日々雑感

読んだ本やネット記事の感想、頭に浮かんでは消える物事をつらつら綴りました(本棚7)。

趣味どきっ!「恋する百人一首」

2015-12-29 15:40:08 | 趣味
 現在、NHK Eテレで放映中の教養(?)番組です。
 講師は日本語研究で有名な山口仲美先生。
 アシスタントは壇蜜(昭和女子大出身)、大久保佳代子(千葉大学文学部出身)の二人。

 和歌の文法的な解説はほとんどなく、作者が歌に込めた恋愛感情にスポットライトを当てた内容で、いにしへの恋を現代風にアレンジしたミニドラマが毎回放映されます。

 アラフィフの私にはちょっと・・・と思いつつ毎回観てしまいます(^^;)。
 山口先生は平安時代の夫婦形態(ただし貴族)を「一夫一妻多妾制」と表現しており、なるほどなと思いました。

 第4回は和泉式部。
 紫式部や清少納言と同時代に生き、三大才女として有名。
 とくに恋多き女性で名を馳せたとか。
 
 あまたの恋の果てに、彼女が残した歌がこちら;

 あらざらむ この世のほかの 思ひ出に
 今ひとたびの 逢うこともがな


 ただ、この歌の背景はこちらの番組の方がわかりやすいですね;

■ 発掘!歴史に秘めた恋物語「平安の恋多き名歌人・和泉式部の恋物語」by BSフジ
■ 歴史秘話ヒストリア「和泉式部の恋多き生涯~平安王朝・女の生き方~」( by NHK)

 天皇の子息との許されない恋、それも兄弟と・・・昔の宮廷はスキャンダルだらけですね。
 今日の天皇家の品行方正さとは真逆の印象です。

漱石「こころ」100年の秘密

2015-12-06 07:04:22 | 小説
 NHKで2014年9月10日に放映された番組です。
 録画したまま長らく放置していたものを、ふと空いた時間に観てみました。
 内容は読者レベルから小説家、漱石研究者、果ては脳科学者までが一堂に会した座談会で、各立場から忌憚のない意見を交わすもの。
 結構スリリングで楽しめました。

<番組内容>(「NHKネットクラブ」より)
夏目漱石の代表作「こころ」は、実は「アブない禁断の書」だった?!「国民文学」の秘められた謎や真の魅力に迫る、ちょっと知的でスリリングな文学エンターテインメント。
<詳細>
文豪・夏目漱石の「こころ」が新聞連載小説として登場して今年でちょうど100年。教科書でもおなじみの「国民文学」だが、し細に読むと実は謎だらけの作品でもある。「ボーイズラブ」「三角関係」「遺書」「自殺」…とまるで「アブない禁断の書」のような小説世界。漱石の狙いはどこにあったのか?なぜ日本人は100年もの間「こころ」を愛読し続けたのか?漱石文学に一家言ある達人たちが集い、スリリングな読書会が開かれる。
出演者ほか
【出演】鈴木杏,小森陽一,中野信子,関川夏央,高橋源一郎



 時代は明治。
 江戸時代の終焉と共に、日本の家制度が崩壊しはじめ、西洋の個人主義や自由主義・資本主義が台頭してきます。
 主人公ほか登場人物達はその時代を象徴するような人々。

 個人は自由になれる、しかしそれに伴い「孤独」がもれなくついてくる。

 このジレンマにどう対処していくべきか?
 100年経っても答えは見つからない。
 現代の私たちも同じ悩みで苦しみ続けている。
 それが「こころ」が小説売り上げランキング1位として読み継がれている理由である、と。

 太宰治の「人間失格」が誰にもある人間の弱みをさらけ出し共感を呼ぶ作品だとすると、
 夏目漱石の「こころ」は誰もが抱える“嫌な、でも向き合わないわけにはいかない自分”を描いているのかもしれない。

 座談会中に出た「日本には“自殺”を食い止める宗教的規範が存在しない」というコメントが妙に心に残りました。