《あらすじ》
ユシンを密偵として捕らえたというポジョンに、
「王命である!」とトンマンは言った。
なぜ流刑中の罪人に王命を?
王の所行に、臣下たちは困惑を隠せない。
特にピダムは、ユシンが王命を受けていたことにショックを受ける。
「なぜ、流刑中の罪人などに国の重大事をお任せに?」
「重大事だからこそ、もっとも信頼できる人間に任せた」
「しかし罪人です」
「有能な罪人に命がけで罪を償ってもらうことが大儀に反するか?」
「ユシンに、それほどの信頼を?」
「お前は信じられないのか?」
「人を信じろというならば、なぜ私を司量部令に?」
「ユシンではなく、私を信じられないか?
個人的な理由で私がユシンを買いかぶっていると?」
(それほど信頼するユシンが、ウォルヤたちと会っていました)
「答えなさい」
「その件については後日お答えします」
トンマンは意外そうな顔をしたが、ピダムはにやりと口の端をあげた。
ウォルヤは悩んでいた。
「伽耶の王族として、伽耶民を抑圧から解放し、子孫を残せるようにせねば!
そうすれば、伽耶も新羅も超えて、統一された三韓の中で伽耶は永遠になる!」
別れ際のユシンの言葉は、ウォルヤの胸を打った。
抑圧さえなければ、新羅でも伽耶でも、
人々が幸せならば、どちらでもかまわなかったはずなのに。
ユシンは、自分が得た情報から大耶城が危ないと訴え続ける。
黒と名のつく密偵がおり、門を開けるはずだ、と。
しかし、大耶城にそのような名の兵士は存在しなかった。
ユシンは、復耶会と結託して嘘の情報を流したのだと疑われる。
そしてここで、ピダムから驚きの情報が上がってくる。
百済で、ユシンはウォルヤとソルチと一緒だったというのだ。
一気にユシンへの疑いは高まり、斬首を望む声が多数上げられる。
「陛下、ご決断ください!」
(ピダム、これが答えなのか?)
(はい、これが答えです、陛下)
「本当に先ほど捜査を終えたというのか?」
「嘘は申しません。知っていました」
「ではなぜはやく言わなかった!」
「ユシンの情報は貴重でした。それがかすんでしまうのが心配でした。
それで、きちんと情報を確認してからご報告を、と」
「ピダム!それで言い逃れたつもりか!
ユシンを追い詰めるために時期を待っていたのだろう?」
トンマンの非難に、憮然とするピダム。
「復耶会が新羅に逆らった以上、陛下は伽耶を受け入れられません」
「それで?」
「ですがユシンは伽耶を捨てられない」
「それで!」
「方法は、陛下がユシンをお捨てになることだけです。
司量部令ピダムの進言です。
ユシンを、お捨てください」
にらみ合う、ピダムとトンマン。
悩むトンマンに、チュンチュが会いに来た。
「お前もユシンを捨てろと言いに?」
「いいえ」
「では捨てるなと?」
「いいえ。
伽耶を捨ててはなりません。
ユシンと伽耶をわけずとも、解決策はあります」
「私は伽耶民に善政を施したが、彼らは裏切った。
これ以上何をしろと?この問いに答えられるか?」
「ええ、その答えは、わたくし、キム・チュンチュです」
チュンチュの言葉に、何か思いついたように明るくなるトンマンの表情。
しかし実現可能なことなのか?
高台で考えるトンマンのもとへ、ピダムがやってきた。
「ユシンへの処罰はどうなります?」
「それが聞きたくてここへ来たか」
「もし、陛下がユシンを捨てられぬのなら、私が、ユシンを守ります」
思わぬピダムの言葉に怪訝そうなトンマン。
「ユシン斬首の訴えは増え続け、一方花郎と武将たちが反対するでしょう。
ですからこの司量部令ピダムが、政治力を駆使して黙らせます。
私にご命令を。ユシンの命だけは守って見せます」
ふっと笑いながら、トンマンは言う。
「ユシンの命?そして私はその代償としてお前と婚姻を?」
いきなりの言葉に、動揺するピダム。
「陛下!」
「ユシンの命はそれほどの価値があるのか」
お前の望みはそういうこと?違う?」
「はい、そ、それが私の、望みです。
しかし、恋心を取引に使うつもりはありません」
「恋心?
あたたかくてのんびりした言葉だ」
ピダムは訴えるように、トンマンを見つめる。
「ご命令を。ユシンを救えと。
私は陛下のためだけにユシンの命を救います。
陛下!」
ささやくように、陛下、と呼びかける。
しかしトンマンの言葉は、平静だった。
「命令は、出さない。下がりなさい」
ユシンは、何を言われようとも、大耶城のことを心配していた。
攻撃は、必ずある。
このままでは、大耶城は陥落する……。
ピダムは、牢のユシンに会いに来てあきれたようにため息をつくのだが……。
「ピダム、お前は私よりはるかに聡明なのに、なぜこの状況がわからんのだ。
今日だ。今日中に大耶城に異変が起こる」
「やめろ、ユシン」
「お前が心配すべきはお前自身のことだ。
陥落すれば防げなかった司量部令にも責任が及ぶぞ!」
「私にそんな策が通用するか」
「ピダム、お前の母親君なら、どうしたと思う?」
「母のことは言うな!」
「ミシルの半分も洞察力があるなら、私を見ろ!
私がそんな策を弄すると思うか!お前なら、見えるはずだ!」
ユシンの言葉は、一理ある。
本当に大耶城が攻撃されたら?
ピダムは大耶城の名簿を持ってこさせて、再度、密偵を探し出そうとする。
その頃ソルォンは、トンマンを訪ねていた。
迫り来る戦乱の予感。
「偽の情報を渡されても、陛下はまだユシンを信じるのですか。
確かにユシンはそういう男だ。ユシンはどこにいようが、陛下の忠実な臣下です。
ご心配なさるべき相手はユシンではありません。
ピダムをそそのかすなと以前言われましたね。
陛下こそピダムをそそのかしています。
ピダムのことは陛下が責任をとるべきです。
ピダムの行く末は陛下にかかっています。
ピダムに平穏を。そうすれば、ピダムは陛下の忠実な家臣となります」
トンマンに届く、ユシン斬首を願う上申書。
それに反対する花郎たちの声。
悩み続けるトンマンに、チュクパンは言う。
そんなことは悪いことだと。
黒の字がつく密偵の名……。
黒とは、部首では?
気付いたピダムが探すと、それらしき人物の名があった。
急ぎポジョンを早馬で走らせるが、
彼らが現場についた頃には、すでに大耶城は火の海となっていた。
ピダムはトンマンに呼ばれ、お茶を飲んでいる。
「私がお前と婚姻したとして、
それはユシンを救うためでも、恋心からでもない。
ただお前が必要だからだ。
しかしお前は情で動いている。
権力を握るために婚姻するのが普通なのに、
婚姻のために権力を握ろうなどと……」
「陛下……」
トンマンはおかしそうに笑った。
「本当にお前は子どものようだな。
お前はこのソラボルでもっとも純真な人間だ」
ピダムは、ミシルの言葉を思い返していた。
「私に恋心を?
私は……味気ない話だけれど、
神国だけに恋をしなくてはならない。
恋とはすべてをかけるもの。
だから私は人に恋はできない」
「陛下、神国だけに恋をするなら、私が神国になります。
私にとって陛下は神国そのものです。
神国への恋心も、陛下への恋心も、私にとっては同じことなのです……」
その時、ヨムジョンが駆け込んできた。
「陛下!陛下、たったいま……」
大耶城が陥落したのだ。
ユシンの情報は正しかった。
ソヒョン公らが、必死の応戦をするが、ピサボルの防衛戦が突破された。
このままでは、ソラボルが危ない。
動揺する貴族たちの前にピダムが現れた。
「恐れることはありません。
ソラボルには、負け知らずのユシン軍がいるではありませんか」
そのユシン軍を、一体誰が指揮するというのか?
ユシンは牢へ囚われの身ではないか。
「適任者がおります。
優れた知略で戦いを指揮し、神国を何度も救ってきた、ソルォン公です」
ソルォン公は戦姿で自ら進み出て、トンマンの前で膝を折る。
「陛下、この老将の出陣をお許しくださいませ」
百済軍を殲滅できねば、戻らぬ覚悟だ。
牢のユシンは、部下たちに命令する。
「ソルォン公に従え」
そしてユシンは、ソルォン公の作成した作戦書をトンマンに見せた。
地図を持つ手の、震えが止まらない。
ピダムは、トンマンに語りかける。
「陛下、私を選ぶとしたら、神国に必要だからだと言いましたね。
誰かを選ぶときは、神国の利益になる時だと……。
そうなります。
必ず神国を救い、陛下と陛下の民と神国を救います」
ピダムの決意に、トンマンは悟ったように告げる。
「神国を救ったものに、すべての資格を与えましょう」
(つづく)
ぎゃあぁぁぁぁぁあ!トンマンったら何をどうしてくれちゃってんの!
ピダマをいじめないでぇぇぇぇぇ!
こ、恋してるって前回ちゃんと言ったじゃん!
何なの、この羞恥プレイは!
恥ずかしすぎてピダムが死ぬ!
観てるこっちが身もだえするほど恥ずかしい目にあわせてトンマンひどい!
自分だってピダムが触れればドキドキするって言ったじゃん!
あれはピダムのこと、憎からず思っているってことなんじゃないの?
おかしいっ、おかしいよ、こんなの!
トンマン、神国のことが第一の女王生活が長くなって、ちょっとおかしくなってるでしょ!
チュクパン兄貴が言うとおり、心の声に従いなよ~。
わたし、ピダムが拒絶されて悲しんだり、報われない恋に身もだえしたりするの好きだけど、
今回のこれはないわ~。
何の情緒もなく、一方的な言葉責め……。
がんばれっ!がんばれピダムっ!
「ユシンを生かすかわりに、私との婚姻を望むのか」って……。
そ、そんな!
その通りだけど、そんな怖い顔で言わなくたっていいでしょ!
もう見る間にピダムが涙目に……。
見透かされて恥ずかしくなって涙目のピダム。
こりゃお母さんが心配するわけだよ~。
こんな子どもみたいに~。
司量部令が~。
ソルォンとかミセンに見られなくてよかった。
特にミセンは鼻で笑いそう。
ソルォンは、笑わないけど、ちょっと渋い顔しそうだよね。
ムンノはピダムのお父さんみたいな存在だったけど、
ミシル亡き後、ピダムを託されたソルォンもまた、彼を守る存在だと思うの。
ソルォンはトンマンに不思議なアドバイスをしに行ったね。
「私にピダムをそそのかすなとおっしゃいましたが、
たきつけているのは陛下です。
ピダムに平穏を与えてやりさえすれば、忠実な家臣となるでしょう」って、
どういう意味?
ピダムに、愛されてるって実感を持たせてやれってこと?
あ!婚姻して王にしてやれってこと?
でも王だったら家臣じゃないじゃんね。
うーん、どういうつもりでそんなことをトンマンに言ったのか、
私の頭ではよくわかりません。
最後は、ユシン軍を率いて百済を迎え撃つね、とか言い出しているし、
名将ソルォンの頭の中は一体どうなっているのか?
すごく知りたい~。
ミシルとソルォンの最後の会話にもすごく興味があるわ。
具体的にどんな言葉を交わしたのかなぁ。
最終回までには、もしかして回想シーンとしてあるかな?
なんか今回は、トンマンの気持ちがいまいちよくわかんないや。
こないだは、ピダムのこと好きだったのか~と納得したのに、
今回観たら、やっぱユシンラブみたいになってるし。
ピダムもそうだけどね。
ユシンなんかいなくなればいい!と思って奴をはめたくせに、
ソラボルにいさせてやりましょうとか、
ユシンの命だけは、私がなんとしてでも守ってあげます、とか言ってみたり。
矛盾してないか?
それとも、悲しむトンマン見たら、かわいそうになっちゃったの?
それとも、ユシンが死ぬようなことになったら、
トンマンはけしてピダムを許しはしないだろうとわかっているから?
自分がトンマンと結婚するために、トンマンに恩を売ろうとしてるんだろうけど、
策略の割には、必死の表情が切実。心がこもってる感じ。
まったくアンビバレンツな人ね。
トンマンは、なんだかピダムにすごく怒ってるんだよね。
そもそもユシンにかみついたのがピダムだからかなぁ。
ユシンは、トンマンの夢、三韓統一をすごく支援してくれるじゃない。
でもピダムは、志が一緒ってわけじゃないから、腹が立つのかな。
ピダムが欲しいのはトンマンその人だもんね。
女王だから、トンマンが欲しいわけじゃない。
だから、トンマンが女王じゃなくなれば、王の座なんて狙わないんだよ。
本当はそこに感動するべきなのに、
トンマンったら、なんか腹立っちゃうみたいなんだなー。
「神国には恋しておらぬのか?」って。
あなたは女として愛されてるんですよ?
すごく貴重なことじゃないですか。喜んでいいと思うけどなー。
ピダムにとっては「トンマン」=「神国」だそうですよ。
「神国に恋するトンマン」に恋しているからかな。
ユシンは、トンマンを愛しているけれど、
とにかく「すべてを捧げる愛」だから、彼女を手に入れようとはしない。
夫の座だって望まない。
ピダムとは正反対。
そして、三韓統一の野望だって、けしてトンマンの使命だから、というだけではない。
彼は伽耶王族の末裔として、伽耶を永遠にするために三韓統一を願っている。
ユシンは、トンマンを愛したいから、同じ夢を共有することにしたのかな、と
思っていたのだけれど、実はそういう男としての王族としての彼自身を託せる夢でもあったわけだ。
そのへんウォルヤは感じ取って、自分の行動が果たして正しかったのか、考えちゃうわけね。
うむむむむ、そう思うと、ピダムの望みは子どもっぽくて幼くて、
ミシルの言うように、なんとも色気のないものではあるなぁ。
でも、ソルォン公に戦に行ってもらってドヤ顔のピダム。
トンマンの気持ちがよく分からないのは、
女王として恋心を封印して生きているからなのか?
それとも、本人にも自分の気持ちがよくわかってないせいなのか?
はたまた、演じる役者の表現不足のせいなのか?
私の感受性がにぶいからなのか、よくわかりません~。
ただ、最後に「神国を救ったものに、すべての資格を与えましょう」
なんて言っちゃって、なんか……よくないよ。
そんな風に、自分の愛をご褒美にするなんて。
しかも本当は愛なんかではなんでもなくて、
ただ自分という人間の外側と、王座を餌にするような発言なんて、
トンマンらしくない。
う~ん、今回は何回繰り返してみても、
トンマンの気持ちがしっくり入ってこない。
ピダムの必死さとか、ユシンの真っ直ぐさとかはすごく感じられて面白かったけど。
囁くように、でも力強い、ピダムの「陛下!」という呼びかけの声が
とっても印象的な回でありました。
ソルォン公の「セジュ~」に匹敵する印象深さ。
「ペア!」のアは、「ア」と「ハ」の中間くらいの感じで。
ユシンを密偵として捕らえたというポジョンに、
「王命である!」とトンマンは言った。
なぜ流刑中の罪人に王命を?
王の所行に、臣下たちは困惑を隠せない。
特にピダムは、ユシンが王命を受けていたことにショックを受ける。
「なぜ、流刑中の罪人などに国の重大事をお任せに?」
「重大事だからこそ、もっとも信頼できる人間に任せた」
「しかし罪人です」
「有能な罪人に命がけで罪を償ってもらうことが大儀に反するか?」
「ユシンに、それほどの信頼を?」
「お前は信じられないのか?」
「人を信じろというならば、なぜ私を司量部令に?」
「ユシンではなく、私を信じられないか?
個人的な理由で私がユシンを買いかぶっていると?」
(それほど信頼するユシンが、ウォルヤたちと会っていました)
「答えなさい」
「その件については後日お答えします」
トンマンは意外そうな顔をしたが、ピダムはにやりと口の端をあげた。
ウォルヤは悩んでいた。
「伽耶の王族として、伽耶民を抑圧から解放し、子孫を残せるようにせねば!
そうすれば、伽耶も新羅も超えて、統一された三韓の中で伽耶は永遠になる!」
別れ際のユシンの言葉は、ウォルヤの胸を打った。
抑圧さえなければ、新羅でも伽耶でも、
人々が幸せならば、どちらでもかまわなかったはずなのに。
ユシンは、自分が得た情報から大耶城が危ないと訴え続ける。
黒と名のつく密偵がおり、門を開けるはずだ、と。
しかし、大耶城にそのような名の兵士は存在しなかった。
ユシンは、復耶会と結託して嘘の情報を流したのだと疑われる。
そしてここで、ピダムから驚きの情報が上がってくる。
百済で、ユシンはウォルヤとソルチと一緒だったというのだ。
一気にユシンへの疑いは高まり、斬首を望む声が多数上げられる。
「陛下、ご決断ください!」
(ピダム、これが答えなのか?)
(はい、これが答えです、陛下)
「本当に先ほど捜査を終えたというのか?」
「嘘は申しません。知っていました」
「ではなぜはやく言わなかった!」
「ユシンの情報は貴重でした。それがかすんでしまうのが心配でした。
それで、きちんと情報を確認してからご報告を、と」
「ピダム!それで言い逃れたつもりか!
ユシンを追い詰めるために時期を待っていたのだろう?」
トンマンの非難に、憮然とするピダム。
「復耶会が新羅に逆らった以上、陛下は伽耶を受け入れられません」
「それで?」
「ですがユシンは伽耶を捨てられない」
「それで!」
「方法は、陛下がユシンをお捨てになることだけです。
司量部令ピダムの進言です。
ユシンを、お捨てください」
にらみ合う、ピダムとトンマン。
悩むトンマンに、チュンチュが会いに来た。
「お前もユシンを捨てろと言いに?」
「いいえ」
「では捨てるなと?」
「いいえ。
伽耶を捨ててはなりません。
ユシンと伽耶をわけずとも、解決策はあります」
「私は伽耶民に善政を施したが、彼らは裏切った。
これ以上何をしろと?この問いに答えられるか?」
「ええ、その答えは、わたくし、キム・チュンチュです」
チュンチュの言葉に、何か思いついたように明るくなるトンマンの表情。
しかし実現可能なことなのか?
高台で考えるトンマンのもとへ、ピダムがやってきた。
「ユシンへの処罰はどうなります?」
「それが聞きたくてここへ来たか」
「もし、陛下がユシンを捨てられぬのなら、私が、ユシンを守ります」
思わぬピダムの言葉に怪訝そうなトンマン。
「ユシン斬首の訴えは増え続け、一方花郎と武将たちが反対するでしょう。
ですからこの司量部令ピダムが、政治力を駆使して黙らせます。
私にご命令を。ユシンの命だけは守って見せます」
ふっと笑いながら、トンマンは言う。
「ユシンの命?そして私はその代償としてお前と婚姻を?」
いきなりの言葉に、動揺するピダム。
「陛下!」
「ユシンの命はそれほどの価値があるのか」
お前の望みはそういうこと?違う?」
「はい、そ、それが私の、望みです。
しかし、恋心を取引に使うつもりはありません」
「恋心?
あたたかくてのんびりした言葉だ」
ピダムは訴えるように、トンマンを見つめる。
「ご命令を。ユシンを救えと。
私は陛下のためだけにユシンの命を救います。
陛下!」
ささやくように、陛下、と呼びかける。
しかしトンマンの言葉は、平静だった。
「命令は、出さない。下がりなさい」
ユシンは、何を言われようとも、大耶城のことを心配していた。
攻撃は、必ずある。
このままでは、大耶城は陥落する……。
ピダムは、牢のユシンに会いに来てあきれたようにため息をつくのだが……。
「ピダム、お前は私よりはるかに聡明なのに、なぜこの状況がわからんのだ。
今日だ。今日中に大耶城に異変が起こる」
「やめろ、ユシン」
「お前が心配すべきはお前自身のことだ。
陥落すれば防げなかった司量部令にも責任が及ぶぞ!」
「私にそんな策が通用するか」
「ピダム、お前の母親君なら、どうしたと思う?」
「母のことは言うな!」
「ミシルの半分も洞察力があるなら、私を見ろ!
私がそんな策を弄すると思うか!お前なら、見えるはずだ!」
ユシンの言葉は、一理ある。
本当に大耶城が攻撃されたら?
ピダムは大耶城の名簿を持ってこさせて、再度、密偵を探し出そうとする。
その頃ソルォンは、トンマンを訪ねていた。
迫り来る戦乱の予感。
「偽の情報を渡されても、陛下はまだユシンを信じるのですか。
確かにユシンはそういう男だ。ユシンはどこにいようが、陛下の忠実な臣下です。
ご心配なさるべき相手はユシンではありません。
ピダムをそそのかすなと以前言われましたね。
陛下こそピダムをそそのかしています。
ピダムのことは陛下が責任をとるべきです。
ピダムの行く末は陛下にかかっています。
ピダムに平穏を。そうすれば、ピダムは陛下の忠実な家臣となります」
トンマンに届く、ユシン斬首を願う上申書。
それに反対する花郎たちの声。
悩み続けるトンマンに、チュクパンは言う。
そんなことは悪いことだと。
黒の字がつく密偵の名……。
黒とは、部首では?
気付いたピダムが探すと、それらしき人物の名があった。
急ぎポジョンを早馬で走らせるが、
彼らが現場についた頃には、すでに大耶城は火の海となっていた。
ピダムはトンマンに呼ばれ、お茶を飲んでいる。
「私がお前と婚姻したとして、
それはユシンを救うためでも、恋心からでもない。
ただお前が必要だからだ。
しかしお前は情で動いている。
権力を握るために婚姻するのが普通なのに、
婚姻のために権力を握ろうなどと……」
「陛下……」
トンマンはおかしそうに笑った。
「本当にお前は子どものようだな。
お前はこのソラボルでもっとも純真な人間だ」
ピダムは、ミシルの言葉を思い返していた。
「私に恋心を?
私は……味気ない話だけれど、
神国だけに恋をしなくてはならない。
恋とはすべてをかけるもの。
だから私は人に恋はできない」
「陛下、神国だけに恋をするなら、私が神国になります。
私にとって陛下は神国そのものです。
神国への恋心も、陛下への恋心も、私にとっては同じことなのです……」
その時、ヨムジョンが駆け込んできた。
「陛下!陛下、たったいま……」
大耶城が陥落したのだ。
ユシンの情報は正しかった。
ソヒョン公らが、必死の応戦をするが、ピサボルの防衛戦が突破された。
このままでは、ソラボルが危ない。
動揺する貴族たちの前にピダムが現れた。
「恐れることはありません。
ソラボルには、負け知らずのユシン軍がいるではありませんか」
そのユシン軍を、一体誰が指揮するというのか?
ユシンは牢へ囚われの身ではないか。
「適任者がおります。
優れた知略で戦いを指揮し、神国を何度も救ってきた、ソルォン公です」
ソルォン公は戦姿で自ら進み出て、トンマンの前で膝を折る。
「陛下、この老将の出陣をお許しくださいませ」
百済軍を殲滅できねば、戻らぬ覚悟だ。
牢のユシンは、部下たちに命令する。
「ソルォン公に従え」
そしてユシンは、ソルォン公の作成した作戦書をトンマンに見せた。
地図を持つ手の、震えが止まらない。
ピダムは、トンマンに語りかける。
「陛下、私を選ぶとしたら、神国に必要だからだと言いましたね。
誰かを選ぶときは、神国の利益になる時だと……。
そうなります。
必ず神国を救い、陛下と陛下の民と神国を救います」
ピダムの決意に、トンマンは悟ったように告げる。
「神国を救ったものに、すべての資格を与えましょう」
(つづく)
ぎゃあぁぁぁぁぁあ!トンマンったら何をどうしてくれちゃってんの!
ピダマをいじめないでぇぇぇぇぇ!
こ、恋してるって前回ちゃんと言ったじゃん!
何なの、この羞恥プレイは!
恥ずかしすぎてピダムが死ぬ!
観てるこっちが身もだえするほど恥ずかしい目にあわせてトンマンひどい!
自分だってピダムが触れればドキドキするって言ったじゃん!
あれはピダムのこと、憎からず思っているってことなんじゃないの?
おかしいっ、おかしいよ、こんなの!
トンマン、神国のことが第一の女王生活が長くなって、ちょっとおかしくなってるでしょ!
チュクパン兄貴が言うとおり、心の声に従いなよ~。
わたし、ピダムが拒絶されて悲しんだり、報われない恋に身もだえしたりするの好きだけど、
今回のこれはないわ~。
何の情緒もなく、一方的な言葉責め……。
がんばれっ!がんばれピダムっ!
「ユシンを生かすかわりに、私との婚姻を望むのか」って……。
そ、そんな!
その通りだけど、そんな怖い顔で言わなくたっていいでしょ!
もう見る間にピダムが涙目に……。
見透かされて恥ずかしくなって涙目のピダム。
こりゃお母さんが心配するわけだよ~。
こんな子どもみたいに~。
司量部令が~。
ソルォンとかミセンに見られなくてよかった。
特にミセンは鼻で笑いそう。
ソルォンは、笑わないけど、ちょっと渋い顔しそうだよね。
ムンノはピダムのお父さんみたいな存在だったけど、
ミシル亡き後、ピダムを託されたソルォンもまた、彼を守る存在だと思うの。
ソルォンはトンマンに不思議なアドバイスをしに行ったね。
「私にピダムをそそのかすなとおっしゃいましたが、
たきつけているのは陛下です。
ピダムに平穏を与えてやりさえすれば、忠実な家臣となるでしょう」って、
どういう意味?
ピダムに、愛されてるって実感を持たせてやれってこと?
あ!婚姻して王にしてやれってこと?
でも王だったら家臣じゃないじゃんね。
うーん、どういうつもりでそんなことをトンマンに言ったのか、
私の頭ではよくわかりません。
最後は、ユシン軍を率いて百済を迎え撃つね、とか言い出しているし、
名将ソルォンの頭の中は一体どうなっているのか?
すごく知りたい~。
ミシルとソルォンの最後の会話にもすごく興味があるわ。
具体的にどんな言葉を交わしたのかなぁ。
最終回までには、もしかして回想シーンとしてあるかな?
なんか今回は、トンマンの気持ちがいまいちよくわかんないや。
こないだは、ピダムのこと好きだったのか~と納得したのに、
今回観たら、やっぱユシンラブみたいになってるし。
ピダムもそうだけどね。
ユシンなんかいなくなればいい!と思って奴をはめたくせに、
ソラボルにいさせてやりましょうとか、
ユシンの命だけは、私がなんとしてでも守ってあげます、とか言ってみたり。
矛盾してないか?
それとも、悲しむトンマン見たら、かわいそうになっちゃったの?
それとも、ユシンが死ぬようなことになったら、
トンマンはけしてピダムを許しはしないだろうとわかっているから?
自分がトンマンと結婚するために、トンマンに恩を売ろうとしてるんだろうけど、
策略の割には、必死の表情が切実。心がこもってる感じ。
まったくアンビバレンツな人ね。
トンマンは、なんだかピダムにすごく怒ってるんだよね。
そもそもユシンにかみついたのがピダムだからかなぁ。
ユシンは、トンマンの夢、三韓統一をすごく支援してくれるじゃない。
でもピダムは、志が一緒ってわけじゃないから、腹が立つのかな。
ピダムが欲しいのはトンマンその人だもんね。
女王だから、トンマンが欲しいわけじゃない。
だから、トンマンが女王じゃなくなれば、王の座なんて狙わないんだよ。
本当はそこに感動するべきなのに、
トンマンったら、なんか腹立っちゃうみたいなんだなー。
「神国には恋しておらぬのか?」って。
あなたは女として愛されてるんですよ?
すごく貴重なことじゃないですか。喜んでいいと思うけどなー。
ピダムにとっては「トンマン」=「神国」だそうですよ。
「神国に恋するトンマン」に恋しているからかな。
ユシンは、トンマンを愛しているけれど、
とにかく「すべてを捧げる愛」だから、彼女を手に入れようとはしない。
夫の座だって望まない。
ピダムとは正反対。
そして、三韓統一の野望だって、けしてトンマンの使命だから、というだけではない。
彼は伽耶王族の末裔として、伽耶を永遠にするために三韓統一を願っている。
ユシンは、トンマンを愛したいから、同じ夢を共有することにしたのかな、と
思っていたのだけれど、実はそういう男としての王族としての彼自身を託せる夢でもあったわけだ。
そのへんウォルヤは感じ取って、自分の行動が果たして正しかったのか、考えちゃうわけね。
うむむむむ、そう思うと、ピダムの望みは子どもっぽくて幼くて、
ミシルの言うように、なんとも色気のないものではあるなぁ。
でも、ソルォン公に戦に行ってもらってドヤ顔のピダム。
トンマンの気持ちがよく分からないのは、
女王として恋心を封印して生きているからなのか?
それとも、本人にも自分の気持ちがよくわかってないせいなのか?
はたまた、演じる役者の表現不足のせいなのか?
私の感受性がにぶいからなのか、よくわかりません~。
ただ、最後に「神国を救ったものに、すべての資格を与えましょう」
なんて言っちゃって、なんか……よくないよ。
そんな風に、自分の愛をご褒美にするなんて。
しかも本当は愛なんかではなんでもなくて、
ただ自分という人間の外側と、王座を餌にするような発言なんて、
トンマンらしくない。
う~ん、今回は何回繰り返してみても、
トンマンの気持ちがしっくり入ってこない。
ピダムの必死さとか、ユシンの真っ直ぐさとかはすごく感じられて面白かったけど。
囁くように、でも力強い、ピダムの「陛下!」という呼びかけの声が
とっても印象的な回でありました。
ソルォン公の「セジュ~」に匹敵する印象深さ。
「ペア!」のアは、「ア」と「ハ」の中間くらいの感じで。
遅くなってしまってごめんなさい。
私はコメントを頂くと、前後の記事なんかを読み返したりして
ドラマのことを反芻するのですが、
今回、自分の書いた感想になんかしっくり来ないものを感じまして。
それより、しーまさんの「トンマンは必死なんだと思うんですよ」という言葉が、
すとんと心に落ちたんですよね。
トンマンが何を考えてるのかよくわかんないなぁと、視聴当時は思っていたのですが、
あ、そうか、必死だったんだ、と今わかったというか。
それは何でだろう?などと考えに考えていて遅くなってしまいました。
たぶんね、当時はずいぶんピダムに肩入れしてて、
ピダムかわいさのあまり、こういう感想を書いたんじゃないかと。
しーまさんの感想を読んで、あらためて、トンマンの夢はぶれてないよ、と気づきました。
「神国を救ったものにすべての資格を与えましょう」なんて、
トンマンらしくないどころか、
どんな犠牲を払ってでも夢を追う彼女らしい発言ですよ。
だいたいチョンミョンが死んだ時、ユシンと逃げなかったあの時点で、
トンマンの生き方は決まったんだもんね。
どんなにゆれても、恋に生きられる人ではないのです。
彼女は、王の器だったから。
うん、なんど観ても深い面白さのあるドラマですなー。
なかなか見る決心がつきませんでした( ; _ ; )
でも意を決して。
そしたら、こんな展開で( ; _ ; )
トンマンは、必死なんだと思うんですよ。
神国のために全てをかけて臨んでる。
恋とか女としての幸せとか
かなぐり捨てて三韓統一を目指してる。
それなのに何故わかってくれないの!
ユシンを信じる私を何故信じてくれないの!
って…。
でもお子ちゃまのピダムはわからない( ; _ ; )
ソルォン公も、トンマンにそんなこと言うより、
ピダムに言ってやってください!
「人を好きになって、いちばん大切なことは、
その人が自分のものになるかならないかじゃない。
いちばん大切なのは、その人がその人らしいやり方で
毎日を過ごせるか、なんだ」
って。
ああ、切ない…( ; _ ; )
こんなに意地悪されてもトンマン大好きなのね、彼は。
ソルォン公はほんと、昔から理知的だったけど、
洞察力は衰えないですねー。
さすがミシル、ソルォン、ムンノの三羽がらすですよ。
ミシルの没後、何年くらいになるんでしょうかね。
ピダムの後見人としてがんばってきたソルォン公。
もうちょっとピダム本人との絡みが観たかったなぁ。
アとハの間で!
了解です(*´艸`*)
いや~
ほんとですよねっ
トンマンの変わりっぷりに、へ?(o_o)ですよ~
その辺の想いは、ビスコさんがしっかり語ってくれたので、私もスッキリしました!
やっぱトンマン変ですよね~
ピダマ~、ドンマイ!ファイティン!(´;ω;`)
「ピダムに平穏を与えてやりさえすれば、忠実な家臣となるでしょう」って言葉…
うわぁ~、この人ピダムのことよくわかってるなぁって感じました。
トンマンが与えるもの次第で、ピダムは敵にも味方にもなると…
味方であるということは、ちゃんと理性の中にいられるんでしょうけど、彼には平気で女子どもを殺せる一面もあるわけだから、敵にしてしまったら…
という忠告なのかなぁと思いました
トンマンが、ピダムに平穏だけを与える存在ではないということも見抜いてたんでしょうね
さすがソルォン公!
年の功…!
あぁ~
私なら両手広げて待ってるのに
ピダマ~ww
です(〃∀〃)ゞ