外は冷たい雨です。
夕方の気温は9.9℃で、夜にはもっと低くなるよう。
庭に出る元気もなく北窓から「水仙」を撮影。
明日は晴れるようなので、花の顔を観に行きますね。
腎臓病でも野菜や果物を全く食べないのはNG
新潟大学大学院・若杉三奈子特任准教授らの
研究グループが報告
配信 夕刊フジ
透析患者であってもカリウムを全く摂らないのは良く
ない
【食と健康 ホントの話】 慢性腎臓病(CKD)と
いえば、腎機能を守るために、タンパク質やカリウム
などの栄養素の制限が必須な病気として有名だ。
とくにカリウムは、ステージ3b以上の場合に制限
すべき栄養素で、野菜や果物の摂取量や調理法などに
注意が必要になってくる。それが面倒でいやになり、
制限を気にせずに食べてしまったり、あるいは逆にほ
とんど食べなくなってしまう人も中にはいる。
そもそも野菜や果物は、摂取量が多い人のほうが少な
い人よりも死亡リスクが低いことは、これまでの研究
で明らかになっている。
腎機能が低下し、栄養療法を行っている人でもそれが
当てはまるのか。
新潟大学大学院医歯学総合研究科臓器連関学講座の
若杉三奈子特任准教授らの研究グループが次のような
報告をしている。 病院に通っている人で「CKDの
ない人」「保存期CKD(ステージ3以上で透析療法
前)患者」「血液透析患者」の3グループで、野菜や
果物の摂取頻度と死亡リスクとの関連が異なるのかを
コホート研究(観察研究)で調べたところ、毎日食べ
る人に比べて、時々食べる人、ほとんど食べない人の
順で死亡リスクは高くなった。それはCKDがない人、
保存期CKD患者、血液透析患者のどのグループでも
同様だったという。
こうした研究を始めたきっかけは、近年の欧米の研究
で、保存期CKD患者や血液透析患者でも野菜や果物
の摂取が少ないと死亡リスクが高いことや、食事中の
カリウム摂取量と血清(血液中の)カリウム値に関連
がないことが報告されていたからで、欧米と日本では
食習慣が大きく異なることから日本人での検討が必要
と考えたという。
具体的な研究方法は、2008年から新潟大学とJA新潟
厚生連佐渡総合病院が共同で行っている「佐渡プロジ
ェクト」参加者のうち、登録時に腎機能の情報と野菜
・果物の摂取調査結果があり、腹膜透析を受けていな
い2006(平均年齢69歳、男性55%)を解析。
平均5・7年間の追跡調査中に、561人が死亡。毎日摂
取していた人に比べて、時々食べる人は1.25倍、ほと
んど食べない人は1.60倍と死亡率が増大した。
またCKDの状態別に検討を行ったところ、保存期
CKDや血液透析の患者群では人数が少ないため有意
差はなかったものの、死亡率は同様の関連がみられた
という。
また、血清カリウム値をステージ別で検討すると、
野菜・果物の摂取頻度によらず、血清カリウム値は同
程度だった。 CKD患者がなりやすい高カリウム血症
になってしまうと、最終的には心室細動などの致死的
な不整脈が起こりやすくなる。しかし野菜や果物を摂
らないために増大する死亡リスクは、ビタミンやミネ
ラル、食物繊維などの栄養素が十分に摂れないためと
も推測される。
そもそもカリウムを多く含む食べ物を摂取することで
カリウム濃度が上がるのか、腎機能が低下してカリウ
ムの排泄量が減ってしまうためにカリウム濃度が高く
なるのか、そのどちらも影響しているのであればどの
程度なのか、今後のさらなる研究を待ちたい。
現在カリウム制限を指示されているCKD患者にでき
ることは、野菜を茹でこぼしたり水にさらしたりする、
果物は缶詰を食べる、できるだけカリウムの少なめの
ものを選ぶ、などの方法で規定量をしっかり食べるこ
と。CKDでない人も、もちろん野菜と果物はしっか
り摂取したい。 (医療ジャーナリスト 石井悦子)