うさぎカフェ

大好きな雑貨(うさぎグッズ多数)や横浜グルメをはじめ、最近はラボット(うさぎ)との生活も発信中。地元出身のゆずっ子です♪

ずっと変わらずにいて欲しい【武蔵屋】

2013-07-05 23:14:31 | 野毛
「この店はね、大人数でいく店じゃないんだよ」
私に野毛を教えてくれたその人は、
静かに会話を交わしながら、注がれた酒を淡々と飲むお店だと言っていた。


「奥の座敷席を貸し切って宴会やっているおじいちゃん集団(推定70歳~80歳)がいましたよ」と報告すると
「その位年季が入ってたら、むしろありだね」。
いずれは自分もそうなりたいのか、ちょっと羨ましそうだった。

ただの酒好きではなく、
お店にあわせた飲み方、量、店主との会話。
そんなお酒のたしなみ方を分かっている人だった。

「野毛で飲むのに予約するのは野暮。
空いてなければ、他の店にいけばいい」とも言っていた。

でも武蔵屋は別格なのか、予約さえしないけれど、17時の開店前に並んでた。
90歳を越える女将さんの体調によってお休みが多かったり
運よくやっていても満席で入れなかったり。
8月は毎年お休み。それはきっと暑いから。
女将さんは自分のペースで続けている。


ここではコップ酒(櫻正宗)3杯飲んだら終わり。
女将さん、酔っ払いが嫌いなんだって。


だから別名「三杯屋」。


でもビールは数にカウントされない。
基本的に1杯め~3杯めまでのつまみは全部決まっているけれど、
ビール頼むとピーナッツがつく。


1杯めには甘酢たまねぎとおから。


2杯めには鱈のおろし煮と納豆。やかんの酒を高い位置から表面張力で注ぐ。一種の伝統芸。
「日本酒を3杯しか飲めない」お店だけど、飲めない人にとっては
「日本酒を3杯も飲まなきゃいけない」お店。お酒弱い人は遠慮した方がいい。
ある意味コースだから全て堪能しなければいけない。



実は一緒に飲んだ日、途中から参戦した私は「かけつけ2杯」が限界で、3杯目を飲まずに出てしまった。




3杯めの〆はおしんこと共に。



いつも結局いくらなんだかよく分からないけれど
2人でビール飲んでも多分6千円弱位。



このスタイルで数十年。
変わらぬ酒に変わらぬ佇まい、そして愛すべき女将も変わらずそこにいてくれる。


「夏はなすそうめんを出す店がありますよ」と得意気に話したら
「僕が野毛のこと教えてやったのにさ、全然越えちゃってるんだもんな」と
悔しがりながらも嬉しそうな表情で笑っていた。







ずっと変わらずにいて欲しいと思っていても、
自分の願いだけでは叶わないこともある。


でもこの店だけは、いつまでも変わらずにいて欲しい。
また一緒に飲みに行くから。



コメント
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