ミラクルが続く-3

メタボと岐阜駅から一緒にタクシーを捕まえられた偶然に感謝しつつ、タクシーの運転手さんに「葬儀場に向かってください。」とお願いしている自分が信じられず。

葬儀場に到着したのは12時少し前。
お葬式開始が12時。
前日の昼は、ヒースロー空港にいたと思うと、これまた全てが信じられず。

父親のほとんどの親戚は、すでに他界。
残ってる方々も高齢すぎて、葬儀には参加不可能。
父親のお兄さん(早くに他界) の息子さん、、、年がかなり離れた私の従兄弟が唯一、父がたの親戚。
その他は母親の兄弟。

この光景、、、20年前にも見た。
私達の結婚披露宴、、、
儀式を片っ端から蹴った私達に対して、両親からこれだけはどうしてもやってほしいとせがまれ行った親戚集めての食事会。
あの時集まってくれた人達が、白髪、シワ、病気を増やしながら今、目の前に、、、

箱の中に収まった父親。
目の前で見ても嘘のようだ。
寝ているまま永遠の眠りについたかのようで、いたって穏やかな表情。
しかし、寝ているという行動と大きく違うのは、、、


父親は冷たかった。


この場所に自分がいる事が、これでも信じられない。




持っている洋服の中から、喪服にも許されるだろうという組み合わせで葬儀に参列した私、、、
それはかなり、、、怪しい出で立ち、、、となっていた、、、
弟のお嫁さん、弟の息子、、、よく短期間で靴から鞄まで常識に合わせてくれた事に感謝。




着の身着のままイギリスを出発した私、、、
自分の高校合格のお祝いとして父親からもらった時計を忘れて来てしまった事に気がつく、、


そうか、、、
あの時計は娘に持ってきてもらえばいいのか、、、
娘の初めての1人フライト。
父親が一緒で守ってくれるのか、、、、


やはりミラクル、、、
父親はもういないのだが。
父親はここにいる。

ミラクルが続く-2

「 東京駅から一緒に新幹線に乗ろう」


メタボからの提案があったのだが、、、
私は時間を設定するのが嫌であった。

本当に何時に日本に到着するかわからない。
本当に何時に東京駅に到着するかわからない。
一刻でも早く葬儀場を目指したい、、、
WiFiも持っていないのだ、、、途中、どうやってメタボと時間を調整すればいいんだ？！


「 いや、WiFiもないから連絡をし合うのが難しいと思う。集合は現地でお願いしたい。岐阜駅からタクシーに乗ればいいから。葬儀場の名前を言えば大丈夫だから。」


「 それならば、、、、岐阜駅で会おう。」


「 それならば？？？？」


だからーーー
WiFiがないから、日本では電話を持っていない私は連絡が取りにくいんだってばーーーーー


「 とりあえず、無料WiFiを使って、私の動きは報告する。最悪、現地で、、、」




いつもは自分でもてるWiFiを借りるのだが、そんな余裕はなかった。
日本の無料WiFiに頼るしかない。


羽田空港に到着で羽田空港の無料WiFi。
京成線を捕まえて京成線の無料WiFi。
新幹線に乗る前に、JRの無料WiFi。
名古屋に着いて岐阜に向かう途中で、JRの無料WiFi。


ところどころでメタボに連絡は取り続け、、、、


「 自分は11時20分に岐阜に着いた。」


お！
今は11時30分！
「 私も今、岐阜駅！どこにいるの？」


「 モスバーガー」



そこには三カ月で11キロも痩せたメタボが、、、
月曜の昼にイギリスから飛行機に乗り、、、
しっかりした時間が見えないまま向かった岐阜駅にて、、、
ちょうどいいタイミングでメタボと合流、、、



これもミラクル。

ミラクルが続く

往復で買った航空券、、、
行きは別の飛行機に乗る事になった、、、
理由はお葬式、、、


「 必要であれば、死亡証明書を送ります。往復の行きが使えなくても、帰りはこのまま使いたいのですが、、、」

行きに使う予定だったオーストリア航空に問い合わせる。

「 往復で、行きに使わないチケットは、帰りは使えないのです。帰りの便のANAに連絡してみてください。」

帰りに使う予定だったANAに問い合わせる。

「 行きに使わない往復チケットは、帰りだけという使い方はできないのです。理由がどうあれ、、、」

乗り物のチケットなんて、使わないなら損するだけで、キャンセルしない限り生きているものだと思っていた私、、、もう何も考えられない。


とにかく朝5時の高速バスにのって、ヒースロー空港を目指す。
すでに白いブラウスと黒いズボンをはいて、、、
ヒースロー空港のターミナル5はちょっと遠い。
高速バスを降りてから、また電車に乗り継ぐ。


日曜に決めた月曜の飛行機、、、
座りたい場所に座れるわけがない。飛行機はかなり満杯。
ほとんどの席がすでに予約済み。かろうじて空いていたにが、、、3人席の真ん中、、、一番、嫌な席、、、
もう仕方ない。


チェックインの列は長く。
やっと回ってきたのが、アジア人女性のカウンターであったであった。

「 3人席の真ん中でチェックインされてますが、、、」

なぜ好んでそんな席を選んだのか？質問されて、説明が始まった、、、

「 急に父親が亡くなって、、、本当は来週、戻る予定だったのですが、急な事で、、このチケットは昨日、買ったのです。」


「 あら、、、お父様が、、、急に、、、、通路側の席でゆっくり眠りたいわよべ。ちょっと待って。なんとかなるかもしれないから、、、」



彼女は何度も、何度もどこかに電話した。


「 大丈夫だから。通路側の席でゆっくり寝た方がいいわよ。待ってね。」





何度、電話をし直してくれただろうか、、、

「 あ！こちらのお客様、お父様が亡くなられて急に帰国。なんとか、通路側、確保してあげて欲しいんだけど、、、」






こうして、、、
通常の画面では3人席の真ん中しか空いてなかったのに、、、
私は通路側席に座れる事に。

目指すはお葬式

父親がこの世からいなくなったのを知ったのは、日曜の朝。
お葬式は火曜の昼。

イギリスと日本、、、時差がある。
日曜に飛行機に乗っても、日本到着が翌日。
月曜に飛行機に乗ると、到着はお葬式当日の火曜。。。

今日、日曜に出発するにはあまりにも準備がなさすぎる。
娘は、日本に戻る前の1週間、お仕事体験をする事になっており、一緒に連れ出せない。
楽しみにしていた娘を引っ張りこみたくはない。

そうなると、私、1人の片道飛行機が必要か、、、
娘をイギリスに置いて行動するにあたり、現金も引き落とさないと、、、
友人宅に助けを求めないと、、、

日本への片道航空券、、、
日曜に出発で火曜の朝、日本到着を探せば、実家岐阜で行われるお葬式にギリギリ参加可能だ。
こんな時をと思って、自分の判断で勝手に自由になるお金が欲しく始めたカフェの仕事、、、
こんなに急に使う事になるとは思ってもいなかったのだが、、、

今だ、、、
それは今だ、、、、

すでに娘と一緒の往復の航空券は確保。帰りは一緒だ。
私だけの片道航空券さえゲットすれば良い。
いつものように格安航空券サイトをチェック。
出てきたのが、、、



ブリティッシュエアウェイズ(BA) による、、、
月曜昼出発で、火曜の朝7時に羽田空港到着。
ここから品川に移動で、新幹線。名古屋からローカル線で岐阜。そしてタクシーにて葬儀場を目指せば、、、


ギリギリ、、、
12時ごろ、、、
到着できるはず。


1189ポンド、、、、
普段だったら絶対狙えない金額。
いや、、、
もうこれしかない、、、


「 お母さん、火曜の朝早く到着する飛行機があったから、遅刻してもそちらに向かう。私、1人だけど、、、」

「 え？ミアちゃんは後で1人でくるの？」

「 ミアはどうしてもやらなきゃならない事があるのよ。」

「 お父さん、、、、言ってたの、、、ミアは1人で来るって、、、何度も、いや来週、2人して戻るのだと言っても、ミアは1人で来るって、、、最後は逆ギレして、もういいって、、、」



電話の向こうも母は泣いていた。
父親は娘と私がバラバラ行動を取る事になるのをわかっていた、、、、らしい、、、、



お葬式、、、何を持って行けばいいんだ？！
スーツケースには何を詰めればいいんだ？


翌日の朝5時過ぎの高速バスでヒースロー空港を目指す、、、

その日はとうとう

7月7日、娘と久しぶりのロンドン。
美術系大学の学生さんの卒業作品展を見てきた。
めちゃくちゃ歩きまわり。
めちゃくちゃ満足のロンドン。
この時点でワールドカップ、イングランドはスエーデンをやぶり、どこもかしこもお祭りムード。
自宅に戻ったのはかなり遅く。
激疲れ。

7月8日、ドライアイと戦いながらも、いつものようになんとなくスマフォに手が伸び。
メールをチェックする。
珍しく弟からのメール。



「 今朝、病院にてお父さんが息を引き取りました。急なな心筋梗塞だったようです。電話下さい。」







え？
実際、この夏は危ないとは思っていた。
とうとうこの日がやってくるのかもしれない、、、、という思いから、積極的に日本帰国において旅程が建てられなかった。10日ほど前より、父親の体調がかなり弱ったという事で入院。点滴で栄養をつけて元気を戻してからリハビリを仕切り直しましょう、、、と言われた母親は、反対する事もなく、父親を入院させた。


父親が入院したという事で、東京にいる弟はすぐに実家へ。
病院のベッドに寝ている父親を見て、このままでは寝たきりになりかねないと心配していた。


私には7月16日に日本に戻る飛行機が予約されている。
実家に戻った時、父親に自分で動かないといけない事をお説教してやるぞ！
動く事を応援する気で満々だった。




え？
息を引き取ったって、、、、


実家にすぐ電話。

「 あっちゃん、、、お父さん、、、いっちゃったの、、、」

電話に出た母親の、子供のような泣き声、、、
病院で急に亡くなった父の最期は誰も一緒ではなかった。


7月 8日の早朝に亡くなった父親、、、
9日がお通夜。
10日の12時からお葬式、、、、


私と娘、、、17日からは日本にて夏休みであったのだ、、、
なぜあと一週間、待ってくれなかったのか、、、、


これから探してお葬式に間に合うような飛行機のチケットなんて見つかるのか？？？
メタボにはとりあえず、お葬式に出席してほしいと頼み。
私は飛行機のチケットを探し始める。



「 私だったら、、、、行くよ。」




娘の一言がありがたく。
実家で起こっている事は信じられず。
再度、実家に電話。
東京から弟が到着。
弟はフェイスタイムにて、病院から一旦、自宅に戻った父親の姿を見せてくれた。


そこには、、、、
嘘のようなお父さんが、、、、、






順番である。
正しい順番である。
父親は88歳であった。贅沢な年である。
しかし、、、
涙が出始めると止まらない。

急遽

急遽、明日、日本に戻ります。
娘は計画通りに戻ります。

毎日続けたブログですが、、、ちょっと虫食い状態になります。
ブログに託した自分の思いをどこに吐けばいいのか、自分が心配ですが、、、

皆さまは、素晴らしい季節、お楽しみください。

今日はロンドン

朝は4時過ぎにゴソゴソと、、、
娘と6時の高速バスを捕まえ、向かうは久しぶりもロンドン。

家を出ると、、、




車は朝露でしっとり、、、
え、、、
寒いぐらい、、、

ヒースロー空港経由のバスは満杯！
さてーー2時間はゆっくり寝るぞーーーー
と思いきや、、、
バスの中はドンドン冷えて冷凍庫状態、、、
寝られない、、、



それでも現地には開場時間前に到着。
目指したのは、美術系大学の卒業作品展。




まだ開場まで20分はある。
娘も絶対するだろうと思われる、時間待ちの石並べ、、、、
すでにやり遂げた人がいた、、、

６年目にして初めて、、、

イギリス
暑さ続行中。


この寒がりなわたしが、、、、
イギリスに来て６年目にして、、、、





ノースリーブを着た。。。。。





窓を開けるとどっと入ってくる虫軍団。
おかげでうちは、、、、、



窓閉めてますーーー




温室にて生活中。





明日は、、、、４時には起きて、、、、朝６時の高速バスを捕まえ、久しぶりのロンドン。
明日もノースリーブ？？？


それにしても、、、暑い。
イギリス人は焦げている。

急接近 ニコレッタ

庭付きの部屋に住む、ルーマニア人のママにもらったルーマニアのケーキにはお皿が付いてきた。。。。。
お皿を返さなければならない。。。。


早く、お皿、返さないと。。。。
しかし、、、日本人として、、、、空っぽで返すのは申し訳ない。。。。。

でもケーキを焼く余裕などない。。。。
申し訳ないのだが、、、、市販のケーキを乗っけて、、、、庭付きの部屋を訪ねる。



ちょうどその部屋に入ろうとする男性。。。。


ン？
元旦那でもなく。
旦那でもなく。
息子でもなく、、、、、


だれ？この人？？



”　スミマセーーン！　”


とりあえず呼び止めた。


”　ニコレッタ？　”


”　お願いしマーーース！”



そっか、、、、あのママはニコレッタというのか、、、、、、
ニコレッタ登場。



この男性はニコレッタの弟さんらしい。。。。
結婚資金を貯めるためにここにいる、、、、らしい、、、、、、
こちらからはケーキのお礼を言い。
お皿にあるケーキは市販のものだと謝り。
近いうちに日本式のケーキをプレゼントしたいと伝えた。。。。



ちょうど夕飯時。
いい匂いが、、、、、、


”　うーーん、　いい匂い！！　”

”　野菜たっぷりのスープを作っているの。あとで、持って行きましょうか？　チキンが入っているスープ。　”



え？

”　イヤイヤ、あなたのところは食べさせないといけない男性が多いんだから、大丈夫ですよーー　”

”　そんなことないの。ものすごい量のスープを作ったから、、、、”















トントン。。。。。


”　誰か、家のドアをノックしたよ？　”



娘、、、、、
え、、、、まさか？？？　本当に？？？？


ドアを開けると、、、、、そこには、ニコレッタ。。。。。
持っているのは、スープ皿に熱々のスープ、、、、


”　お返しなんて心配しないで。お皿だけあとで返してね。　ルーマニアのスープです。　”







ルーマニアのスープ、、、、、
いろはクリーム色。
細かく切った野菜がいっぱいで、、、、
ものすごい大きな鶏肉の塊が。
クリーム色のスープなのに、さっぱりとした味、、、、レモンが入っている？？？酸っぱいぐらいの感じ、、、、、






う、、、、












美味しい。。。。。









以前、、、、
ポーランド人が作ってくれたポーランド料理、ビゴスに感動し。
イタリア人が作ってくれたイタリア料理、ズッキーニとパルメザンチーズとオレンジのサラダに感動し。
スペイン人が作ってくれたスペイン料理、スペイン風オムレツに感動し。



そしてまた、、、、
ルーマニア人による素朴なスープ、、、、、





これ、、、、
わたし的に、、、
かなり、、、、




美味しい。。。。。。





うーーー　今度、ニコレッタにお皿を返す時、、、、
わたしはここに何を入れるのか、、、、、、、
うーーーーーーーーー






困った。。。。

怖すぎるお客さん

”　Ａ４の紙ってありますか？　お客さんが欲しいって言っているんだけど、、、　”


困った顔のメニーちゃん。
紙なんてお店にはない。
紙と言ってあるのは、、、、注文を書き留めるタイプの紙のみ。

意地悪言っているのではなく、、、、
本当に紙などないのだ。。。。



”　紙はないんです。　”


メニーちゃんが答えているのに、、、頑張るお客さん。。。。


”　そのような大きさの紙はないんですよ。注文を取る時の紙はありますが、、、、　”


私も参戦。


”　もっと大きな紙が必要なの。さっきのこに見せたいトリックがあるのよ。怪しい物じゃないの。ただ、トリックを見せたいだけなのよ。　”





そんなに頑張られても、、、、紙はないのだ。
オーナーシェフ、、、ジョージ、、、、、

”　もうそのお客さんは相手にしなくていいよ。紙はない。今、忙しい。それどころではない。　”





メニーちゃんは奥に隠れ。
私は無くなりかけている物の補充で、バックに入ったり出たり。出たり入ったり。。。。。。。。





なんだったの？？？
あのお客さんーーーーー？？？？





あれ？
さっきのお客さん、、、、また戻ってきた。。。。。



紙が欲しいと粘っていたお客さんが、帰ったと思っていたら戻ってきた。。。。
普通にランチをオーダーし、席についた。


障害者用のトイレを開けて欲しいと言われ、私は鍵を持って走る。



”　あのね、、、、怪しいものじゃないの。さっきのこにトリックを見せたかったの。　”


また来る？？
だからーーーー　本当に紙がないんだってバーーーー


”　紙、見つけたから、、、、　あなたでいいから、見せてあげる。　”


おばちゃんが手にしているのは、、、、確かにＡ４の紙。。。。
だが、、、それって、カフェの奥に貼ってあった、、、、、



”　この先、関係者以外立ち入り禁止　”　


勝手にはがしちゃいけないものだ。。。。。
私は目が、、、、





点。。。






”　さっきのこに見せてあげたかったんだけど、、、、紙を見つけたらから、、、、、見てて。トリックなの。。。。　”


そう言いながら、、、おばちゃん、、、、この先、立ち入り禁止、、、、と書いてある紙を折り紙のように折始めた。。。。



エーーーーー！！！


キリスト教の話をしながら、、、、その紙を手でちぎり出した。


ん？？？
まさか、、、ビリビリにした紙を手品で元に戻すとか？？？
まさかーーー　手品にはタネがあるよね、、、、、

エーーー
この先、立ち入り禁止、、、、の紙、、、、ビリビリになっていくーーー



”　あら、、、ハサミ貸してもらえる？　”

おばちゃんの手が止まった。
だって、そこ、ソロテープが貼ってあったんだもの。
セロテープが邪魔して、おばちゃんが破りたいように紙が破れず。


仕方なしにハサミを渡し。
おばちゃんはキリスト教の話をしながら、どんどん、ハサミで切り込みを入れる。


”　ほらね。。。信じる人はここに行けるの。　”


ビリビリにした紙に切り込みを入れ、それを広げると、、、、


十字架の形！！！


”　信じない人は、、、、　”


と言いながら広げ始めた残りの紙切れは、、、、、




HELL　（　地獄　）







。。。。。