日々雑感

読んだ本やネット記事の感想、頭に浮かんでは消える物事をつらつら綴りました(本棚7)。

「内臓脂肪がストンと落ちる食事術」〜その2

2021-02-07 11:19:55 | 趣味
江部康二著(2019年、ダイヤモンド社発行)

読前の以下の疑問が、読後に解消したでしょうか・・・検証を試みます;

・脂肪は制限の必要ないとされるが、その根拠はあるのか。
→ 脂肪は動脈硬化の直接の原因にはならず、制限は必要ない。
・カロリー制限は必要ないというが、過剰なカロリーはどこに消えるのか。
→ 糖質制限食は“カロリー制限は必要ない”とするが、過剰摂取は勧めていない、適量摂取を。
・豆類は一律、糖質制限にお勧めの食材か。
→ 豆類でお勧めなのは大豆。それ以外は大豆よりたんぱく質含有比率が低く、炭水化物の比率が高くなる。
・練り物、ちくわ、かまぼこ、つみれ・・・似てるけど糖質含有量に差があるのか。
→ 練り物は炭水化物で粘りを出しているので糖質の塊。唯一、つみれは魚のたんぱく質中心なのでお勧め。
・おでんの具材で糖質制限するには、どのように選んだらよいか。
 ⇩
◎:卵、牛すじ、がんもどき、タコ、つみれ、厚揚げ、焼き豆腐
◯:大根、こんにゃく、シラタキ、ロールキャベツ
✖:ジャガイモ、餅入りの巾着、昆布、はんぺん、ちくわ、ちくわぶ(小麦粉の塊)、さつま揚げ、ゴボウ巻き
・チーズは糖質制限では良という評価である一方で、高血圧対策では悪と耳にしたが、それを打ち消す価値があるのか。
→ 記載なし。


※ ブログの容量オーバーで一項目では収まりきれなかったので、メモを追加しておきます。

□ 脳のエネルギー源はブドウ糖だけだから糖質制限は危険?
・脳細胞のエネルギー源は糖質だけでなく脂質(脂肪酸)から生じるケトン体も使われている。
・新生児の脳のエネルギー源としてケトン体が使われている。
・糖質制限をしても、肝臓で蛋白質(アミノ酸)などから糖質(ブドウ糖)を造る糖新生というシステムにより血糖値は正常に保たれる。
・もし糖質制限をして頭がボーッとするとしたら、糖質と同時にカロリー制限をするなどして、エネルギー不足になっていることが原因である。

□ 成長期の子どもには糖質が必要不可欠か?
・子どもの成長に欠かせない栄養素は、体内で作り出せないタンパク質と脂質、それにビタミン、ミネラル、食物線維であり、糖新生で作り出せる糖質は当てはまらない。
・乳児は糖新生の働きが未熟なため、母乳に含まれる乳糖で補っている。
・糖質過多の食事では血糖値の乱高下が生じて、集中力が落ちる。ADHDの不注意はこれが関連するケースが少なくない。

▢ 理想の食事回数は1日何食か?
・狩猟採集時代は獲物が手に入るまで食事にありつけず、飢餓との戦いだった。
・稲作が始まったのちも、日本人は長い間、庶民も貴族も1日2食がふつうだった。後醍醐天皇の時代は、朝食は正午、夕食は午後4時という記録がある。
・1日3食になったきっかけは、江戸時代の「明暦の大火」(1657年)という説がある。江戸の復興のために全国から集まった労働者たちは1日2食では体力が持たなかったため、1日3食の習慣が広まっていった。
・全国的に1日3食が定着したのは、明治維新後に軍隊ができたのがきっかけである。「白米が毎日3回食べられる」と宣伝して陸軍に兵隊を募集した。
・ヨーロッパ諸国では、15-16世紀(日本の戦国時代)に1日2食から3食に移行した。朝食は英語で「breakfast」であるが、1日の最初の食事=断食(fast)を破る(break)を意味していたのが転じて朝食という意味になった。

□ カロリー制限は必要か?
・糖質制限食では摂取カロリーを、さほど気にする必要はない。
・全体の8割の人は摂取カロリーを気にする必要は無いが、残りの2割の人は例外的に多少のカロリー制限が必要になることがある。
・その1割は「基礎代謝が異常に低いタイプ」で、大半がダイエットに熱心な女性。過去にカロリー制限とリバウンドを繰り返して筋肉量が非常に少なくなっているため、基礎代謝が異常に低い。このような人は、摂取カロリーを1日100〜200kcal減らすべし。
・残りの1割は「極度の大食いタイプ」。

□ アブラの基本
・アブラ(中性脂肪)=脂肪酸+グリセロール
・脂肪酸=飽和脂肪酸+不飽和脂肪酸
・飽和脂肪酸・・・肉の脂肪、ラード、バターなど動物性の脂質に多い。
・不飽和脂肪酸・・・魚類や植物油に多い。
・不飽和脂肪酸=一価不飽和脂肪酸+多価不飽和脂肪酸
・一価不飽和脂肪酸:オメガ9:オレイン酸・・・オリーブ油、菜種油など
・多価不飽和脂肪酸:必須脂肪酸=オメガ6、オメガ3
・オメガ6:リノール酸、アラキドン酸・・・コーン油、大豆油、サラダ油、紅花油など
・オメガ3:DHA、EPA、ALA
・DHA(ドコサヘキサエン酸)・・・マグロ、青魚(サバ、イワシ、アジ、サンマ)など
・EPA(エイコサペンタエン酸)・・・青魚(サバ、イワシ、アジ、サンマ)など
・ALA(α-リノレン酸)・・・エゴマ(シソ)油、アマニ油など

□ 体脂肪の元は「脂質」ではなく「糖質」
・糖質をたくさん食べると血糖値が上がり、インスリンが分泌されて筋肉と脂肪の細胞に取り込んで血糖値を下げる。余ったブドウ糖はグリコーゲンとして筋肉(200-300g)と肝臓(70-80g)に貯蔵される。
・肝臓・筋肉の貯蔵庫が満杯になると、インスリンは脂肪細胞に作用して中性脂肪として貯蔵させるよう舵を切る。これが体脂肪の正体である。
・体脂肪の原料は脂質と思われがちだが、これは間違いで、真実は糖質である。
・糖質制限をすると食後高血糖が抑えられてインスリンの大量分泌も避けられるため、内臓脂肪の蓄積も避けられる。

□ 「脂質」を食べても体脂肪にならない
・体脂肪の正体である中性脂肪は、3個の脂肪酸と1個のグリセロールからなり、グリセロールを代謝する酵素は脂肪細胞には存在しない。脂肪細胞に入れないグリセロールは肝臓に運ばれて糖新生の原料になってブドウ糖が造られる。つまり、脂質を食べてもそのまま体脂肪にはならない。

□ 内臓脂肪を減らすにはカロリー制限・脂質制限ではなく糖質制限
・肥満大国アメリカでは、食事中の脂質を減らすキャンペーンを張り、カロリに占める脂質の割合を4%減らした(36.9→ 32.8%)が、肥満率は2倍に増えた(14.5→ 30.9%)。
・脂質を減らしたのに肥満が増えたのは、安価な糖質の摂取量が増えたため。
・アメリカ男性の糖質摂取量はカロリー比で、1971年は42.4%、2000年には49.0%まで増えた。

□ インスリンは“肥満ホルモン”
・インスリンは細胞に血糖を取り込ませるだけでなく、体脂肪の分解も抑えて、さらには体脂肪の合成を促してしまうため、“肥満ホルモン”と呼ばれることがある。

□ 皮下脂肪の重要な役割
・緩衝材:外部からの衝撃を緩和するクッション
・断熱材:脂肪は熱を伝えにくいため、外気温が低くなっても一定の体温を保つことができる。人類が氷河期を生き残れた一因は皮下脂肪があったから。
・備蓄エネルギー:飢餓などの緊急時に備蓄エネルギーとして役立つ。ダイエットの当初は皮下脂肪は落ちにくいが、それは万一に備えているため。

□ 皮下脂肪過多は「洋ナシ型肥満」、内臓脂肪過多は「リンゴ型肥満」
・同じ肥満でも、皮下脂肪優位型の「洋ナシ型肥満」より、内臓脂肪優位型の「リンゴ型肥満」の方が、病気にかかるリスクは高くなる。
・これを背景に2008年に始まったのが「メタボ健診」(正式には「特定健診・特定保険指導」)。

□ メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)
・メタボ(メタボリックシンドローム)は内臓脂肪症候群とも呼ばれ、中性脂肪の溜まりすぎから生じる血糖、血圧、中性脂肪値などの異常を意味する。これが動脈硬化を引き起こし、心臓病や脳卒中につながる。
・ウエストが「男性85cm」「助成90cm」という基準は、CTで測定した内臓脂肪の断面積が100㎠に相当する。これを越えると内臓脂肪から分泌される善玉ホルモンが減り、悪玉ホルモンが増える境界値。
・腹囲の基準を満たし、かつ「血糖値」「血圧」「脂質値」(HDLコレステロールと中性脂肪の値)のうち2つ以上が診断基準を満たすとメタボと診断される。


□ 脂肪細胞から分泌されるホルモン
・内臓脂肪が溜まりすぎると善玉ホルモンが減り、悪玉ホルモンが増える。
・皮下脂肪は悪玉ホルモンを内臓脂肪の1/2〜1/3程度しか分泌しない。
(善玉)
・アディポネクチン:インスリンの効き目を高めてくれる、余分な脂肪を燃やしたり、血管を修復したり、血管を広げて血圧を適度に下げたりする。
(悪玉)
・TNF-α
・アンギオテンシノーゲン
・PAI-1

□ レプチンは味方?
・脂肪細胞から分泌されるホルモン
・脳に働いて食欲を抑えて満腹感をもたらし、交感神経を刺激してエネルギー代謝を高める。
・食べ過ぎを父性で代謝を上げ、体脂肪が増えないようにする。
・太っている人はレプチンが分泌されていても効きにくくなっている(脳でレプチンを受け取るセンサーの活性が鈍化)。

□ 体脂肪は皮下脂肪→ 内臓脂肪の順に溜まる
・最初は人体に欠かせない皮下脂肪として蓄積されるが、それが増えすぎると内臓脂肪として蓄積され、さらに太ると本来溜まるはずのないところに溜まる“異所性脂肪”になる。
・女性の場合、女性ホルモンの関係で、内臓脂肪は閉経期を迎えるまでは少しずつしか増えないが、閉経後はそれ以前の2倍以上の速さで増える。そのため、中高年の女性は洋ナシ型肥満→ リンゴ型肥満に変わってくる。

□ 糖質は必須の栄養素だから糖質制限は危険か?
・明らかな間違いである。
・三大栄養素(たんぱく質、脂質、糖質)のうち、たんぱく質には必須アミノ酸(体内では造れないため食事から摂取する必要がある)、脂質には必須脂肪酸があるが、“必須糖質”は存在しない。これは糖質は体内で造ることができる(糖新生)ためである。
・人体は血糖値が下がったら血糖を補充するため、肝臓に「グリコーゲン」としてブドウ糖をの集合体を貯蔵している(筋肉のグリコーゲンは筋肉専用のエネルギー源のため血糖には関与しない)。しかし肝臓に蓄えられているグリコーゲンは70-80g程度しかなく、これだけでは足りないため、肝臓は糖新生という方法で糖を造りだしている。

□ 糖新生のしくみ
・糖新生の原料
(グリセロール)脂質の代謝物
(乳酸)激しい運動など酸素を用いないエネルギー代謝(解糖系)から生じる
(アミノ酸)筋肉に貯蔵されているアミノ酸プールから供給される
・糖新生は飢餓や絶食に対応できるシステムであり、これがなければ人類は生き延びられなかったはず。

□ ケトン体は危ない? 危なくない?
・間違い。しかし医師の中にもいまだにこう思い込んでいる人が少なくない。
・ケトン体を危険視する最大の根拠は「血中のケトン体が高値になると糖尿病性ケトアシドーシスという重篤な状態を引き起こす」という知識。ケトアシドーシスはI型糖尿病患者さんがまれに起こす病態で、インスリン作用の欠乏が前提となる。
・一般健康人や生活習慣に起因するII型糖尿病患者さんがインスリン機能が保たれているときに起こす心配はない。血中ケトン体が増えたとしても、それは健全は「生理的ケトーシス」というものなので、心配不要。
・ケトーシスとは、エネルギーとして脂質を使いやすい状態であり、言い換えれば体脂肪が燃えやすい体内環境である。

赤ちゃんは高ケトン血症がふつう(生理的状態)。
・新生児や母乳栄養の乳児は成人と比べてケトン体が数倍高値である。
・新生児のケトン体高値は、妊娠中に胎盤でケトン体を造り胎児にエネルギー供給をしているため。
・母乳育児乳児のケトン体高値は、母乳の脂質の割合がカロリーで約半分と「高脂肪」だから。母乳という高脂肪食から、乳児の肝臓でケトン体がつくり出されている。

 肉の脂は体に悪い?悪くない?
・従来、動物性脂肪に含まれている飽和脂肪酸(バターやラードなど常温で固まりやすい脂)の取り過ぎは脳心血管疾患のリスクとされてきた。
・2010年にその常識を覆す論文が報告された。メタ解析という手法で約35万人を5〜23年間にわたり追跡調査した結果、「飽和脂肪酸と脳心血管疾患の発生率には関連がない」と結論づけた。
・脳心血管疾患リスクになるのは、糖質の過剰摂取とそれによる糖化・酸化であり、控えるべきは動物性脂肪ではなく糖質である。
・牛肉に含まれる脂肪酸の半分は不飽和脂肪酸であるオレイン酸であり、これはオリーブオイルの主成分でもある。

卵はたくさん食べていい?いけない?
・従来、「卵は1日1個まで。2個以上食べるとコレステロール値が高くなり危険」とされてきた。
・しかし日本でもアメリカでも、2015年にコレステロールの接種制限を撤廃した。なぜか?
・現在、食事由来のコレステロールは血液中のコレステロール値に影響を与えないことがわかっている。
・コレステロールの必要量の約8割は肝臓で造られており、食事由来のコレステロールは全体の2割にとどまる。しかも、食事からの摂取量が増えたら肝臓で造り出される量が抑えられるので、卵を食べ過ぎても血液中のコレステロール値は増えない。

 果物は健康によい?悪い?
・果物に含まれる糖類には、果糖、ブドウ糖、ショ糖などがある。
・以前、果糖は血糖値の上昇が緩やかなため、体によいと考えられてきた。その理由は、果糖は小腸から吸収されると肝臓に直行し、そこで速やかに「中性脂肪(=トリグリセリド)」として蓄積されるため、血糖値はあまり上昇しない(その代わり太る)。
・さらに果糖は危険なAGEs(終末糖化産物)を生じやすい。ブドウ糖の100倍生成しやすい。
・果糖をたくさん含む現代の果物は、もはや「毒」と考えるべきであろう。
・すると「果汁100%ジュース」は毒にほかならない。果物ジュースには食物繊維はほとんど含まれていない。厚生労働省も「果汁100%ジュースは食物繊維が期待できず、糖分も多いので注意が必要」としている。

異性化糖(果糖ブドウ糖液糖、ブドウ糖果糖液糖)は猛毒!要注意!
・異性化糖はトウモロコシから作られるコーンシロップを加工したもので、果糖、ブドウ糖が大量に製造できる。
・果糖>ブドウ糖なら「果糖ブドウ糖液糖」、ブドウ糖>果糖なら「ブドウ糖果糖液糖」と成分表示される。
・「果糖ブドウ糖液糖」は果糖が多いので中性脂肪、AGEsが生じやすく太りやすい。
・「ブドウ糖果糖液糖」はブドウ糖が多いので、血糖値急上昇、インスリン大量分泌を招き、血管と膵臓を傷つける。
・果糖の摂り過ぎで脂肪肝になることがあり(非アルコール性脂肪肝)、炎症を起こすと非アルコール性脂肪肝炎NASH)の原因となる。
・飲酒を伴わないNASHは、慢性の肝障害が進行し、末期になると肝硬変、肝臓癌に移行することもある。

人工甘味料は体に悪い?
・人工甘味料は血糖値を上げない。
・ハチミツや黒砂糖は天然だから体によい、は間違い。しっかり血糖値を上げる。
・アスパルテーム、アセスルファムK、スクラロースなどの人工甘味料は血糖値を上げないので、黒砂糖やハチミツよりも安全。
・人工甘味料には「1日許容摂取量」(ADI)が厚生労働省により定められている。
(例)スクラロースは350ml缶や500mlペットボトルなら1日3本まで許容範囲

人工甘味料ではエリスリトールがお勧め。
・エリスリトールは糖アルコールという種類の人工甘味料の一種。「ラカントS」という製品の主成分。
・エリスリトールはゼロカロリー&血糖値を上げない。
・(自然界に存在しない)合成甘味料と異なり、メロン、ブドウ、ナシなどの果物や発酵食品にも含まれている。
・同じ糖アルコールであるキシリトール、ソルビトール、マルチトールなどは砂糖の半分くらい血糖値を上げる。

病気の時は、お粥?うどん?それとも?
・お粥やうどんは糖質以外の栄養素に乏しい。
・糖質を咀嚼すると、唾液に含まれるアミラーゼでデンプンを加水分解するが、お粥やうどんなどはろくにかまずに飲み込みがちなので分解されずに胃に入る。胃の中では大量の胃液の中で拡販運動と蠕動運動が行われ、小腸に移動するが、その速度はたんぱく質や脂質より遅い。
・お粥やうどんが消化しやすいというのは「あっさりしているから消化も早く進むに違いない」という思い込みでしかない。
・お勧めは「湯豆腐」。食欲がなくても食べられて、消化しやすく、体を温め、水分を補給しながら糖質制限ができる。たんぱく質と脂質が豊富で、薬味にショウガを添えると体がより温まる。
・湯豆腐以外では、野菜スープ、卵スープ、具だくさんの味噌汁、茶碗蒸しなどがお勧め。
・風邪が治って食欲が出てきたら、寄せ鍋、しゃぶしゃぶ、豚汁(サトイモや根菜は除く)などで体力の回復に努めるべし。

筋肉のエネルギー源は脂質>>糖質>>たんぱく質
・運動のメインエネルギー源は糖質ではなく、脂質(脂肪酸とケトン体)である。
・運動の主役となる筋肉のエネルギー源は糖質と脂質であり、たんぱく質も一部エネルギー源になるが限定的である。
・糖質は筋肉と肝臓にグリコーゲンとして合計300〜400g程度蓄えられている。カロリー計算すると1200〜1600kcal。
・脂質は脂肪細胞に中性脂肪として蓄えられており、標準体格では13kg(体重65kg、体脂肪率20%)である。カロリー計算すると11万700kcal。糖質と比べて桁違いに多い(100倍!)。
・中性脂肪から分解された脂肪酸、脂肪酸から生じるケトン体こそが、筋肉の主要なエネルギー源である。
・ただし、瞬発力が必要とされるスポーツ(ウエイトリフティング、100m走など)では、筋肉に貯蔵した糖質(ブドウ糖)がメインのエネルギー源となる。
・脂肪酸とケトン体は酸素がないと代謝できず、瞬発的な運動では酸素の供給が追いつかなくなるため、酸素ナシでも代謝できるブドウ糖の方がエネルギー源となりやすい。

熱中症・脱水予防に最適の水分補給は?
・高齢者が隠れ脱水や熱中症になりやすいのは、体液を溜めておくタンクの役割を果たす筋肉が少ないのに加えて、喉の渇きにも鈍感になっているため。
・熱中症が気になる季節になると、スポーツドリンクや経口補水液の宣伝が増えるが、こうした飲料は糖質をたくさん含むのでNG。
・隠れ脱水に糖質は必要ない。
・脱水予防に水分補給するなら水(ミネラルウォーター)で十分である。スポーツや野外活動などで大量に汗をかかないのなら塩分補給は不要。
・コーヒーや紅茶、緑茶も悪くないがカフェインを含むので利尿作用があるのが難点、カフェインを含まない麦茶、杜仲茶、ルイボスティー、爽健美茶、十六茶などがオススメ。
・熱中症予防には0.1〜0.2%食塩水(1リットルの水に1〜2gの食塩)がお勧め。

危険な「ペットボトル症候群」
・ペットボトル入りの甘い清涼飲料水には約10%の糖質が含まれているため、500mlサイズで角砂糖10個分に相当する。
・これを飲むと血糖値が急上昇し、その血糖値を下げるためにインスリンが大量に分泌されて高インスリン血証が起こる。
・ペットボトル飲料を何本も飲むと、インスリン大量分泌状態が続き、膵臓がくたびれて弱り、これを繰り返すと最終的にはインスリンが機能しなくなり、細胞が血糖を利用できなくなり、ケトン体が増えて糖尿病性ケトアシドーシス(酸性血症)という重篤な病態(ペットボトル症候群)に陥る。
・糖質制限食でもケトン体が増えるが、インスリン作用が保たれているので安全。

糖質制限をすると、頭がボーッとする?
・糖質制限をして体がだるくなったり、動きが悪くなったりした場合、そのほとんどの原因は「摂取カロリー不足」。
・摂取カロリーは明らかに足りているにもかかわらず、同様の訴えをする人もチラホラいるが、その場合は塩分不足の可能性が高い。

「内臓脂肪がストンと落ちる食事術」〜その1

2021-02-07 11:19:14 | 趣味
糖質制限をはじめて、はや5年ほど経過しました。
といっても私の場合は“ゆるやかな”糖質制限で、
ご飯・パン類など“主食の穀物は食べない”レベル。
基本的におかず類はそのまま食べています。

タイトにやっている方は、フライや天ぷらの衣を外して食べているようですが、
そこまでやると食べる楽しみが減ってしまうようで・・・。

その過程で気づいたのは、
いわゆる“おかず”の味付けは濃くてしょっぱくて、
そのままでは食べにくい(ごはんが欲しくなる!)こと。

米・小麦を代表とする穀物は炭水化物ですが、消化吸収の過程で糖質に変わります。
それを毎日食べている日本人は、全員“糖質過剰摂取”という見方もでき、
糖尿病のリスクを背負っています。

かつ、ごはんがはかどるおかずはしょっぱいため、
日本人は全員“塩分過剰摂取”傾向となり、
高血圧のリスクを背負っています。

日本人が米を主食とし、
精製塩が入手できるようになってから、
今や国民病である「糖尿病」と「高血圧」を背負う宿命だったのですね。

効果を実感している私ですが、無条件に受け入れているわけではありません。
疑問点を一つずつ解決して現在に至っています。
しかしいまだに、糖質制限に対して残っている疑問があります。
例えば・・・

・脂肪は制限の必要ないとされるが、その根拠はあるのか。
・カロリー制限は必要ないというが、過剰なカロリーはどこに消えるのか。
・豆類は一律、糖質制限にお勧めの食材か。
・練り物、ちくわ、かまぼこ、つみれ・・・似てるけど糖質含有量に差があるのか。
・おでんの具材で糖質制限するには、どのように選んだらよいか。
・チーズは糖質制限では良という評価である一方で、高血圧対策では悪と耳にしたが、それを打ち消す価値があるのか。

等々。

2019年に発行された糖質制限ご意見番の江部先生の著書を読んで、
知識のアップデートを図りました。

江部康二著(2019年、ダイヤモンド社発行)

□ 糖質=炭水化物ー食物線維

□ 血糖値を上げるのは炭水化物だけで蛋白質・脂質はほとんど上げない。
・低カロリーでも糖質が多ければ血糖値は上がり、高カロリーでも糖質ゼロなら血糖値は上がらない。
・食物線維も血糖値を上げない。腸内細菌が食物線維をエサとして短鎖脂肪酸を作り、少量のエネルギーになるが、これも血糖値を上げない。
・日本人のインスリン分泌能は、遺伝的に欧米人の半分。
・食後高血糖が起こるとインスリンが分泌されて血糖値を下げるが、余分な糖質は脂肪として蓄えられる。
・高血糖状態がずっと続いている状態より、空腹時と食後で血糖値が鋭く乱高下する「血糖値スパイク」の方が、血管を傷つけるリスクが高い。

□ 「脂質を取ったら太る」は間違いで、正しくは「糖質を取ったら太る」

□ 糖質制限の誤解、あるある!
・そばはさっぱりしているから糖質が少ない、ふつうのそばは糖質が多いけど十割そばなら大丈夫
→ 二八そばも十割そばも糖質量に大差はない。
・塩味のせんべいやあられなら糖質が少ない。
→ 米を原料とするデンプン食品なので糖質たくさん。
・砂糖はダメだけど、黒砂糖や蜂蜜ならOK。
→ 健康的なイメージのある黒砂糖、ハチミツ、和三盆、メープルシロップもその正体は砂糖に他ならない。
・春雨は原料がジャガイモだと糖質が多いけど、緑豆が原料なら問題ない
→ 緑豆(もやしの原料、もやしそのものは低糖質)の主成分はデンプン。
・魚のすり身を原料とする加工食品(魚肉ソーセージ、ちくわ、かまぼこ)は低糖質。
→ つなぎとしてデンプンや砂糖を使用している
・魚の缶詰(サンマの蒲焼き、サバの味噌煮)は低糖質
→ 味付けに砂糖がたっぷり使用されている。

□ 主食(穀物)の摂り方
・「玄米」「黒米」「赤米」「全粒粉パン」「全粒粉パスタ」「十割そば」など、“黒っぽい主食”を選択すべし。
・“黒っぽい主食”は精製度の低い穀類を原料にしており、食物繊維の含有量が多いので、血糖値の上昇を若干ゆるやかにする。
・逆に“白っぽい主食”は食物繊維が除かれている分、食べると血糖値が急上昇する。

□ 調味料類の糖質含有量の多少
(多)
・ドレッシング(※1)は砂糖が入っている。
・タレ、ポン酢(※2)は少なからず砂糖が入っている。
※1:カロリー制限では「青じそ」「和風」といった低カロリーのノンオイルドレッシングを勧められるが、ノンオイル系はオイルを抑えた分、糖質を多く含む場合があり注意。
※2: 一般的なポン酢は100gあたり「糖質12g」を含むが、糖質60%カットという糖質オフのポン酢がある。
・ごまだれは糖質が多い
・すき焼きの割り下には砂糖が入っている
→ 砂糖の代わりに糖アルコールのエリスリトールから造られたラカントS(サラヤ)がお勧め
(少)
・マヨネーズ(※1)、バター(※2)
・タルタルソースは低糖質でお勧め
・ドレッシングならオイルベースのフレンチドレッシング、マヨネーズベースのサウザンアイランドドレッシングがお勧め。オリーブオイルは可。
※1: マヨネーズの主原料は食用油、卵、酢で、日本では卵黄のみを使ったものが主流。大さじ1杯(15cc)で糖質0.2gと微量のため、たっぷり使用しても問題ない。カロリーをカットしたタイプは糖質が多めになるため、ノーマルタイプがおすすめ。
※2:食塩を含む「有塩タイプ」と含まない「無塩タイプ」があるが、どちらも糖質ゼロなのでお好みで。なお、マーガリンにはトランス脂肪酸という人工的に作られた有害な脂質が含まれているので控えるべし。

□ 調理の味付けに注意
・ご飯に合う“甘辛い味付け”は、砂糖やみりんをたくさん使いがち。
・糖質の少ない食材を使っても、砂糖、みりん、ソース、甘味噌などを使うと糖質過多につながる。

□ 食用油の選び方
・α-リノレン酸:必須脂肪酸、EPAとDHAは体内でα-リノレン酸から作られるが十分ではない。
・α-リノレン酸はエゴマ(シソ)油、アマニ油に多い。
・EPA、DHAはイワシ、サバ、アジ、サンマなどの青魚、マグロに多い。
・お勧めの食用油はエゴマ(シソ)油やオリーブオイル(未精製のエキストラヴァイージン)。
・サラダ油はリノール酸(必須脂肪酸ではあるが、摂り過ぎによる弊害あり)が多いので避けるべし。

□ レストラン、ファストフード店のメニュー
(NG)
・焼き肉のタレ(塩、ごま油で代用)
・参鶏湯(サムゲタン:餅米詰め)、冷麺、石焼きビビンバ、チヂミ、トッポギ(韓国風餅の甘辛炒め)、ダッカルビ(鶏もも肉と野菜の甘辛炒め)
・餃子・シュウマイ:皮に小麦粉がたっぷり含まれているのでNG(食べるなら1-2個)。
・酢豚、魚の甘酢あんかけ、麻婆春雨
(OK)
・すき家の「牛丼ライト」はお勧めご飯の代わりに豆腐が使われている。
・牛丼店では「皿」メニュー(牛皿、豚皿?)+サラダ(ポテトサラダ、ゴボウサラダはNG)がお勧め
・ハンバーガーショップなら、チキンナゲット、フライドチキン+サラダを。
・焼き肉はキムチと一緒にエゴマの葉、サンチュなどの葉物野菜で包んで食べる。
・キクラゲと卵の炒め物、棒々鶏、八宝菜、青椒肉絲、回鍋肉、麻婆豆腐、レバニラ炒め(いずれも一食で糖質10g程度)。
・青菜の塩炒め、中華風冷や奴、ピータン豆腐、酸辣湯(サンラータン)、卵スープ

□ 各食材と糖質含有の多少
(多)
・ニンジン、ゴボウ、サトイモ、ジャガイモ、レンコン、ユリ根などの根菜類。
※ 片栗粉・春雨はイモ類のデンプンから作られる。
・カボチャなどホクホクする野菜
・果物(アボガド以外)、ドライフルーツは果糖がたくさん。
※ デザートに果物を摂る場合の1日の許容範囲:リンゴ1/4個、ミカンやキウイフルーツ1/2個、イチゴ5粒
・ハチミツ、黒糖、和三盆は砂糖に他ならない。
・大豆以外の豆類(ひよこ豆、インゲン豆、エンドウ豆、そら豆)
・海藻では例外的に昆布だけは糖質が多い
(中間)
・豆乳
・牛乳(210g中糖質10.1g)
※ 低脂肪乳はふつうの牛乳より糖質が多めです。
・ヨーグルト(無糖タイプで100g中糖質5g)
(少)
・葉物野菜(キャベツ、白菜、ほうれん草、小松菜、ケール、モロヘイヤ)
・ブロッコリーなどの緑黄色野菜
・野菜では他にトマト、ピーマン、パプリカ
・果物ではアボガドのみ
・大豆と大豆食品(豆腐、納豆など)
・チーズ(ナチュラル、プロセス)

□ 糖質制限ではおでんの具材は何を選ぶべきか。
(NG)
・ジャガイモ、餅入り巾着、昆布
・練り物(はんぺん、ちくわ、さつま揚げ、ゴボウ巻き)
※ 「ちくわぶ」(ちくわとはちがう食べ物です):小麦粉を練ってゆでたものであり、1本で糖質20g。
(OK)
・第一選択(低糖質&高タンパク):卵、がんもどき、焼き豆腐、牛すじ、タコ、つみれ、厚揚げ
・第二選択(低糖質&蛋白以外の栄養素):大根、こんにゃく、シラタキ、ロールキャベツ

□ 糖質制限とスープ・シチュー系
(NG)
・ポタージュ、クリームスープ。
・ミネストローネ、オニオングラタンスープ、クラムチャウダー。
・クリームシチュー、ビーフシチュー、タンシチュー、グラタン、ドリアなど。
(OK)
・味噌汁
・わかめスープ、卵スープ、コンソメスープ

□ 糖質制限用冷凍食品通販サイト

□ 赤肉(牛肉、豚肉、羊肉など)、加工肉(ハム、ソーセージ、ベーコンなど)は危険?
・国際がん研究機関では赤肉と加工肉の食べ過ぎはガン(おもに大腸癌)のリスクを上げる可能性を指摘している。
・日本の国立がん研究センターの見解は、日本人の平均的な摂取量であれば、赤肉や加工肉の摂取が大腸癌のリスクを上げる可能性はないか、あっても小さい。
・以上、賛否両論であるが、著者は肉の過剰摂取に糖質過多が加わると発がんリスクが高まると考えており、糖質制限すれば肉の摂取には問題ないという立場(加工肉は添加物が含まれているという視点から摂取は控えめ)。

□ 飲み物に含まれる糖質の多少
(多)
・コーラなどの炭酸飲料やジュースなどの甘い清涼飲料水は約10%の砂糖や果糖(※)を含む
→ 500mlのペットボトル1本に糖質50g(角砂糖10個以上)が溶けている!
・ヘルシーなイメージのあるスポーツ飲料も糖質をたくさん含んでいる。
・果汁100%ジュース、果汁ミックスの野菜ジュース、野菜100%ジュースにも糖質が多く含まれている
※ 果糖:ブドウ糖の数十倍も糖化しやすく、AGEs(終末糖化産物)も作りやすいので要注意
(中)
・牛乳、豆乳:糖質は「低脂肪乳」>「ふつうの牛乳」、「調製豆乳」>「無調整豆乳」
(少)
・ミネラルウォーター
・番茶、麦茶、ほうじ茶
・コーヒー、紅茶

□ アルコール飲料は制限すべき?
(NG)
・醸造酒:ビール(※)、日本酒
※ いわゆる“ビール腹”は危ない危ない内臓脂肪型肥満。
(OK)
・蒸留酒(※):焼酎、ウイスキー、ジン、ラム、ウォッカ
・辛口ワイン(赤でも白でも)は醸造酒の中で例外的に低糖質
・糖質ゼロのビール系飲料、日本酒ならOK
※ 蒸留酒を糖質の多い果汁やトニックウォーターで割ってしまうとNG、炭酸水やミネラルウォーターがおすすめ。