智慧子のブログ

詩のある暮らし

永久の別れ

2015-09-04 16:09:25 | 日記

20年の間、同じ病で一緒に治療をしていたA子さんが、
今日の午前9時20分に亡くなってしまいました。
数日前に59歳の誕生日を迎えたばかりでした。

どんな時でも誰にでも明るかった彼女の冥福を祈り
ます。
彼女から山間地で暮らしていた小学校の頃の話しを
聴いて、平成19年夏に詩を作りました。
詩を載せます。もっともっと一緒に病と闘いたかっ
た。A子さん、さようなら。


「蛍の揺りかご」  智慧子

子供らは手に
真っ青な長葱を
一本ずつぶらさげ
一列になって歩いた

それぞれの顔が
闇に沈んでゆく頃
闇の中から蛍の光が
ふわりと生まれ
光の線がゆるやかに
舞い始める

やがて蛍たちの
求愛の光が
闇からあふれだすと
子供らは
ほっ ほっ ほたる
と 光を追いかけ
捕まえては
長葱の中に放した

真っ青な長葱は
蛍の揺りかご
ゆらゆら揺すれば
ほっ ほっ ほっ と
光の返事をする

子供らの心は
ほっ ほっ ほっ と
蛍色に 染まってゆく