《あらすじ》
唐の使者と交わした密約書には、ピダムの署名があった。
「裏切りです!」と言葉を荒げるチュンチュを、トンマンはたしなめる。
チュンチュは我慢できず、席を立った。
ピダムの勢力は、自分たちを裏切ったピダムを許さず、
このまま王の退位を望むという。
彼らの暴走に、うろたえ、どうすればいいのか、悩むピダム。
烏羽扇がすでにトンマンの手に渡ったと知ったピダムは、トンマンに面会を求める。
ピダムはすべて正直に話してしまうのか?
トンマンは、チュンチュやユシン、アルチョンの前でピダムと会った。
何も知らぬふりで、烏羽扇を差し出したトンマンを、ピダムは遮った。
「密約書です」
すべてを正直に打ち明けるピダム。
「ではすべては配下の仕業だというのか。それを信じろと?」
チュンチュは厳しく追及するが、トンマンはピダムを信じた。
ピダムは、自らの手で事態を収拾すると誓う。
トンマンの信頼に、全身全霊で応えなければ。
そもそも盟約書自体が、王を安心させる手口だとうそぶくピダム。
ヨムジョンをはじめ貴族たちはいまだ不信感をぬぐい去れないが、
さりとてピダム以外に頼るものはいないのだ。
チュンチュはピダムが勢力を御しきれると思っていない。
ピダムとその勢力を一掃すべきだ。
トンマンは、チュンチュをさとそうとする。
「ピダムは私のために悪役に徹したのだ。
私が王だから、ピダムの恋心は徹底的に利用される。
哀れだと思わぬか。
私とピダムは、そなたたちのため、三韓一統のために犠牲になったとなぜ認めぬ」
「認めます。しかし、哀れとは思いません」
ピダムの母は、チュンチュの祖父を殺し、父を殺し、母を殺した人物なのだ。
彼の勢力は、ミシルの勢力。ピダムは自分の政敵であることに間違いはない。
ピダムは、司量部の武将でヨムジョンの息がかかっていないものを選び出した。
貴族たちは、ピダムを擁立するために、画策している。
密かに私兵を集めて訓練をしているのだ。
事態を見過ごせない兵部も様子を探ろうと動いているが、ピダムに牽制されてしまう。
「この件は陛下が私に一任したのだ。決定的な時がくれば、応援を頼もう」
「決定的な時がはやく訪れればよいものだ。私も忍耐強くはない」
チュンチュはあくまで、ピダムを認めない。
トンマンはウォルヤの弓部隊を視察し、農民たちの生活を見て回った。
王の施政を褒め称えるアルチョンに、トンマンはこう言った。
「私の為したことをすべて知るのはお前だけだ。
たやすく口外することもないだろう。
もしも私に何かあったら、しかるべき人に伝えてほしい」
アルチョンの顔色が変わる。
「陛下、何をおっしゃるのですか。何か、とは?」
たいした意味はない、というトンマンだが、アルチョンは不安を隠せない。
「お休み下さい、陛下」
アルチョンの進言を退けて、トンマンはユシンとチュンチュを呼んだ。
三韓統一のための大網をまとめたものをふたりに手渡すトンマン。
統一は、10年かかるか100年かかるかわからぬ大業だ。
百済、高句麗、それぞれの国別に諜報部隊を作らねば。
トンマンの目は、はるかかなた、大いなる夢に常に向けられている。
ピダムは、貴族が私兵を訓練している洞窟を突き止めた。
「明日の夜、兵を1000名貸してくれ」
ヨムジョンらを攻撃するつもりのピダム。
「陛下の許可は取ったのか?」
王の兵士を動かすことに、許可がなくては……と躊躇するユシンだが、
ピダムの決心を信じて、兵を出すことを決めた。
ほっとして、ほほえむピダム。
(陛下……いよいよ明日です。
私の責任で、ことを収めます。信じてください。信じて……)
よく朝はやく、地方から王への上書が届いた。
無人の不思議な船が、屈阿火県に着いたというのだ。
今、その箱と中の手紙が、ソラボルに向かっているという。
「陛下、チヌン大帝が黄龍寺を建てた時と同じです」
「縁起のよいことです」
口々に幸運を言祝ぐ、ミシルの勢力たち。
これはいったい何の企みか?
ミセンが何か画策していたことなのは間違いない。
言い伝えでは、その昔チヌン大帝が宮殿を建てようとしたところ、
地下から黄金の龍が現れた。
寺を建てよという啓示だということで、寺を建てた。
しかし、その頃はまだ仏教が伝わって30年。
技術も、建立のための鉄も不足していた。
と、そこへ一隻の船が港へ漂い着いた。
その船は、西天竺の阿育王が800年前に送ったものだった。
船の箱の中には、銅と黄金が積まれ、仏像の設計図が入れられていた。
阿育王は、仏像を作ろうとして努力したのだが、うまくいかなかったため、
資金と設計図を船に乗せて流したのだという。
縁のある国に流れ着けば、誰かが仏像を完成させてくれると信じて。
当時と同じ状況で、箱が届いた。
民は歓喜に沸いている。チヌン大帝以後のすばらしい慶事だと。
とうとうソラボルに届いた手紙。
中身を見たピダムは、手が震え出す。
奪い取ったチュンチュも、その内容に眉をひそめる。
「どうした、読んでみよ」
トンマンに促され、チュンチュは文書を読み上げる。
「西国呼世尊 神国呼世尊」
「極楽浄土の仏の名を持つものが神国の王となると?」
「極楽浄土の仏?」
(曇か?ピダムが……王?)
ユシンは心の中でそっとつぶやく。
トンマンも、それが意味することを理解した。
(つづく)
お前らはアーホーかー!!
これが計略だとわかっとるミシル陣営はまだしも、
ウォルヤは「慶事ですね」なんていっとる場合かーーーー!
ユシンもな、(ピダムが、即位する?)じゃないっ!
まさかトンマン陣営は、これがなんかの策略だってわかってるよね?
わかっててそんなこと言ってるんでしょ、ユシン!
トンマンが王女になるために、あんだけの嘘を演じた人たちだもの、
世の中には、そうそう不思議なことなんてないのは理解しているはず。
ミシル陣営は、世論を操作してピダムを王にしようとしているんだね。
伝説によく似た状況を演出して、世論を変えようとしているのだ。
トンマンは民から慕われているから……。
でもさー、この伝説もなんのこっちゃ?って感じじゃない?
仏像の設計図と資金が船にのって流れてきて、
チヌン大帝はそれを使って仏像を作り、寺を建てたんだって。
そりゃ一体なんなんじゃい!
たぶん、出所が知られるとまずい資産とか黄金とかを、
合法的に王室のものにするために、一芝居打ったのではないか?
仏像なんか別に造ってなくて、資金を国庫にいれるためにそうしたんじゃ……。
もうミシルもいないし、真相はよくわかんないですけど、
ミセンはなんか知ってんのかもね。
で、その時と同じ状況で、
なんかよくわかんない予言書みたいなものが流れてきたという……。
人は信じたいものを信じる生き物なんだな……。
脳の発達が、これほど阿呆な世の中を生み出すとは、誰が想像したでありましょうか。
私たち人類は、みな脳みそにだまされているんだー!
ピダムが一生懸命、トンマンの信頼に応えようとしているのに、
ミセンやヨムジョンさんはひどいですね。
だいたい、一番ひどいのはムンノだったことがわかりましたね!
子どものピダムが、慰めを求めて、愛を求めて師匠の手を握るのに、
それを振り払うムンノ。
しかも眠ったふりをしながらですよ?
それでも大人か!
いや、ムンノの頑固なまでの正直さが、いかんのか。
ピダムに対するおそれを、隠すことができなかったのか。
それとも、彼の闇を、生理的に嫌悪したのか……。
なんにせよ、ちっとも養育者向きではなかったムンノ。
子ピダムの哀しみを想像すると、胸が痛みます。
今度も、伸ばした手を振り払われるのではないかと死にそうになってたピダムですが、
トンマンは信じてくれてよかったね。
ユシンやアルチョンも、信じてると思うよ。
ピダム自身を信じられなくても、やつの恋心は揺るぎないのはわかってるはず。
三人は、あの洞窟からの古い同志だもん。
チュンチュはその頃まだ子どもだったけど、
青年たちは大変な出来事を一緒に乗り切った仲なんだもんさ。
そのへんの精神的な絆は、チュンチュにはわかるまい。
トンマンに対する恋心だけは本物なのよ……。
トンマンは、ピダムの恋心を利用しまくっている自分を自覚してる。
それは、いい。
哀れと思うのも、いい。
でも、ピダムと自分が犠牲になった、なんて言っちゃっていいんですか?
そりゃないだろう!
何度も言ってるけど、三韓統一するって決めたのはあなたですからね!
王になるためには、目的が必要だった。
王で居続けるためのモチベーション。
そして自分が王であるための正当性。
私利私欲ではなく、ビジョンを持った人間でなければ、
王にはなれないし、民は彼女を王とは認めてくれない。
そのための三韓統一です。
そして、なぜ王を目指したかってーと、ミシルを倒すためです。
婿とって王位を継いでも、結局ミシルの傀儡になっちゃまずいからでしょ。
で、なぜミシルを倒そうと思ったかってーと、
お姉さんの遺志を継ごうと思ったからでしょ。
ミシルに牛耳られてる国をなんとかしようと思ったからでしょ。
自分が殺されそうになってるのを、なんとかしなきゃと思ったからでしょ。
自分が自分として生きていくために、そう決めたんでしょー!
ねーねー、訳が悪いの?
本当に「犠牲になった」なんて言ってるの?
もちろん、トンマンとピダムの恋は犠牲になってるかもしれませんよ?
でも婚姻するんでしょーが!
そもそも、ユシンとトンマンの恋が、最初に犠牲になってて、
今だって全然むくわれてないでしょ!
その辺、わたくし怒っているんで、チュンチュの怒りにも同意します。
トンマンおばさん、甘いんじゃねーの?
男がらみだとそんなに甘くなっちゃうわけ?
あいつらの部下って、俺の父さん、母さんを卑怯な手で殺した奴らだよ?
あいつらのせいで、幸福な少年時代なんてかけらもなかった俺だよ?
俺にはさ、王になるってことしか残されてないわけ、
母の無念だって晴らさなきゃ、やってられないわけ。
ピダム?どこが哀れなの?
おばさんにすっごい信頼されてて、今度婚姻するんでしょ?
勢力だって持ってて、力もあって、なんか不満なわけ?あいつ。
どーせ三韓統一なんかどーでもいいわけじゃん、あいつは。
そんなチュンチュのやさぐれ節が聞こえてきそうですね。
彼、まだ全然若いですから。
男子なのにひげ生えてないってだけで、すっごい子ども感出てますよね。
まわりのおっさんたち、みんなひげ面ですから。
若さの特権と、あやまちとで、突っ走りがちなチュンチュ。
トンマンは彼をうまく御することができるのでしょうかね?
なんにせよ、ピダムが事態を収拾しようとしているさなかに、
ヨムジョンさんたちの悪巧みは着々と進んでしまうわけです。
まだいまひとつ、ピダムを信じ切れないのね。
どうせ婚姻するんだから、女王の夫になってから、
トンマンを毒殺しちゃえばいいや、とか思わないのかな?
クーデター起こして王位を得るより楽じゃん。
ピダムとトンマンの絆が揺るぎないものだから、
チュンチュとピダムの政治的ライバル関係で、物語を進めていくわけですね。
ああ、いろいろ不安だ……。
ちょっと今回は、終盤の展開にたどり着くまで時間がかかった印象でした。
脇の役者さんたち、あまり出番がないせいかもしれませんが、
「はっ」とした顔を抜かれすぎ。
5人も6人も、そんな表情抜かれんでもいいじゃないか。
君らの驚きはどーでもいい。
なかには全然驚いてない人がいるならまだしも……。
久しぶりに観たせいか、この回の出色はアルチョン公~。
なんだかおひげをはやして少しふっくらしたら、すごくかっこいいわ~。
そして、トンマン女王から寄せられる、圧倒的な信頼。
彼の無為の忠誠心がそうさせるわけですが、これはすごいことだよね。
男と女の恋心なんてもろいものではなく、
王と臣下としての信頼の絆が確立されております。
なぜトンマンがそんなこと言うのか、うすうすわかってるから心配なの。
護衛として、常にトンマンの側にいたアルチョンは、
確かに彼女の施政のすべてを知っている。
そして、それを誰に伝えるべきか、正しく判断できる能力を持っている。
トンマンの具合が悪そうなのも、いちはやく気づいてくれちゃう彼。
なんて頼りになる男でしょうか!
私がトンマンだったら、絶対アルチョンに頼る!と常々言ってましたけど、
トンマン、ちゃんと彼を頼ってますね。
自死を許さず、子飼いにした一番の忠臣ですからね。
でもさ、トンマン、病気なのかなー。
更年期っぽかったけど……。
ピダムとの婚姻、いつするの?
もう、したわけじゃないよね?
婚姻するって言って、書類作ればそれでオッケーなのかなー。
あの予言書みたいなの、どーすんの?
みんなの前で読んじゃったし、なんらかの対処をしなくてはまずいわけでしょ。
だいたい貴族のやつら、アホなんだよね。
自分の勢力、自分の勢力っていうけど、国があってのものじゃん。
自らが国の実権を握ろうなんて野心持ってても、国が疲弊したら無理じゃん。
どーせ、お金をたくさん持って贅沢したいだけでしょ?
私利私欲から生まれた野心しか持てない小物のくせに、
大業の邪魔してんじゃねーや。
はぁ……。せめてソルォン公が生きててくれたらなー。
ピダムを王にする陰謀の中に、なんの美しさも見いだせないや。
悪も悪らしく矜持がないと、つまんないもんだね。
唐の使者と交わした密約書には、ピダムの署名があった。
「裏切りです!」と言葉を荒げるチュンチュを、トンマンはたしなめる。
チュンチュは我慢できず、席を立った。
ピダムの勢力は、自分たちを裏切ったピダムを許さず、
このまま王の退位を望むという。
彼らの暴走に、うろたえ、どうすればいいのか、悩むピダム。
烏羽扇がすでにトンマンの手に渡ったと知ったピダムは、トンマンに面会を求める。
ピダムはすべて正直に話してしまうのか?
トンマンは、チュンチュやユシン、アルチョンの前でピダムと会った。
何も知らぬふりで、烏羽扇を差し出したトンマンを、ピダムは遮った。
「密約書です」
すべてを正直に打ち明けるピダム。
「ではすべては配下の仕業だというのか。それを信じろと?」
チュンチュは厳しく追及するが、トンマンはピダムを信じた。
ピダムは、自らの手で事態を収拾すると誓う。
トンマンの信頼に、全身全霊で応えなければ。
そもそも盟約書自体が、王を安心させる手口だとうそぶくピダム。
ヨムジョンをはじめ貴族たちはいまだ不信感をぬぐい去れないが、
さりとてピダム以外に頼るものはいないのだ。
チュンチュはピダムが勢力を御しきれると思っていない。
ピダムとその勢力を一掃すべきだ。
トンマンは、チュンチュをさとそうとする。
「ピダムは私のために悪役に徹したのだ。
私が王だから、ピダムの恋心は徹底的に利用される。
哀れだと思わぬか。
私とピダムは、そなたたちのため、三韓一統のために犠牲になったとなぜ認めぬ」
「認めます。しかし、哀れとは思いません」
ピダムの母は、チュンチュの祖父を殺し、父を殺し、母を殺した人物なのだ。
彼の勢力は、ミシルの勢力。ピダムは自分の政敵であることに間違いはない。
ピダムは、司量部の武将でヨムジョンの息がかかっていないものを選び出した。
貴族たちは、ピダムを擁立するために、画策している。
密かに私兵を集めて訓練をしているのだ。
事態を見過ごせない兵部も様子を探ろうと動いているが、ピダムに牽制されてしまう。
「この件は陛下が私に一任したのだ。決定的な時がくれば、応援を頼もう」
「決定的な時がはやく訪れればよいものだ。私も忍耐強くはない」
チュンチュはあくまで、ピダムを認めない。
トンマンはウォルヤの弓部隊を視察し、農民たちの生活を見て回った。
王の施政を褒め称えるアルチョンに、トンマンはこう言った。
「私の為したことをすべて知るのはお前だけだ。
たやすく口外することもないだろう。
もしも私に何かあったら、しかるべき人に伝えてほしい」
アルチョンの顔色が変わる。
「陛下、何をおっしゃるのですか。何か、とは?」
たいした意味はない、というトンマンだが、アルチョンは不安を隠せない。
「お休み下さい、陛下」
アルチョンの進言を退けて、トンマンはユシンとチュンチュを呼んだ。
三韓統一のための大網をまとめたものをふたりに手渡すトンマン。
統一は、10年かかるか100年かかるかわからぬ大業だ。
百済、高句麗、それぞれの国別に諜報部隊を作らねば。
トンマンの目は、はるかかなた、大いなる夢に常に向けられている。
ピダムは、貴族が私兵を訓練している洞窟を突き止めた。
「明日の夜、兵を1000名貸してくれ」
ヨムジョンらを攻撃するつもりのピダム。
「陛下の許可は取ったのか?」
王の兵士を動かすことに、許可がなくては……と躊躇するユシンだが、
ピダムの決心を信じて、兵を出すことを決めた。
ほっとして、ほほえむピダム。
(陛下……いよいよ明日です。
私の責任で、ことを収めます。信じてください。信じて……)
よく朝はやく、地方から王への上書が届いた。
無人の不思議な船が、屈阿火県に着いたというのだ。
今、その箱と中の手紙が、ソラボルに向かっているという。
「陛下、チヌン大帝が黄龍寺を建てた時と同じです」
「縁起のよいことです」
口々に幸運を言祝ぐ、ミシルの勢力たち。
これはいったい何の企みか?
ミセンが何か画策していたことなのは間違いない。
言い伝えでは、その昔チヌン大帝が宮殿を建てようとしたところ、
地下から黄金の龍が現れた。
寺を建てよという啓示だということで、寺を建てた。
しかし、その頃はまだ仏教が伝わって30年。
技術も、建立のための鉄も不足していた。
と、そこへ一隻の船が港へ漂い着いた。
その船は、西天竺の阿育王が800年前に送ったものだった。
船の箱の中には、銅と黄金が積まれ、仏像の設計図が入れられていた。
阿育王は、仏像を作ろうとして努力したのだが、うまくいかなかったため、
資金と設計図を船に乗せて流したのだという。
縁のある国に流れ着けば、誰かが仏像を完成させてくれると信じて。
当時と同じ状況で、箱が届いた。
民は歓喜に沸いている。チヌン大帝以後のすばらしい慶事だと。
とうとうソラボルに届いた手紙。
中身を見たピダムは、手が震え出す。
奪い取ったチュンチュも、その内容に眉をひそめる。
「どうした、読んでみよ」
トンマンに促され、チュンチュは文書を読み上げる。
「西国呼世尊 神国呼世尊」
「極楽浄土の仏の名を持つものが神国の王となると?」
「極楽浄土の仏?」
(曇か?ピダムが……王?)
ユシンは心の中でそっとつぶやく。
トンマンも、それが意味することを理解した。
(つづく)
お前らはアーホーかー!!
これが計略だとわかっとるミシル陣営はまだしも、
ウォルヤは「慶事ですね」なんていっとる場合かーーーー!
ユシンもな、(ピダムが、即位する?)じゃないっ!
まさかトンマン陣営は、これがなんかの策略だってわかってるよね?
わかっててそんなこと言ってるんでしょ、ユシン!
トンマンが王女になるために、あんだけの嘘を演じた人たちだもの、
世の中には、そうそう不思議なことなんてないのは理解しているはず。
ミシル陣営は、世論を操作してピダムを王にしようとしているんだね。
伝説によく似た状況を演出して、世論を変えようとしているのだ。
トンマンは民から慕われているから……。
でもさー、この伝説もなんのこっちゃ?って感じじゃない?
仏像の設計図と資金が船にのって流れてきて、
チヌン大帝はそれを使って仏像を作り、寺を建てたんだって。
そりゃ一体なんなんじゃい!
たぶん、出所が知られるとまずい資産とか黄金とかを、
合法的に王室のものにするために、一芝居打ったのではないか?
仏像なんか別に造ってなくて、資金を国庫にいれるためにそうしたんじゃ……。
もうミシルもいないし、真相はよくわかんないですけど、
ミセンはなんか知ってんのかもね。
で、その時と同じ状況で、
なんかよくわかんない予言書みたいなものが流れてきたという……。
人は信じたいものを信じる生き物なんだな……。
脳の発達が、これほど阿呆な世の中を生み出すとは、誰が想像したでありましょうか。
私たち人類は、みな脳みそにだまされているんだー!
ピダムが一生懸命、トンマンの信頼に応えようとしているのに、
ミセンやヨムジョンさんはひどいですね。
だいたい、一番ひどいのはムンノだったことがわかりましたね!
子どものピダムが、慰めを求めて、愛を求めて師匠の手を握るのに、
それを振り払うムンノ。
しかも眠ったふりをしながらですよ?
それでも大人か!
いや、ムンノの頑固なまでの正直さが、いかんのか。
ピダムに対するおそれを、隠すことができなかったのか。
それとも、彼の闇を、生理的に嫌悪したのか……。
なんにせよ、ちっとも養育者向きではなかったムンノ。
子ピダムの哀しみを想像すると、胸が痛みます。
今度も、伸ばした手を振り払われるのではないかと死にそうになってたピダムですが、
トンマンは信じてくれてよかったね。
ユシンやアルチョンも、信じてると思うよ。
ピダム自身を信じられなくても、やつの恋心は揺るぎないのはわかってるはず。
三人は、あの洞窟からの古い同志だもん。
チュンチュはその頃まだ子どもだったけど、
青年たちは大変な出来事を一緒に乗り切った仲なんだもんさ。
そのへんの精神的な絆は、チュンチュにはわかるまい。
トンマンに対する恋心だけは本物なのよ……。
トンマンは、ピダムの恋心を利用しまくっている自分を自覚してる。
それは、いい。
哀れと思うのも、いい。
でも、ピダムと自分が犠牲になった、なんて言っちゃっていいんですか?
そりゃないだろう!
何度も言ってるけど、三韓統一するって決めたのはあなたですからね!
王になるためには、目的が必要だった。
王で居続けるためのモチベーション。
そして自分が王であるための正当性。
私利私欲ではなく、ビジョンを持った人間でなければ、
王にはなれないし、民は彼女を王とは認めてくれない。
そのための三韓統一です。
そして、なぜ王を目指したかってーと、ミシルを倒すためです。
婿とって王位を継いでも、結局ミシルの傀儡になっちゃまずいからでしょ。
で、なぜミシルを倒そうと思ったかってーと、
お姉さんの遺志を継ごうと思ったからでしょ。
ミシルに牛耳られてる国をなんとかしようと思ったからでしょ。
自分が殺されそうになってるのを、なんとかしなきゃと思ったからでしょ。
自分が自分として生きていくために、そう決めたんでしょー!
ねーねー、訳が悪いの?
本当に「犠牲になった」なんて言ってるの?
もちろん、トンマンとピダムの恋は犠牲になってるかもしれませんよ?
でも婚姻するんでしょーが!
そもそも、ユシンとトンマンの恋が、最初に犠牲になってて、
今だって全然むくわれてないでしょ!
その辺、わたくし怒っているんで、チュンチュの怒りにも同意します。
トンマンおばさん、甘いんじゃねーの?
男がらみだとそんなに甘くなっちゃうわけ?
あいつらの部下って、俺の父さん、母さんを卑怯な手で殺した奴らだよ?
あいつらのせいで、幸福な少年時代なんてかけらもなかった俺だよ?
俺にはさ、王になるってことしか残されてないわけ、
母の無念だって晴らさなきゃ、やってられないわけ。
ピダム?どこが哀れなの?
おばさんにすっごい信頼されてて、今度婚姻するんでしょ?
勢力だって持ってて、力もあって、なんか不満なわけ?あいつ。
どーせ三韓統一なんかどーでもいいわけじゃん、あいつは。
そんなチュンチュのやさぐれ節が聞こえてきそうですね。
彼、まだ全然若いですから。
男子なのにひげ生えてないってだけで、すっごい子ども感出てますよね。
まわりのおっさんたち、みんなひげ面ですから。
若さの特権と、あやまちとで、突っ走りがちなチュンチュ。
トンマンは彼をうまく御することができるのでしょうかね?
なんにせよ、ピダムが事態を収拾しようとしているさなかに、
ヨムジョンさんたちの悪巧みは着々と進んでしまうわけです。
まだいまひとつ、ピダムを信じ切れないのね。
どうせ婚姻するんだから、女王の夫になってから、
トンマンを毒殺しちゃえばいいや、とか思わないのかな?
クーデター起こして王位を得るより楽じゃん。
ピダムとトンマンの絆が揺るぎないものだから、
チュンチュとピダムの政治的ライバル関係で、物語を進めていくわけですね。
ああ、いろいろ不安だ……。
ちょっと今回は、終盤の展開にたどり着くまで時間がかかった印象でした。
脇の役者さんたち、あまり出番がないせいかもしれませんが、
「はっ」とした顔を抜かれすぎ。
5人も6人も、そんな表情抜かれんでもいいじゃないか。
君らの驚きはどーでもいい。
なかには全然驚いてない人がいるならまだしも……。
久しぶりに観たせいか、この回の出色はアルチョン公~。
なんだかおひげをはやして少しふっくらしたら、すごくかっこいいわ~。
そして、トンマン女王から寄せられる、圧倒的な信頼。
彼の無為の忠誠心がそうさせるわけですが、これはすごいことだよね。
男と女の恋心なんてもろいものではなく、
王と臣下としての信頼の絆が確立されております。
なぜトンマンがそんなこと言うのか、うすうすわかってるから心配なの。
護衛として、常にトンマンの側にいたアルチョンは、
確かに彼女の施政のすべてを知っている。
そして、それを誰に伝えるべきか、正しく判断できる能力を持っている。
トンマンの具合が悪そうなのも、いちはやく気づいてくれちゃう彼。
なんて頼りになる男でしょうか!
私がトンマンだったら、絶対アルチョンに頼る!と常々言ってましたけど、
トンマン、ちゃんと彼を頼ってますね。
自死を許さず、子飼いにした一番の忠臣ですからね。
でもさ、トンマン、病気なのかなー。
更年期っぽかったけど……。
ピダムとの婚姻、いつするの?
もう、したわけじゃないよね?
婚姻するって言って、書類作ればそれでオッケーなのかなー。
あの予言書みたいなの、どーすんの?
みんなの前で読んじゃったし、なんらかの対処をしなくてはまずいわけでしょ。
だいたい貴族のやつら、アホなんだよね。
自分の勢力、自分の勢力っていうけど、国があってのものじゃん。
自らが国の実権を握ろうなんて野心持ってても、国が疲弊したら無理じゃん。
どーせ、お金をたくさん持って贅沢したいだけでしょ?
私利私欲から生まれた野心しか持てない小物のくせに、
大業の邪魔してんじゃねーや。
はぁ……。せめてソルォン公が生きててくれたらなー。
ピダムを王にする陰謀の中に、なんの美しさも見いだせないや。
悪も悪らしく矜持がないと、つまんないもんだね。
ピダムが裏切るなんて、考えもしませんでしたね。
チュンチュはもう、ただただピダム憎しって感じで
それは、ただのヤキモチかU+2049U+FE0Eって思ってしまうほど。
それにしても、本当に少年ピダムが
可哀想で可哀想で…
世界の全てがムンノだったのに、
そのムンノに否定されたら、
もう…( ; _ ; )
ピダムもさー、ひとりで何とかしようとしちゃダメだよ。
みんなに相談して!
トンマには、全部話して!
一瞬、トンマン妊娠したのかと思っちゃった…(;^_^A
そんなことはないのか?
あの人たち(その時代の人たち)、
よくわかんないからなーw
自分の勢力っていっても、旧ミシル派なわけでしょ。
ミシルの息子だから、ってんでついてきてる人たちであって、
ピダムを好きなわけじゃないんだよねー。
ミシルは、人の心をつかんでいたけど、ピダムはそれができない。
彼の心はトンマンに捧げられていて、誰にもわけることができないから。
何をするにもひとりでなんとかしようとして……。
ユシンはライバルだし、心許せる友がいないピダム。
トンマンも同じように孤独だから、ふたりで寄り添いたいのかもしれません。
妊娠は考えつかなかったなぁ。
同じ役者が演じているからわかりにくいけど、
もうこの人たちは、そこそこ年がいっちゃってる感じじゃないですか?
もう壮年で子どもは無理なんじゃないかなー。
あと、年齢以前に、彼らにそういう関係はあるのか?
ミシルの色気は当然そんな関係アリとにおわせたけど、
ピダムとトンマンはねぇ……。
婚姻したからにはあって当然だが、まったくそんな気配が感じられませんな。