教室のこと・速読のこと・受講生のスコア・SEG講習生のスコア等々について書いています。
クリエイト速読スクールブログ
小説を読むこと
6日水曜日の日経夕刊文化欄に、作家の江國香織が「大人が恋愛小説に学ぶこと」というタイトルでインタビューされていました。
小説を読むとは、自分以外の人間の眼球で外の世界を見ること。それは何も登場人物を通じて、特殊な経験をするということだけではない。例えば夫婦や家庭など身近でよく知っているものほど、小説に描かれているのを読めば、「こんな見え方もあるのか」という驚きを感じられる。こうした体験をしている人としていない人とでは、世の中の見方がずいぶん違うと思う。
とりわけ恋愛という場面では、人間が普段は見せない部分があらわになる。その人の人生観や何を大事に生きているかというプライオリティーなどが見えてくるから面白い。怖いもの見たさもあるが、私は恋愛を通して、素のままの人間を見つめていたいといつも思っている。
恋に熱中すると人は子供っぽくなってしまう。仕事などで社会的に自立している人でも、恋に落ちれば臆病になったり、相手への依存心が出たりする。恋は楽しいが、自分の心を御しきれずに困ることでもある。でもそれが人間。だからこそ、よくできた恋愛小説を読むことは、人間というものを知る大きな手がかりになると私は考えている。
(略)
あらすじに要約できる小説を書きたいとは思わない。私は自分の目で見たものを言語化したい人間。空の色、吹く風、鳥が飛んでいる姿――。そういう何気ないものは言葉にしないと気づかずに終わってしまう。だから私は一つ一つを丁寧に言葉にしたいし、恋愛小説でも、そうしたものがちゃんと書かれていることが望ましいと感じている。作家が描いた風景の中に読者がやってきて、通り過ぎ、そしてまた自分の人生に戻っていくのは素敵なこと。そうした体験ができる優れた恋愛小説はあらゆる人の心に届く力を持っていると思う。 (聞き手 干場達矢)
省略部分では、3年ぶりの長編小説『がらくた』が紹介されていました。魅力的で、読んでみたくなるような自作紹介でした。
圧倒的に若い女性に支持されている直木賞作家です。
しかし、上記のような発言には、年齢的なものなど関係のない面白さがあります。
速読を包括した情報処理能力をもっと高めようとして入会してくる20代・30代の社会人が、教室では半数以上を占めています。
そのためかどうかはよくわかりませんが、体験レッスン時のアンケートで小説のジャンルにマルをつける人はそれほど多くありません。
社会の第一線で活躍をしている、興味・関心の幅広い人たちでさえも、小説を読むことから離れてしまっている人がほとんどです。まして、恋愛小説となるとなおさらです。
クリエイト速読スクールでは、創立時から受講回数が5~10回を超えたあたりから倍速読書訓練では小説を読むことを奨励してきました。
とくに「ビジネス書・ハウツー本しか読まない」と公言する人たちの、共通した視野の狭さ、情報量の偏りが気になっていました。
倍速読書訓練を契機にして、小説世界に想像力の翼を広げることはショックがあるはずという予断からです。
最初のころは多分そのほうがバランスが取れていいだろう程度のものでした。しかし、20年以上一人ひとりの生徒さんの成長を見てきて、この件だけは、いまでは確信に近いものになっています。
社会人になってから小説を読む醍醐味を知った人たちは、黙っていてもガツガツと本を読みはじめます。あのジャンルやこのジャンルしか読まないという狭量さが消えて四六時中本を読むようになります。
「差別しないで読みたいじゃないですか」と語ったのは、川上弘美でした。
関心が多岐に渡るようになります。
以下、2つのブログを掲載します。ぜひ、クリックしてご覧になってみてください。 真
・〈おまけ〉 10年以上前インタビューされたとき、小説についてこんなことを発言したことがあります。
ビジネスマンに共通することは小説を読むことが苦手だということです。新聞や専門雑誌は読めても、小説や文芸批評といった世界のおもしろさ、深さを知らなくとも済んでしまうと勘違いし、または切り捨ててしまっているようです。私はそれを自戒を込めて″オジサンオバサン化現象″と呼んでいます。トップクラスの経営者の随筆などを読みますと、ずいぶん幅広いジャンルの本を読んでいることが分かります。実用書、新聞、専門雑誌など目の前の情報言語でお茶を濁すのではなく、水準の高い小説を読む力をつけていかないと本来的な意味での交流がかなわなくなるのではないでしょうか。
月刊シリエズ第32号1996年2月号掲載より
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ことなんですね。
自分の場合、読書の絶対数が間違いなく
足りないので、このブログで取り上げられている
様々な本に、遅まきながらいろいろジャンルを
問わずチャレンジしていこうと思ってます。
でも、倍速読書では、読みやすいのは小説だなあと思いました。イメージが連鎖していくというのか。
でも恋愛小説は読まなくてもいいなあ……こういうところが未熟者なんですよね。