20年の間、同じ病で一緒に治療をしていたA子さんが、
今日の午前9時20分に亡くなってしまいました。
数日前に59歳の誕生日を迎えたばかりでした。
どんな時でも誰にでも明るかった彼女の冥福を祈り
ます。
彼女から山間地で暮らしていた小学校の頃の話しを
聴いて、平成19年夏に詩を作りました。
詩を載せます。もっともっと一緒に病と闘いたかっ
た。A子さん、さようなら。
「蛍の揺りかご」 智慧子
子供らは手に
真っ青な長葱を
一本ずつぶらさげ
一列になって歩いた
それぞれの顔が
闇に沈んでゆく頃
闇の中から蛍の光が
ふわりと生まれ
光の線がゆるやかに
舞い始める
やがて蛍たちの
求愛の光が
闇からあふれだすと
子供らは
ほっ ほっ ほたる
と 光を追いかけ
捕まえては
長葱の中に放した
真っ青な長葱は
蛍の揺りかご
ゆらゆら揺すれば
ほっ ほっ ほっ と
光の返事をする
子供らの心は
ほっ ほっ ほっ と
蛍色に 染まってゆく