明治カナ子「リアル2/1」
ちょっと衝撃的なお話です。
コミックの半分以上を占めるセックス描写。
それはもう「エロい」とかじゃなくて「切ない」です。
こんな切ないセックスがあったのかと、いうのが感想です。
話しの主人公は14歳の陸くん。
極度の潔癖性の母親の影響で、自分で自慰することができない陸。
午後の微睡みの中、陸は実兄の手により自分自身を解放する。
しかもそのことを正気に戻った陸は覚えていない。
兄潮自身も弟に対するこの行為に次第に行き詰まってくる。
壊れそうな精神、報われない想いの中、
兄弟のセックスは次第にエスカレートしていき、残虐なものになっていくのですが……。
(BL本の中でも相当露骨な性描写だと思います。もともと青年誌でエロ漫画を描いていた方らしいので)
ここに描かれているセックスは二人の心の叫びにも似ていて、とにかく切ないのです。
神様、どうかこの二人を救ってください!と願わずにいられません。
BLでここまで精神の危うさを描けるのか、
ここまで人間というものを描けるのかと驚くと同時に狂喜しました。
これを読んで思い出したのが萩尾望都の「残酷な神が支配する」です。
あちらは義兄弟ですが、傷つけ合うセックスしかできない、といいう点では似ているかと。
「残酷な神」は、漫画を越えて文学と言っても過言ではないほどの作品。
この「リアル2/1」も漫画にしておくのはもったいない気がします。
男同士でセックス描写があるから、BLというジャンルに振り分けられているのだけれど。
この語しの続きはコミック「うつしみの手」で読めるそうです。
陸を支えていたはずの兄のほうが崩壊。
それを救うのが、今まで兄に頼り切りだった陸、だそうで。
ハッピーエンドだといいなあ~。
アマゾンで注文しましたから、来週には(いや今週か)読めるはず。
楽しみです!!
フォトショで悪戯
cochiさんの感想を読んで、以前に書いた感想、書き足したい部分がいっぱい出てきました。
私は潮と先輩の関係が面白いなと思って読んでいました。匙加減が絶妙というか、明治さんにしか描けないバランスで成立している話だと思います。
「うつしみ」の読後感は私が保証いたしますので楽しみにしてください!
先輩の存在はちょっとスパイシーですね(こういう言い方する?)。二人にとってとても重要な意味を持つ存在っぽいので、この後どういうふうに影響していくのか楽しみです。
「うつしみ」早く読みたいです!