雪は……降りませんでした。
降ったら降ったで大変なんだけどねー。
面倒ごとだが、なんだか楽しいんですよ、雪は。
非、日常の楽しさというのでしょうか。
そう思うと、例の「アナ雪」
豪雪地方と南国地方では、観た後の感想なんかがちょっぴり違うのかも。
どうなんでしょね?
〈あらすじ〉
もう会えない、そう思っていても、
どこかで彼女を待ってしまう。
「私を待ってたの?バカね!なんでそんなこと……」
泣き出したボラを見て、テウンは困ってしまう。
ボラは苦しんでいた。
父の気持ちを思えば、もう会ってはいけない。
それなのに、彼に会うと嬉しくなってしまう自分が嫌いだ。
「ボラ、約束するよ。もう、君のことは考えない。待ったりしない。
君のことを、好きにならない。
初めての約束がこんな言葉でごめんな。でも俺は、約束を守るよ。
だから泣くな。自分を責めるな」
テウンは優しくボラに言った。
「家まで送ってやる」
差し出された手は温かく、ふたりは家に着くまで、ずっと手を握り合っていた。
ただ、父は傷ついていた。
ハン・ドックがハン・テウンだった。
そのうえ、ふたりは惹かれ合っているというではないか。
帰宅したボラに真実をぶつけ、娘を責める。
絶対に許せない。
「ごめんなさい、パパ、言えなかったの、許して。
彼は悪くない、私が悪いの。私が先に好きになったの。もう会わないわ」
しかし、父は信じなかった。
ボラは外出禁止を命じられてしまった。
チュンシクも傷ついていた。
嘘ばかりのドック。俺たちを騙して、見下していたんだろう?!
テウンの弁解も、聞こうとしない。
「お前なんか、友達じゃない!」
「チュンシク、俺の話も聞けよ!」
だが、チュンシクの傷は深く、テウンの言葉も届かなかった。
テウンは会長に呼ばれた。
会ってはいけない人間同士が会ってしまった。
テウンを気に入っていたことは、嘘ではないし、力になりたかったが、
どこか遠くへ行ってやり直して欲しい。
そうすれば、一生面倒を見る、という。
ボラとのことは断じて認められない、と。
テウンは床に膝をついた。
「申し訳ありません、会長。僕には資格がないとわかっています。
でも、ボラさんを心から愛しています。心から」
テウンの言葉は会長の怒りをあおった。
「よくそんなことが言えるな、君に出来ることはここからいなくなることだけだ!」
会長室に、ボラが入ってきた。
ゴヌの助けを借りて、家から抜け出してきたのだ。
「パパ、お願いだからもうやめて。もう会わないって言ったじゃない!」
父の怒りはおさまらない。
「なぜそんな、ジョンギュのことはもうどうでもいいのか?
あいつがなぜ死んだか、忘れたのか?」
「彼のせいじゃないわ。パパもわかってるでしょ?
お兄ちゃんは自分で死を選んだの。現実に耐えられなくて、劣等感にさいなまれて……
それで死んだんでしょ!」
父は思わず、娘の顔を平手で打った。
ボラは出て行き、テウンは後を追った。
「お父さんに謝るんだ」
「あんたバカなの?一生罪悪感に苦しんで生きていくつもり?」
「でも、生きてる。……俺は、生きてるんだ」
ボラも、テウンもわかっている。会長も苦しんでいるのだ。
だからこそ、ボラは父にわかってほしい。
「パパ、ごめんなさい。でも、彼が悪いんじゃないわ。
そんなこと言ったら、勉強を強要したパパが悪い。お兄ちゃんを捨てたママが悪い。
お兄ちゃんの寂しさをわかってあげられなかったわたしがもっと悪いわ。
前は、パパが悪いと思ってたけど、今は違う。
パパのせいでもない、ドックのせいでもない。パパは彼を憎みたいだけなのよ」
父は静かに、娘を退けた。
ボラは留学を決意した。
会わないと言っても、信じてもらえないし、彼に去れというのは酷なことだ。
娘の決意を、父は黙って聞いている。
それほどまでに、あの男を愛しているのか。
父を捨てていくほどに。
ジムでは、チュンシクとスンリがジムの会長からテウンの事情を聞いていた。
ふたりは恥じ入り、テウンの身の上の哀しさを感じ、泣いた。
スンリは帰ってきたテウンを抱きしめてくれた。
翌日、会長がジムにたずねてきた。
昨日のことを謝りに来たのだ。
「わたしたちも君を忘れて生きるから、君もわたしたちを忘れて生きてくれ。
これが最後だろう……」
テウンは会長の背中に呼びかけた。
「お父さん」
足がとまる。
「ジョンギュのお父さんだと知ってから、一度そうお呼びしたいと思っていました。
お元気で……」
テウンは、母の家へ泊まった。
「あんたはお父さんによく似てるよ。
あの人も、他人を責めず、そのくせ自分の非はいつまでも引きずっているような人だった。
ドックはいいけど、テウンが可哀相だよ。
いつまでも自分を責めて、友達からも隠れて暮らして、恋も自由にできない、
テウンが哀れだよ。
でもお前には、テウンに戻って欲しい。それがお前だから。本当のお前だから」
それが、母の切なる願いだった。
クリスマスの日、テウンはスンリに引っ張られて教会に連れてこられた。
怪訝な顔で中に入ると、後からボラが入ってきた。
スンリがお膳立てしてくれたのだ。
彼女からのクリスマスプレゼント。
ふたりが過ごす、最初で最後のクリスマス。
テウンは、ぼうっとしてボラから目が離せない。
微笑む彼女から、目が離せなかった。
「ねえ、プレゼントは?ないの?わたしはふたつも用意したのに」
久しぶりにきく、ボラのすねた声。
彼女はそっと小さな箱を取り出した。
中に入っていたのは、スズランの花。
かつてジョンギュの墓前で、テウンがボラに贈った花だった。
「花言葉は、幸せが訪れる。覚えてる?
パパと私が憎むのは、お兄ちゃんが恋しいから。あんたのせいじゃない。
だから自分を許して。そして幸せになって。
もう幸せになってもいいのよ。お兄ちゃんもそれを望んでるわ。
そしてこれは、わたしからの最後のプレゼント」
そう言って、ボラはテウンにそっと口づけた。
「ハン・ドック、もう自由よ」
何も言えず、ぼんやりしたまま部屋に帰る。
すずらんの花を見て、涙がこぼれた。
翌日、ボラは旅立つ。テウンには何も告げないまま。
ドゥンナムが気をきかせて取っておいてくれた思い出箱には、あのポケベルがあった。
テウンは教授に呼ばれて大学へ行った。
彼の論文が、学会誌に掲載されるという。
「これで間違いはないかな?」
テウンはたったひとつだけ、訂正を入れた。
名前だ。ハン・ドックではなく、ハン・テウン。
その直後、テウンはゴヌに呼び出される。
ゴヌは黙っていられなかったのだ。彼女が今日、旅に出ると言うことを。
「どこへ行くと言ってました?」
「……ラップランド?そう、ラップランドへ行くと言っていた。会っておいでよ」
テウンは我知らず、微笑んでいた。
「いえ、行きません。今度会えば、手離せなくなるから」
別れ際、ゴヌが取り出したポケベルを見て、テウンはふとある番号を思いだす。
それは昔、小さな女の子と交わした約束を思い起こさせた。
テウンは遊園地に来ていた。
小さな女の子と、一日遊んだんだ。
名前も知らない、あの女の子。
今頃どこにいるんだろう。最後の挨拶もできなくでごめん。
今度君に会ったら、二度と離さないよ。
愛してる……愛してる、愛してる、愛してる……
君を、愛してる。
いつの間にか日は暮れて、遊園地は閉園になっていた。
「なんだ、昼間からいたけど、彼女が来ないのかい?」
おじさんの声をかけられて、テウンは照れくさそうに笑った。
「いろいろ考えたくて……」
重い腰を上げて帰ろうとしたとき、後ろから声が聞こえた。
「ねぇ、遅く来たからって帰るわけ?」
ボラが、スーツケースを引いて立っている。
「どうして……」
赤いポケベルを取り出して、にっこり笑った彼女。
「バカ、どうせなら場所も言っといてよね。携帯も持たずに……さんざん探したんだから」
微笑んで、見つめ合う、ふたり。
「久しぶりだな、チビ」
「あなたもね。
今度は名前を教えるって言ったでしょ?覚えてる?
私の名前はボラよ。キム・ボラ。あなたは?」
「俺は、俺の名前は、ハン・テウン」
「ハン・テウン……、素敵な名前ね」
「ボラ、今君の手を取ったら、もう離さないよ。
君がつらくなっても。それでもいいか?
君はそれでも……俺の手を取るか?」
ボラは、しっかりとうなづいた。
ふたりは、手を取り合う。
(つづく)
そう、どんなに周りに気をつかっても、
どんなに親を愛していても、
無理なのね。
無理なのよ。
自分を殺すことはできないのよ~。
ずーっと尊敬してたよ、ハン・テウン。
けっして衝動に身をまかせない男。
自分の欲望に振り回されない男。
ただ、愛する人たちの幸せを願う男。
だからこそ!神様は用意してくれるんですね……。
こんな運命を。
闘ってつかみ取るだけが、愛の形とは限らない。
障害を蹴散らして、貫くことが美しいとは限らない。
ここまで自分の欲望を抑制してきたふたりだからこそ、
心から応援したいと思ってしまうんですアイゴー。
思った通り、スンリはいい子で、
思った通り、チュンシクもいいやつで、
ほんとにテウンのまわりはいい人ばかりです。
会長だって、多分に上から目線ではありますが、
昔の会長とは違いますよ。
きっと、きっといつかふたりを許してくれるはず……。
そして最後まで白かったゴヌ先生……。
あなたの誠実さが、あなたの愛が、
秘密を秘密でなくしてくれたんですねぇ。
嫉妬からではなく、純粋にボラを思う気持ちが、
空回りせず、悪循環を生まず、結果的に幸せな方向へ。
でも待って!
ここ何話か、すっかり忘れていましたが、
ビョーキはどーなった!
意図的に進行を遅らしてるだろ、制作者よ。
あと3話あるんだけどさ……。
こっから闘病ものかと思うと、正直観るのつらいんだけど。
もちろんなんか救いらしきものは用意して……くれるんですよね?
ここから最後までつらい3時間なんてありえないですよね?
そうじゃなきゃモチベーションが上がらないんだけどっ!
頼むよ~。
はぁ、でもいい回だったよね……。
ふたりが手を握り合うシーンが2回出てきまして。
最初は、お互いが別れを意識した場面。
どれだけ相手を想っているか、それをわかったうえで、
それでも一緒にいられない、と決めるシーンですね。
テウンが「君を好きにならない」と約束をして……。
いやもうすでに破っちゃってますけどね、好きなんだから。
でもでも、そう決めて、ボラも納得して、
テウンは王子様のようにボラに手を差し出すんです。
「送っていくよ」って……。
うつくしいわぁぁぁぁ+゜*。:゜+(人*´∀`)ウットリ+゜:。*゜+.
思わず顔文字使ってしまいましたが、うん、マジでこんな気分。
下手なキスシーンなんかより、1000倍うつくしいよ!
(いや、今回のキスシーンもステキでしたが)
美男美女って手もキレイなんだよねー。
ずーっとずーっと黙って手を握り合って、家まで帰ったんだなぁ……。
なんという純愛……。
そして、「手を離せなくなる」という言葉が象徴的に使われてゆきます。
これは実は、最初の出会いから何度も使われているイメージなんですよね。
初めて会った日の、空港ラン。
彼があの日のお兄さんだと気づいた時も、飛行場でふたりは手をつないで走りました。
あの頃のキラキラした気持ちが、ふたりの間にあるんだ、って感じがして、
この「手をつなぐ」っていう画が好きです。
いや、ずーっと以前から「純愛」っていう言葉がよくわかんなかったんだけど、
これなんだな。
ヤるヤらないの話じゃなくて、あれだよ、
「純粋で純情な人たちがしてる恋愛」のことなんだろ?「純愛」ってのはさ。
汚れた大人が「プラトニックだから純愛です」とか言ってんじゃねえよなぁ、こんちくしょう。
わざわざ純ってつけるんだから、そもそも愛なんて、本来猥雑なものなのよ。
いろいろ含んだ上で、ぜーんぶひっくるめて「愛」
その中で、ひたすら透明で美しい純愛。
そして、最後の手をつなぐ場面。
ここは画面の美しさというよりも、力強さを感じるのね。
差し伸べられた手を握るのではなく、
差し出された手を、取りにいったボラ。
ふたりの腕が同じ位置にあったりして、同志の誓いって雰囲気なのよねー。
これからふたりは、うつくしいだけの「愛」を生きてはいられないんじゃないか。
なんかすごく……苦労するんじゃないか。
でも若い2人だから、そんな日々もしあわせなんじゃないか。
そんな空気を感じましたです。
だって、ふたりは出会い直したんだもんねぇ。
ハン・テウンとキム・ボラとして、もう一度出会ったんだもの。
ここからもう一度、あたらしく始めるんだ……。
テウンが自分を許すことができて、ホントに良かった。
これは一度、ボラとの別れを決意しなきゃできないことだったと思う。
それと、チュンシクとの関係が実は重要だったんじゃないかと思っている。
テウンがかつて、ジョンギュに言い放ってしまった言葉。
「お前なんか友達じゃない!」
今度はそれを、チュンシクに言われてしまうテウン。
もちろん、テウンもチュンシクも、もう子どもじゃない。
いろんなことを経験した大人だから、
そんな言葉も受け止めることができるようになったのよね。
テウンを大切に思っているからこそ、裏切られた気がして、寂しくなって、
「友達じゃない!」と言ってしまうチュンシク。
テウンは、彼の気持ちが痛いほどわかったと思うのです。
かつての自分がそうだったから。
あの頃と立場が違えど、そんなケンカをもう一度して、
それを乗り越えることは、テウンにとって意味があることだったんじゃないか。
「お前なんか友達じゃない!」
あの言葉が、本当に引き金だったのだろうか?
そうかもしれない。そうじゃないかもしれない。
ただ言えることは、あの頃、自分たちは未熟だった。
幼くて、迷っていて、傷つきやすくて……。
いろんなことが重なって、ジョンギュは死んでしまった。
「お前なんか友達じゃない!」
言ってしまった自分自身も傷ついていた。
言われたジョンギュも、傷ついただろう。
でも、そんなことを言わせてしまった自分を責めて、後悔もしただろう。
チュンシクにそう言われて、「悪かった、ごめん」と思っている自分と同じように。
言ってしまった自分、
言わせてしまった自分、
どちらの立場にも立ってみてはじめて、
テウンは当時のジョンギュの気持ちを客観視できたんじゃないでしょうか。
チュンシクとのやりとりに、
テウンがある意味癒やされたのだというか、
ここでもやり直しがあったような気がしたんですよ……。
ボラとの出会いをやり直し、
ジョンギュとのケンカをやり直し、
やっとテウンは再生できたような気がするんです。
でもさ、
ここからもう一山乗り越えてふたりはいつまでもしあわせに暮らしました、
とは行かないんだよね、やっぱり……。
ああ~、続き観るの、つらいなぁ……。
降ったら降ったで大変なんだけどねー。
面倒ごとだが、なんだか楽しいんですよ、雪は。
非、日常の楽しさというのでしょうか。
そう思うと、例の「アナ雪」
豪雪地方と南国地方では、観た後の感想なんかがちょっぴり違うのかも。
どうなんでしょね?
〈あらすじ〉
もう会えない、そう思っていても、
どこかで彼女を待ってしまう。
「私を待ってたの?バカね!なんでそんなこと……」
泣き出したボラを見て、テウンは困ってしまう。
ボラは苦しんでいた。
父の気持ちを思えば、もう会ってはいけない。
それなのに、彼に会うと嬉しくなってしまう自分が嫌いだ。
「ボラ、約束するよ。もう、君のことは考えない。待ったりしない。
君のことを、好きにならない。
初めての約束がこんな言葉でごめんな。でも俺は、約束を守るよ。
だから泣くな。自分を責めるな」
テウンは優しくボラに言った。
「家まで送ってやる」
差し出された手は温かく、ふたりは家に着くまで、ずっと手を握り合っていた。
ただ、父は傷ついていた。
ハン・ドックがハン・テウンだった。
そのうえ、ふたりは惹かれ合っているというではないか。
帰宅したボラに真実をぶつけ、娘を責める。
絶対に許せない。
「ごめんなさい、パパ、言えなかったの、許して。
彼は悪くない、私が悪いの。私が先に好きになったの。もう会わないわ」
しかし、父は信じなかった。
ボラは外出禁止を命じられてしまった。
チュンシクも傷ついていた。
嘘ばかりのドック。俺たちを騙して、見下していたんだろう?!
テウンの弁解も、聞こうとしない。
「お前なんか、友達じゃない!」
「チュンシク、俺の話も聞けよ!」
だが、チュンシクの傷は深く、テウンの言葉も届かなかった。
テウンは会長に呼ばれた。
会ってはいけない人間同士が会ってしまった。
テウンを気に入っていたことは、嘘ではないし、力になりたかったが、
どこか遠くへ行ってやり直して欲しい。
そうすれば、一生面倒を見る、という。
ボラとのことは断じて認められない、と。
テウンは床に膝をついた。
「申し訳ありません、会長。僕には資格がないとわかっています。
でも、ボラさんを心から愛しています。心から」
テウンの言葉は会長の怒りをあおった。
「よくそんなことが言えるな、君に出来ることはここからいなくなることだけだ!」
会長室に、ボラが入ってきた。
ゴヌの助けを借りて、家から抜け出してきたのだ。
「パパ、お願いだからもうやめて。もう会わないって言ったじゃない!」
父の怒りはおさまらない。
「なぜそんな、ジョンギュのことはもうどうでもいいのか?
あいつがなぜ死んだか、忘れたのか?」
「彼のせいじゃないわ。パパもわかってるでしょ?
お兄ちゃんは自分で死を選んだの。現実に耐えられなくて、劣等感にさいなまれて……
それで死んだんでしょ!」
父は思わず、娘の顔を平手で打った。
ボラは出て行き、テウンは後を追った。
「お父さんに謝るんだ」
「あんたバカなの?一生罪悪感に苦しんで生きていくつもり?」
「でも、生きてる。……俺は、生きてるんだ」
ボラも、テウンもわかっている。会長も苦しんでいるのだ。
だからこそ、ボラは父にわかってほしい。
「パパ、ごめんなさい。でも、彼が悪いんじゃないわ。
そんなこと言ったら、勉強を強要したパパが悪い。お兄ちゃんを捨てたママが悪い。
お兄ちゃんの寂しさをわかってあげられなかったわたしがもっと悪いわ。
前は、パパが悪いと思ってたけど、今は違う。
パパのせいでもない、ドックのせいでもない。パパは彼を憎みたいだけなのよ」
父は静かに、娘を退けた。
ボラは留学を決意した。
会わないと言っても、信じてもらえないし、彼に去れというのは酷なことだ。
娘の決意を、父は黙って聞いている。
それほどまでに、あの男を愛しているのか。
父を捨てていくほどに。
ジムでは、チュンシクとスンリがジムの会長からテウンの事情を聞いていた。
ふたりは恥じ入り、テウンの身の上の哀しさを感じ、泣いた。
スンリは帰ってきたテウンを抱きしめてくれた。
翌日、会長がジムにたずねてきた。
昨日のことを謝りに来たのだ。
「わたしたちも君を忘れて生きるから、君もわたしたちを忘れて生きてくれ。
これが最後だろう……」
テウンは会長の背中に呼びかけた。
「お父さん」
足がとまる。
「ジョンギュのお父さんだと知ってから、一度そうお呼びしたいと思っていました。
お元気で……」
テウンは、母の家へ泊まった。
「あんたはお父さんによく似てるよ。
あの人も、他人を責めず、そのくせ自分の非はいつまでも引きずっているような人だった。
ドックはいいけど、テウンが可哀相だよ。
いつまでも自分を責めて、友達からも隠れて暮らして、恋も自由にできない、
テウンが哀れだよ。
でもお前には、テウンに戻って欲しい。それがお前だから。本当のお前だから」
それが、母の切なる願いだった。
クリスマスの日、テウンはスンリに引っ張られて教会に連れてこられた。
怪訝な顔で中に入ると、後からボラが入ってきた。
スンリがお膳立てしてくれたのだ。
彼女からのクリスマスプレゼント。
ふたりが過ごす、最初で最後のクリスマス。
テウンは、ぼうっとしてボラから目が離せない。
微笑む彼女から、目が離せなかった。
「ねえ、プレゼントは?ないの?わたしはふたつも用意したのに」
久しぶりにきく、ボラのすねた声。
彼女はそっと小さな箱を取り出した。
中に入っていたのは、スズランの花。
かつてジョンギュの墓前で、テウンがボラに贈った花だった。
「花言葉は、幸せが訪れる。覚えてる?
パパと私が憎むのは、お兄ちゃんが恋しいから。あんたのせいじゃない。
だから自分を許して。そして幸せになって。
もう幸せになってもいいのよ。お兄ちゃんもそれを望んでるわ。
そしてこれは、わたしからの最後のプレゼント」
そう言って、ボラはテウンにそっと口づけた。
「ハン・ドック、もう自由よ」
何も言えず、ぼんやりしたまま部屋に帰る。
すずらんの花を見て、涙がこぼれた。
翌日、ボラは旅立つ。テウンには何も告げないまま。
ドゥンナムが気をきかせて取っておいてくれた思い出箱には、あのポケベルがあった。
テウンは教授に呼ばれて大学へ行った。
彼の論文が、学会誌に掲載されるという。
「これで間違いはないかな?」
テウンはたったひとつだけ、訂正を入れた。
名前だ。ハン・ドックではなく、ハン・テウン。
その直後、テウンはゴヌに呼び出される。
ゴヌは黙っていられなかったのだ。彼女が今日、旅に出ると言うことを。
「どこへ行くと言ってました?」
「……ラップランド?そう、ラップランドへ行くと言っていた。会っておいでよ」
テウンは我知らず、微笑んでいた。
「いえ、行きません。今度会えば、手離せなくなるから」
別れ際、ゴヌが取り出したポケベルを見て、テウンはふとある番号を思いだす。
それは昔、小さな女の子と交わした約束を思い起こさせた。
テウンは遊園地に来ていた。
小さな女の子と、一日遊んだんだ。
名前も知らない、あの女の子。
今頃どこにいるんだろう。最後の挨拶もできなくでごめん。
今度君に会ったら、二度と離さないよ。
愛してる……愛してる、愛してる、愛してる……
君を、愛してる。
いつの間にか日は暮れて、遊園地は閉園になっていた。
「なんだ、昼間からいたけど、彼女が来ないのかい?」
おじさんの声をかけられて、テウンは照れくさそうに笑った。
「いろいろ考えたくて……」
重い腰を上げて帰ろうとしたとき、後ろから声が聞こえた。
「ねぇ、遅く来たからって帰るわけ?」
ボラが、スーツケースを引いて立っている。
「どうして……」
赤いポケベルを取り出して、にっこり笑った彼女。
「バカ、どうせなら場所も言っといてよね。携帯も持たずに……さんざん探したんだから」
微笑んで、見つめ合う、ふたり。
「久しぶりだな、チビ」
「あなたもね。
今度は名前を教えるって言ったでしょ?覚えてる?
私の名前はボラよ。キム・ボラ。あなたは?」
「俺は、俺の名前は、ハン・テウン」
「ハン・テウン……、素敵な名前ね」
「ボラ、今君の手を取ったら、もう離さないよ。
君がつらくなっても。それでもいいか?
君はそれでも……俺の手を取るか?」
ボラは、しっかりとうなづいた。
ふたりは、手を取り合う。
(つづく)
そう、どんなに周りに気をつかっても、
どんなに親を愛していても、
無理なのね。
無理なのよ。
自分を殺すことはできないのよ~。
ずーっと尊敬してたよ、ハン・テウン。
けっして衝動に身をまかせない男。
自分の欲望に振り回されない男。
ただ、愛する人たちの幸せを願う男。
だからこそ!神様は用意してくれるんですね……。
こんな運命を。
闘ってつかみ取るだけが、愛の形とは限らない。
障害を蹴散らして、貫くことが美しいとは限らない。
ここまで自分の欲望を抑制してきたふたりだからこそ、
心から応援したいと思ってしまうんですアイゴー。
思った通り、スンリはいい子で、
思った通り、チュンシクもいいやつで、
ほんとにテウンのまわりはいい人ばかりです。
会長だって、多分に上から目線ではありますが、
昔の会長とは違いますよ。
きっと、きっといつかふたりを許してくれるはず……。
そして最後まで白かったゴヌ先生……。
あなたの誠実さが、あなたの愛が、
秘密を秘密でなくしてくれたんですねぇ。
嫉妬からではなく、純粋にボラを思う気持ちが、
空回りせず、悪循環を生まず、結果的に幸せな方向へ。
でも待って!
ここ何話か、すっかり忘れていましたが、
ビョーキはどーなった!
意図的に進行を遅らしてるだろ、制作者よ。
あと3話あるんだけどさ……。
こっから闘病ものかと思うと、正直観るのつらいんだけど。
もちろんなんか救いらしきものは用意して……くれるんですよね?
ここから最後までつらい3時間なんてありえないですよね?
そうじゃなきゃモチベーションが上がらないんだけどっ!
頼むよ~。
はぁ、でもいい回だったよね……。
ふたりが手を握り合うシーンが2回出てきまして。
最初は、お互いが別れを意識した場面。
どれだけ相手を想っているか、それをわかったうえで、
それでも一緒にいられない、と決めるシーンですね。
テウンが「君を好きにならない」と約束をして……。
いやもうすでに破っちゃってますけどね、好きなんだから。
でもでも、そう決めて、ボラも納得して、
テウンは王子様のようにボラに手を差し出すんです。
「送っていくよ」って……。
うつくしいわぁぁぁぁ+゜*。:゜+(人*´∀`)ウットリ+゜:。*゜+.
思わず顔文字使ってしまいましたが、うん、マジでこんな気分。
下手なキスシーンなんかより、1000倍うつくしいよ!
(いや、今回のキスシーンもステキでしたが)
美男美女って手もキレイなんだよねー。
ずーっとずーっと黙って手を握り合って、家まで帰ったんだなぁ……。
なんという純愛……。
そして、「手を離せなくなる」という言葉が象徴的に使われてゆきます。
これは実は、最初の出会いから何度も使われているイメージなんですよね。
初めて会った日の、空港ラン。
彼があの日のお兄さんだと気づいた時も、飛行場でふたりは手をつないで走りました。
あの頃のキラキラした気持ちが、ふたりの間にあるんだ、って感じがして、
この「手をつなぐ」っていう画が好きです。
いや、ずーっと以前から「純愛」っていう言葉がよくわかんなかったんだけど、
これなんだな。
ヤるヤらないの話じゃなくて、あれだよ、
「純粋で純情な人たちがしてる恋愛」のことなんだろ?「純愛」ってのはさ。
汚れた大人が「プラトニックだから純愛です」とか言ってんじゃねえよなぁ、こんちくしょう。
わざわざ純ってつけるんだから、そもそも愛なんて、本来猥雑なものなのよ。
いろいろ含んだ上で、ぜーんぶひっくるめて「愛」
その中で、ひたすら透明で美しい純愛。
そして、最後の手をつなぐ場面。
ここは画面の美しさというよりも、力強さを感じるのね。
差し伸べられた手を握るのではなく、
差し出された手を、取りにいったボラ。
ふたりの腕が同じ位置にあったりして、同志の誓いって雰囲気なのよねー。
これからふたりは、うつくしいだけの「愛」を生きてはいられないんじゃないか。
なんかすごく……苦労するんじゃないか。
でも若い2人だから、そんな日々もしあわせなんじゃないか。
そんな空気を感じましたです。
だって、ふたりは出会い直したんだもんねぇ。
ハン・テウンとキム・ボラとして、もう一度出会ったんだもの。
ここからもう一度、あたらしく始めるんだ……。
テウンが自分を許すことができて、ホントに良かった。
これは一度、ボラとの別れを決意しなきゃできないことだったと思う。
それと、チュンシクとの関係が実は重要だったんじゃないかと思っている。
テウンがかつて、ジョンギュに言い放ってしまった言葉。
「お前なんか友達じゃない!」
今度はそれを、チュンシクに言われてしまうテウン。
もちろん、テウンもチュンシクも、もう子どもじゃない。
いろんなことを経験した大人だから、
そんな言葉も受け止めることができるようになったのよね。
テウンを大切に思っているからこそ、裏切られた気がして、寂しくなって、
「友達じゃない!」と言ってしまうチュンシク。
テウンは、彼の気持ちが痛いほどわかったと思うのです。
かつての自分がそうだったから。
あの頃と立場が違えど、そんなケンカをもう一度して、
それを乗り越えることは、テウンにとって意味があることだったんじゃないか。
「お前なんか友達じゃない!」
あの言葉が、本当に引き金だったのだろうか?
そうかもしれない。そうじゃないかもしれない。
ただ言えることは、あの頃、自分たちは未熟だった。
幼くて、迷っていて、傷つきやすくて……。
いろんなことが重なって、ジョンギュは死んでしまった。
「お前なんか友達じゃない!」
言ってしまった自分自身も傷ついていた。
言われたジョンギュも、傷ついただろう。
でも、そんなことを言わせてしまった自分を責めて、後悔もしただろう。
チュンシクにそう言われて、「悪かった、ごめん」と思っている自分と同じように。
言ってしまった自分、
言わせてしまった自分、
どちらの立場にも立ってみてはじめて、
テウンは当時のジョンギュの気持ちを客観視できたんじゃないでしょうか。
チュンシクとのやりとりに、
テウンがある意味癒やされたのだというか、
ここでもやり直しがあったような気がしたんですよ……。
ボラとの出会いをやり直し、
ジョンギュとのケンカをやり直し、
やっとテウンは再生できたような気がするんです。
でもさ、
ここからもう一山乗り越えてふたりはいつまでもしあわせに暮らしました、
とは行かないんだよね、やっぱり……。
ああ~、続き観るの、つらいなぁ……。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます