大阪府の南部に住んでおる高齢の母親が一人暮らしをしてるので、週に2~3日は母親の様子を確認がてら実家へ行って仕事(仕事はパソコンとネットがあればできるの)をしておるのである。
なので、実家へ行く日は朝の通勤時間帯に電車に乗ることになるのでござるよ。
通勤時間帯とはいえ、大阪市内から実家のある郊外へ向かう電車なので余裕で座れるんですけどね。
二つの電車を乗り換えるんだけど、電車に乗ってる時間は合計で40分程度。
拙者はその40分間に小説やエッセイなどの文庫本を読んでることが多いのね。
さてさて、先日のこと。
朝、実家に行くために電車に乗り込んでシートに座ったのでありますよ。
拙者の向かいには40代くらいのスーツ姿の会社員らしきおっさんが腰掛けました。
そのおっさん、座るなり胸のポケットからスマホを取り出しいじり始めたのよ。
おっさんの隣には30前後のおばちゃんねーちゃん(おばちゃんと言うには失礼だけどおねえちゃんと言うには薹が立ってるの)がこれまた、座席に腰を下ろすなりスマホを手にしておりました。
ドアのとこに立ってる男子高校生の3人組、わいわいと喋ってるのはいいんだけど、そのうちの二人は喋りながらも目は手に持ってるスマホに向いてるの。
拙者はそいつらに「喋るか、スマホするか、どっちかはっきりせんかい!!」と、どなってやりましたよ・・・心の中で。
発車間際に拙者の横に座ったのはチャラい格好した二十歳前後のにーちゃん。
そのにーちゃん、座るなりバッグの中から何やら取り出そうとしております。
「どーせ、こいつもスマホでゲームでもすんのやろなぁ」と思っておったら、出てきたのは分厚い単行本。
お、にいちゃん、えらいぞ!
うん、うん、電車の中での時間つぶしとはいえ、貴重な時間をスマホのゲームやらSNSやらで使うより活字を読む方が多少なりとも自身の成長に繋がるというものだよ。
さっきまでチャラそうなイマドキのにーちゃんだと思ってたけど、その瞳のなかには知性の光が垣間見えるではありませぬか。
うむ、人を見かけで判断してはいかんのう、とちょっと反省。
拙者もにーちゃんに負けずに読書に勤しもうと鞄から読みかけの文庫本を取り出します。
となりのにーちゃんが読んでるのはハードカバーの分厚い本。
開いたページも新刊らしく指が切れそうなくらのピシっとした紙。
一方拙者が手にしてるのはブックオフで買った100円の古本の文庫本、よれよれの表紙に日に焼けて黄ばんだページ。
とはいっても、さっきのにーちゃんの格好じゃないけど、人も本も見た目で判断してはいかんのである!
肝心なのは中身、内容なのである!!
ちらりと横目でにーちゃんの開いてる本を覗いてみると・・・なんだか難しい漢字がやたら並んどるなぁ。
内容まではわからんけど、そこはかとなく文学の香りが漂ってくるような・・・。
拙者の文庫本はやたらと平仮名とカタカナの割合が多いのよ。
じつは拙者が読んでるのは椎名誠が随分前に書いたバカエッセイなのでありました。
うむむむ、もし隣のにーちゃんに拙者が読んでるのがバカエッセイだと知られたら
「フフン、僕が読んでるのは純文学。それに比べてあんたのは」と鼻でせせら笑われそうな気がするなぁ。
ま、チラ見くらいなら内容まではわからんだろうから、眉間にしわを寄せて小難しい顔つきで読んでればまさかどーでもいい内容のバカエッセイだとは思わんやろ。
ほんとはおバカな内容なのでニヤニヤして読みたいとこなんだけどねぇ。
ところが次のページをめくると1ページ丸々使っておバカなイラストがどーんと載ってるじゃないですか!
そうやった、椎名誠のバカエッセイには沢野ひとしのバカイラストの挿絵が必ず付いてるんだった。
さすがにこのイラストを見られたら拙者が読んでる本の内容も想像がついちゃうよなぁ。
「う~~ん、困った状況になったぞ」と思いながら横目でこそっとにーちゃんの顔を見ると、拙者のことなんぞ全く無視して一心不乱に自分の読んでる本の世界に没頭してる様子。
あぁ、よかった、よかった、と胸をなで下ろす拙者なのでありました。
※文中に何度も「バカ」という言葉が出てきますが、これは親愛の情を込めた表現なのでクレームなど付けないように。
拙者は椎名誠の小説やエッセイも沢野ひとしのイラストも大好きなんだからねー
カレーの日々 8/24、8/25更新~
画像掲示板 写真はこちらへ
(画像掲示板に投稿用PASSを設定しました。右下に8818を入力してください)
掲示板 なんぞ一言
源五郎日記 お休み中~