日々雑感

読んだ本やネット記事の感想、頭に浮かんでは消える物事をつらつら綴りました(本棚7)。

「どくとるマンボウ」北杜夫さん死去

2011-10-26 05:54:32 | 趣味
 ファンだった北杜夫さんが亡くなりました。
 享年84歳。

 北杜夫さんは歌人の斎藤茂吉の次男(長男は精神科医&エッセイストの斎藤茂太氏)として有名です。一方、彼は自他共に認める躁鬱病で、その作品群は大きく二つに分けられ、躁状態の時に書かれた「マンボウシリーズ」と鬱状態の時に書かれた小説群のギャップが激しいという特徴があります。

 私は鬱状態の北杜夫さんの作品群に学生時代にのめり込みました。
 「幽霊」「木霊」など、幼少期から青年期にかけての繊細で懐かしい心象風景が大好きでした。
 代表作「楡家の人々」はドイツの文豪トーマス・マンの名作『ブッテングローク家の人々』に触発されて執筆した小説で大変読み応えがありました。
 また、小説家の辻邦生さんと学生時代からの親友であり、対談集なども興味深く読ませていただきました。

 実は最近、ふと彼の昔の作品を読みたくなってブックオフで「夜と霧の隅で」「消え去りゆく物語 」を購入したばかり・・・そこに届いた訃報でした。
 杜夫さん、親友の辻邦生さんと兄の斎藤茂太さんが先に行った天国で待ってますよ。
 合掌。

■ 「どくとるマンボウ」北杜夫さん死去(2011年10月26日03時01分 読売新聞)
 ユーモアあふれる“どくとるマンボウ”シリーズや、大河小説「楡家の人びと」で知られる作家、芸術院会員の北杜夫(きた・もりお、本名・斎藤宗吉=さいとう・そうきち)氏が、24日死去した。
 84歳だった。告別式は親族で行う。
 近代短歌を代表する斎藤茂吉の次男として東京に生まれた。旧制松本高を経て東北大医学部に進学。卒業後の1954年、初の長編「幽霊」を自費出版した。
 60年には、水産庁の調査船に船医として半年間乗った体験をユーモアを交えて描いた「どくとるマンボウ航海記」を発表。「昆虫記」「青春記」などマンボウものを出版して人気を博した。
 同年、ナチスと精神病の問題を扱った「夜と霧の隅で」で芥川賞。64年には斎藤家三代の歴史を描いた「楡家の人びと」を刊行、毎日出版文化賞を受けた。「さびしい王様」など、大人も子供も楽しめる童話でも親しまれた。「青年茂吉」など父の生涯を追った評伝で98年、大仏次郎賞を受けた。