瞬、固まるピダムだが、そつなく答え、トンマンを見据える。
「自分の利益と大義が一致するのならば、何よりだと思います」
ユシンは、ピダムの罠にはめられた。
チュンチュもそれはわかっているが、どうするこもできない。
「なんてことだ!あんなに真心を尽くすお方はいないのに」
チュクパンの言葉に、ふと笑みがこぼれるチュンチュ。
彼はそのまま、トンマンに謁見に行く。
「臣下とピダムの進言も、もっともです。
しかし、国の英雄を神国の敵だと宣布すれば、大変な混乱が起こるでしょう。
ユシンが失脚すれば、ピダムを牽制する勢力がなくなります。
解決策はありません。これはピダムの金剛計です。
ユシンならひとつ希望があります。しかし、彼とて難しいことでしょう」
翌日、トンマンは臣下の前で、とうとうユシンを神国の敵として
宣布しなくてはならなくなる。
しかし、それを口にする直前、アルチョンがある報告をもたらした。
インガン殿に、ユシンが現れたというのだ。
報告を聞き、にやりと笑うピダム。
「ユシン……」
「陛下!上将軍ユシンは、処罰を受けるために、陛下にお目にかかりたく存じます!」
ユシンは、コドらに守られて、トンマンの前にひざまずいた。
トンマンは、チュンチュの言葉を思い出していた。
ユシンにひとつある希望。それは、真心。
策に惑わされず、正しい道を歩もうとする真心。
策が通用しない、けして揺らぐことのない真心。
「陛下、上将軍ユシン、処罰を受けに戻りました。罰をお与えください」
「何をしておる。すぐにユシンを捕らえよ!」
兵たちに命令したトンマンは、心の中でつぶやいた。
(感謝するぞ、ユシン)
(つづく)
うえーん!ピダマー!(涙)
ほんとにかわいそうな子だよ。
あんたの計略すべて裏目じゃん。
いや、表面的には大成功だよ?
でもさー、政敵でもあり、何より恋敵のユシンを追い落とそうとして、
かえってトンマンからユシンへの愛情がかき立てられてるじゃん!
トンマンの愛がユシンに向かっちゃってるじゃん!
バカバカ!ピダム!
じゃあ、アホなわたしなりに状況を整理しますね。
まず、ピダムは、ユシンを無力化してやろうと、
復耶会をネタにして隠密捜査を進めていました。
案の定、復耶会はウォルヤを長にして存続していたので、
密偵メンバーを取り調べることにしました。
ウォルヤとソルチは、宮殿を逃げ出します。
ユシンは、彼らの直属の上司ですから、当然管理責任がありますし、
積極的な関与が認められるかもしれないため、取り調べを受けます。
そこで、もちろんユシンは全く何にもしらなくて潔白だとわかるのですが、
ま、そんなことはユシンを知るものなら当然分かっていたことです。
ピダムだって、予想はついていました。
が、ユシンはもう、一人の個人ではありません。
彼は伽耶人の象徴なのです。
ユシンは知らなかったんだから、許してやろうとは言えない状況です。
伽耶を捨てて、最初からやり直せ、とピダムは言います。
領地も地位も没収されれば、ユシンの勢力は無になり、彼の敵ではありません。
トンマンも、伽耶を捨てて欲しいとユシンに言います。
ユシンを失いたくないのです。
でもユシンは、真面目な男なので、そんなことしたら今までの苦労が水の泡だといいます。
自分を捨てても、伽耶を捨ててはいけないのだと。
それは、神国を、ひいてはトンマンを何よりも大切に思うからなのです。
ピダムは、ここぞとばかりに、トンマンを慰めつつ、ユシンをはめます。
「陛下とておつらいでしょうが……」
そんなピダムの言葉をとらえて、トンマンはついつい本音を言ってしまうのです。
私がこんなに苦しんでいることを、なんでユシンはわかってくれないの?と。
私がこんなにユシンを愛しているのに、なぜそれがわからないのか?と。
後半は口に出してませんが、言ったも同然ですよねー。
ここ大事だと思うの!
トンマンはさー、やっぱ心のどこかでは、ユシンをひとりの男として見てるんだと思うのね。
彼女の愛は、ユシンに向かってるんだよね。
だからこそ、苦しい。だからこそ、わかってほしい。
でもユシンはさすがに頑固一徹でさー。
あの時、トンマンへの愛は捨てたって言ったことを本当に実践してんのよね。
いや、捨ててないよ、本当は捨ててないけど、
トンマンの心が欲しいとか、触れたいとか、そういう私欲は捨てちゃったのね。
もっと大きな愛に昇華させちゃったんだよね、無理矢理。
トンマンを王として、自分のすべてを捧げる。
だからこそ、本当にトンマンのためになることを選択するし、進言する。
自分みたいなひとりの男のために、トンマンが判断を間違ったりしちゃいけない。
ひとりの男の愛を得るために、神国を、民を、捨てることがあってはならない。
彼は忠誠心、という形で愛を捧げていますけど、
その裏には、一見表からは見えないけれど、深い深い男の愛が捧げられているんだと思うのよ。
もう、これだからユシンを愛さずにはいられないのよ!
かっこいいってこういうことだと思うのよ!
で、
そんな言葉を聞いたピダムは、心が凍るのね。
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はぁ?ってなもんですね。
で、
もっと恐ろしい罠をしかけることになるんでーす!
うう……ピダマー!なんてお前は不憫な子なんだ……。
恋心も王座も分け合うことはできないってママンから教わってるから仕方ないんだけど。
実は心の持ちようによっては、わけられるのよ。
私利私欲をお捨てなされ。
もう、涙目ではらわた煮えくりかえってるくせに、
心は一気にマイナス氷点下のピダムを見ててゾクゾクしてきたわ!
鬼畜ピダム最高!
悪い奴だよね、こいつ。
好きな女の一番近くにいるのは、自分じゃなきゃ気が済まないんですよ。
ユシンを追放したら、一番つらいのは、トンマンだってわかってるのに、
好きな女が苦しむことは分かってるのに、
恋敵なんて邪魔だから罠にはめちゃうんですよ。
この勝手すぎる片思いがたまりませんね。
ピダムの愛が、全然報われてないことがかわいそうですが、
苦しくて泣きそうで嫉妬で身もだえしているピダムを見るのが至福。
はっはっはっはっは、やれ楽しや。
ピダムは、ユシンを移送します。
そしてわざと復耶会の密偵を警護につかせ、ユシンを奪還させるのです。
ユシンを復耶会にあげちゃったのね。
「二度と戻れぬ橋を渡ってもらおう」
なんですと!悪い!悪すぎる!
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わぁ~、まっくろなピダムだわ。悪い奴だ。
ほんとはユシンの勢力を無力化すればいいや、程度に思ってたのに、
嫉妬のあまり、ユシンが二度とトンマンの側に戻れないようにしたのですよ。
そもそもウォルヤも、脱出したのはユシンを追い詰めるため。
にっちもさっちもいかない状況が続けば、さすがのユシンも
自らが王になることを考えるだろうと思ったからなのね。
ある種の狂言脱出ですよ。一歩間違えば死んでたけど。
協力者は確実に多数死んでるけど。
で、ウォルヤは希望通り、ユシンを得て、我らの王となってくれと改めて頼みます。
宮殿に帰ろうにも、帰れば即、逆賊として捕らえられる。
そんなことは不可能だろう、と。
ピダムも希望通り、ユシンを追い払って、宮殿内で勢力を広げました。
そのうえ、ユシンを神国の敵として布告するように進言します。
だって俺、まちがったことなんか言ってないもーん、てな感じです。
昔、即位式の前日に、トンマンと話したことを引っ張り出して、
そういうこと言うんですよ。
部下には厳しく、民には優しくするのが聖君だっていったでしょう?って。
一番かわいがっていたユシンだからって甘くしたら、良い王になれないよって。
かわいいからこそ、厳しく罰しなきゃ、って。
もう、この時の会話なんて、ピダムにとったら甘い思い出のひとつなんだと思うのね。
トンマンとラブラブでお話したもんねーって感じで。
あの時俺に言ったでしょ?厳しくするから覚悟しなさいね(ハァト)って。
ユシンにだってそうしなきゃ嘘だよね?って。
ま、そんな思い出引っ張り出してくっからバチがあたってますけど。
もちろん、ユシンには厳しく対処せねばならないとわかっているトンマン。
ことによっては、本当にユシンを捨てなくては……くらいは思っているはず。
そしてそんな事態を引き起こしたのは、ピダムの策略だってことは
警護要員の復耶会率を知れば一目瞭然。
で、ピダムにも、厳しく接するんですよ。
はいはい、大義、大義、偉いよねーピダムは。
でもその大義って、お前の私利私欲と都合良く一致してるみたいだね、と。
もう暗に、お前がやったことだと知ってるぞ、と言っております。
しかし、そこでピダムは、バ、バレてる!とおおいにびびりながらも、
「私欲と大義が一致するなんて超ラッキーです」みたいにしれっと言うのでした。
情勢を読むのが上手なチュンチュも、今ユシンをつぶすのは得策ではないと考えています。
とにかくピダムの勢力が大きくなりすぎるからね。
力のバランスが崩れちゃう。
なんとかしたいけど、方法がない。
ただ、ユシンなら。
ユシンの性格を考えたら、もしかして打開策があるのかも?
そう、ユシン任せの計画ではあるのですが、可能性がなくはない。
それは、ユシンが自ら帰ってくること。
罰を受けるのはわかっていて、帰ることです。
しかしてその通りに、ユシンは帰ってきた。
ただ、自分の真心を示すために。
後先考えず、誠意をつくし、正しいことをするために。
トンマンは、ユシンを牢に入れるよういいますが、
人に見られぬようにこっそりほほえみ、心の中でお礼をいいます。
うん、すごいよ、トンマン。
トンマンの中にはね、きっとユシンを失わなくてすむような策ができてると思うのね。
ユシンが帰ってきてくれたことで、それが実行できるから、お礼を言ったんだと思うの。
彼の真心が、結果、彼を救うことになる……という展開を期待しております。
たぶん、他の人からみたら、トンマンとユシンの仲は最悪の状態になると思う。
でもふたりの間には強い絆があるから、お互いを信じているから、大丈夫だと思う。
トンマンが王女になるために宮殿へもどった時と似た状況だけど、
彼女の場合はしっかり計略があったんだもんね。
ユシンはまったくの無策!ただ真心があるだけ。
やっぱすごいわ、この人。
バカがつくほど正直で、まっすぐな男。
ほんとに今までよく生き延びてこられたな。
ウォルヤもソルチも心労で倒れるわ。
あの時の経験があるから、ユシンも、トンマンの本当の気持ちを疑わずにいられると思う。
(きっと陛下にはなにかお考えがあるにちがいない)とか考えて。
で、トンマンは、あの時ミシルのことを信じていたように、
ユシンのけっしてぶれない真心を信じて突き進めばいい、はず。
がんばってくれー!
ピダムの心を考えたらかわいそうなんだけどね……。
しかしピダムや、王座を奪われてへにょへにょになったトンマンを見て嬉しいか?
そんなトンマンが、お前を愛すると思うか?
ユシンさえいなきゃなんとかなるのか?
違うだろう?
なーんか、みんないい年になって、
ちゃんとした大人の言葉遣いになっててつまんないや。
子どもみたいに笑うピダムが好きだったのになー。
トンマンもさー、アルチョンに相談すればいいのに。
ユシンと本当に親友なんだし。
アルチョンだけは、トンマンを甘やかし気味で優しいじゃない。
疲れた時はアルチョンに優しくしてもらえばいいのよ……。
あの人、本気で忠誠心しかないわよ、きっと。
まさにその通りですよ、ピダムー!(泣)
ミシルが亡くなって、あまりのショックに、
逃避してしまって、二次小説なんかを読み漁ってたら、
もう、トン&ピのオンパレード。
ピダムが悲劇的に死ぬっていうのは、なんとなーく知っていたのですが、
まさかそんなことになろうとは…(泣)
二次小説の二人が、幸せそうであればあるほど、本編の二人の悲劇が浮かび上がってきて…(泣)
しかしですね、今まで本編を見て来た限りでは、
トンマンの気持ちは、ピダムというよりは常にユシンにあったような…?
いつそんな仲になったの?
というわけで、本編に戻ってまいりましたw
心情的には辛いけど、
確かに黒ピダム見応えがあります!
ビジュアル的にw
策略家としては、まだまだですね~
母上の足元にもおよびませんよw
嫉妬のあまり、とか自分の感情に振り回されてるやんかー!
これから、どんな心の有り様が
繰り広げられるのでしょうか…
楽しみのような、胸が締め付けられるような…
長文すみません。
しーまさんが「善徳女王」をめちゃくちゃ楽しんでるんだな、って
伝わってきて、わたしも嬉しいです。
どんどんコメント書いてください!
二次小説の世界へ行ってらしたんですね。
わたしもこの時代についての知識がたんとあれば、思わず書いちゃってるかも。
トンマンとピダム、トンマンとユシン。
わたしはピダム大好きだけど、やっぱり愛の絆はユシンとの間にあってほしいと思うし、
ピダムへの恋心とは違った形でユシンへの愛があると感じています。
トン&ピのファンは、ピダムとトンマンの間に自由な時間が少なかったことを惜しんで、
たくさんの二次小説を書かれているのかもしれませんねー。
確かにいつの間に?っていう感はありますし。
ナムギルさん落馬事件(怪我のため一時撮影離脱)がなければ、
ふたりの絆ももうちょっと描かれていたかもしれませんな。
この回、見直してみて、ユシンもさることながら、
ウォルヤがすごくいいなぁと思いましたよ。
心の栄養を補給しながら本編も楽しんでください。