天皇陛下が生前退位の意向を示されたことが13日、明らかになった。「びっくりした」「年齢やご体調を考えると…」。東京都内や皇室ゆかりの地では、陛下の「決断」に驚くとともに、ご健康面を気遣う声が広がった。
「みたままつり」でにぎわう皇居近くの靖国神社(東京都千代田区)。中野区の無職、野沢吉武さん(72)は「本当にびっくりした。あれだけ責任感を持って多くの公務をこなされてきた陛下が退位を口にされるのだから、それだけ体調がよくないのではないか」と健康面を心配する。世田谷区の大学2年生、真藤麻美さん(20)は「自分がこれまで生きてきた20年が『平成時代』と呼ばれるようになって、新しい元号に代わると思うと、歴史の転換点にいるような気がする」と話した。
JR新橋駅(港区)の前では、豊島区の会社経営、平本光識(みつのり)さん(59)が「両陛下は必死に国民の心を受け止めていらっしゃった。生前退位のご決断を国民は受け入れると思う」と理解を示す一方、「将来を考えると男系男子は、お一人しかいない」と指摘。「退位を機に、宮家の今後のあり方も議論されるべきではないか」と訴えた。
千葉県市川市のパート従業員、小関節子さん(51)は「どんなご公務にも大きな緊張感があるはず。ご体調のことを考えてのことなら賛成」と話した。
皇室ゆかりの京都や奈良でも驚きが広がった。京都市下京区の会社員、金子周平さん(29)は「びっくりしたが、日本の将来のことを考えてのご決断だろうと思う」。奈良県生駒市の会社員、山下ゆりこさん(36)も「陛下が退位され、皇太子殿下が活躍されるのも、良いのではないか」と話した。
在位を望む声もあった。同県田原本町の和菓子店経営、服部誠さん(69)は「どういう形であっても、生きておられる間は天皇陛下として退位されることなく、日本の象徴であってほしい」と述べ、「日本の長い歴史が培ってきたものなので、急に新しい形に変えるのはちょっと…」と戸惑いを見せた。
また、天皇、皇后両陛下が11日から静養のため滞在している神奈川県葉山町の葉山御用邸の近所の無職女性(82)は「11日に御用邸前でお迎えした際、車の窓を開けて元気に手を振ってくださったばかり。残念だが年齢や体調のことを考えると仕方がないかもしれない」と寂しがった。