今回は札幌のホテルについてです。
と言っても歴史のあるホテル、それもシティホテルに絞ります。
私の場合シティホテルとは都市にあり宿泊、宴会場、レストランその他の施設があるホテルです
(ビジネスホテルは宿泊だけに特化、リゾートホテルは観光地にありと勝手に区分けします)
「札幌グランドホテル」
所在地:札幌市中央区北1条西4丁目
建設年:昭和9(1934)年
札幌グランドホテルは北1条西4丁目の一角というまさに札幌のど真ん中にあります。
その歴史はホテルとして札幌市内で最も古く、格式から「北の迎賓館」と呼ばれています
幾多の高名、著名人、国賓クラスが宿泊した実績は今も続いていますね。
札幌グランドホテルは創業当時の建物はすでに無く、現在は大きく分けて3つのブロックに分かれています。
本館は昭和41(1966)年に開業しました。
ホテルの正面玄関として重厚であり車寄せがあり意匠の部分的にレトロさを感じられるのが本館です。
本館のブラウンタイルが重厚さを醸し出します 建物は8階建てです
1階にはロビーラウンジがあります。4階~8階が客室ですね。
東館は昭和51(1976)に開業しました
駅前通りに面しているこちらの入口のほうが出入りの人が多そうです。
地上17階あるこちらの建物が今はグランドホテルの顔かな
5階~16階が客室で最上階に宴会場があります。
開業当時は駅前通り側の1階に大きなカフェがあり長い間、札幌の飲食店で集客数が1位と言われていた。
現在はスタバなどテナントやベーカリー、レストランになっています
別館は昭和60(1985)年に開業しました
レストラン、バー、宴会場ありでこの建物1棟でも立派なホテルになります。
客室は7階~10階で、ビルは確かテナントとして借りているかと思う。
別館から本館玄関への連絡通路ですがリニューアルされ古さはまったく感じません。
窓桟のスタイルはレトロか
ここは札幌グランドホテルの歴史を展示している「メモリアルライブラリー」
開業当時の建物がわかります
素敵だなぁ
おそらく札幌のホテルでこのような展示が出来るのはグランドホテルだけではないかと思います
これは素晴らしいことですね もっと貴重品を見せて欲しいくらい。
会社としては長く北海道炭鉱汽船がルーツの三井観光開発が所有していたが現在はフジサンケイグループになった
元々が本州資本なので「札幌グランドホテル」の名前さえ変わらなければ一般市民には関係ないこと。
もう5年前くらいだろうか、道内の知人に頼まれホテルを探したが当然一番高いと思っていたグランドホテルが
JRタワーホテルから5千円くらい安くなっていた記憶がある。
インバウンドが来てるころは、まだなんとか良かったが札幌もホテルが増えて500室を超える客室の稼働を上げるには割引しかないか…
コロナ前はロビー中に中国人の団体が溢れている光景を目のあたりにしてしまうともはや時代は変わったと思うしかない
フジサンケイになっても変わらないだろうなぁ。
すっかり綺麗になった内部では中々古さを見つけることは出来なかった。
本来は宿泊したり宴会場を利用とかしないと細かな意匠は分からないが
一部にレトロを感じたものを載せてみる(まだあるはず)
2021年6月撮影
「札幌パークホテル」
所在地:札幌市中央区南10条西3丁目
建設年:昭和39(1964)年
札幌パークホテルは昔の大型ホテルスタイルを残した最後のホテルらしいホテルだと思う。
屋上中央に大きな塔屋を設け最上階にスカイレストランを配置する。
客室階があって3階と地下に大ホールを設けている。
場所は中島公園に隣接しており、自社の外庭の感覚だ
またその周りに他の建物が隣接していないので警備のしやすさから皇室や海外VIPなどがよく宿泊している。
正面玄関までの長いアプローチ、広い車寄せ、張り出した大宴会場など
いつもホテルらしいホテルだと思う。
南9条通り側の駐車場には桜が植えており季節になると市民の目を楽しませる。
札幌パークホテルは宴会のホテルである
姉妹ホテルのグランドホテルは宿泊、宴会、レストランと比重が均等に近いように思えるが
パークホテルは客室は少なめに、レストランは現在は「なだ万」のテナントを入れたり宴会に特化している。
ちなみに札幌市内のホテルで最も広いホールを調べてみたが、1番はパークホテルの地下で2番目は3階であった。
ロイトンホテルが出来てから地位を譲ったが、公的な大きな会合はパークホテルで行うのが常である。
回転ドアは今はもうどこも作らないし、動かしてもいない
安全のためだそうだ。
ここの照明はいいね
エレベーターの壁もいい 天然のイタリア産大理石で開業当時を思わせる。
広い宴会場は今の使い道はこれ
凄い人だったよ
正面玄関に市のスタッフが付いているがホテルを占領するかのごとくはいかがなものか
中島公園から木々の合間に見るパークホテルが好きだ
グランドホテルはブラウンだが
パークと言えばブルータイル これは有田焼の青磁タイルである。
創業は本州の(株)リコーであり当初は「ホテル三愛」という名前だった
開業から2年も経たずにグランドホテルを経営している三井観光開発に譲渡した(有償であったと思われる)
1966年からずっと現在までパークホテルとグランドホテルは姉妹ホテルなのです。
フジサンケイグループはパークホテルを大型コンベンションホテルに改築すべく計画したがコロナ過のため延期中
延期が中止にならなければいいがと思いながらも
このままのホテルでいて欲しいなぁ
2021年1月、6月撮影
「旧札幌ロイヤルホテル」
所在地:札幌市中央区南7条東1丁目
建設年:昭和39(1964)年
旧札幌ロイヤルホテル(開業時は札幌ローヤルホテル)は、札幌資本として初めて建てられたシティホテル。
現存しているシティホテルは古い順にグランドホテル、パークホテルと続くが
ロイヤルホテルはパークホテル(開業時はホテル三愛)と同年の開業、しかも数か月早いので
本来は札幌で2番目に歴史のあるホテルであった。
場所は南7条東1丁目で創成川通りを南下し南7条橋を渡る手前にあった
現在は企業のリンナイとマンションが建っている。
その外観はパークホテル同様に屋上に大きな塔屋を設け角型の宿泊棟、3階にせり出す大宴会場を持っている
益々パークホテルとそっくりだが当時のホテル建築はこのような型が多いかと推察します。
設計はホテルオークラも設計した柴田陽三でした。
これらの写真は2007年8月に経営していた札幌国際観光が民事再生手続きをし、同年11月に恵庭開発が買収したあと
再オープンへ向けてのプレオープンに招待いただいたものだったと思う
パークホテル同様に回転ドアはあるが運転はしていない
札幌ではこの3強の時代があったが当時の資料、記録に
グランド、パークとのコンセプトの違いは「長靴でどうぞ」であった。
前2館が格式あるホテルを目指すのとは逆に市民に親しまれるホテルを目指していたのですね
正面玄関から入ったこの広いロビーが好きだった。
2階まで吹き抜けで中央に生花の装飾、大きなシャンデリア、わずかなソファスペース
古き良き時代のホテルらしいホテル。
ロビーラウンジは外庭があり明るい この日はフリードリンクだったと思う。
地下の和食レストラン ここも昼食をフリーで出してくれたような記憶が…
ブライダルには特に力を入れていましたな
この2階の中華レストランは何度利用しただろうか
2階から見下ろすロビー
ホテルの顔と言える「味」が抜群に良かった
グランド、パークが画一的なサービスのイメージがあり
ロイヤルは親しみやすく人に個性があったと思う。
そういえばこの建物は珍しく周囲を車でぐるっと廻れる
花火大会の時はビアガーデンを行っていたのを見た。
札幌資本で44年間も営業したそうだ
グランド、パーク同様に札幌市民にはたくさんの思い出があったホテルであろう。
2007年11月に再開し2008年の6月いっぱいで閉鎖になったのでわずか7か月の再オープンだった。
同時に買収された同経営で札幌駅前のセンチュリーロイヤルホテルは営業を続けてその後、釧路の企業に売却されている
そして函館に新ホテルを新築したりと好調である。
札幌ロイヤルホテルは
買収した企業が違っていたら建物もホテルも別の運命があったのかも知れない。
ホテルはその後放置されていたが2011年に解体された。
2007年11月撮影