ほぼ飯日記、猫もいるよ♪

ご飯と猫、たまに独り言だったり妄想だったり

依存症

2019年03月14日 21時33分57秒 | 妄想/創作
妄想です(笑)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

薬物、アルコール、ギャンブルなど社会問題となっている各種依存症があるが、新たな依存症が社会問題として浮上してきたのが202X年であった。
きっかけとなったのはある30代の男性がコンビニ強盗として逮捕された事件であった。
逮捕された男性は犯行の動機を「カレーを食べる金が欲しかった」と供述したのである。
男性は給与のほとんどをカレーを食べるために注ぎ込み、そのため生活苦から多くの金融機関から借金を重ねていたという。
マスコミは男性を「カレー強盗」を名付けて面白おかしく報道しこの事件は日本全国に知れ渡ったのである。
この件はバカな動機のちょっと笑える事件だと思われたのだが、これをきっかけに日本全国でカレーにまつわる事例が多数表面化してきたのであった。

ある家庭では父親が毎食カレーばかり食べるので母親と子どもたちが栄養バランスを考えてカレー以外の食事を用意すると「こんなものを食べられるか!カレーを出せ!!」と暴れて警察が出動する騒ぎになり、その後何度もカレーが原因で父親が暴れるので家庭崩壊となった。

別の家庭では子どもが朝昼晩の3食はもとよりおやつや夜食にもカレーばかり食べ、しかも毎回2度3度とお代わりをするので体重が同年代の子どもの平均体重の3倍にもなり心臓に負担がかかりそれが原因で死亡。

家庭だけでなく職場でも・・・
カレーばかり食べる男性会社員が同僚の女性にカレー臭(加齢臭ではない)を指摘されたことに逆上して女性に暴行して逮捕。

調査を続けると上の件以外にもカレーが原因の事件が日本各地で頻発していたことが発覚。
さらにカレーを食べないと手が震える、幻覚や幻聴の症状が現れるという人も全国で確認され、各マスコミは「カレーには中毒性があるのでないか」と疑問を呈し連日いろんな識者の見解を報道するに至り「カレー依存症」の言葉が世間で認知されることになったのである。

カレー製品を販売する食品メーカーやカレーをメインとする外食産業はカレーには中毒する要素はないとアピールするも、世間ではカレーに対する逆風が吹きまくりカレーの売り上げは激減。
カレー依存症の家族によるカレー食品メーカーに対する集団訴訟も各地で起こされた。

カレー依存症を治療するための専門の医療施設も設置されたのだが、入院施設はすぐに満員となり、外来も対応できないくらいの人数が連日訪れることとなった。

政府、国会はカレー依存症に対する対応は迅速であった。
他の案件では対立することの多い野党も本件に関しては一致協力してあっという間に「カレー規制法」が成立。
カレールー、レトルトカレーなどのカレー関連商品の製造販売の禁止、カレーを提供する外食店もカレーを販売することができなくなったのある。
それにより日本からカレーが消えて平穏な日々が戻ってくるかと思われた。

しかし、カレー依存症の人数は減ることはなかったのである。
地下カレー店や闇カレー店が全国に点在し、カレー依存症の人は高額の支払いをしてでもカレーを食べ続けた。
地下カレー店や闇カレー店などの違法店のカレーは今まで以上に刺激の強いカレーを提供するのでそれを食べた人はさらにカレーがやめられなくなるようになってしまうのであった。
それらの店の売り上げの一部が暴力団の資金源にもなっているという。
警察もそれら違法店の摘発を懸命に繰り返すもすぐに新たな店が出来ていたちごっこの様相を呈している。

カレー中毒、カレー依存症の人間は右肩上がりに増え今や日本の総人口の3割がカレー依存症になっている。
日本の各企業はカレー依存症の増加に伴い生産性の低下、業績悪化により倒産や業務縮小を余儀なくされた。
街にはカレー依存症の人間が徘徊し治安は乱れに乱れ、日本の安全神話は崩壊した・・・・・












カレー食べたい〜〜!!








コメント (4)

連続小説?

2018年02月09日 15時04分59秒 | 妄想/創作
神戸のJR、阪急三宮駅のすぐ近くにある昔ながらの居酒屋。
おっさん御用達のその居酒屋の2階にあるテーブル席で生ビールを飲む。
向かいに座ってるのは40年からの腐れ縁の友人である中津川秀明氏。
中津川はんはジョッキのレモンチューハイを片手にいい感じの酔っぱらいになってる。
拙者だってすでに生中を4、5杯飲んでるからふわふわしたいい気分になってるんだけどね。
平日の夕方4時前からダラダラと飲み始めたテーブルの上には食べかけの冷や奴やら枝豆やら出し巻き卵やらが中途半端に手をつけられたまま放置されてる。
2時間くらいお互いにどーでもいいようなバカ話をしながらガハハハと笑ってたんだけど、急に中津川殿が真顔になって
「俺、何杯くらい飲んでる?」って訊いてきた。
「チューハイ4杯か5杯くらいやろ?伝票見よか?」
「いや、ええねんけど。俺はまだべろべろには酔っぱらってないよな?」
「うん、けっこうええ感じの酔っぱやけど、まだまだこれからやん」

飲み友達でもある中津川氏と飲むときはたいてい5〜6時間くらいは平気でぶっ続けで飲むから、まだこの時間なら準備が整ったくらいの状態でこれからが本番のはず。

中津川殿はさっきまでは酔っぱらった赤い顔だったのになぜか青ざめた顔色になってて
「あのさ、アル中って悪化すると幻聴とか幻覚が伴うことあるんやよな?」
「うん、よく知らんけど、そういう話は聞くわなぁ」
「桜さぁ、幻覚って見たことあるか?」
「いや、そんなん見たことないわ。だいたい酒は好きだけど社会生活破綻させるような飲み方はしてないからアル中じゃないし、変な薬もしたことないから幻覚とか幻聴とかは経験ないで」

中津川のおっさんはちょっと考え込んでから真剣な顔で拙者を見つめて

「あんな、さっきからそこに妙な物が見えるんやけど・・・・。お前には見えんよな?」

と、指差した先はテーブルの上に置いてある醤油やソース、七味、胡椒等の調味料と割り箸が刺してある竹の入れ物が置いてある一角。
「ん?」と思って彼が指差す先を見ると・・・・・




いた!




醤油差しの壜と七味の壜の間に七味の壜よりは大きいけど醤油の壜よりは小さい女の子がいた。
見た感じだとまだ小学校に上がるかどうかってくらいの女の子。
おかっぱ頭で赤い着物着てる。
でもサイズは身長7、8cm。
ぱちくりと瞬きしながら醤油の壜に隠れるようにしながら拙者と中津川殿の顔を交互に見てる。

拙者は視線を女の子から中津川のにーさんに移して
「あのさ、おっちゃんが見えてる幻覚ってもしかして赤い着物着た小さい女の子?」
「そ、そやねん、もしかして桜にも見えるんか?」
「うん、見える。おかっぱ頭の小ちゃい子」
「ってことはどういうことや?二人して同じ幻覚みてるんか?それともほんまに掌サイズの女の子がそこにおるんか?」
「わ、わかるかいな!おっちゃん、触ってみいな。ほんまにおるんやったら触れるやろ」
「あほか!こんなわけのわからんもんに触るのは嫌じゃ!お前が触れや!」

改めて見るも、どー見てもおもちゃとかフィギュアとかじゃないリアルにちっちゃい人間の女の子。
拙者は飲みかけのビールを一口グビっと飲んでから
「えっと、こういう場合はどーしたらええんやろ?警察か保健所に通報した方がええんやろか?」
中津川殿もチューハイのジョッキを片手に醤油刺しの後ろに見え隠れする女の子をじっと見ながら
「あほか!そんなんまともに相手してくれるわけないやん。下手したらこっちが精神病院に連れて行かれるわ!」
「でも、ここにこんなんおるのは事実やん。これ、どーすんのよ?このままなかったことして帰れるか?」
「それは無理やなぁ・・・。俺だけやったら飲み過ぎたってことでチャラにできたかもしれんけど、こうやって二人して同じもんを見てしもうたら知らん振りもできんわなぁ」
と言いながら中津川殿は飲みかけのジョッキのチューハイをグビっと飲み干す。
んで、大きな声で
「あ、にーちゃん、レモンチューハイお代わりな!!」

2、3分後、店員のにーちゃんがレモンチューハイのジョッキを持ってきて中津川殿の前テーブルに置いて空のジョッキを下げる。
そのとき中津川殿が「あのさ、七味がもうあんまりないから足してくれへんか?」
店員のにーちゃんは「あ、わかりました」と、言いながらテーブルの上の七味の壜を持ち上げる。
七味の壜を持ち上げられて醤油と七味の壜の間にいた女の子は一瞬その姿が剥き出しに。
女の子はあわてて醤油とソースの間に移動して姿を隠す。
拙者と中津川殿はその様子を見てから店員のにーちゃんの顔に視線を移動させる。
にーちゃんはなにもなかったかのように七味の壜を持って「すぐに足して持ってきますね」とわれわれのテーブルから離れて行く。

拙者「あのにーちゃんには見えてなかったんかな?」
「わからんなぁ。全然びっくりしてなかったってことは、見えてないのか。あれがここにおるんがごく普通の当たり前のことかのどっちかやろ」
と、言いながら新しいチューハイのジョッキを持ち上げ、やけくそ気味にごくごくと半分近く一気飲み。
そのジョッキをテーブルに置くと、顔をぐいと醤油差しに近づけると隣のテーブルのお客さんには聞こえないくらいの小さな声で
「なぁ、お前はいったい何やねん?俺らになんか文句でもあるんか?言いたいことあるんやったら聞いたるからチラチラ見え隠れすんのやめや」
そしたら、醤油とソースの壜の間から赤い着物姿のそいつがとことこと歩いてきてテーブルの真ん中、食べかけの出汁巻きの皿の横あたりまで来て、中津川殿と拙者の顔を交互に見ながら両手を振り回しながら口をパクパクせてなにやら一生懸命にアピールしてる模様。
拙者もその子に耳を近づけてみたんだけど、周囲のお客さんの会話のざわめきと店内に流れてる古い歌謡曲のせいでちっちゃい女の子が何を言ってるのかまったく聞き取れない。
酔った勢いなのか、中津川殿は「あー、もう何言うてるか全然わからん!静かなとこでちゃんと話聞いたるわ!」と言うと、椅子にかけてた皮のコートを羽織りテーブルの上のちっちゃい女の子を右手でむんずと掴んでコートのポケットに突っ込むと「桜、行くで!!ここの勘定は頼むわ!」
あっけにとられてる拙者を尻目にさっさと立ち上がり店の階段を降りて行く。

「ちょ、待ってえなぁ!!」
拙者もあわてて横の椅子に置いてたマフラー巻いてベンチコートを着てニット帽を被って中津川殿の後を追って階段を駆け下りる。
すでに中津川殿は店の外に出てしまってたので、店の入り口横にあるレジで精算する。
「あ、領収書くださいね。宛名は桜デザインで」拙者のような自営業にとって領収書は重要なんだよー
おつりと領収書を受け取って店の外に出る。




さて、この続きがどうしましょうか?
勢いでここまで書いたけどこの先の展開は全く考えておりませぬ

1、静かな公園に移動して女の子の話を聞く

2、2件目の飲み屋に行ってさらに酒を飲む

3、店の外に出ると異形の怪物が跋扈する異様な世界になっている

4、店の外に出るといきなり怪しい奴らに襲われる

5、その他

続きを書くかどうかはわかりませんが、この先の展開があるとしたらどうしたらいい?



あ、上の文章は全くフィクションなので登場する場所、人物等は実在の場所人物とは一切関係ない・・・・と思います(笑)









画像掲示板
(画像掲示板に投稿用PASSを設定しました。右下に8818を入力してください。




コメント (7)

放課後(裏)

2018年02月01日 08時41分25秒 | 妄想/創作
先日「放課後」というタイトルでちょっとロマンチックな青春の1ページみたいな妄想を書いたんだけど、今日はそのイメージをぶちこわすようなこと書きます。
ブログやmixiで先日の記事に共感してコメントくださった方々ごめんなさい。

もし、先日の記事を読んでなかったら下の文章を読む前に前回の駄文をご一読くださいねー




・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・




あー!もう!!!
こんな時間になっちゃったじゃない!!
12月も半ば過ぎ、誰もいない教室は寒々としてる。
だから図書委員なんかなりたくなかったのに!
あたしがちょっと大人しいと思ってみんなに無理矢理こんな係押し付けられちゃってほんと嫌んなっちゃう・・・
早く帰って関ジャニのDVD見よっと〜♪

下校時間間近で薄暗くなりかけた誰もいない教室で教科書を鞄に入れてたらいきなりドアがガラガラって開いた

わ、ビックリした!!!なに?誰??

あー、なんだ、桜君かぁ・・・
どーせなら隣のクラスのかっこいい中津川君とかだったらよかったのにぃ〜
桜君、こいつ友達がほとんどいないキモいヤツなんよねぇ
いつも一人で本読んでるか絵を描いてるかで何考えてるかわかんないの
まぁ、あたしだってクラスでは大人しい振りしてあまりしゃべらないから同級生からは同じように思われてるんだろうけどね、あははー

え〜〜〜!!
何言ってんのこいつ!!
「一緒に帰ろうか?」だって!
自分の顔を鏡で見たことあんの?
そんなぶさいくな顔でよくあたしを誘うよね、バカじゃない!
だいたい、同じクラスになっていままで一度も話したことすらないやん
うわぁ〜〜〜、なんかあたしの顔じっと見てるよ、こいつ・・・・・
キモォ〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!
こういうヤツって何しでかすかわかんないんよね。
下手に断って鞄の中からナイフとか出されたら嫌だなぁ。
しかたないなぁ、一緒に帰るくらいなら別にええか・・・・

「うん、いいよ、一緒に帰ろ」

キモ男は急に嬉しそうな顔になってあわてて自分の鞄に教科書やら汗臭そうな薄汚い体操着とか詰め込んでる。

「先に行って靴箱のところで待ってるから」

そう言い捨ててさっさと一人で教室を出てってやった。
もうあんなヤツと二人きりで同じ空間の空気なんか吸いたくないわ
あ〜〜あ、ほんと今日はついてないなぁ〜〜
スマホのすばるくん(関ジャニ)の画像見て心癒そう〜〜っと♪

靴箱のところで靴履き代えて、あの勘違いしたキモオタがやって来る前に帰っちゃおうかと思ったんだけど、エリからLINE入ってきて今度の関ジャニのコンサートのチケットのことやいろんな愚痴とかやりとりしてたらけっこう時間経ってた。
そう言えばあのバカ男まだ来ないやん。
あたし待たせていったい何してんのよ!
女を待たせるなんてキモオタのしていいことじゃないわ!!
もう、帰ろ〜〜っと・・・・
と、思ったらどたどた小走りでやって来やがった!!
あ〜〜あ、エリとLINEなんかしないでさっさと帰ればよかった。

なんか遅くなった言い訳みたいなことくどくど言ってるけど、そんなんどーでもええわ。
それよりこいつ傘持ってるんかな?
外はかなり雨降ってるから傘なしじゃ帰れないよ。
ま、ま、ま、まさかあたしの傘で相合い傘とか?
ない!ない!!ない!!!やめてよー!!!絶対嫌!!!
もしそんなとこ誰かに見られたらあたし死ぬ!!
え、傘持ってるって?
よかった〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜・・・・

学校出て、駅までの10分間はほんと地獄。
キモオタの桜、一言も喋らんで黙ったままあたしの横を歩いてる。
あたしだってこんなヤツと話なんかしたくないから別にいいんだけど、ちらちらあたしの顔を横目で盗み見してるのが気持ち悪い〜〜〜
あぁ、これが横にいるのが中津川君だったらどんなに幸せだったか・・・・
あ〜〜〜、まだ駅に着かないのかなぁ
雨が強くて傘さしてても足下はびしょぬれ、靴の中まで濡れて気持ち悪いし、横を歩いてるのはもっと気持ち悪いヤツだしぃ〜

あ、ようやく駅に着いた!!!
これでやっとこいつと別れられる♪
ほっとして駅の庇の下に入って傘を畳んで顔を上げたら・・・・・
げっ!!桜まだおるやん。
雨の中傘さしたままこっち見てる、キモ〜〜〜〜〜〜。
さっさと帰れよ、お前の家はあっちやろー!!

「一緒に帰ろうって誘ってくれてありがと(もう二度と誘うんじゃねーよ、バカ!!)」

あたしはキモ桜が何か言いかけたのを無視して早足で改札を抜けてホームに出た。
ちらっと振り返ったら・・・
まだ、こっち見てる。
ま、まさかストーカーとかにはならんよね?
あたしの家知られてるのかなぁ?
やだなぁ・・・・
早く帰って関ジャニのDVD観て気分転換しよっと〜〜〜



それから卒業までの間はずっとキモ桜を無視してやった。
教室ではいつもちらちらあたしの方を見てたのはわかってたけどね。
桜とは別の高校に進学したので卒業後はあのキモオタの顔を見ずに過ごせてます〜♪
あ、でももうすぐ同窓会があるんだ!
あいつ来るのかなぁ?
同窓会どうしよう・・・



※上の文章はフィクションです。文中に登場する人物は同名の実在の人物とは一切関係ありません。


いやぁ、自分で書いててなんだけど、桜君かわいそう(笑)













画像掲示板
(画像掲示板に投稿用PASSを設定しました。右下に8818を入力してください。



コメント (8)

放課後

2018年01月26日 18時22分06秒 | 妄想/創作
久々に創作っつか妄想を書いてみました
青臭いよー(笑)


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


2学期の終業式間近、12月の寒い日の放課後の3年2組の教室。
僕は授業終了後に美術室で描きかけの水彩画の続きを描いてて下校時間近くになったので帰宅するために鞄を取りに教室に戻った。
もうその時間にはみんな帰って誰もいないと思ってた。
ドアをガラガラと開けると、誰もいないだろうと思ってた教室に教科書やノートを鞄に入れながら帰り支度をしてるひとりの女の子がいた。
彼女は「え?」って驚いたような顔でドアを開けた僕を見た。

「あれ、まだいたんだ」

「うん・・・」

「なら、一緒に帰ろうか?」

なぜ、そのときそんなことを言ったのかわかんない。
僕はあまり人付き合いの得意な方じゃなく、休み時間も自分の席で文庫の小説を読んでることが多かったし、美術部で絵を描いてるときが一番楽しかったので放課後に一緒に遊ぶような親しい友達もほとんどいなかった。
たぶん、クラスの連中には扱い辛いヤツだと思われて無視されてることが多いんだと思う。
まぁ、僕自身はそんなことは全然気にしないんだけどね。
親しい男友達がいないってことは女の子とはさらに縁遠いってことで中3になっても同級生の女の子と必要以上の会話をしたことはほとんどなかった。
そんな僕がただひとり気になってた女の子が彼女だった。
特に美人ってわけじゃなくなくどちらかと言えばおとなしい目立たないタイプの子。
3年になって同じクラスになった時から彼女のことが気になってたんだけど、そんな僕だから当然話しかけるなんてことは今日まで一度もなかった。
なのに、何故か今日は・・・・

彼女は僕の言葉にちょっと驚いたみたいで黙ったまま僕を見てる。
少しの沈黙の後、彼女は僕から目線をはずし、下を向いて

「いいよ・・」

あれ、なんだこの展開は??
自分から声かけたくせにむちゃドギマギしてる。
僕はあわてて鞄に教科書やら体操着やらを詰め込みながら
「すぐ帰る用意するから、先に下の靴箱のとこで待ってて」

「うん」
彼女は鞄を手に教室を出て行く。

鞄に荷物を詰め込んで急いで教室を出て彼女を追いかけようと廊下に出たときに向こうから担任の男性教師が歩いてきた。
「お、桜、まだおったんか。ちょうどええわ、ちょっと手伝ってくれや」
「あの、急いでるんですけど・・・」
「そんなに時間かからんから頼むわ」
半ば強引に職員室に連れていかれた。
「ほんますまんけど、これ5枚ずつ揃えてホッチキスでクラスの人数分作っておいてくれんか」
担任は僕に拒否する隙も与えずに、それだけ言うと忙しそうに職員室を出て行った。
僕はため息をついて仕方なくコピーされたプリントを5枚ずつ揃えてホッチキスで留めていく。
彼女はどうしてるだろ?
待ってても来ない僕に怒ってるかなぁ。
もしかしたらからかわれたと思って悲しい気持ちになってるかも・・・
こんなことになるんだったらあんなこと言わなきゃよかった、と落ち込みながらホッチキスでプリントをガシャガシャと綴じていく。
クラスの人数分を作り終えてそれを担任の机の上の放り投げて鞄を持って職員室を出る。
急ぎ足で廊下を歩いてるとチャイムとともに「下校時間になりました。校内に残ってる皆さんはすみやかに下校してください」のアナウンスが
あぁ、さすがにもう彼女は怒って帰ってるよなぁ、と沈んだ気持ちでに3年2組の靴箱のところまで行く。

そしたら、そこに彼女がいた・・・

僕が来たことに気付いてるはずなのに下を向いたまま顔を上げない彼女。
怒ってるよなぁ・・・
「待っててくれたんだ・・。ごめん、急に井上先生から頼まれちゃって、だからその・・」
僕が言い訳してる途中でそれを遮るように小さな声で「一緒に帰ろうって言ってくれたから・・」
「うん・・、ごめん・・」
「雨かなり強く降ってるよ。傘持ってる?」
「うん、いつも靴箱に折りたたみを置き傘してるから」
あ、「傘持ってない」って言えば彼女の傘で相合い傘できたかも、そんなことを思いながら靴を履き替えて校舎を出る。

外はかなりの雨。



校庭のあちらこちらに水たまりができてる。
下校時間の過ぎたグランドには僕たち以外の人影もなく静まり返っている。
聞こえてくるのは傘に叩き付ける激しい雨の音とかすかな彼女の息づかいだけ。
彼女のさす青地に白い水玉模様の傘に見え隠れする横顔を盗み見る。
グランドの隅で佇んだままのふたり。
ずっとこのまま時間が止まればいいのに・・・

「帰ろか」

「そやな、行こか」

肩を並べてグランドを横切り校門を出て少し下り気味の住宅街の狭い道を歩く。
なにか話さなくちゃ、と思いながら何一つ話題が思いつかない。
僕は黙ったまま隣を歩く彼女の横顔をちらちら見ながら歩く。
彼女も何も言わずにうつむきがちに前を向いたまま右手でしっかり傘を持って雨の中をゆっくり歩く。
強い雨粒がアスファルトに跳ね返って僕と彼女の足を濡らす。
激しい雨音がしてるはずなのに僕と彼女は音のない静寂の中にいた。
一瞬だったけどそこは僕と彼女ふたりだけの世界だったと思う。
言葉は何もなかったけどそのときはお互いの気持ちはちゃんと繋がってたよう気がする。

学校からの最寄り駅までは10分弱。
僕はそこから5分くらい歩いたとこが家なんだけど、彼女の家はその駅から電車に乗って二駅のところ。
なので彼女とはその駅でお別れ。
駅の庇の下、改札の前で彼女は傘を畳む。
僕は雨の中傘をさしたまま改札前のそんな彼女を見つめてる。
傘を畳み終わった彼女、うつむいた顔を上げて僕を見て恥ずかしそうに笑った。
たぶん、ちゃんと彼女と見つめ合ったのはこのときが初めて。
そして、僕に向かっての笑顔も・・・・

「一緒に帰ろうって、誘ってくれてありがと」

つぶやくような小さな声でそう言うと僕の返事も聞かず改札をすり抜けて行く。
僕はそんな彼女の後ろ姿をずっと見つめてた。
彼女の姿が僕の視界から消えたとき急にザーザーという雨の音が蘇ってきた。
僕は彼女の姿が見えなくなった後も雨の中傘をさしたまま改札の向こう側をしばらく見つめ続けてた。





その後彼女との関係は何の進展もなく、卒業まで今までと同じように彼女とほとんど話もせず、彼女も今まで同様に僕のことを気にしてる様子もなかった。
卒業後は別々の高校に進学したのでその後会うこともなかった。
二人きりで帰ったあの時だけが特別な時間だったのかもしれない。
彼女にとってどうだったかはわからないけど、僕にとってはあの雨の日の帰り道と改札前の彼女の笑顔は神様からの贈り物だったような気がする。
あのわずかな時間は今も僕の大切な大切な宝物になってる。



※上の妄想は谷山浩子の「放課後」という歌を聞いてて頭に中に浮かんできた風景を文章にしてみたの













画像掲示板
(画像掲示板に投稿用PASSを設定しました。右下に8818を入力してください。




コメント (7)

月と猫(5)灰色

2016年07月01日 06時30分51秒 | 妄想/創作
毎日見ていたこの殺風景な景色も今日で見納めか
宇宙線を遮断する特殊な窓ガラスの向こうに見えるのは砂と石と岩の世界

ここは最後の月面基地
かつて月面には大小含めて数百の数のコロニーや基地があって数万の人々が暮らしていた
だが現在残っているのはここ第302号基地のみとなっている
そしてここも数時間後には閉鎖される


今、私は自分に与えられた個室の窓から見える荒涼たる灰色の風景を眺めている


私の足元を黒猫の「R」がすり抜ける
「R」は熱心に部屋の中をあちこちを調べている
私の部屋の中の私物で必要なものはすでにシャトルの貨物室の中に移してある
「R」はいつもと違う乱雑に散らかったままの部屋の様子に落ち着かないのだろう
ウロウロしながら時おり私の顔を不審げな眼差しで見つめる

妻も子もいない私にとって「R」はただひとりの家族と言っていい
毎朝出勤する私をドアの内側で見送ってくれて
疲れて帰宅し私室のドアを開けると私の胸に飛びついて迎えてくれた「R」
毎晩同じベッドで私の腕枕で寝て
いたずらしては私に怒られて部屋の隅でしょげて小さくなってた「R」
君と一緒に過ごした年月はけっして忘れられるものじゃない

私は昔風の紙巻きの煙草をくわえレーザーライターで火をつける
本来は個室内での喫煙は禁じられてる
基地内の空調は厳密に管理されており、喫煙者(煙草を趣味にしてる人はごくまれなのだが)は指定された喫煙所以外での喫煙は認められてはいない
とはいえ、ほとんどの人がすでに退去してる今なら誰にも咎められることもないだろう
リクライニングの椅子に深く腰掛け胸の奥まで吸い込んだ煙をゆっくりと吐き出す
目の前を紫色の煙がたなびく
その煙の向こう側にグレ―の月面の景色が広がる

部屋の中の探索に飽きたのか、「R」が私の膝の上に飛び乗ってきた
私の腿の上で2、3回転してから丸くなって落ち着く
そんな「R」の柔らかな毛並みの背中をいつものように撫でる
「R」は気持ちよさそうに目を細める




基地内に残っている職員は2時間以内に第4シャトルデッキに集合してください
今回のシャトルが最終便となります
最終シャトルの出発時間は18030です
シャトル出発後には当基地の機能は全て完全に停止します
繰り返します
基地内に残っている職員は2時間以内に第4シャトルデッキに集合してください
今回のシャトルが最終便となります
最終シャトルの出発時間は18030です
シャトル出発後には当基地の機能は全て完全に停止します




アナウンスを聞きながら煙草をテーブルの上でもみ消す
私もそろそろ行かねばならない
そう思いながらも私の手は「R」を撫でるのをやめない

シャトルに積める荷物には重量制限があり、特に私物は必要最小限の物しか認められていない
当然のように私の申請した私物の中の「R」が認められることはなかった
「R」とはここで別れなければならない
安心し切って私の足の上で寝てる「R」を置いて行くことを思うと耐えられないくらいの胸の痛みを感じる
しかしそれはどうしようもないことなのだ
もう1本だけ煙草を吸ってから出発しよう
そう決心して新たな煙草に火をつける




ゆらゆらと揺れる紫煙越し
窓ガラスの向こうの風景に変化があった
地平線から地球が顔をのぞかせている

かつて人類が住んでいた頃の地球は青い星だったと聞く
私も映像では何度も青い地球の姿を見たことがある



今の地球は灰色の星



灰色の地球が灰色の月の大地から昇っていく



二本目の煙草をやはり机の上でもみ消し
「R」を抱き上げ頬ずりする
お別れだよ
そう言葉に出すとさらに胸が締め付けられる

柔らかな体を抱いたまま「R」の首のあたりのしなやかな毛の間を指先で探る
顎の下の小さなスイッチを見つけ出し意を決して指で押す
このスイッチを5秒間押し続けるとロボット猫である「R」は機能を完全停止することになる










「R」は金色の瞳で私を見つめて


にゃぁと鳴いた



















カレーの日々 6/19更新~

画像掲示板 写真はこちらへ
(画像掲示板に投稿用PASSを設定しました。右下に8818を入力してください)

掲示板 なんぞ一言

源五郎日記 お休み中




コメント (8)

月と猫(4)赤

2016年06月30日 07時55分33秒 | 妄想/創作
窓の外に目をやると血のような赤い赤い月が暗い中空に浮いているのが見える
血の色の丸い月の前をいくつもの蝙蝠の黒い影が横切って行く
こんな夜はしっかり戸締まりをして家の中で朝が来るまで息を潜めてじっとしてなきゃいけないんだよ

風の音
違うよ
あれは古(いにしえ)からの魔物たちのうなり声
耳を澄ませてごらん
生け贄を探して町を徘徊する奴らの引き摺るような足音が聞こえるから

誰かが閂を下ろしてある玄関扉を開けようとガタガタと揺らす

大丈夫
入り口にはニンニクもイワシもヒイラギの枝も吊るしてあるよ
心配しなくていいんだよ
何があっても僕が君を守るから

ランプの灯りも消してしまおう
外に灯りが漏れるとここに君がいることがわかってしまうからね




ランプの消えた部屋の中は窓から射し込む月明かりで仄かに紅く染められる




なにを怯えてるの
え、僕に影がないだって
何を言ってるんだい

僕は優しく微笑みながら君に近づく

君は不安そうな表情で後ずさりする

どうしたの
怖くなんかないんだよ
僕の口に何か付いてるの
牙がどうしたって

僕が一歩近づくと
君は同じだけ後ろに下がる
蒼ざめた顔で胸のロザリオを握りしめる

すぐ後ろは壁だよ
もうそれ以上後ろには下がれないよ

壁に背中を押し付けるようにして怯える君
そんな君にゆっくり近づき
そっと君の肩に右手をかける

そのとき二の腕に鋭い痛みを感じた
思わず痛みを覚えた腕を抱えて後方に2、3歩よろめいた




僕と君の間に黒猫がいた




僕の腕を傷つけたのはこいつの爪だったのか

黒猫は君を守るように四肢を踏ん張り
僕と君の間に立ちふさがる
威嚇するように全身の毛を逆立て
怒りの眼差しで僕を睨みつける

金色の瞳に睨まれた僕は何故だか体の力が抜けていく

だめだ
その目でみつめるな

足がよろめく
立っていられなくなって床にしゃがみ込む

この町には魔力を持つ黒猫がいるという噂を聞いたことある
こいつがそうなのか・・・

僕は黒猫の視線に耐えきれず人の姿を保てなくなる
そして翼のある本来の姿に戻ってしまった

黒猫が僕に飛びかかってくる
僕は翼を羽ばたかせて黒猫の攻撃から逃れる
さっき腕を傷つけられたせいか思うように飛べない
右へ左へ上へ下へ
ふらふらと宙を逃げ回る
黒猫は何度目かの跳躍でその鋭い爪で薄い膜のような僕の翼を切り裂く
僕は力なくひらひらと床に舞い落ちる
床に落ちた僕を黒猫が前足で押さえつける
黒猫は上から僕を悠然と見下ろして





にゃぁと鳴いた





















カレーの日々 6/19更新~

画像掲示板 写真はこちらへ
(画像掲示板に投稿用PASSを設定しました。右下に8818を入力してください)

掲示板 なんぞ一言

源五郎日記 お休み中

コメント (2)

月と猫(3)黄

2016年06月29日 06時48分04秒 | 妄想/創作
夜を歩く

雨が降らない限り毎晩歩く

午前2時ともなればほとんどの家の灯りは消えて町は死んだように静まり返っている

そんな町をぼくは歩く

街灯のある道を避けてなるべく暗い道を選んで歩く

足音をさせないようにゆっくり歩く

ときおり早足でも歩く

風が住宅の庭の木の枝をザワザワと鳴らす

厚い雲に覆われた空は星ひとつ見えない漆黒の闇

息が詰まるような闇の中をぼくは歩く




見慣れない路地を見つけた
こんなところに路地があったっけ
いつも歩いてる道なのになぜ気付かなかったんだろう
ぼくは引き込まれるように暗い路地に入っていく
狭い路地を抜けた先には四方を住宅の塀に囲まれた小さな空地があった
雑草に覆われた5m四方くらいの狭い空地
へぇ、こんな場所があったんだ

そのとき真っ暗だった空地がいきなり明るくなった
黄金色に彩られた雑草が夜風に吹かれてゆらゆら揺れる
見上げると雲の隙間から丸く黄色い月が姿を見せていた


ぼくは近くの塀にぴょんと飛び乗ると
う〜〜んと伸びをして



にゃぁと鳴いた



















カレーの日々 6/19更新~

画像掲示板 写真はこちらへ
(画像掲示板に投稿用PASSを設定しました。右下に8818を入力してください)

掲示板 なんぞ一言

源五郎日記 お休み中






コメント (2)

月と猫(2)青

2016年06月28日 07時36分30秒 | 妄想/創作



夜の鴨川のほとりに君と並んで腰を下ろす
ぼくたちと同じような年齢のカップルが何組も一定の間隔を空けて座っている

京都の大学に入学してから付き合い始めた彼女
夏休みになれば君は実家のある長野県に帰省するからしばらくは会えなくなるね

川面を渡る風が汗ばむ肌に心地いい
風が君の髪をなびかせてぼくの頬をくすぐる
言葉はいらない
こうやって寄り添うだけでいい
君の息づかいを感じるだけでいい




見上げれば夏の夜空に浮かぶ薄く青みがかった色合いの満月




ふと気付くとぼくの横には彼女ではなく猫が座ってた
蒼い月明かりに照らされた真っ白な猫
君が白猫の姿になったことにぼくは少しも違和感を覚えなかった
何故だかそれはごく自然な当たり前の出来事のように思えた
白猫は君
君は白猫
猫の君はぼくの膝に頭を乗せて体をあずけてくる
ぼくはそのしなやかで柔らかな背中をそっと撫でる




鴨川に映る月影は川の流れによってゆらゆらと形を変化させひとときも同じ形を保つことはない




君はぼくの膝に頭を乗せたまま気持ちよさそうに目を閉じている

ぼくは小さな声で
大好きだよ
とささやいた

君は少し頭をもたげ
上目遣いにぼくを見上げて



にゃぁと鳴いた











カレーの日々 6/19更新~

画像掲示板 写真はこちらへ
(画像掲示板に投稿用PASSを設定しました。右下に8818を入力してください)

掲示板 なんぞ一言

源五郎日記 お休み中




コメント (2)

月と猫(1)白

2016年06月27日 06時37分38秒 | 妄想/創作
薄暗いコンクリートの部屋の中にいた

部屋の広さは3m四方くらいか
天井までの高さも同じくらい
壁も床も天井もコンクリート
どこにもドアが見当たらない
ただ一カ所、壁の天井近くに鉄格子の嵌め込んである小さな窓があるだけ
その窓からほのかな白い光が部屋の中に射し込んでいる
もたれているコンクリートの壁が背中にひんやりと感じる
立ち上がって窓から外を見ようと思ったが、窓は手の届かない高さ
ここから見えるのは鉄格子越しの暗い夜空に浮かぶ丸く白い月だけ
歩きながら四方の壁を手で叩いてみた
返ってくるのはコンクリートの厚みのある冷たい感触

いつからここにいるのだろう
初めての場所のようにも思うし
もう何日も何週間もここにいるような気も
名前
年齢
仕事
なにも思い出せない

兄弟
恋人
友達
誰の顔も思い浮かばない
それどころか自分自身がどんな顔かもわからない
両の掌をじっと見る
見覚えがあるような気もするし、初めて見た掌のような気もする

もう一度周囲を見渡した
出入り口がどこにもないということはここからは出られないということなんだろう
そして誰も入ってこられないということでもある
狭いこの部屋がわたしの全世界なのだ
わたし以外には誰もいないわたしだけの世界
わたしを認識する人がこの世界にいないのなら名前も顔も意味をなさない
誰にも認識してもらえないわたしははたして存在しているのか、いないのか

部屋の中が急に暗くなる
鉄格子の嵌った窓を見上げるとそこに月光を遮る何かがいた
30〜40cmくらいのしっぽのある黒い影

そうか、この狭いわたしの世界と外の世界を繋いでるのはその鉄格子の嵌まった小さな窓だけなんだな
わたしは黒い影に向かって
そっちの世界は広いかい?って訊いてみた
そっちの世界は明るいかい?って訊いてみた
そっちの世界に人はいるかい?って訊いてみた
白い月に照らされた黒い影は僕の方を振り向きもせず



にゃぁと鳴いた















カレーの日々 6/19更新~

画像掲示板 写真はこちらへ
(画像掲示板に投稿用PASSを設定しました。右下に8818を入力してください)

掲示板 なんぞ一言

源五郎日記 お休み中




コメント (2)

決戦!牛丼屋

2015年09月27日 19時46分17秒 | 妄想/創作
夏場に増えた体重を減らすために最近はなるべく腹八分目~七分目を心がけるようにしておるのでござる。
そのせいなのかこんなの書いてしまいました。
創作ものです。
ちょっと長いよ~


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



腹が減ったので牛丼屋にやってきた。
オフィス街の真ん中にあるとはいえ午後2時の牛丼屋は閑散としており、客の姿も昼食をとりそこねたスーツ姿の会社員らしき中年男性がひとりスポーツ新聞を読みながら牛丼を食べてるだけであった。
俺が店内に入るとカウンター内の店員(20歳前後のにーちゃん)が「らっしゃいませ!」と威勢のいい声で迎えてくれた。
カウンターの席に座り「さて、何を食うかな・・・」とメニューに目をやる。

そのとき店の自動ドアが開いて小柄な男が俺の席の左側ひとつ空けたところに座ったのだ。
ボーダー柄のTシャツにジーンズ姿のそいつは店員と同じくらいの20歳前後であろうか。
それにしても華奢だなぁ、細過ぎじゃないか。
俺の体型とは正反対だな、と心の中で苦笑。
俺は身長が190cm体重が100kgの巨漢なのである。
大学時代にはラグビー部に所属してて30歳になった今でも社会人のラグビーチームで毎週末練習で汗を流してるのだ。
その巨体と運動量を維持するためには当然食べる量も半端ではないのである。
まぁ、さすがに30の声を聞いてからは健康のことも考えてなるべく大食いは控えるようにしてるんだけどね。

さて、どうするか。
メニューを見てて目に入ったのは牛丼の「特盛」
この店で一番量の多い牛丼である。
ご飯は大盛り、上に乗る牛肉は並盛りの2倍ってやつ。
しかしここは健康のことも考えて牛丼の並盛りで我慢しておくか。
店員に声をかけようと思ったそのとき、左の華奢な兄ちゃんが「すいません、特盛りお願いします」と注文。
な、なに!お前、特盛りを食うのかよ。
お前のようなか細い頼りない体つきのヤツが特盛りを食べてその横で俺のような巨漢が並盛りでは格好がつかんじゃないか!
俺はあわてて店員に「こっちも特盛りで頼むわ」と注文。



1分程度で俺の前のカウンターに牛丼が置かれる。
牛丼は注文してすぐに出てくるのがいいね。
よし、食うぞ。
まずはカウンターの上に置いてある七味唐辛子を丼全体に振りかけて、やはりカウンター上に備え付けの紅ショウガをどっさり牛丼の上に盛るのね。
そして左手で丼をわしづかみにして右手に握った箸で一気にかっこむのだ。
牛丼なんてものはお上品に食べるもんじゃないからね、ガツガツ食ってこそ牛丼のうまさがわかるってものよ。
むふふふ、口一杯に頬張った肉とご飯を咀嚼して飲む込む快感。
うん、牛丼はこうでなくっちゃ。
俺は大食いでもあるんだけど、かなりの早食いでもあるの。
牛丼やカレーならものの2、3分で食べちゃうのだ。
ふう、旨かった~~~
大食いの俺からすればこの程度では満腹にはほど遠いんだけど、さっきも書いたように健康のためには食べ過ぎはよくないからね。
さて、精算して帰ろうかなぁ、と思ったそのとき、隣のボーダーTシャツの兄ちゃんが

「すいません、牛丼の特盛りをもうひとつお願いします」

見ると、さっき同時に注文した特盛りの牛丼を俺と同じ速度で完食してやがるじゃないか。
しかも、さらに特盛りの追加だと!!
この野郎、大食いの俺にケンカ売っとるのか!!
一旦帰ろうとして浮かした腰を再び椅子に落ち着けて「こっちも特盛りお代わりな」と冷静を装って店員に注文。
店員は俺たち二人の顔を見て一瞬呆れたような表情を浮かべたもののすぐに営業スマイルに戻って厨房に向かって「特盛り二丁~」

隣のヤツはこっちを全く無視したような無表情で前を向いたまま。
なに、格好つけてんだよ、まったくもう。
まぁ、ええわ、大学のラグビー部でも俺以上の大食漢はおらんかったからなぁ。
牛丼の特盛り2杯くらいは軽いものよ。

「お待ちどうさまでした」
俺と兄ちゃんの前に丼が置かれる。
唐辛子を振る、紅ショウガを乗せる、そしてほぼ同時に丼を手に持って食べ始める。
さっきは全く見てなかったので気付かなかったのだが、ヤツの食い方は俺のようにガツガツとかっ込むのではなく、一口ずつ同じペースで箸で肉とご飯を口に入れていくのである。
ただ、その一口の量がやたらと多いので優雅に食べてるように見えても丼の中身がみるみる減っていくのだ。
今回もヤツは俺とほぼ同時に完食。
食べ終わった兄ちゃんはお茶をすすって満足気な様子。
しかし華奢なその体で特盛り2杯もよく食べたなぁ、うんよくがんばったぞ。
俺はライバルの健闘を称えながら今度こそ帰ろうと・・・・・

「すいません、カレーライスもらえますか」

なんだと!!!
まだ、食う気なのか!!!
このまま帰ったら俺の負けみたいじゃないか!!
しかたない本気で勝負してやるか。

「お、こっちもカレーな”大盛り”で」

俺の注文を聞いたヤツは初めてこっちをちらりと見て
「すいません。僕のカレーも大盛りにしてもらえますか」
この野郎、完全に俺に勝負を挑んできたな。
そんな細身で190cm100kgのこの俺に勝負を挑むとは無謀なやつめ。

営業スマイルをすっかり忘れて心配そうな顔つきの店員が二人の前にカレーを置きながら「そんなに食べて大丈夫ですか?」と兄ちゃんに声をかける。
ヤツはニコっと微笑む。
おいおい、店員さんよ、俺には「大丈夫ですか?」って言ってくれんのか?
ま、この体を見れば大丈夫だと思うに決まっとるわな。
カレーは飲み物、俺はあっという間に飲み干してやったわい。
ちらりと横を見るとヤツも完食直前。
ここは一気にとどめを刺してやろう。

「豚丼の大盛り!」

こっちをちらりと見た兄ちゃんはカレーの最後の一口をスプーンに乗せたまま。
「すいません、僕も豚丼の大盛りをお願いします」

あらら、まだ勝負するつもりか。
無理はしないほうがええんとちゃうか。

ふと見るととっくに食べ終わってさっきまでスポーツ新聞を読んでた会社員らしいおっさんが呆れたような表情でこっちを見てるじゃないか。
さらに俺たちのすぐ後に入ってきた男子高校生3人組も食べかけの牛丼の箸を止めたままこっちを凝視してるし。
俺たちの勝負にギャラリーが付いてしまったか。
これはいよいよ負けるわけにはいかないな。
気合いが入るじゃないか!!!

豚丼の大盛りも5分足らずで双方完食。
こやつできる!
ただ者ではないな。
食べ終わったヤツはまだ余裕のある顔つきで俺のほうを見る。
その余裕は本物なのか?
無理して余裕ある風に見せてるだけじゃないのか?
俺がギブアップするのを待ってるだけじゃないのか?
甘いな、俺が本気を出せばまだまだ食えるぞ。
俺はニヤリと笑って「うな丼ひとつ」

季節限定のうな丼は今しか食べれんからね♪
みそ汁付きなのも嬉しいのだ。
俺の注文を聞いて男子高校生3人組から「おぉ!!」と声が上がる。
ヤツはそれを聞いてから「こっちも同じものでお願いします」
高校生の一人がスマホをこっちに向けてる。
写メでも撮っとるのか?
ツイッターにでもアップするのか?
困ったやつやなぁ、俺の勇姿が世界に拡散されてしまうじゃないか、わははは。

お、きたきた。
鰻様~~~♪
旨いねー!
脂の乗ったフワフワの鰻、濃厚で甘めのタレ、そのタレが染みたご飯。
そりゃ本格的な鰻専門店の鰻に比べれば雲泥の差なんだろうが、この値段で気軽に鰻が食えるのは嬉しいよなぁ。

またまた俺とヤツはほぼ同時に完食。
食べ終わると同時に今度はヤツが「牛焼き肉定食をお願いできますか」と注文しやがった。
その声を聞いてカウンター内の店員と客の中年サラリーマンと3人の男子高校生が一斉に俺の顔を見る。
わかってるって、期待は裏切らんよ。
「俺にも牛焼き肉定食な」

いつの間にか店内にはけっこうな数のお客さんが入ってきてるじゃないか。
その客のほとんどが俺とヤツのことをちらちらと見てるのがわかる。
客の中に高校生の姿が多いのはこの対決をあの男子高校生がほんとにラインかツイッターでネットに流しやがったせいなのかも。

牛焼き肉定食もお互いに完食。
しかしさすがの俺もかなりの満腹状態になってきてしまった。
ヤツの様子をチラ見するもまだまだ余裕のある様子。
ほんとに余裕があるのか、虚勢を張ってるのかは判断つかぬなぁ。
俺だって満腹なそぶりはヤツに見せるわけにはいかんからな。
さて、ヤツはどう出る?
場合によってはこのまま引き分けで許してやってもいいのだぞ。

「麦とろ定食ください」

そうか、まだ勝負するのか・・・・
わかった!とことん限界までやってやろうじゃないか!!
「こっちにも麦とろ定食!!」
店内のギャラリーから「おぉ!!!」と歓声があがる。

どこで聞きつけてたのか、カウンターに座ってるお客の後ろに立って拙者たちの対決を見る人まで現れてきたじゃないか。
表をみると店のガラス越しに店内の様子を見る人垣が二重三重にもなってるし。
多くのギャラリーに見守られながら対決は続く。

麦とろはずるずると飲むように食べられるので案外楽に食べられるのだが、一緒に付いてる牛皿がけっこうきつい。
みそ汁で流し込むようにして食う。
なんとか完食。

少し先に食べ終わってたヤツは俺が食べ終わるのを見届けて「牛丼の特盛りをお願いします」
こ、ここにきてまた牛丼の特盛りなのか・・・・・
とはいえ、こんなひょろひょろ野郎に負けるわけにはいかんじゃないか!
「俺にも特盛りひとつ」
ギャラリーからは拍手とともに「すげー!」「どんだけ食うんだよ!!」「化けもんか!!」という声が。
誰が化けもんじゃ!人間じゃ!!

目の前に置かれた特盛りの牛丼がとてつもない大きな壁に見えてきた・・・・
でも、俺、負けない!
がんばる!!
左手で丼を持つ。
あれ、牛丼ってこんなに重かったっけ?
右手の箸で牛肉をご飯とともに口の中に押し込む。
口の中には入るけど飲み込めない・・・・・・
動きが止まる・・・
俺は中身が半分以上残った状態の丼をカウンターの上に静かに置く。
箸が右手から力なく落ちてカウンターに転がる。
と、同時にヤツは完食した丼をカウンターに置いてお茶に手を伸ばす。

勝負の決まったその瞬間ギャラリーから勝者であるボーダーTシャツの兄ちゃんをたたえる拍手と歓声がわき起こったのだ。
力なくうなだれる俺を横目に勝者のヤツは大勢のギャラリーに握手されたり背中を叩かれたりの祝福を受けながらさながら凱旋パレードのように堂々と店を出ていったのである。
負けた・・・・
俺の完敗だ・・・
ヤツが出て行ってからも店内の興奮はなかなか収まらずいつまでもざわついたまま。
そんな中、ふと我に返った店員がつぶやいた・・・












あいつ、金払ってない・・・・食い逃げだ・・・・・・









カレーの日々 9/21、9/22更新~

画像掲示板 写真はこちらへ
(画像掲示板に投稿用PASSを設定しました。右下に8818を入力してください)

掲示板 なんぞ一言

源五郎日記 お休み中~


コメント (6)