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ポガチャルのWツール制覇を考える(8)

2024-07-07 10:27:46 | ツーリング
  酷暑の南イタリアからスタートした今年のツール・ド・フランスは一度アルプスを越え、一路北上し北フランスに入ると気温は急降下。暑さに弱さを見せたポガチャルにとっては、個人TTも無難に終え、今日は男子ツールとしては初めてとなる「白い道」、イタリアならストラーデ・ビアンケと呼ばれる未舗装路区間を走り抜けることになります。
 ぶどう畑の中に引かれた計14セクター・通算32.2kmの未舗装路は選手の路面判断とバイクコントロールが常用になります。勿論、パンクや機材トラブルが勝敗を分けることも少なくありません。近年はファンデルプールやファンアールト、ピドコック等のMTBやシクロクロスでも実績がある選手が有利とされています。

 ただ、本家のストラーデ・ビアンケでは今年ポガチャルが81kmの独走を決めて勝利を挙げているのです。ポガチャルもMTBの経験がありバイクコントロールには定評のある選手で、実際に過去5年は上記4人が征しているのです。内ポガチャルは2度も勝っている。
 ポガチャルがここでステージ優勝を狙いに行くとは考えにくいのですが、このステージでは得るものより失う物の方が大きい事は良く分かっているはずです。パリ~ルーベ等もそうですが、パヴェ区間に入る前の位置取りが重要になって来るのです。

 春のクラシックを沸かせたファンデルプールですが、どうにも調子が上がって来ていないように見えます。骨折明けのファンアールトも同様です。とはいえ、ワンデイレースではないので、総合上位陣は勝利よりエースを守ることに専念しなければなりません。総合2位のエヴェネプールは元サッカー選手で脚力はずば抜けたものがありますが、バイクコントロールに関してはポガチャルやヴィンゲゴーには遠く及ばないレベルでしょう。下りで遅れるのもそのためです。

 本格的な山岳に入る前にエヴェネプールを引きずり下ろすならまずこのステージだとチーム・ヴィスマは考えているのではないでしょうか?戦術を練りに練るチームですから、ヴィンゲゴーの遅れをそのまま放置しておくとは思えないのです。最終標的はポガチャルですが、その前にエヴェネプールを引きずり下ろすことは考えているはずです。
 ただ、こうした未舗装路ステージで最も安全策は独走することだと勝者たちは知っているはずです。先頭に出て、集団と1分の差を空けるとチームカーが間に入ることができるので、万が一のパンクや機材トラブルにも瞬時に対応が可能となります。今年のストラーデ・ビアンケではポガチャルが、パリ~ルーベではファンデルプールが取った戦術です。
 200km近い距離のステージですから、逃げる選手によっては容認される可能性はありますが、それとは別に総合勢にも絶対にタイムは失いたくないという心理は働きますので、早目の仕掛けでエースを前に置くことを優先するチームが出ることも考えられます。未舗装路区間で差を詰めるのは難しいので、舗装区間と未舗装路区間でのタイムの上げ下げが激しくなり、アシストの消耗もきつく成ります。特に平坦アシストが少ないUAEは最後の4級山岳から早目に仕掛けて来る可能性もあります。残りの平坦路に未舗装路区間が多いので、ポガチャルの独走でも間にチームカーが入ることが出来れば、今の気温ならポガチャルひとりでも大丈夫でしょう。明日は休養日なのでポガチャル、ファンデルプール、ファンアールト、ピドコックが先頭で走るシーンが見てみたい。
 今日のステージでは逃げが決まったとしても、集団ゴールにはなり辛いので、総合勢にタイム差が生まれる可能性が高くなりそうです。総合トップ4の中で未舗装路区間が得意なのは間違いなくポガチャルですから、UAEとしてはそれを最大限に活かす戦術が必要です。先手をファンアールトやティシュ・べノートといったヴィスマ勢に取られると、UAEは後手に回ることになってしまうかもしれないのです。
 




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