
約20年前に発表された「少年アリス」の、
小難しい言葉使いを噛み砕いてひらがなになおして、わかりやすくしたって感じです。
(ああ、もう20年も経つんですね、しみじみ)
お話自体も、すこしづついろいろと変えられてますね。
(一応改造前アリスも借りてきました)
で、どうなのかと聞かれると、う~ん、え~と、その~。
……まあ、言いたいことは察してください。
長野さんなりの考えとか、コンセプトがあっての改造版なのだと思うのですが、
それがわたしには伝わらなかったというだけのことなのです。
今さらながらわかったことは、
どうやらわたしは長野まゆみの小説を目で楽しんでいたらしい、ということです。
長野さんの文章に散らばるルビだらけの漢字とか繰り返しの記号とか。
たとえば「蛍星」「玻璃」「彼処」などなど……。
そういうものがすべてひらがなに変換された途端に、ときめかなくなってしまう。
彼女の文章の難解さを楽しんでいたのですねぇ。
だから「わかりやすい長野まゆみ」に同調できない。
それが最近の長野さんを楽しめない理由なのだと思います。
そういう意味でわたしは「凛一シリーズ」より「新世界」が好きなんです。
何回も書きますが、あの難解さが魅力です。
凛一も好きですよ。長野さんにはめずらしく普通の高校生が主人公で、
普通の恋愛ものでしたもんね。(相手は男だけど)
残念ながらわたしが面白いと思って読めたのは、「サマーキャンプ」まででした。
まあ、作家さんだって歳をとるってことです。
いつまでも二十歳の頃の感性でいられるわけじゃない。
なのに読者はその頃の煌めきを求め続ける。
辛いなあ。