日々雑感

読んだ本やネット記事の感想、頭に浮かんでは消える物事をつらつら綴りました(本棚7)。

ドラマ「文豪の食彩」

2015-02-11 07:36:30 | その他
 文豪が愛した「食」をドラマ仕立てで探訪する番組(BSジャパン)。
 本人が作品に残した食に関する記述、あるいは周囲の人により記録に残った情報を集め、文豪の「食」をあぶり出します。



 取りあげられたのは太宰治と永井荷風。

 太宰はあまり味に関してはこだわりがなかった様子。
 作品中の食べ物に関する記述も一貫性がない。
 彼にとっては「美食」=「大食い」という論理だったようです。
 酒さえ飲めればよかった、その酒もやるせない気持ちを紛らわせるために飲む“美味しくない酒”だった、という悲しい事実が浮かび上がりました。
 彼が入水自殺した玉川上水は、三鷹の近く。
 現在大学生の長男が住んでいる近くなので、一度寄ってみようかな。

 永井荷風はいくつか通ったお店があり、そこで同じメニューを同じ席に座って食べる傾向がありました。
 当時つるんでいた若い女性達(ロック座のダンサー)と一緒にわいわいがやがや楽しんでいたようです。
 どの食事処も彼の著作の中に記述があります。

 実際にそこへ行って食べてみると・・・けっこう重い内容が多いことに気づかされたのでした。
 「これを毎日のように食べるのはきついんじゃないか?」
 と、素朴な疑問が浮かび上がります。
 しかし、著作の中で取りあげられない食事処もありました。
 そこは一人でひっそり食事をする場所で、メニューはあっさり系。

 ふと、気づかされるのでした。
 女性の前で“ええかっこしい”をする”ハレ”の食事と、
 一人で食べる”ケ”の食事があったのではないか、と。

 なるほど、と何回も頷きながら拝見しました。