日々雑感

読んだ本やネット記事の感想、頭に浮かんでは消える物事をつらつら綴りました(本棚7)。

コーヒーの効用

2013-09-15 06:24:17 | 趣味
 コーヒーはその昔、薬として使用されていました。
 「失われた時を求めて」という名作で有名なプルーストは喘息持ちで、調子が悪くなるとコーヒーを何杯も飲んだと伝えられています。
 事実、コーヒーのカフェインの構造を基礎に開発された抗喘息薬も存在します。

 時代は下って現代でもコーヒーの効用に関しては侃々諤々。
 以下の記事は数年前の読売新聞から;

コーヒーはいかが?
(1)飲んで運動 脂肪燃やす(2010年11月4日 読売新聞)
 寒くなってくると、あったかいコーヒーが恋しくなる。「体に良くないのでは」と思っている人もなかにはいるかもしれないが、最近、コーヒーにはさまざまな健康効果があることが知られるようになってきた。
 特に注目されているのが、肥満予防効果。京都大の森谷敏夫教授(応用生理学)は、コーヒーを飲むと自律神経が活性化され、脂肪燃焼が高まることを明らかにした。カフェイン入りとカフェインなしのコーヒーを比べると、カフェイン入りの方が自律神経を活性化する効果が高かった。
 自律神経は満腹感と空腹感のバランスをとり、体重を一定に保つ働きがあるが、加齢や偏った食事、運動不足で、その働きは低下。その結果、肥満につながると考えられている。
 森谷教授が勧めるのは、運動30分前のコーヒー。ウオーキングや自転車など軽い運動の前にコーヒーを飲めば、脂肪燃焼が促進される。「この場合、ブラックで飲むことが大事」と森谷教授。砂糖を入れると、脂肪が使われる割合が低くなってしまう。
 国内外の研究でコーヒーを飲む習慣のある人は肥満や糖尿病、脂肪肝の発生が抑えられるとのデータもある。コーヒーの効能に詳しい神奈川工科大の石川俊次教授(臨床栄養学)は「飲み過ぎはよくないが、楽しみつつ自分に合う量を飲むといい」と話す。あなたもコーヒーはいかが?

(2)心リセット 集中力アップ(2010年11月5日 読売新聞)
 ふくよかな香り、深い味わい……。コーヒーはおいしい飲み物として楽しまれている一方、眠気覚ましとして飲む人も多い。ストレス過多の現代人にとっても頼もしい味方だ。
 コーヒーの香りには脳をリラックスさせる効果がある。杏林大の古賀良彦教授(精神神経学)が、20代の女性10人にさまざまな種類のコーヒーをかいでもらったところ、特にブルーマウンテンやグアテマラの香りをかいだとき、リラックスしていることを示す脳波「α波」が増えていることが分かった。
 東京大の飯野正光教授(薬理学)は、コーヒーに含まれるカフェインが集中力を高め、計算能力を向上させる効果を実験で明らかにした。医学生にカフェイン入りか、カフェイン抜きのコーヒーを飲ませ、単純な足し算問題を解いてもらった。すると、カフェインを摂取したグループだけが正答数が伸び続け、この効果は約1時間持続した。もともと正答数の低い人の方がカフェインによる成績アップ効果が顕著だという。
 杏林大の古賀教授は、「仕事中にコーヒーを楽しむのはストレスの多い現代人には理想的な休息法」と話す。コーヒーの香りでストレスをリセットし、その後、カフェインの効果で再度仕事に集中することができる。ただ、「カフェインには利尿効果もあるので、トイレは近くなりますよ」と飯野教授はアドバイスする。

(3)深い味わい 鮮度が命(2010年11月6日 読売新聞)
 コーヒーをよりおいしく飲むためには、どうすればよいのだろう。コーヒー販売会社キーコーヒーのコーヒー教室でインストラクターを務める金井育子さんに聞くと、「鮮度が命です」という答えが返ってきた。
 コーヒー豆には脂肪分も含まれる。空気中の酸素に触れると脂肪が酸化し、風味が落ちるだけでなく、体にも良くない可能性がある。金井さんは「豆の状態では開封後1か月、粉の状態では2週間のうちに飲みきるのがいい」とアドバイスする。
 コーヒーメーカーを使っている人は、長時間の保温は避けよう。30分以上保温すると、煮詰まって不快な酸味が強くなる。また、できたてのコーヒーの表面に張っている油膜は、ぬるくなったものを温め直すと酸化するから、新しく作り直した方がいい。
 コーヒー豆で売られている品種の大半は「アラビカ種」。産地の気候や高度などで味や香りに微妙な違いが生じるが、成分としてはほぼ同じだ。砂糖をつい入れがちな人は、浅煎
りで苦みの少ないコロンビアやモカ、ブラジルがお勧め。クリームを入れて苦みや酸味を抑えてもいい。
 コーヒーはもともと薬として使われたとされる。過度な期待はすべきではないが、深い味わいと香りに身をまかせるのも悪くない。(木村達矢)


 一方、「過ぎたるは及ばざるがごとし」で飲み過ぎは体によくありません。

多量のコーヒー摂取は早期死亡に関連(2013.9.2:ケアネット)
Liu J, et al. Mayo Clin Proc. 2013 Aug 13. pii: S0025-6196(13)00578-8.
 55歳未満で1日に4杯以上のコーヒーを飲む人では早期死亡リスクの高いことが、米ジョン・オクスナー心血管研究所(ニューオーリンズ)のCarl Lavie氏らの新たな研究で示唆された。
 今回の知見に対して懐疑的な見方を示す専門家もいるが、Lavie氏は「週に28杯までは安全であると考えられるが、特に若い人の場合、1日の摂取量を8オンス(約240ml)カップで4杯以内に抑えるように努める理由がある」と述べている。
 コーヒーが健康によいのか、どの程度までならよいのかという問題は盛んに議論されている。既存の研究からは、コーヒーの摂取によりがん、心不全、その他の疾患リスクが低下する徴候も認められているが、確かなことはわかっていない。かといって、被験者グループに多量のコーヒーを飲ませ、別のグループには飲ませない、というような試験を実施することは難しい。また、コーヒーを飲む人は、ほかに健康に影響を及ぼす何らかの因子を共有している可能性もある。全米コーヒー協会(NCA)によると、米国では60%を超える成人が毎日コーヒーを飲んでおり、平均摂取量は1日3杯強という。
 今回の研究では、1971年~2002年に試験に登録した20~87歳の成人約4万4,000人を平均約16年間追跡。約4分の3が男性だった。追跡期間中、2,512人が死亡した。喫煙や体力などの因子を考慮して統計値を調整した結果、週に28杯を超えるコーヒーを飲む人は死亡リスクが21%高いことが判明。55歳未満の男女では、リスクが50%高かった。それ以下の量のコーヒーでは、影響は認められなかった。
 「正直にいえば、われわれは少量のコーヒーは有益であり、量にかかわらず毒性はないという結果を期待していた」とLavie氏は述べている。同氏はコーヒーががんに寄与する可能性を指摘しているが、被験者の死因を詳しく調べなければ確定的なことはいえないという。特定の遺伝的因子がコーヒーを多量に飲む人のリスクを高める可能性も示唆されている。研究論文は、「Mayo Clinic Proceedings」8月15日号に掲載された。
 シンガポール国立大学准教授のRob van Dam氏は、今回の研究では食習慣や死亡原因について十分に検討していない点を指摘し、「同じ問題を扱った複数の過去の研究があり、単独の研究結果だけでなく、全体的なエビデンスを考慮する必要がある」と述べている。一方、オーストラリア、クイーンズランド大学のRachel Huxley氏は、コーヒーを飲む人に喫煙者が多いことが死亡率に寄与し、結果に混乱を来している可能性があると警告している。