昨日の新聞に取り上げられていた記事の見出しです。
日本中学校体育連盟が2023年度から全国中学校大会(全中)の参加資格を変更し、民間スポーツクラブ所属の個人や団体でも大会に参加できるよう要件緩和の方針を決定したというものです。
競泳にあてはめると、スイミングクラブで練習している選手はスイミングクラブの所属として全中に参加することになります。
これはスポーツ庁が推進していた改革で、近年問題となっている運動部活動の在り方に対応したものです。
競泳の場合、ほぼすべての選手がスイミングクラブで練習していますから、学校の教員は引率する必要がなくなり、日頃指導しているスイミングクラブのコーチが全中に帯同することになるのでしょう。
スイミングクラブが出場するとなると、「学校対抗」はなくなり、ジュニアオリンピックと同じような大会になることが予想されます。
名称も「全国中学校体育大会」ではなくなるのではないでしょうか。
日大豊山中学水泳部は高校と同じ環境で「学校水泳」を中心として活動しており、高校と同じく全中での総合優勝を目指しています。
コロナ禍では例外的なこともありますが、基本的に学校で練習している4人の選手でリレーを組んで大会に出場してきました。
このような中学校は全国的にみてもかなり珍しいもので、学校の教員が指導をして全中に出場している学校はほとんどないのではないかと思われます。
つまり日大豊山中学水泳部は、全国的にみても絶滅危惧種であり、それだけ貴重な存在であるともいえます。
今回の改革に関する新聞記事を見て感じたことは、”時代の流れ”です。
昭和の時代は学校の先生方がクラブ活動を熱心に指導していたため、全国中学校大会が成り立っていたわけです。
新聞記事の内容の通りに実施されれば、「学校対抗」としての全中は2022年度で終わりを告げることになります。
いずれこのような改革が高校レベルにも同様になされた場合、全国の高等学校対抗である「インターハイ」も失われることになるのでしょうか。
私の好きな作家のひとりが庄野潤三で、『プールサイド小景』という短編小説があります。
作品のなかで学校のプールでインターハイを目指して泳ぐ学生が描かれていますが、そのような情景も小説のなかだけに残るものになるのかもしれません。
いつまで「学校水泳」としてのクラブ活動が続けていけるか、”時代の流れ”のなかで試されていると感じています。
竹村知洋