日々雑感

読んだ本やネット記事の感想、頭に浮かんでは消える物事をつらつら綴りました(本棚7)。

「珈琲ブック~田崎真也のテイスティング~」

2010-04-04 06:22:50 | コーヒー
著者:UCC珈琲味覚表現委員会、新星出版社(2001年発行)

田崎さんは世界ソムリエコンクールで日本人初の優勝者。今をときめくカリスマ・ソムリエです。
彼のワイン関連本やビデオなど所有していましたが、体を壊してワインを嗜む生活から離れましたので、皆捨ててしまいました(苦笑)。そんな時この本が目にとまり・・・珈琲だったら大丈夫、と購入した次第です。

著者はUCCとなっていますが、内容は田崎さんの言葉を中心に構成されています。
なんといってもこの本の特徴はソムリエの視点から「珈琲の風味を、ちょうどワインをテイスティングして愉しむように、その色や香り、味わいを、自分の言葉で表現する」です。従来の評価法は味わいが中心でしたが、そこに「香り」という項目を設けたことは新しい試みです。

(例)グアテマラ・アンティグア
 香り:良く熟したベリーのような果実香。チョコレートのビスケット、ほんのりとカラメルのような香りが調和している。
 味わい:まろやかな苦味がバランスの良さを感じさせるが、後半の味わいにかなり強い酸味を感じる。

(例)ハワイ・コナ・エキストラファンシー
 香り:ドライフルーツや柑橘系、スパイスの香りなどに植物系の香りとさとうきびの蜜のような香りを感じる。
 味わい:非常にはっきりとした強い酸味はフレッシュ感を感じさせる。余韻に、香りにもある柑橘系やスパイスを感じる。

といった調子で、珈琲の魅力を再発見したような気持ちになれました。

基礎知識についてもわかりやすく記されており、勉強になりました。
メモ書きしておきます;

■ 珈琲の味わい
 口に含んだ瞬間の印象は、熱のあとに甘味によるボリューム感を感じます。加えて、酸味、そして苦味の順に感じてきます。特に酸味は、口蓋の前方部分や舌の中央より奥で、また苦味は、口蓋後方と舌の奥の方でよりはっきりと感じられます。
 珈琲の第一印象は甘味から始まりますが、珈琲の味わいを表現していくうえで重要なのは、主な味覚要素である苦味の強弱と、酸味の強弱、そしてそのバランスだと思います。

■ 珈琲のグラインド(挽き加減)
 粒子の大きい順に、粗挽き~中挽き~中細挽き~細挽き~極細挽き、に分けられます。
 既に挽いてある状態で売られている製品は、中細挽きが多く、これはどんな器具にも使用できる、万能な挽き方なので便利です。
 珈琲は細かく挽くほど抽出される面積が広くなり、色も味もよく抽出されるようになりますが、細かくしすぎると珈琲の美味しい成分だけでなく、渋みや雑味まで抽出されてしまいます。また反対に挽き方が粗すぎると、風味が薄くなってしまいます。

■ 水を考える
 水には大きく分けて硬水・軟水と呼ばれる2種類があります。水に含まれるカルシウムやマグネシウムの量を炭酸カルシウムに換算して、水1リットルあたりの含有量(mg/l)を水の硬度とします。含有量が100mg/l以下の場合は軟水、それ以上を硬水とします。
 日本の水道水や地下水はそのほとんどが軟水であるのに対し、ヨーロッパの場合は硬水が中心です。
 どちらが珈琲に適しているか一概には言えません。
 例えばマイルドな珈琲を好むのなら軟水で淹れた方を美味しいと感じるでしょうし、苦味の強い珈琲が好きなら硬水を使用した方が、より苦味が際立ちます。

 日本の水道水の質は世界的にみて、かなり高い水準にありますが問題がないわけではありません。
 まずカルキ臭。塩素臭は水を沸騰させることである程度軽減できますが、活性炭が入っている濾過器取り付けるとさらに改善されます。
 水道管が古くなっている場合、赤みを帯びた鉄分が流れ出てくることがあります。鉄分が多すぎると、コーヒーを淹れたときにタンニンと結びついて味に影響を及ぼすこともあります。
 また珈琲に使用する水は、二酸化炭素がいくらか残っている状態がベストです。長時間沸騰した水や2回以上煮沸した水には二酸化炭素があまり残っていないため避けた方がよいでしょう。

■ 珈琲のブレンドの妙味
・モカやグアテマラ、キリマンジャロなど酸味の強い豆にブラジルをブレンドすると、ブラジルの苦味で酸味が緩和されて飲みやすくなるようです。
・ブラジルとコロンビアをブレンドしたものにグアテマラを1割程度加えるだけで、香りが豊かになります。
・ブルーマウンテンにコロンビア豆をブレンドすると、柔らかな甘味を保ちながら、よりコクのある珈琲が楽しめます。
・ブルーマウンテンは酸味・甘味・苦味・コク全てが絶妙なバランスを保っていますが、さらに苦味をプラスしたいときはブラジルを、コクを出したいときはコロンビアを、酸味を強調したいときはグアテマラを加えたりします。
・隠し味的にモカ・ハラーを1~2割程度ブレンドすれば、果実を思わせる甘味が強調されます。