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風炉の灰 追伸

2010年05月03日 | 茶の話
実際に灰を押しながら、

「型があれば簡単にできるかもしれない」

という考えに対しては

塾長が、

「簡単にしたいならば、茶道をしなければよい」

と言われます。

そして、

「ここはこうしなくてはなりませんか」

という型を聞けば、

~空気の対流、炭の気、水の様、そして灰になり切ればいい~

というお話をしてくださいます。

・・・・・・・

塾長と灰押しを体験された方は、
茶道に対して視点を変えてみることができると言われますが、

私自身(ブログ記事担当者)も、

茶道の有名な逸話で、

利休と弟子の織部が、海辺の景色を見て、
「これを灰にうつす」

と言われたのを聞いて、

自分が灰押しをしたことがない時は、
きっと、海辺の美しい景色を描くように灰の形にするのかな
(風流だ)と思っておりました。

しかし、塾長に教えていただきながら灰を押していると・・・

その海辺の大気の流れ
水の流れ
雲の在り方

宇宙の自然の調和したそれぞれの在り方こそ、
もっとも無駄なく効率的に湯を沸かし、

結果その姿は美しいということなのかなと思えてきます。

まだまだ自分は修業中ですので、
本意が取れているかわかりませんが、
灰押しはそこがとても好きです。

「悟りに至る(本当の自由をつかむ)通り道」と茶道を『茶の本』(岡倉天心著)では、著していますが、

確かに灰押しも、「通り道」であるように感じております。

5月、風炉の灰を押せることに感謝しながら



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風炉の灰を押す

2010年05月03日 | 茶の話
風炉の灰の準備をはじめました。

炉の灰として育ててきた灰(すでに10年くらい茶を掛けて育てた後、さらに10年程度炉で使った灰)を

すり鉢で少量ずつ磨り上げます。


隙をみてはすりまして、だいたいこの量を1週間くらいずつ。
(磨ってみて、ざらつくところがなくなるまで)

つまり、ごく少量ずつなので、風炉全体の量になるには大変な時間を要します。

最近は機械で磨るのもありますが、手で最後は仕上げていく必要があります。

その灰を、風炉に入れていきます。



筆などで形を整え



*このように一文字(二文字)灰にする場合は、高さ、深さ、両方の線が平行であることなど、すべてに気を配りながら整えます。

しかし、平行なニ本の直線と言っても、手なりで角が微妙に丸くなっていたり、胴炭が落ち着きやすい曲線であったり、中央の中心が最も低くなっていたりと、目ではわからないくらいの微細な心遣いがあります。

一番大切なことは綺麗に押すことではなく、炭点前をしていくときに、そしてその炭が釜の湯を沸かしやすいように整えていくこと、空気の流れも考えていくことであります。



最後に、このように灰匙を使って、表面だけ灰を押さえますが、灰の空気をつぶさないように、力ではなく、灰匙の重みだけで撫でるようにしていきます。

達人が押さえた灰はふわりとやわらかく仕上がっています。